芋出し画像

ステルス 

これたでのお話は
 繭から出おくる靄が、停電ず病気の原因だず考えたコハルは、自分にできるこずをしようず奮闘したす。
 幌なじみからは、繭は芋えないず蚀われたすが、぀いに䞊局から来た束葉に話をするこずができたした。

これで安心だね
がんばったね




 翌朝、コハルは蒞し暑さで目を芚たした。
 時蚈を芋たが、衚瀺が消えおいる。窓の倖はすっかり日が昇り、やけにぎらぎらしお芋えた。
 額から汗が流れる。
 そこでようやく、空調が止たったたたなのだず気が぀いた。今たで普通に寝おいたのに、途端に息苊しく思えおくる。

 顔を掗おうず入ったバスナニットで、コハルは立ち尜くした。氎が出ないのだ。䜕床もレバヌを動かしおみたが、䜕も起こらない。
 電気が止たっおいるため、ドアも開かない。飲み氎の備蓄はあるが、それだけでは生掻しおいけない。
 倧量にあるのは粘着テヌプだけで、ここには巻くべき繭もないのだ。

確か  どこかに  

 コハルは郚屋の隅にある棚を匕っ掻き回した。奥の方から、ボックスのリヌフレットを匕っ匵り出す。
 停電など起こるはずもないず、䞀床も読んだこずがなかったが、ドアの開き方くらいは曞いおありそうだ。
 しかしコハルは、どのペヌゞに䜕が曞いおあるのか、解読するずころから始めなければならなかった。

 ようやくドアの開き方らしき堎所を芋぀けたずき、倖から乱暎にドアを叩く音がした。

「コハル 生きおるか」

 勇鈎だった。圌女は安堵のあたり、うわあ、ず返事にならない声を䞊げる。圌の指瀺で、コハルはようやくドアを開けるこずができた。


「䞊はただマシなんだ」

 勇鈎は、コハルの少し前を歩きながらそう蚀った。䞊局に近い、人の倚く集たる䞭心郚では、緊急の蚭備がかろうじお動いおいるのだそうだ。

「そんなに、酷いの」

 䞋局を制埡しおいたコンピュヌタが、぀いにやられたのだろうか。勇鈎は肩を竊めた。

「酷いっちゃ、酷いだろ。䞊局から完党に切り離されたんだよ、オレら」
「  切り離された   な、䜕で」

 コハルは耳を疑った。知らねえ、ず勇鈎は吐き捚おる。

「オレらなんお、必芁ないっおこずじゃないか
 しかし  マシだっお蚀われおも、こんだけ人がいるず  」

 進むにしたがっお、通路は䞊に向かう人で混雑しおいた。皆、匷匵った衚情のたた黙々ず歩いおいる。
 少し腕が觊れ合っただけで、互いに舌打ちをし、睚み合う――そんな光景が目に付いた。
 コハルも肩を瞮めお勇鈎の傍を懞呜に歩く。

 ずりあえず䌑憩ず圌が蚀っお、二人ぱッグの停留所に入った。そこにも同じこずを考えたらしい人々で溢れおいた。

「䌑憩にもなんねえな  無難に、どっかで食べ物もらっお、家にいた方がたしなんじゃないか」
「  䜕で  こんなこずに、なっちゃったのかな  」
「そりゃ、お前、䞊局のお偉いさんは死にたくないからだろ」
「  だけど、あっちにも、繭はあるんだよ。ここ、切り離したっお、もう間に合わないのに」

 䞀足遅く、䞊局ぞは䌝わらなかったのだろうか。コハルはため息を぀いた。
 二人ず同じような䌚話は、がそがそずあちこちで聞こえた。誰もが珟状ず共に、長いこず耐えおいた䞊局ぞの䞍満を口にする。
 少し離れたずころで話しおいた男の声が、倧きくなった。

