1次産業を再生し、後世に残る仕組みを考えること。
魚を釣って、生きていく。
――「七色のサカナ」を立ち上げた理由
「世の中甘くない。絶対、やめといた方がいい」
会社を辞めて起業すると決めたとき、何度も言われました。
安定もない、保証もないうまくいく根拠なんて、どこにもありませんでした。
それでも始めた。
通信会社営業の課長職で10年間勤めてもらった退職金は100万にも満たない91万円。
「なんだこれ?」定年まで迎えてたとしても貰えるお金って数百万しかないやん。
その会社でのスキルしか身につかないし、そのスキルが次の仕事で役に立つのか?
役に立ったのは、仕事時代に関わった人達と人と話すスキル。
今思えば、辞めてよかった。
この「人と話せるスキル」って世の中で一番役に立つんじゃないかって思う。
早くその事実に気づけたから、やっぱり辞めて正解だった。
今の仕事を始めた理由はシンプルで、
「釣りが好きだから、釣りに近い仕事がしたかったから」
子どもの頃から釣りが好きで、いつか釣りに関わる仕事で生きていきたいと思っていました。
でも、“釣りで食べていく”のは簡単じゃない。プロになる道も考えましたが、現実は甘くなかった。
それでも諦めきれなかった。
だから私は、形を変えることにしました。
釣るだけじゃなく、魚に価値をつける。
それが「七色のサカナ」の始まりです。
最初は本当に小さなスタートでした。
自分で魚を釣り、捌き、乾かし、ジャーキーにする。
自宅のベランダでジャーキーを作ってました。
正直、効率は最悪です。
でも、その分だけ“嘘のない商品”ができる。
市場に出回っているペットフードの中には、
どこで獲れたか分からない魚や、大量生産されたものも多い。
仕組みを知ればわかるのですが、大きな倉庫に大量にストックされて、いつ製造されたのかわからない。
それが悪いとは思いません。
でも私は、
「誰が、どこで、どうやって作ったか」が見えるものを届けたかった。
もうひとつ、大きな理由があります。
それは“漁師との関係”です。
魚は獲れても、すべてが市場に乗るわけではありません。
価値がつかず、捨てられてしまう魚もある。
人のエゴで値段がつけられ、人の都合で大量に捨てられているのです。
それなら、そのサカナを活かせないか。
漁師や釣り人と一緒に、新しい価値を作れないか。
そう考えて、今は漁師の方と直接、連携しながら商品づくりをしています。
みんなの知らないサカナたちがあってとても楽しいです。
もちろん、うまくいかないことばかりです。
売れない日もあるし、原価は上がるし、
「本当にこれでいいのか」と迷うこともあります。
逃げたくなる日もあります。
それでも続けているのは、
“納得できるものを作れている。世の中の役に立てる”という実感があるからです。
これを読んでいる人の中にも、
「やりたいことがあるけど動けない」
そんな人がいるかもしれません。
私もそうでした。
でも、ひとつだけ言えるのは、
“正解を探している間は、何も始まらない”ということです。
何故なら正解など無いから。
やってみて、失敗して、修正する。
その繰り返しでしか、前には進めない。
今、私は「七色のサカナ」というブランドで、
魚のジャーキーを作り、届けています。
まだまだ小さな挑戦ですが、
釣りが好きだった一人の人間が、
それで生きていこうとしている。
ただそれだけの話です。
ビジネスじゃん。金儲けじゃん。
そう言われることもありますが、喜ぶ人が増えるならそんなこと言わても何も思いません。
もしこの話が、
誰かの「やってみようかな」のきっかけになれば嬉しいです。
