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HAMLET 2 #093 大統領の愛する息子

■202x年、米国。エリア51 秘密研究施設。

●イータの記憶、その再生が続く。

■イータの部屋

●イータの部屋を訪れる大統領。
●一人おもちゃで遊んでいるイータ

「元気にしていたかね、イータ?」
「お父さんっ!!」

●大統領が来たのに喜び、抱きつくイータ。

「おっと!……その呼び方は止めろと言っただろう?
誰かに聞かれたら困るのでな。それは国家機密なんだ」
「ごめんなさい、大統領閣下……」
「閣下は、いらん。イータ、お前は、私の愛する息子だ。
いずれ、全国民が、いや、全世界の人間がお前を愛する。
お前に従い、お前の命令の元に、神の国が続く。
私が、その下地を築いてやる」
「ありがとうございます。大統領……」
「今日の私は気分がいいのだ。
また1つ、イスラエルの敵を滅ぼしてやった。
パキスタンの核は、未来永劫、イランに渡ることは無い。
革命防衛隊は、もう無力化されたのだから。
私は、イスラエルを安泰にしてやった。中間選挙も、これで乗り切れる。
そして、念願のグリーンランドも、必ず手に入れる。
私は、世界にこここ新しい秩序を生み出す!
……それもこれも、イータ、全部お前の為なんだよ」
「でも、また沢山の人が死んだのでしょう??」
「ああ。しかし、お前の兄弟たちの力で、犠牲は最小限で済んだ」
「また、みんなに汚い仕事をさせたの??」
「知っての通り、デルタもイオタも、きっと、もう長くはもたない。
だからこそ、この国の為に、文字通り心血を注いでもらった。
私は、彼らに感謝している」
「僕にも、兄弟と同じような力が、あれば良かったのに……」
「イータ、お前は、そのままで良いのだ。
お前は、誰よりも美しく、整った人間だ。
兄弟たちのような、獣のような見た目の者は、人類の頂点には立てない。
兄弟たちは、いわば家畜のようなものだ。
人に従い、人の為に命をすり減らす。
兄弟たちは、お前とは違うのだ」
「……」

●大統領の言葉に、青い目にいっぱい涙を貯めるイータ
●罪悪感に駆られた大統領が、イータに媚びる

「そんな悲しそうな顔をしないでくれ、イータ。
今日は、良い1日のまま終えたいのだ。私に出来ることは、なんでもする。
何か、欲しいものは無いかね?」

●大統領の言葉に、元気よく答えるイータ。
●しかし、大統領の反応に、再び落ち込むイータ。

「大統領、僕、お母さんに会いたい!
……お母さんに会わせてください!!」
「おっと!……それだけは無理なんだ。
私も、母親は誰か、知らないのだよ」
「……」

■イータの部屋の監視施設

●大統領とイータの様子をモニターしていた実業家
●そこに、イータとのふれあいを終えた大統領が入ってくる
●いきなり、大統領に質問をぶつける実業家。ぶっきらぼうに答える大統領

「それで?彼の母親は、誰なんです??」
「知らぬ!分からぬ!……私に聞くな!エプスタインに聞け!」
「やはり、あの島に関係しているのですね。
エプスタインの研究成果か……」
「永遠の命を望み、最高の人間を産もうとし、その為に世界中の権力者に取り入った。
奴が死んだから、国が、その研究成果を引き継いだだけだ」
「類まれなる能力を持つとはいえ……生きている限り、臍帯血や、他の子供の血液を必要とし続ける。因果なミュータントです」
「まあ、子供は今も供給可能だ。
手放したがる親も、殺したがる親も、悲しいほど多い」
「望まれないまま、生まれ、売られ、弄ばれ、最後には、誰かの延命の為の血肉に、させられる……」
「血の犠牲の末に、吸血鬼が若さを維持し続けるように、あの子も若さを維持し続けることができる。少なくとも、今のところは」
「いつまで世間を欺けるか、わかりませんよ」
「だからこそ、君も協力したまえ!
……君も、望めば120歳まで若さを維持できるだろうよ。
どこかの独裁者のように、ね」
「フンッ……そんなことに、私は興味ありませんよ」

-場面転換。

■シータたちの『飼育小屋』

●イータが、シータたちのところを訪れる
●シータが、イータに声を掛ける

「何の用だ?」
「ごめんなさい、謝りに来たの」
「お前が謝ったからって、兄さん達が回復する訳じゃない」
「デルタやイオタは、また輸血中なんだね?」
「ここで輸血が要らないのは、ボクだけだからね」
「お父さんが、みんなを、こき使って、ごめんなさい……」
「イータ、お前は、いいよな。大統領のお気に入りで。
お前だけ、人間の見た目をしているせいで、保護されて、何不自由なく暮らせて」
「ごめんなさい……」
「イータ、お前は、ボクらみたいな特殊能力は、何も持たない。
諜報も、軍事も、人心掌握も、経済政策も、何も出来ない。
ただ、愛されるだけの存在のくせに、世界の汚れ仕事をボクたちにやらせて、一人だけ、別世界にいる」
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
「何も出来ないお前に、世界を渡すなんて、本当は、したくない。
何も出来ないお前の為に、ボクらの命をすり減らすなんて、ゴメンだ!」
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
「許してほしかったら、これからは、お前が、ボクたち兄弟を支えるんだ!
お前は、ボクらを守る盾になるんだ!
お前は、兄弟に血を送るプラントになるんだ!
お前は、永遠に、ボクらの為に生きるんだよ!!」
「それって、どういうこと??……」
「こういうことさ!!」