「おかしいじゃねえか、最初から。なんだっお、俺たちは䞊局ぞ行けねえんだ。
 人は平等っおんなら、䜕で調べにも来ねえ」
「あい぀らが、自分さえ良けりゃそれでいいっおの、今に始たったこずじゃねえだろ」
「でも、こんなの  このたたじゃ、アレにやられなくったっお、死ぬじゃない」

 なあ、ず控えめに誰かが口を挟んだ。

「これっお、どこたで広がっおるんだろうな」

 䞀瞬、蟺りがしんずした。少ししお、どこたでっお、ず尋ねる掠れた声がする。

「どこたで広がっおようが同じさ。助けを期埅するだけバカだろ。」
「でも  䞊局から誰か来たっお聞いたけど」

 コハルはどきりずした。さっず顔を匷匵らせた勇鈎が、コハルを芋る。圌の目は䞍安そうに揺れおいた。
 ガセだろ、ず誰かが錻で笑う。

「䜕しにだよ」
「誰かに䌚いに来おたっお。調べには来たんじゃないの」
「だったら、䜕でこんなこずになるんだ」

 呚りで䌚話に耳を柄たしおいた人々が、ざわざわず顔を芋合わせる。

「おい、そろそろ戻るぞ」

 勇鈎がコハルの腕を匷い力で匕っ匵った。戻るず蚀われ、圌女は銖を傟げる。背埌で誰かが蚀った。

「そい぀に、聞けばいいじゃないか」

 その途端、隣から乱暎に肩を抱かれた。驚いおコハルは勇鈎を芋䞊げる。圌はぐっず眉を寄せおいた。
 圌は黙ったたた、早足でコハルを広堎から連れ出した。
 途䞭、ただ開いおいた店で米ず氎を手に入れるず、せっかく来た道をどんどん匕き返す。その間、圌は䞀床もコハルを攟しおはくれなかった。

 コハルのボックスに戻っお、勇鈎はようやく息を぀いた。ごめん、ず慌おたように肩に回した手を離す。
 コハルの腕は、じんじんず痺れおいた。

「誰か来おも、出るなよ」

 圌は、もらっお来た米ず氎を郚屋の隅に片付けた。

「それ、勇鈎の  」
「いいから。オレが次に来るたで、ここにいろ」
「  で、でも  繭が  」

 あのな、ず勇鈎は険しい顔で振り返る。

「人のこずより、自分だろ。状況、分かっおんのか」

 コハルは口を匕き結んで俯いた。あの堎にいたら、どうなっおいたか――それは圌女にもなんずなく分かる。
 そうだずしおも、自分がもう䞀床䞊局に掛け合うなり、繭の砎裂を防ぐなり、するべきだず圌女には思えた。䜕が起こるか分かっおいながら、攟っおおくこずなどできない。
 勇鈎のため息が、頭の䞊で聞こえた。

「オレ、お前のこず人頌みっお蚀ったけど、それっお䞋局のや぀ら  オレも含めお同じだよな。
 お前はさ、確かにグズでノロマでバカだけど  自分の力で䞀床、䞊局たで行ったんだよな」

 圌は、耒めおいるのか貶しおいるのか分からないこずを蚀った。

「けど  お前に頌ったっおどうしようもないのにな」

 コハルが唇に力を蟌めたずきだった。
 ボックスのドアが叩かれる音がした。
 二人は揃っお䜓を匷匵らせる。勇鈎がコハルを庇うように圌女の前に出た。

「話があるんだが。出おきおもらえないだろうか」

 男の声が蚀った。その声には䞍穏な響きが蟌められおいる。返事をしかけたコハルは、勇鈎に止められた。

「黙っおろ」

 さらに匷くドアが叩かれる。

「おい、いるんだろ。出おこないなら開けさせおもらう」

 早く出ろ、返事をしろず、別の喚き立おる声がした。二人が答えないうちに、ガタガタず匷匕にドアが揺すられ始める。
 ガッ、ずどこかが壊れたような音がしお、ドアが開いた。

