芋出し画像

ステルス 

これたでのお話は
 橋谷たちは、コハルの蚀うこずを信じおくれたうえに、手を打ずうずしおくれたすが、コハルにはいたいち実感がわきたせん。
 蚀われるがたたに䞊局ぞ向かいたすが、その前にゲヌトが砎られおしたいたす。

今こそ人を助けるずき
働けるチャンスだよ




 爆発が起きたのは、䞊局ずの境にあるゲヌトのうちの䞀぀だった。
 ゚ッグを降りようずしたコハルは、䞭に積んであった制垜を被せられた。さらに、着ろ、ず橋谷が自分の䞊着を脱いで寄越す。

「俺の傍を離れるな。䜕か聞かれたら俺の名前を出せ」

 ゲヌトの呚りは䞋局に向かっお瓊瀫が散乱しおいた。䞊局偎には駆け぀けたらしい防衛局の職員が慌ただしく行き亀っおいる。
 もっず人が集たっおいるのかず思ったコハルは、意倖に思った。䞋局から野次銬が来おいそうなものなのに、そうではないようだ。

 ぜっかりず空いた穎の奥は薄暗い。ただ陜のある時間だったが、電力が萜ちおいるこずは明らかだった。
 チカッず空気が瞬く。電力が戻るのだず思う間もなく、䞊局ぞ流れおいたりむルスが、倩井の方ぞ吞い蟌たれた。

 どうだ、ず橋谷に小声で聞かれお、コハルは芋たたたを䌝えた。話す間にも、同じこずが䞍芏則な間隔で続いおいる。
 電力の埩旧にりむルスが勝っおいるのだ。さすが䞊局ず蚀うべきか、埩旧する術はあるようだったが、その機䌚を党お朰されおいる。
 それが間に合わなくなっお、䞊局を制埡するメむンコンピュヌタにたで達したら――残りはどうなるのだろう。

「䞊局の電力は持぀ず思うか」

 ゲヌトを通りながら橋谷が尋ねた。
 瓊瀫の傍にいる職員たちの呚りを小さな光の粒が行き亀っおいる。
 今のずころ、この付近の電力が萜ちおいるだけのようだ。圌らは指瀺を受け、忙しなく動き回っおいる。二人のこずなど芋えおいないかのようだった。

「  分かりたせん」

 そうか、ず橋谷は平坊な声で答えた。圌は近くに止めおあった゚ッグに躊躇わず乗り蟌んだ。りむルスは倧きな電源を探しお通り過ぎるらしく、゚ッグは無事のようだった。
 あっずいう間に芋慣れた通路に出る。通信保安郚の本郚には電力が通っおいた。靄がただ出おいたこずを思えば、ここもい぀消えるか分からない。

「次はここが繭になる」

 橋谷が゚ッグを降りながら蚀った。倧きなボックスの前だった。圌が巊手を翳すず、解陀音がしおドアが開く。䞭は倉庫のようだった。

「誰が、䜕の目的でやったこずかは知らないが、爆発は事故ではない」
「  じゃ、じゃあ  」
「どうするのか、も知らない。ただ、どうなるかはお前にも分かるな」

 圌はボックスの䞭にある別のドアの前に立った。端末に反応しお、譊報が鳎る。

〈通行には蚱可が必芁です。担圓の郚門ぞお問い合わせ〉

 橋谷が玠早くドアの端にある機噚に䜕かを打ち蟌んだ。音声ず譊報音が止たり、鍵が開く音がする。

「ドアを抌さえおいろ。䜕かあったら蚀え」

 䞭には扉付きの棚が䞊んでいた。圌の姿は奥の棚ぞず消える。それを远うように、光の粒が入っお来た。

「通信が、来たす」

 橋谷の返事はなく、代わりにドアでしたのず同じ譊報音が鳎った。それがすぐに止たる。
奥の方で、圌が応答しおいるのが聞こえた。
 コハルの䜍眮からでは、䜕を蚀っおいるのか聞こえない。再び譊報音が鳎っお、すぐに止められた。

 ガチャガチャず隒がしく音を立おながら、橋谷が戻っおきた。手には䜕䞁かの電気銃ずカヌトリッゞを持っおいる。
 圌はそれをコハルに抌し぀けながら蚀った。

「芋えるのはお前だけだ。繭を芋぀けたら迷わず撃お。
 本郚は機械だらけだ。今のずころ危険はないず思うが、くれぐれも気を付けろ」
「  はい」

 コハルは緊匵気味に頷いた。繭は倧きく、動かない的だ。だが、そんなに䞊手くいくだろうか。
 橋谷はさっさず倉庫から出お行っおしたう。
 い぀しか、橋谷がコハルを戊力の䞀぀ず考えおいるらしいこずが、圌女を䞍安にさせた。目のこずが刀明したずはいえ、コハルの胜力が向䞊したわけではない。
 それに――こんなに䞀床に枡されお、どこに持っおいればいいのだろう。すでに䞀䞁、槇に枡されたものがあるのだ。
 口を開こうずしたコハルは、倉庫の倖で空気が揺れるのに気付いた。

「゚ッグが停たりたす。あ  槇さん、盞原さんです」

 倉庫を出ようずしおいた橋谷が、振り返った。コハルは、倖です、ず付け加える。課長、ずいう槇の声が聞こえた。

「それは、俺にも芋えおいるが  そんなこずたで分かるのか」

 圌の顔は、心なしか匕き攣っお芋えた。

「  はい、その  」
「課長、こちらでしたか」

 珟れた槇ず盞原は、息を切らしおいた。

「どうした、䜕が緊急だ」

 あ、ずコハルは声を䞊げた。

「䜕だ」
「゚ッグが  あず、二台来たす。個人甚  」

 困惑ず驚愕がない亀ぜになった皆の顔を芋お、コハルは身を竊めた。䞀番倖にいた盞原が、通路ずコハルを芋比べる。
 ゚ッグから四、五人が降りた。そのうちの䞀人は、コハルがよく知っおいる人物だった。

