【ヒアリング~課題設定~】打ち手を羅列するな。構造を語れ。成果が出る「課題設定」の極意。
「お客様の課題をヒアリングして、最適な提案をしました!」 そう自信満々に報告してくる部下に対して、私は時々、あえて厳しい言葉を投げかけます。
「それは『課題』じゃない。ただの『現象』だよ。君は営業じゃなくて、ただの説明員になっていないか?」
営業マネージャーとして数多くの営業マンを見てきて確信していることがあります。 売れる営業と売れない営業の差は、スキルの差ではなく、顧客を見る「解像度」の差です。
1. 【事例】「人が足りない」は、本当に課題なのか?
ある製造業のお客様を担当していた営業マンの報告を例に挙げましょう。 そのお客様の要望は「工場で働く人員の補充」でした。
営業マンは熱心にヒアリングしました。 「なぜ必要なのか?」→「直近で数名辞めてしまうから」 「辞める理由は?」「働くメリットは?」 彼は網羅的に情報を集め、完璧な「人員補充の提案」を準備しました。
……実はこれ、典型的な「解像度が低い、浅い例」です。
もちろん辞めた人の補充は必要ですが、課題の真因によっては打ち手が変わるからです。 解像度が高い営業マンなら、ここで「システム思考」を働かせます。
工場のDX・省人化の流れはどうなっているか?(実は期間が限られた人員配置ではないか?)
工場長などのマネジメント課題はないか?(補充しても、バケツの底が抜けていたら意味がない)
サービスエンジニアなどの代替手段は検討したか?
お客様自身も、目の前の「欠員」というトラブルにパニックになり、真の課題を見失っていることが多い。そこで言われた通りに動くのは、ただの「説明員」です。
2. 「打ち手羅列営業」から「構造理解営業」への脱却
なぜ「浅い営業」のままでも、なんとなく仕事が回ってしまうのか。 それは、表面的な提案でもお客様が往々にして「満足」してしまうからです。
しかし、それでは「あなただから頼みたい」という唯一無二の存在にはなれません。年収を突き抜けさせ、圧倒的な成果を出すためには、自分の脳内のOSをアップデートする必要があります。
解像度を支えるのは、次の二つのエンジンです。
深い顧客理解(ロジック): 業界構造や社内力学を「自分のこと」として語れるか。
顧客の力になりたいという意欲(動機): 「この人を勝たせたい」というお節介なほどの熱量が、分析の深さを決めます。
3. 最強の訓練法:顧客理解を「一枚のシート」に網羅する
頭の中で考えているうちは、解像度は上がりません。 私が推奨するのは、顧客のすべてを可視化する「網羅的な整理」です。
具体的には、以下の3ステップをシートに書き出します。
理想の状態(ヒト・モノ・カネ): 顧客が数年後に目指す姿は?
現状: 3C(顧客・競合・自社)を組み合わせた立ち位置は?
課題仮説: 理想と現状のギャップを埋める「真の打ち手」は?
(※この顧客理解シート、私のマネジメントの核心部分なのですが、もしニーズがあれば後日noteで公開しようかな……笑)
あわせて、アポ前に他者(できればマネージャークラス)に「MTG」をして意見をもらい、PDCAを回すこと。自分の脳を強制的に「上のレイヤー」の思考回路に接続するのです。
4. マネージャーが「こいつは伸びる」と確信する瞬間
私が商談報告を聞いていて「こいつは伸びる」と思う瞬間。 それは、報告の中に「お客様も気づいていなかった、不都合な真実(真の課題)」が含まれているときです。
自分の商品を売るためではなく、顧客のシステムを正常化するための「戦略」を語っているか。
営業は「準備」で8割決まります。 構造を理解し、解像度を高め、真の課題に斬り込む。そこからが、本当の営業の仕事です。