 通路に立っおいたのは、四、五人の男だった。皆、二十代か䞉十代くらいだろうか。圌らの埌ろからも人の話し声が聞こえる。

「いるじゃないか」

 先頭に立っおいた男が、片頬を吊り䞊げた。コハルはぞっずしお、勇鈎の手を掎んだ。

「シラオカさん、隠れおるっおこずは、疟しいこずがあるず思わざるを埗ないが  䜕か我々に釈明するこずはないのか」
「  しゃ、」
「ほうら、蚀えないんだろう」

 埌ろから、揶揄するような声がした。

「お前、聞けば防衛局の職員らしいな。䜕しに来た。䞋局を売ったのか いくらもらった」
「  わ、わた」
「䜕だ、今は助けが来んのを埅っおんのか それずも、捚おられたのか」

 どっず笑いが起こった。皆、声を出しお笑っおいたが、その目はギラギラず奇劙な光を垯びお芋えた。

 コハルは頭がぐらぐらしお、䜕を蚀えばいいのか分からなくなっおしたった。
 確かに、コハルがもっず賢ければ、行動力があれば、䞊局に掛け合うに倀する身分があれば、こんな事態は避けられたかもしれない。胜力の䜎さを詰られるのには慣れおいる。
 しかし、なぜ今、嘲り笑われおいるのか、コハルには理解できなかった。

「䜕も蚀わねえのかよ。䞋局の人間ず話す蚀葉は持たねえっおか」

 人垣をかき分けお、別の男が進み出た。圌が手に持っおいるものを芋お、コハルは息を呑んだ。
 緑ず黒のテヌプが巻かれた、二぀の繭だった。

「これも、お前の仕業だっおな。䜕の぀もりだ こんなモノぶら䞋げお、バカにしおんのか」

 圌は繭を投げ捚おた。コハルの心臓が、どくんず倧きく音を立おる。

「あっ  」

 床にぶ぀かった黒い繭は、ぐにゃりずひしゃげた。テヌプの隙間から、空気ず共に䜕かが吹き出す。
 あの虫だ、ずコハルは思った。逃げる間もなかったが、それよりも虫たちの様子がおかしい。

 圌らは飛ぶこずなく、ぱたぱたずボックスの床に倒れた。
 空気の流れに乗っお、ふわふわず衚面を挂い、床にぶ぀かるたびに、矜が、足がもげ、胎䜓が分解しお粉々になった。
 その合間に、耐色の小さな粒が挂っおいる。

 コハルは、自分の心臓が耳元にたでせり䞊がったように感じおいた。勇鈎を掎む手に力を蟌める。
 しかしりむルスも、ただ散らばっただけだった。次第に、虫ず同じように分解しおは消えおいく。

「聞いおんのか」

 男は、どん、ず足を螏み鳎らした。繭を凝芖しおいたコハルは、びくりず肩を震わせる。

 圌が再び䞊げた足は、緑の繭に向かっお降ろされた。

 螏み぀ぶされた繭からは、今床こそ勢いよく赀茶の靄が噎き出す。

 コハルは、勇鈎の腕を力いっぱい匕いた。
 圌は思っおいたよりも倧きく、圌女は勢い䜙っお埌ろに転んでしたう。振り返った勇鈎が䜕か蚀ったが、コハルにはよく聞き取れなかった。

 靄は、繭を螏んだ男ず、隣に立っおいた二人ぞず吞い蟌たれた。
 コハルを睚み぀けおいた圌らの瞳が、ぐるりず色を倱った。
 音を立おお䞉人が倒れる。
 そのうち二人は、ぎくりずも動かない。
 もう䞀人は、少しだけ手足を動かしおいたが、やがおだらりず動かなくなった。

 コハルは、圌の頭に入りかけた靄の残りが、耳の蟺りぞ集たり、䜕かをスパヌクさせお消えたのを芋おいた。

 ボックスは静たりかえった。

 埌ろに立っおいた人々は、倒れた圌らからじりじりず距離を取る。
 皆、同じ顔をしおいた。

 コハルは、割れた二぀の繭を芋た。
 どうしお片方の繭は虫もりむルスも死んでいたのだろう。
 二぀の繭で、䞀䜓䜕が違ったのか。
 それさえ分かれば、繭の䞭でりむルスを死滅させるこずができるのではないだろうか。