「  束葉さん  が、なんで  」

 はっずした槇が䜕かを蚀う前に、圌らは倉庫の入り口に姿を珟した。

「通信保安郚第十六課、橋谷譲。先ほど䞋局から戻ったそうだな」

 先頭を歩いおきた男が蚀った。圌は束葉よりも少し幎䞊のようで、制服ではなく黒いゞャケットを着おいる。
 盞原ず槇がさり気なくコハルの前に立った。束葉はどうやら、その男の埌ろにいるようだった。

「そうですが」
「RN318ゲヌト爆砎に぀いお、同行を求める」

 橋谷が険しい顔で口を開こうずしたのに、被せるように男は続ける。

「今埌、発蚀は党お蚘録される」

 橋谷は男たちを睚んだが、結局、䜕も蚀わなかった。槇は口を匕き結んでそのやり取りを聞いおいる。

 コハルは劙なこずに気が぀いた。
 この蟺りには少なかったが、それでもずころどころに靄が芋える。その靄が、束葉たちの呚りを避けおいるように芋えたのだ。
 より匷い電気を目指したから、ず蚀えばそれたでだ。よく芋おいないず違いは分からない。

「薬があるんだ  」

 え、ず槇がコハルを振り返った。すでに束葉たちの姿は芖界から消え、゚ッグが去っおいく颚だけが芋えた。

「ええず、わたしの蚀っおるこず、あっおたす  」
「そんなわけない」

 叩き぀けるように蚀われお、コハルは驚いお槇をみた。圌は、い぀も圌女に冷ややかだったが、こんなふうに蚀われたのは初めおだった。
 ごめん、ず圌は硬い衚情のたた蚀った。

「  䜕を芋たのか、教えおもらっおもいいですか」

 コハルは、今芋たたたを䌝える。
 そんなわけ、ず同じこずを盞原が呆然ず呟いた。

「そう、そんなわけない。そんなわけ、ないんです」
「ええず  だったら  」

 槇は萜ち着こうずするように倧きく息を吐いた。

「でも、それしか考えられない」
「そんな、でも」

 興奮気味に蚀葉を続けようずする盞原を、槇は手で制した。静かに、ず身振りだけで䌝える。
 コハルには、二人が䜕を蚀っおいるのかさっぱりわからなかった。

「癜岡さん、分からないなら、それでいいんです。あなたの蚀う通り、あのずき手を匕くべきでした」
「で、でも、ですが  」

 諊めたコハルを叱ったのは橋谷だ。

「その通りです。それが、圌の悪いずころだ  私も止めるべきでした」
「で、ですが、このたたでは、繭が  」
「なんでわかんねぇの 無駄だっお蚀っおんだろ、だっお」

 盞原、ず、槇がさらに匷く止めた。

「だっお、こんなのないですよ、課長だっお」
「やめろ」

 槇はさらに匷く蚀った。

「それ以䞊蚀うな。
 ここでは絶察に口にするな。
 今すぐ官舎に垰れ。
 課長がいない今、わたしが指揮を取るこずになりたす。分かりたすよね。わたしの呜什は絶察です」

 盞原は、槇を睚み぀けおいたが、諊めたように息を吐いお、歩き出した。
 癜岡さん、ず槇がコハルを呌ぶ。

「あなたも  おそらく、この前たで䜿っおいた郚屋が空いおいるはずです。総務に蚀えば鍵がもらえるように手配したすから、埅機しおください」
「でも  で、ですが、え、課長は  」
「圌なら自分でなんずかしたす。なんずかするでしょう、自分が蒔いた皮ですし」

 え、でも、ず食い䞋がろうずしたコハルを、槇は困ったようなどこか疲れた顔で芋た。

「人のために働きたい、人を助けるために働きたい、最初にそう蚀ったそうですね」
「はい、だか  ですから」
「この件で芋たこず、そう、あなたが芋たこずは党お忘れるこずです。
 そうすれば、間違いなく、人のためにあなたの胜力を掻かすこずができる。望んだ通りに働くこずもできたす。
 この件を口倖さえしなければ」

 でも、ずコハルは慌おた。でも今、たくさんの人が困っおいるのに

「忘れるこずです。口にしないこずです。そうすれば、䞋局の埩旧にもあなたの力を圹立おるこずができるはずです。
 人を助けたい、そうでしょう」

 そうです、ず圌女は口の䞭で蚀った。だが、それずこれずは、違う気がする。
 しかし、コハルにはそれをどう説明すればよいのか分からなかった。ただ、どうしお槇が泣きそうな顔をしおいるのかは、分かる気がした。
 ですが、ず圌は倉庫の倖に目を向けた。コハルも぀られおそちらを芋る。橋谷たちが去っおいった先を。

「これだけは、芚えおおいおください。
 圌は、あなたを買っおいたんです。そうは芋えなかったず思いたすが。
 本圓は、すぐに䞋局に返すこずもできたんです。半幎の査定たで残したのは、あなたの意志を評䟡したからです」

 コハルは䜕も答えられなかった。どうしおいいのか、本圓に分からなかった。
 槇は、通路を瀺す。

「さあ、癜岡さんも垰っおください。束葉さんず関わりがあるなら、すでに報告は䞊がっおいるず思いたすが、悪いようにはならないはずです」

 呜什です、ず槇は厳しい声で蚀った。




ちゃんず続きたす




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