■無数の子供の手によって捕縛される、イータの体

●シータの『飼育小屋』の前に引きずられていくイータ
●イータに噛みつくシータ。イータの瞳の色が失われる

-場面転換。

■202x年、米国。エリア51 秘密研究施設。

●イータ死亡の報告を聞き、激高する大統領
●それをなだめる、実業家と研究者

「何故だ!……何故、みんな死んでいく!?」
「それは……私たちにも分かりません」

●実業家の一言が、大統領を怒らせる

「そもそもが、配合された遺伝子の問題かもしれません」
「私の遺伝子の、何処が問題だと言うのだ!?」
「年を取り過ぎているんですよ。精子が劣化していたんだ」
「ふん、君のように、社内の相手を孕ませていないのでね。
久しぶりだったのだよ」

●研究者が、慌てて説明をする。大統領は反発

「遺伝子操作をした個体が短命なのは、人間以外の例でも散見されることです。
しかし、順調に成長している個体もいます。シータは……」
「私は、イータが好きだった。何故、あんな可愛い子が死んで、バケモノみたいなシータが生き残るのだ!?」
「そ、それを私に言われましても……」

●実業家の一言が、更に大統領を怒らせる

「ようは、TAX FACTORIESを引き継げれば良いのでしょう?……AIにも負けない賢さを持ち、米国の借金を返し、大統領の成果として、この世に楽園を作る。それが出来るならば、見た目なんか、どうでもいいでしょう?」
「いや、見た目は大事だよ。嫌悪感を抱くような見た目のものが、世界最大の企業を仕切るなど、あってはならないことだ!それが私の遺伝子を持つというのなら、なおさらだ!」
「どうせ名義上は、あなたの親族が運営し続けることになるのでしょう?
黒子がどんな姿をしているか、そんなことは関係ないでしょう!」
「私に盾突くというなら、もう、ウエストウィングに君の居場所は無いぞ!」
「TAX FACTORIESは、もう自走できるでしょう。
私も、自分のビジネスに戻らせて貰いますよ」
「フン!……勝手にしたまえ。貴様はクビだ!!」

-場面転換。

■大統領執務室

●イータの死から3日が経過
●大統領の元に、復活したイータが現れる

「お父さん!!」
「イータ!……イータなのかっ!?……お前……お前、どうして??……」
「お父さんと一緒だよ!……ボクは、神様に選ばれたんだ!
お父さんは銃で撃たれても死なずに済み、ボクは死んでも、また蘇ったんだ!」

●大統領とイータの抱擁

「イータ……そうか、そうだったのか……お前は、真に神に選ばれた子だ!」
「うん、そうだよ。ボクは選ばれたんだ。だから、生きているんだよ!」
「そうか……そうだな。お前のような可愛い子を、神が見捨てる訳がない……」
「うん。ボクは特別なんだ。
だから、これからは、ボクがお父さんの代わりに、世界を率いるよ」
「ああ……それでいい。それでいいんだ、イータ……」
「ありがとう、お父さん!……じゃあ、さよなら!!」
「!!……」

●大統領の肩に噛みつくイータ。その顔がシータのものに変わる
●そして、次に大統領の顔に変わる

「ありがとう、イータ。
ありがとう、お父さん……これからは、ボクが神になるよ!」

●大統領の顔が、再びシータのものになる。
●シータの目の色が、文字通り変わり、怪しく光る。

-フェードアウト

#093  大統領の愛する息子、了。

AIに挿絵を描かせてみたら、こうなった。

※本作品について(再掲)
本作は、1993年にPC-98版ゲームソフトとして販売された『HAMLET』および移植版の『SPACE GRIFFON VF-9』の続編となるストーリーで、西暦2149年を舞台としたSF作品です。登場人物や組織などは、実在するものとは、一切関係がありません。前作は、wikiやプレイ動画等でご確認ください。
なお、筆者は当該タイトルの原作と脚本を担当した張本人ではありますが、現在は、いち個人で執筆しており、HAMLET2の権利は筆者に帰属します。
しかしながら筆者は、この作品の二次創作・三次創作を制限するものではありません。どなたか奇特な方がキャラ絵を描いてくれると嬉しいです。


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