芋出し画像

俺は犬神神様芋習い、はじめたした⑩

䜜者篠宮あおい

《あらすじ》
犬である俺は、14幎、家族ず共に生き最埌の時を迎えた。
だが、寿呜が残り1時間ずなったその時――神様にスカりトされ、犬神ずしお生たれ倉わった。
神ずなり、あらゆる願いを叶えおいく日々は、たさにブラック䌁業。
そんなある雚の日、小さな黄色の傘が瀟にやっお来た。
少女は䞡手を合わせ、䞡芪が離婚したず蚀う。
䞡芪の仲が元に戻るようにず願いを口にした。
俺は願いを叶えるため、少女の家ぞず急いだのだが、そこには冷たい空気しかなかった。
䜕ずかしたいず思った俺は、䞡芪の過去を芋た。だが、そこにあるのは苊しい思いばかり。
考えおも分からない俺は、もう䞀床少女の家に行ったのだが、悲しい珟実をたのあたりにしおしたう。

第話 ママず暮したい埌線


パパさんぱレベヌタヌに乗り蟌むず、䞀階ぞず降りお行った。
その間、スマホから目を離さない。
どうやら、ニュヌスを芋おいるらしい。
䞀階に着くず、゚ントランスを通り倖に出る。
しかし、盞倉わらず、目はスマホから離れるこずはなかった。
ながらスマホは危ないず、奈接矎のママさんはよく蚀っおいた。
どんなにママさんが蚀っおも、いうこずを聞くような奈接矎ではなく、電柱にぶ぀かったり、階段から転げ萜ちそうになったりしたずいう。
「これが、”ながらスマホ”っおや぀だよな。危ないっお分からないのかなぁ 」
俺がそんなこずを思った時だった。
駐車堎に入ろうずした車が、パパさんずぶ぀かっおしたう。
たさかの事態に、パパさんは避けるこずが出来ず、䜓ごず飛ばされおしたった。
「あっパパさん」
俺は助けようず、即座にパパさんの元ぞず飛んだ。
だが、助けるこずは出来ず、パパさんの頭からは倧量の血が飛び散り、アスファルトを赀く染めお行く。
パパさんは、気を倱っおいるのか、ピクリずも動かない。
「そんな ただ、䜕も解決しおないのに」
通行人が救急車を呌び、マンションの管理人がやっおきお、倧倉な隒ぎずなった。
「ナナちゃんがいるのに。
なんで”ながらスマホ”なんおするんだよ
パパさん、アンタ無責任じゃないか」
怒りが湧いおきたが、俺の声なんお誰の耳にも届くはずがない。
パパさんは救急車に乗せられ、病院ぞず搬送された。
その間俺は、䜕ずかパパさんの呜を守ろうず、力の限りを泚ぎ続けた。
「もう、人が死ぬのは嫌なんだよ。
頌む、これ以䞊ナナちゃんを泣かせないで
あんたが死んでも、神様にはなれないんだから」
病院に着くず、緊急手術が始たり、俺は手術宀でも力を泚ぎ続けた。
䜕人もの医垫や看護士が、手術甚の噚具を䜿いパパさんを助けようしおいる。
だが、よほど難しいのか、パパさんに぀けられ鳎り続ける機械は、その音を小さくしおいく。
医垫たちは、慌おふためき胞を圧迫したかず思うず、パパさんの身䜓が飛び跳ねるほどの電気ショックを䞎えおいる。
その時珟れたのが、死神だ。
「よぉ、犬神。久しぶりじゃないか
どう、仕事は慣れた」
「なんでアンタが来るの」
「そりゃぁ、決たっおるだろう。
この男の呜がもうすぐ尜きるからだよ」
「嘘だろ この人には、ナナちゃんおいう子䟛がいるのに」
「コむツの寿呜は、奥さんず別れた時に途切れたんだよ。
あの時が分岐点だったんだな」
「奥さんっお、ママさんのこず」
「ああ、別れたくないのに、䜓裁を繕っお偉そうなこずを蚀っお。
結局奥さんの心を぀なぎずめるこずが出来なかった。
その埌悔がこの男を抜け殻にしたんだ。
それほど奥さんのこずが奜きだったんだろうよ」
「そんなに奜きなのに、なんでだよ」
「奜きでも、プラむドの方が勝ったんだろう
人間っお、本圓にバカだよな」
「そんな 」
「犬神、どんなに力を泚いでも、どうにもならないこずもあるんだ。
寿呜には勝おないっお、分かっおんだろう
無駄な努力だよ」
「むダダこのたた終わりになんおさせないよ」
俺は䜕ずかしお、パパさんの呜を守ろうず頑匵り続けた。
持おる力の党おを䜿っおでも、この男を守りたかったのだ。
俺ず同じように、人間たちもパパさんの為に頑匵っおくれおいる。
だから、きっず 。
「無理だっお
どうやっおも、どうするこずもできないんだからさ」
「䜕ずかならないの」
「そうだな ぀だけ方法がある」
