【短篇小説】子供が欲しい
作者:篠宮あおい
結婚して3年。私には子供がいない。
夫に子供が欲しいと言っても、彼は色よい返事をしなかった。
子供の手をつなぎ歩く母親。その姿を見るたび、胸が締め付けられ、息が出来なくなる。
来る日も来る日も、涙が流れ、どうしようもなかった。
そんな私を慰めてくれる義兄。
どうして夫を選んでしまったのかと後悔が湧く。
義両親もまた、そんな私を哀れに思い、夫に苦言を呈してくれたが、夫は変わらなかった。
そんなある日、夫が酔っぱらって帰宅した。
ガーガ―と寝息を立てる夫に、私はある計画を思いついた。
それから間もなく私は妊娠した。怪訝そうな顔をする夫に、私は勝ち誇ったように笑みを浮かべた。
「あなた、何も覚えていないじゃない」
そう、何も覚えていない――。
10か月が流れ、私は玉のような男の子を産んだ。夫は人が変わったように子どもを愛した。
これで、人並みの生活が送れるようになる。私は幸せになれるのだ。
だが、残念なことに夫はそれから3年後、この世から去ってしまった。
それは雨の日に起こった不幸な事故だった。
今際の際で、夫は義兄の手を握り、息子と私を頼むと涙を流した。
そんな夫は、今煙となって上っている。
私は息子を抱きしめ、小さな笑みを浮かべ、その煙を見つめている。
すると、義兄が私の腕から息子を抱き上げた。
その顔は、幸せそうに輝き、息子を抱きしめる手には深い愛が込められていた。
義兄は私に視線を向け、安心したようににっこりとほほ笑んだ。
私は義兄の肩に頭をもたせかけると、上る煙に別れを告げた。
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