【Netflix】「端くれ賭博人のバラード」文芸的な、あまりに文芸的な「カイジ」
【概要】
端くれ賭博人のバラード
Ballad of a Small Player
2025
16+
ヒューマンドラマ
きらびやかなマカオのカジノに流れ着いたギャンブラー。自らの過去からも借金からも逃げ続ける男は、バカラのテーブルで出会った謎めいた女性に心を奪われていく。
出演: コリン・ファレル、ファラ・チャン、ディニー・イップ
(Netflix公式サイトより)
予告編(英語)
【評価】
(ネタバレなし)
10月29日に世界公開されたNetflixオリジナル映画。(イギリス等では先行して劇場公開)
アイルランド出身のコリン・ファレルが主演する、一応イギリス映画ですが、監督はNetflixの「西部戦線異状なし」で称賛されたドイツ人エドワード・ベルガー。ヒロイン役は中国系のファラ・チャン。
あと、香港のディニー・イップが出てて、舞台はマカオと香港。アジア寄りに国際色豊かな映画です。
恥ずかしい人生を送ってきた詐欺師が、マカオのカジノで一発逆転をねらう。
といっても、福本伸行の博打マンガみたいなのを期待すると、完全に裏切られます。
タイ在住のイギリス人作家、ローレンス・オズボーンのベストセラー小説(2014年発表)が原作。
私は読んでいませんが、サスペンス味がある幻想文学で、グレアム・グリーンやドストエフスキー(たぶん「賭博者」)と比肩されたそうです。
ブンガクですから。文芸映画。それを知っといたほうが、がっかりしなくていいと思う。
話そのものは、心に染みる人間ドラマです。
大物になりたい、大悪党になりたい、だけどなれない、「恥」を抱えて生きる小悪人たちの孤独と絶望を描いている、といえばいいのかな。
そんな境遇の男と女が、幻想的なマカオの夜に寄り添って、救済を求めるーー
人間の悲惨な現実の、普遍的なドラマになっている。
私なんかには刺さる、いい話なんですよ。
まさにブンガクですよ。
永瀬正敏と松たか子で、貧乏くさーく撮れば、もっとわかりやすくブンガクになったと思う。
でも、舞台が豪華なカジノで、演じるのが過剰演技のコリン・ファレルで、そっちのほうに目が奪われてしまいます。
そのうえ、ティルダ・スウィントンがちょろちょろしてるから、それも気になって仕方ない。
結果、主題がボケてしまって、何を描いているか、わからなくなってしまった。
コリン・ファレルが、ホテルの超豪華スイートルームで、ご馳走をむさぼり食うシーンがいちばん印象に残ったりする。
もっと、しみじみした感触が残るべきなのに。なんか、残念な映画ですね。
過剰演技と言ったけど、コリン・ファレルの熱演は見応えあるし、すでに先行上映されたいくつかの映画祭で賞を得ています。
オスカーの演技賞にひっかかってもおかしくない。ニコラス・ケイジの「リービング・ラスベガス」をちょっと思い出す。
監督としては、現場で、コリン・ファレルにやりたいようにやらせたんだと思う。
それで、コリン・ファレルのワンマン映画になっている。
そういう映画があってもいいと思うんですね。実際、コリン・ファレルという役者さんを見直す機会になった。
豪華なセットや色彩豊かな映像も、映画的には効果的で、目を楽しませてくれました。
でも、上記のとおり、それが文学的には逆効果になっている。
この監督さん、文学センスも、映画的センスも、両方あると思うんだけど、それが自分の中で矛盾してるんじゃないかと思う。
映画って、難しい、と思いました。
100点満点で70点。
