【読書感想文】硝子の塔の殺人
タイトルからしてミステリーということが分かる。
実のところ、ミステリーはあまり興味がない。
なのになぜ読もうと思ったのか?
それは勿論、作者が知念氏だから💛
読みだして一行目から引き込まれた。
というのも、しょっぱなから主人公が捕らわれの身となり、どうしてこうなったのだろうと考えている。
おっ、これは犯罪者の話なのか?
しかも、どうやら主人公が犯罪者ということを最初に明かしている。
おもしろそうだ!
という冒頭だった。
読み進めていくと、主人公他数名がミステリー好きな大富豪に招待されてパーティの席にいる。
主人公の一条遊馬(いちじょうゆうま)は医者で、大富豪の専属医師。
主人公には妹がいて、ALS(筋萎縮性側索硬化症)にかかっている。
その病気を治せるかもしれないという薬が開発されるのだが、大富豪によって薬は頓挫している。
コイツを殺せば、妹は助かる。
ということで、主人公は大富豪を殺してしまう。
招待されている中には名探偵を名乗る女性、碧月夜(あおいつきよ)がいる。
月夜はミステリーを暴いていくが、遊馬は自分が殺したことが暴かれるのではないかとヒヤヒヤしながら、日を過ごすわけだ。
結局のところ、大富豪の死に続き2人が殺され、1人が自殺する。
自分の他に犯人がいると思った遊馬は自分の罪を犯人に擦り付けてしまえと考える。
ところが月夜は犯人を特定。
これで終わりかと思ったら、大どんでん返しが待っている。
さて、本当の犯人は一体誰なのか?
文中には、ミステリーについてのうんちくが多々出てくる。
誰のどの作品が良かったとか、どこがいいとか。
ミステリー好きなら、そうだよなと頷くことだろう。
しかし私は、そのシーンがやたら邪魔に思えた。
もちろん、そのシーンも(たぶん)意味があってのことだろうけど。
種明かしは面白かった。
おもしろかったが、違和感を感じた。
ところどころに、このシーンでこの人いなかったよね?
なんでこれについて知ってるんだろう?
とか。
あの暗号の種明かしは分かったが、どうしてあの暗号を死体に刺してたんだろう?
とか。
密室にウエディングドレス姿の死体。
どうやって部屋に入れたのか。
それがありえない方法だったりして。
仮定の話としても、あり得なさ過ぎて……。
そこがいいのかもしれないけど。
終盤になり、あれは絶対に無理だってことになったけど。
それは読者としても、そうだよねって思う。
そんな方法で、死体を部屋に入れるなんてありえない。
わざとなんだろうなぁ。
とは思うけど。
ラストは「めでたしめでたし」で終わる。
捕らわれの身だった主人公も、警察に捕まることもなく、妹も病気が良くなって歩けるようになっている。
本当にそんな薬があったらいいのに。
かなり長い話だったけど、ところどころで喉元に何かが引っかかる作品だった。
ただこれを読んで、他のミステリーも読んだら面白いかもしれない、と思わせられた。
それにしても、大富豪といい霊能力者のオバサンといい、刑事といい。
準主役ポジの名探偵月夜にしても。
見事に嫌いだなぁ、と思うようなキャラばかりが描かれていた。
読者が「コイツきらい」と思えるキャラを何人も作り上げるのだから、やっぱり知念氏はすごいなぁ、と思った。
タイトル:硝子の塔の殺人
著者:知念実希人
出版:実業之日本社
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