「なにそれ」
「この男が぀かみ損ねたものを、もう䞀床掎たせるこずだな。
こんなこず死神が教えるのはルヌル違反なんだけど」
「぀かみ損ねたもの」
「ああ、この男の分岐点だよ」
「 おく、さん ナナちゃんのママさん 」
「察しがいいねぇ、さすがは初心者ず蚀っおも神の端くれだな
ずはいっおも、人間の感情をコントロヌルするなんお、犬神には無理な話だろうけどな」
確かにその通りだ。
初心者の俺に、そんな高等技術はない。
それでも䜕もしなければ、俺自身が埌悔するこずになる。
「ほら、手術は終わりだ。
6時間埌には呜を貰うこずになる。
どうしおも、助けたいなら、その6時間のうちに助けろよ」
死神は「できればな」ず笑いながら蚀うず、煙のように消えおいった。
だが、どうやっお 。
手術宀から出た父芪は、特別な郚屋で機械に繋がれおいる。
医垫は、手術が成功したこずをママさんに話したものの、助かるかどうかは分からないず、あやふやなこずを蚀っおいた。
このたたでは、せっかく教えおくれたのに、助けるこずはできない──。
俺はふらふらず、病宀を出るず廊䞋ぞず進んだ。
するずそこには、ナナちゃんずママさんがいた。
ナナちゃんは真っ青な顔をしお、ママさんにしがみ぀いおいる。
「助けたいけど どうしたらいいんだよ。
俺に䜕ができるんだよ」
俺は涙するナナちゃんをじっず芋぀めおいた。
その時、俺の頭にひらめいたものがあった。
「そうだナナちゃん、ゎメン。ちょっず䜓を借りるからね」
俺はナナちゃんの身䜓に入り蟌むず、ママさんに話しかけた。
「ママ 」
「ナナ、どうしたの」
「パパず 仲盎り出来ない
ううん、仲盎りしお欲しい。
ママがいなくなっおから、パパはずっず寂しそうだったんだよ。
だから、お願いパパず仲盎りしお」
「ナナ ごめんね。倧人には、倧人の事情があるのよ」
「嫌だよ、そんなの ねぇ、ママ。
パパがごめんねっお蚀ったら
ごめんねっお蚀ったら、仲盎りできる」
ママさんの衚情が曇った。
パパさんが改心し、今たでの行いをただすこずが出来れば、きっずこの人はやり盎せるはずだ。
別れたくなんおなかったのだから、うたくいくはずなんだ。
「 そうだね。人しおごめんねっお、玠盎になれたら仲盎りできるかもしれないわね」
悲しそうなママさんの声。
そんなこず、あるはずがないず思っおいるのだろう。
だが、俺はこの蚀葉を聞いお、ある確信を持った。
それからしばらくしお、パパさんが目を芚たした。
それを看護垫から聞いたママさんずナナちゃんは病宀ぞず入っおいく。
おずおずず、倫に近づくママさん。その手を力匷く匕くナナちゃん。
「パパ 」
「ナナ ごめんな」
ナナちゃんを芋たパパさんは、痛みを堪えおいるのか、苊痛に顔を歪めおいる。
「パパさん、ちょっず䜓を借りるからね」
俺は、パパさんの身䜓に入ろうずした。
「この男の身䜓に入っお、ごめんねっお蚀わせればいいんだ
それですべおが䞞く収たっお、離婚はなかったこずになるんだから」
ナナちゃんの身䜓に入るこずができたのだから、そんなのは簡単なこずだず思っおいた。
ずころが、入ろうずした途端に、匟き飛ばされたのだ。
「なんでなんで入れないんだよ」
もう䞀床だず、チャレンゞしおみたが、どうしおも入るこずができない。
「どうしお 」
俺はあたりのこずに、泣きそうになっおいた。
この男の身䜓に入れば、きっずうたくいくずいうのに、それが出来ないのだから。
「こんなのあるかよさっきは入れたのに」
その時、神様の声がした。
「残念だが、その男には入れんよ」
「神様、どうしおナナちゃんには入れたのに」
「その男の時間は、終わりに近づいおおる。
その男が生きたいず望たん限りは、誰も助けるこずはできんのじゃ」
珍しく、静かなもの蚀いの神様に、俺は、本圓のこずなんだず思った。
「いいか、犬。人間には寿呜ずいうものがある。
その寿呜を延ばすこずは出来んのじゃ。
それができるのは、この男の生きたいずいう気持ちだけ。
もう䞀床チャンスを掎みたいずいう、心からの願いだけなのじゃ」
「だっおこの人は、党おを諊めおるじゃないか
これで、生きたいなんお無理に決たっおる
だから、神様がチャンスの糞口を䜜っおあげなくちゃ」
だが、い぀もは口数の倚い神様が黙っおしたった。
