英語の原書を読む楽しみ。英検1級の私でも、1冊読むのに1か月かかります
以前も書きましたが、私は読書が大好きです。
読書が生活の一部になっています。
さすがに疲れ果てているときは、文字を読む気になれないこともあります。
でも、読書は手っ取り早くリラックスできる方法のひとつ(脳科学でもそう聞いたことがあるがうろ覚え)。その上教養を得たり、感情を揺さぶられたりすることができる、とても贅沢な娯楽です。
英語の原書を読み始めたのは40代になってから
そんな私ですが、英語の原書を楽しく読み始めたのは、40代になってからです。
それまでは、大学の授業で課題として読むことはあっても、自分から積極的に読むタイプではありませんでした。
ただ、「いつか読んでみたいな」と思って買っていた原書や、アメリカから日本に帰ってくるときに小学校の先生方からいただいた本が、ずっと本棚に並んでいました。
あるとき、
「よし。これから読んでみよう」
と思い立ち、家にあった児童書を片っ端から読み始めました。
そのうち、当時話題になっていたファンタジー作品も読むようになり、さらに、その頃通っていた英会話の先生から「これに挑戦してみたら?」と渡されたスティーブン・キングの作品にも挑戦。
そうこうしているうちに、原書を読むことそのものが楽しくなっていました。
もちろん、登場人物が多い作品には苦労することもあります。
そんなときは、登場人物のリストを自分で作りながら読んだこともあります。
わからない単語は、なるべく調べない
原書を読むとき、わからない単語が出てきても、私はなるべく辞書を引かないようにしています。
何度も出てくる単語で、「これを知らないと話がわからないな」と思うものだけ調べます。
目安としては、
1ページに「わからないけれど気になる単語」が1~2個程度。
このくらいのレベルの本がおすすめです。
すべての単語を調べながら読んでいたら、なかなか物語の世界に入り込めません。
それよりも、多少わからないところがあっても、そのまま読み進めていく。
そのうち、前後の文脈から意味がわかってくることもあります。
読書は勉強のためではなく「楽しむ」ためにしているのですから。
静かな場所で読むのがおすすめ
もう一つ、私が原書を読むときに大切だと思っているのが、読む環境です。
できれば静かなところで読むことをおすすめします。
英文を読んでいるときに日本語が聞こえてくると、どうしても日本語のほうに意識が引っ張られてしまい、本の内容が頭に入りにくくなるからです。
カフェなどで読む場合は、ノイズキャンセリングイヤホンなどを使うのもいいと思います。
・・・とまあ、静かに集中して読んでいても
「これ、どういう状況?」
「自分の理解で本当に合ってる?」
と思うことも。
そんなときは、スマホを使います。
その部分を写真に撮って、Googleレンズで翻訳してもらうこともあります。
意味がわかったあとで、もう一度その英文を読み返してみる。
すると、
「なるほど。こういう構文だったのか」
と理解が深まります。
なぜ翻訳があるのに、わざわざ英語で読むの?
「日本語に翻訳されているのに、どうしてわざわざ英語で読むの?」
と聞かれることがあります。
もちろん英語力を上げたいという気持ちもありますが、それよりも、
作品をフィルターなしで楽しみたい。
というほうが近いと思います。
特に好きな作家の場合は、そう思います。
最近読み終えたのは、カズオ・イシグロの『クララとお日さま』です。
イシグロは大好きな作家で、作品はほぼ全部読んでいると思います。
そして、今のところ私は、イシグロの作品を翻訳では読んだことがありません。
翻訳本も素晴らしいと聞くので、「いつか読まなければ」とは思っているのですが、それ以上に、原書を読んで自分の中にできあがったイメージを大切にしたいと思っています。
もし翻訳を読んで、自分が思っていたイメージと大きくかけ離れていたら……。
その「がっかり」は、できれば避けたい!
『クララとお日さま』を読むのは2回目
実は『クララとお日さま』本を読むのは2回目です。
以前、出版されたばかりの頃に読んだのですが、細部をおぼろげにしか覚えていなかったので、もう一度読んでみることにしました。
ちなみに私は、日本語でも英語でも、本は2回以上読むことが結構あります。
なぜなら、1回目は情報を得たり、プロットを追ったりするだけで精一杯のことが多いからです。
2回目に読むと、
「こんなこと書いてあったんだ!」
という発見がありますね。
それに、単純にせっかく読んだのに内容を忘れてしまうのは、もったいない。
もちろん、すべての本を読み返すわけではありませんが、
「この本、よかったな」と思った本は読み返すことが多いです。
イシグロの小説も、2周したものがかなりあります。
英検1級でも、原書をスイスイ読めるわけではありません
では、英検1級ホルダーの英語講師である私が、原書をどのくらいのスピードで読めるのか。
さぞかしスイスイ読むのだろうと思われる方もいるかもしれませんが、
実は、そんなに速くありません。
今回の『クララとお日さま』は、1冊読むのに1か月。
読み始めの頃は、他の本も読んでいたから、もうちょっとかかったかな?