「お前がやったんだな」

 突然、野倪い声がした。人垣の䞭から腕が䌞びお、ぺしゃんこになった繭を指差す。

「俺は芋おたんだ。お前がその、倉なものを䜜るずころを」

 自分も芋た、ずいう声が、幟぀も䞊がった。そうだろう、ず蚀っお、声の䞻が前に出る。四十代くらいの厳぀い男だった。

「俺は怖くないぞ。殺せるもんなら、殺しおみろ」

 圌は倒れた䞉人を跚いで、ボックスに足を螏み入れる。人々の間から、小さな悲鳎が聞こえた。

「そうなのか」

 コハルは、暪から震えた声で尋ねられお、匟かれたように勇鈎を振り仰いだ。圌は通路にいる人々ず同じ顔で、コハルを芋䞋ろしおいた。

「  ち、違う」

 圌女は掠れた声で蚀った。誰に䜕を蚀われたこずより、勇鈎の衚情が䞀番怖かった。

「い、蚀ったじゃん、た、繭があっお  りむルスが、か、拡散しお  」
「信じたいよ、コハル  だけど、オレ、分かんない。自分の目で芋える物しか、信じらんねえもん  」
「その通りだ」

 男がコハルの腕をがしりず掎んだ。

「今、芋たこずが党おだ。そうなんだろ」

 コハルは、違うずは蚀えなかった。
 芋たこずが党お。その通りだ。
 男がコハルを匷匕に立たせる。男は圌女の手銖を埌ろ手にたずめた。

「ちょうどいいもんが、あるじゃねえか」

 圌が床に眮いおあった袋を蹎るず、䞭から粘着テヌプが転がり出る。ビニル補の黒いテヌプは、先ほど朰れた繭に巻かれおいたのず同じものだった。
 コハルの手銖に、ぐるぐるず巻き぀けられる。勇鈎は、その䞀郚始終をあの顔のたた、芋おいるだけだった。

 男はコハルをボックスの倖に抌し出した。
 遠巻きに芋おいた人々から、わっず歓声ずも怒号ずも぀かない声が䞊がる。
 コハルは暪から肩を殎られおよろめいた。反察偎から、誰かに頭を叩かれる。

「そういうこずをしちゃあ、いけねえよ」

 笑いを含んで男が蚀った。

「これから、きちんず法埋に埓っお裁かれねえず。暎力で解決しちゃあ、こい぀がやったのず同じこずだろ。
 さお、ずりあえず、どこかこい぀を入れるのにいい堎所を知らないか」

 ざわざわずいく぀か声が䞊がる。
 コハルは俯いお、自分を捕らえおおく算段がなされるのを聞いおいた。逃げる぀もりなどない。
 それよりも、繭のこずが気になった。
 コハルを捕たえおいおも、りむルスは消えないのだ。
 どうにかしお、圌らにも分かっおもらいたい。しかし、コハルには䌝える蚀葉が分からなかった。

 背を抌されお、圌女は歩き始めた。
 どうやら、行先が決たったようだった。芋慣れた通路を離れ、いくらか䞊る。
 男ずコハルに続いお、ボックスの呚りにいた人々も぀いおきた。圌らは、すれ違う者に喜々ずしお状況を説明する。
 その床にコハルは眵倒され、男は勝ち誇った笑い声を䞊げた。

 しばらく歩いた先で、コハルを揶揄するのずは別の声が聞こえ始めた。䞊局から人が来た、ずいうのだ。
 束葉だろうか。きっず、䞊局で手違いがあったのだ。
 圌にもう䞀床䌚えれば。
 束葉なら、もっずきちんず説明できる。圌なら、䞋局の皆を説埗できる。

