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大東流と密教-身体に宿る宇宙の構造-3

1-2 武術が「思想」を必要とする理由
武術は、極限状況での身体操作を扱います。
 ○恐怖で身体が固まる
 ○反射で動いてしまう
 ○相手の動きに飲まれる
 ○思考が遅れる
 ○呼吸が乱れる
これらはすべて、現代科学の知見によれば脳の神経制御層が関わる現象です。技術だけでは、これらを制御できません。だからこそ武術は、身体・呼吸・意識を統合する思想体系を必要としたのです。
禅は「心を空にする」ことで反応を静め、密教は「身体と宇宙を一致させる」ことで意識を拡張し、 道教は「気の流れ」を整えることで身体を統合しました。
武術は、これらの思想を“身体技法として再構成”することで成熟していきました。

1-3 大東流が「密教」を選んだ理由
大東流は、数ある仏教思想の中で、なぜ密教をバックボーンにしたのか?
その理由は、密教が持つ次の特徴にあります。
 ○身体を通じて悟りに至る「即身成仏」
 ○印・真言・観想による“身体OS(身体と意識の作動原理を規定する
  「基盤的制御体系」)”
 ○宇宙を一つのシステムとして捉える曼荼羅
 ○三密(身・口・意)による心身統合
 ○師資相承(秘伝)という伝承形式
 ○エネルギー(気)を扱う技法体系
これらはすべて、大東流の技法構造・稽古体系・口伝の形式と完全に一致しています。
つまり、大東流は密教を“借りた”のではなく、密教の構造そのものを“武術として再構築”したと言えるのです。

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