海外メディア取材:「自民党と日本維新の会の不一致をめぐり高市はますます頭を悩ませている(Takaichi faces growing headache over LDP and JIP’s lack of unity)」
The Japan Timesの取材を受けて、記事になりました。
記事全体と私の解説は、有料記事ですので買ってください(笑)。
1)2月に高市早苗首相が突然の衆議院解散を決断したため、国会召集が例年より遅れました。自民党は大勝したものの、与党が過半数を欠く参議院の状況により予算成立が遅れ、比例定数削減法案も棚上げとなりました。法案の観点から、高市首相が成立させた最も重要な法案は何であり、その理由は何だと考えますか?
率直に申し上げると、今国会で高市政権が成立させることができた法案の中で、真に重要と言えるものは
皆無
だ。高市政権発足時、国民が最も強く求めていたのは間違いなく
物価高対策
だった。しかし、国際的な武力衝突の発生とそれに伴う世界的な混乱のなか、その極めて重要な議論は完全に脇に追いやられ、未解決のまま放置された。国民が強く期待していた食料品の消費税減税も、今国会では実現しなかった。
一方、今国会で審議・成立したその他の法案は、高市首相にとって個人的・情緒的な価値があり、保守派の思想的アイデンティティには沿うものかもしれない。
しかし、庶民の日常的な経済的苦境を和らげるものではない。
これらの問題に対する高市政権の関心は極めて低いままだ。法案成立という観点から見れば、国民の期待に応えるという点で、政権の実績は実質ゼロであると結論付けざるを得ない。
2)野党だけでなく自民党内からも、高市首相のコミュニケーションスタイル(人とじっくり話して膝詰めで交渉するよりも、一人で書類を読むことを好むとされる)に対する批判が出ています。自民党内および国民に対する高市首相のコミュニケーションスタイルは、今国会の展開にどのような影響を与えたと考えますか?
高市首相のスタイルは、官僚との調整、党内での交渉、野党との駆け引きといった、従来の「合意形成プロセス」を極端に嫌う点に特徴がある。
この手法が国会運営を深刻な手詰まりに陥らせ、立法日程に大幅な遅れを生じさせた。例えば、
「皇室典範改正」
のような極めて重要な議題が国会終盤になってようやく審議にかけられた際も、議論はわずか3日間で打ち切られ、参議院野党からの激しい反発を招く結果となった。
彼女のスタイルが深刻な政治的停滞をもたらしたのは間違いない。
しかし、逆説的だが、この混乱こそが高市政権の支持率が維持されている理由かもしれない。
国民は従来の古い政治手法に戻ることを強く嫌っている。
高市首相の破壊的な手法を、過去への逆戻りよりは「マシな選択肢」として捉えているかもしれない。
3)自民党と日本維新の会の連立について:一部の識者や野党は、自民と維新は真の連立政権ではなく「野合」に過ぎず、最終決定は高市首相と吉村代表が行うものの、自民と維新の一般議員間のコミュニケーション不足と不信感が生まれ、今年の国会における統治上の問題と混乱を生み出したと指摘しています。これは妥当な批判だと思いますか?
はい、妥当な批判であると考える。日本維新の会も高市首相も、根回しや党内調整といった従来の合意形成の政治を嫌っているからだ。
維新には元々そうした文化が存在しない。橋下徹氏が率いていた頃から、党首と幹部によるトップダウンですべてが決まる組織だ。自民党の文化はそれとは異なるが、高市首相は明らかに自身の党の伝統的な文化を拒絶しています。
その結果、高市首相と維新は波長が合っているが、自民党の一般議員の間には静かな反発が広がっている。
4)最も注目を集めた法案の多くは、防衛・安全保障法案、党内保守派が推進する思想的な国内問題(国旗損壊罪の改正案、麻生太郎氏にとって個人的に極めて重要な皇室典範改正)、あるいは維新が要望したものの政治界で非常に物議を醸している法案(議員定数削減や副首都構想)でした。批判派は、これらの法案のいずれも、物価高(特に食品)やホルムズ海峡封鎖の継続による日常生活への影響に直面している一般の日本人が抱える、家計や生活の切実な問題に応えるものではないと指摘しています。高市政権は今国会において、「政治的」あるいは「思想的」な法案や関心事に時間を費やしすぎたと見なしますか?また、その理由は何ですか?
最初のご質問への回答でも述べたように、高市政権は物価高対策や資源不足といった国民が真に解決を望んでいた課題にまったく対処できなかった。
国民の日常の苦境を和らげることとは無縁の
「思想的問題」
に政権が固執しすぎていたという批判には同意する。その理由は、高市首相が保守系団体の支持を固めなければならないというシビアな政治的現実がある。
以前にも指摘した通り(また私の著書でも議論している通り)、安倍政権は強固な岩盤保守層をすでに確立していたため、よりリベラルな有権者層の取り込みに注力することができた。
いわば、安倍氏は野党を叩き潰すことに集中できた。
しかし、高市首相が直面している現実は異なる。参政党などの台頭により、保守基盤自体が不安定化しているのだ。
彼女はこの基盤を繋ぎ止めておかなければ、自民党が長期的な不安定化に直面することを知っている。
現在の彼女個人の人気があれば温厚な一般有権者を一定程度引き止めておけるため、
「保守派の固め」
にエネルギーのより多くを注いでいるのだ。要するに、政権の政治的基盤の構造が、安倍政権時代とは「正反対」なのだ。
5)最後に、秋に向けて:今国会での高市首相と与党の政権運営を踏まえ、秋の臨国会で何か変化はあるでしょうか?
政権の国会運営は、日本維新の会と国民民主党を天秤にかけるような
「駆け引き重視のバランス均衡策」
へとシフトしていくと考えている。次の国会に残されることになる
「衆院比例代表の定数削減問題」
は、依然として課題となる。だが、これは国民民主党としては賛同できないものだ。結果として、維新との間での政治的な主導権争いへと発展するだろう。政権は国民の日常生活に直結する立法を優先すべきだが、最終的には政治的な内輪揉めや権力闘争が優先される展開になると予想される。
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全国の大学の政治サークルに次々と連絡してます(笑)。お返事もいただき、ありがとうございます!