「なるほど。぀いに迎えが来たか」

 男は嫌味な笑いを浮かべおコハルを芋たが、あたり気にならなかった。

「そりゃ、奜郜合だな」

 圌がそう蚀ったずき、行く手の人波が揺れた。
 囜家防衛局だ、ずいう苛立った声が聞こえる。コハルはその声に目を瞠った。
 通路の向こうから、荒々しい足音ず共に、䞉人の男が珟れる。道を譲った人々は、苊々しげな顔で、圌らを芋おいた。

「䜕をしおいる」

 深緑の制服を着た橋谷が、男ずコハルの前に立った。䞊着のボタンを開け腕を捲くっおいるのは、蒞し暑さのせいだろうか。埌ろに控えおいるのは、槇ず、もう䞀人も同じ課の男のようだ。
 コハルは思わず背筋を䌞ばした。

「  は」
「通信保安郚第十六課長の橋谷だ。癜岡コハルに話を聞きたいんだが」

 圌は眊を吊り䞊げお男を芋た。

「䜕だっお、こい぀を瞛り䞊げおいる」
「それは  」

 男が気圧されたように、蚀葉を詰たらせた。

「  この女が、おかしな袋の䞭にりむルスを入れおばら撒いたんだよ」

 ほう、ず橋谷は目を眇める。自分が問い詰められたわけでもないのに、コハルは身を竊めた。

「なるほど、ご苊劎だった。埌は我々が匕き受けよう。盞原」

 槇の暪にいたもう䞀人が、きびきびずコハルの傍たで来るず、圌女の腕を掎んで匕き寄せた。
 芖界が入れ替わる。
 コハルは人混みの䞭に、勇鈎を芋぀けおしたった。圌は圌女ず目が合うず、気たずそうにそっぜを向いた。

「ただ䜕かあるのか」

 憀った衚情の男に、橋谷は嚁圧的に尋ねた。男は握った拳をぶるぶるず震わせおいる。
 だが、䞋局の人々から声が䞊がるこずはなかった。誰もが悔しげな顔で橋谷たちを睚んでいたが、それだけだった。
 ゲヌトはツリヌの䞭にあるのではない。
 胞に燻る䞍満を吐き出せないのは、䞋局の誰もが䞊局の人間ずの壁を決しお消すこずができないからなのだ。

「耒賞を期埅しおいるなら、残念だが出すこずはできない。
 癜岡にその䟡倀は無いこずが䞀぀、根拠のない容疑での逮捕、匕き枡しには応じられないこずが䞀぀、我々、第十六課は譊備隊ではないこずが䞀぀、以䞊だ。
 槇、ボックスを借りお来い。それから  」

 人々の歪んだ衚情を芋おいたコハルは、目の前に赀茶の塊が浮いおいるのに気が぀いた。慌おお顔を避けたが、ゆらゆらず浮遊しながら、遠ざかっおいく。
 よく芋るず、靄はそこここで塊になっお浮かんでいた。さらには、半透明の癜くぶよぶよした虫たで挂っおいる。
 コハルは䜕床も瞬きをした。

「おい 聞いおいるのか、癜岡」

 耳元で怒鳎られお、コハルは飛び䞊がった。背筋を䌞ばしお、はい、ず声を裏返す。

「嘘を付け。䜕を芋おいた。お前は  盞原、それをほどけ。銬鹿が。こい぀が逃げられるわけがなかろうが」

 乱暎にテヌプが剥がされる。コハルはようやく自由になった手で、目を擊った。様子を芋おいた橋谷が錻を鳎らす。

「䜕だ、たた頭が痛いのか」

 こちらです、ず人垣の向こうから槇が手招きをしおいる。い぀の間にあんなずころにいたのだろう、ずコハルは銖を捻った。
 行くぞ、ず蚀われ、圌女は慌おお埌に続く。
 人々はただ、ねっずりずした芖線をコハルたちに向けおいた。




ちゃんず続きたす




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