はっきりしなくてすみません。
今回は細かいところも丁寧に読みたかったということもありますし、特殊な設定で立ち止まる箇所もたびたびあったからかもしれません。
前回読んだときの記憶は別として、他には予備知識なしで読み始めました。
最近は、この作品についての考察などもたくさん出ているので、読み終わったあとにいろいろな人の考察を読むのも楽しみでした。もちろん、作者ご本人のインタビュー動画なども興味深いですね!
『クララとお日さま』の読みやすさは?
調べたところ、『クララとお日さま』のYL(読みやすさレベル)は、英検準2級~2級程度だそうです。
確かにパッと見た感じ、非常に平易な単語で書かれているように思えます。
では、英検準2級~2級レベルの高校生にもおすすめできるかというと……私は、そう簡単ではないと思っています。
なぜなら、「読みやすさ」は語彙だけではないからです。
AI搭載ロボットの視点でお話が進んでいくので、「これ、何のこと?」と思わせる単語がところどころ出てきます。
ただ、これはどの作品にも言えることだと思いますが、イシグロの文体は比較的読みやすいです。
今回の作品も、スラングのようなものはほとんど登場しません。
修飾関係が複雑な長い文なども、あまりありません。
その意味では、原書に挑戦する作品としては比較的読みやすい小説だと思います。
日本語訳ではなく、原文で読みたい理由
私が、翻訳が出ている作品でも、なるべく原書で読みたいと思うようになったのには、もう一つ理由があります。
日本語では、主語の選び方がとても豊富ですよね。
「私」「うち」「俺」「僕」「おいら」など、どの言葉を使うかによって、その人物のキャラクターまで変わってしまいます。
翻訳者の方は、こうしたところにとても苦労されるのだと思います。
一方、英語では、基本的に一人称は「I」。
だからこそ、話し方や言葉遣い、文章全体から、
「この人はどんな人なんだろう?」
と、自分でキャラクターを想像して組み立てていくことができます。
もちろん、翻訳には翻訳の素晴らしさがあります。
でも、自分としては、できれば原文で味わってみたい。
そんなふうに思うのです。
これから原書を読み始めたい人へ
これから英語の原書を読み始めたいという方には、まず、
パッと見て、1ページに1~2個以上「辞書を引かないとわからない単語」がない本
をおすすめします。
ヤングアダルトの作品などは、比較的読みやすいものが多いです。
私のおすすめの一冊は、Louis Lowryの The Giver。
読みやすいのに、とても深みがあります。
「この先、どうなるんだろう?」
と気になって、どんどん読み進められると思います。
そういう意味では、私は「読んだことがある本」より、「先が気になる本」をおすすめします。そして、「これ楽しくないな」と思ったら無理せず、他の本に切り替えましょう!
1日30分くらいから
毎日30分程度、読み進められるといいと思います。
集中して読むと、ちょうどそれくらいで、慣れないうちは疲れてくると思います。
でも、少しずつ読む楽しみもいいものです。
最初からスイスイ読めることは、ないかもしれません。
私の感覚では、読み始めて1/3~1/4くらいまで来たところで、ようやく文体にも慣れ、設定にも慣れて、物語を楽しめるようになってきます。
途中で辛くなったら、「これは何についての話なのか」というテーマだけでも、先に日本語で調べておくと安心して読み進められると思います。
原書は、長く楽しめる娯楽
とにかく、英語ネイティブでなければ、英語の原書は読むのに時間がかかります。
でも、それは「一冊買って長く楽しめる」ということ。
なかなかコスパのいい娯楽なのではないかと思います。
また、原書には原書でしか味わえない、表現の深い味わいがあります。
「何か新しい趣味を見つけたいな」
と思っている方。
ぜひ一度、本屋さんで英語の本をパラパラと手に取ってみてください。
最初は「これ、読めるかな?」と思うかもしれません。
でも、少しずつ読んでいるうちに、いつの間にか本の世界に入っていけるようになるかもしれません。
英語の勉強のためではなく、英語で本を楽しむ。
そんな読書も、なかなかいいものですよ。