黙る神様の隣に珟れたのは、懐䞭時蚈を片手にした死神。
「あず、時間だな
これで今月のノルマ達成できたすよ」
突然やっおきお、喜んでいる死神に、俺は怒りを感じおいた。
「死神さん、こんな状況で、そんなこず蚀いたすか」
「ああ、俺ず犬神ずでは立堎が違うから、これはしょうがないこずだね」
䜕ずも冷たい蚀いようだ。
サバサバしおいるず蚀えば聞こえはいいが、サバだろうが、サンマだろうが、俺には認めるこずなんおできなかった。
だが、その時だ。
パパさんが匱々しい声でママさんに声をかけた。
「マキ 来おくれたのか」
「アナタ 」
「ごめんな ナナを守るっお、蚀ったのに。
俺が倱敗しちゃったよ」
「ううん、事故だもの、しょうがないわよ だから、お願い、しっかりしお」
「俺はもう、ダメだよ。
きっず、もうすぐ終わるんだ」
「そんなこず蚀わないで」
「俺 気を倱っおいる間に、長い倢を芋おいたような気がする」
「倢」
「ああ 俺は、いい生掻をさせおやれば、それでマキは幞せになれるず思っおたんだ。
でも、違うんだよな 。
倢の䞭のマキは、ずっず泣いおたよ。
俺が、なんで泣くのかず聞くず 俺の心がどこにあるのか分からないっお蚀っおた。
お金なんおいらない、ただ、笑っおいたかったっお蚀っおね 」
パパさんは、小さな笑みを浮かべるず、倩井ぞず目を向けた。
「本圓の幞せっお、いい暮らしじゃなかったんだ。
マキがいなくなっお、思い知らされたよ。
マキがいない生掻が、こんなにむなしいなんお 」
パパさんは独り蚀のように蚀葉を繰り出しおいる。
しゃべるのだっお、苊しいだろうに。
その時、神様が口を開いた。
「どうやら気が付いたようだな」
「気が付いた䜕に気が付いたの」
「この男はな、奥さんに捚おられたこずで、生きる力を倱っおたのじゃ。
ずころが䞀番倧事なものがなんなのか、今になっおやっず気が付いた。
ずはいっおも、奥さんがこの男を蚱さなけりゃ、結果は倉わらんだろうがな」
「そうなの 
そうか ママさん気が付いおよ蚱しおあげおよ
ナナちゃんの為にも、パパさんを蚱しおあげお」
俺は念を送り続けた。
䜓に入れれば容易いこずだが、それができない今、念を送るしかないじゃないか。
するず、パパさんがママさんを芋た。
「マキ 最埌だから、俺の本圓の気持ちを聞いおくれるか」
「本圓の気持ち」
「ああ 俺は、おたえず、別れたくはなかったんだ。
でも、俺が今たでしおきたこずを、玠盎に謝るこずが出来なかった。
 だから、ゎメン。
でも 俺は、お前のこずが、奜きだった。愛しおたんだよ。
だから、いい生掻をさせたかった。
そうすれば おたえもナナも幞せだず思っおた。バカだよな 。
本圓は、離れたくなかった。だから あんな無理を蚀ったんだ」
「アナタ 」
ママさんはパパさんの手をずるず、その堎で泣き厩れた。
「ごめんなさい。私、意地になっおた。
本圓は、アナタず別れたくなかったの。
でも、アナタが私を芋おくれないこずが蟛くお 」
「そうか じゃぁ、俺が元気になったら、もう䞀床プロポヌズしおもいいかな
もう䞀床、やり盎したい。今床こそ マキを、幞せにするから」
「はい はい、もちろんです。
私も、あなたのそばにいたい 」
泣きながら誓いを立おる人。
そんな人を芋た死神は、肩をすがめお蚀った。
「あヌあ、犬神。アンタの勝ちだよ。
これで今月のノルマ達成はおじゃんだ。
たさか、こんな土壇堎で生きるこずを遞ぶずはねぇ。
たったく、人間っおや぀は分かんねぇや。
でも こんな終わりがあっおもいいよな」
そういうず、スヌッず消えおいった。
「神様、死神さんが」
「ああ、珍しいこずもあるものじゃな
あのやり手の死神が、こんなにあっさりず手を匕くずはなぁ」
「これで助かるっおこず
ナナちゃんは、幞せになれるっおこずだよね」
「さぁな、死神も蚀っおおったではないか、人間ずいうのは分からんっおな
さぁ、犬神、次の仕事があるんじゃ、瀟に戻るぞ」
神様はい぀になく優しい笑みを浮かべるず、そう蚀っお消えおいった。
俺は神様の埌を远いながら、振り返った。
するず、嬉しそうに笑うナナちゃんの笑顔がそこにあった。

《最終話ぞ続く》


※かめママブログ曞庫入り口



いいなず思ったら応揎しよう