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悔心

-追憶のフラグメント #64 -

昔の僕は、

悔しいと思う前に、

諦めていた。

「どうせ無理。」

「自分にはできない。」

そう言い聞かせる方が、

楽だった。

負けても、

傷つかないように。

期待しないように。

そんなふうに、

少しずつ、

自分の気持ちに蓋をしていた。

でも、

最近は違う。

悔しい。

負けたくない。

見返したい。

そんな感情が、

ちゃんと湧いてくる。

その時、

思った。

『あれ。』

昔の僕なら、

こんなに悔しがらなかった。

悔しいということは、

まだ諦めていないということ。

勝ちたいと思えること。

変わりたいと思えること。

昔の僕にはなかった、

その感情が、

今の僕にはある。

だから、

悔しい夜なのに、

どこか嬉しかった。

「ああ、

ちゃんと変われているんだ。」

そう思えたから。


後書き

『悔心(かいしん)』

今回のタイトルは、

「悔しさ」と「心」を組み合わせて作った言葉です。

「追憶のフラグメント」は、これまで音や香り、景色などがきっかけで過去を思い出す作品が多くありました。

でも今回は少し違います。

きっかけになったのは、一つの感情でした。

悔しい。

見返したい。

負けたくない。

その気持ちが湧いた瞬間、昔の自分を思い出したのです。

昔の僕は、悔しさを感じる前に諦めていました。

「どうせ無理。」

そう思ってしまえば、傷つかずに済むからです。

でも今は違います。

悔しいと思えるのは、まだ諦めていない証拠。

負けたくないと思えるのは、前へ進みたいと思っている証拠。

だから今回は、過去の自分との違いを教えてくれた、その悔しさに、

『悔心(かいしん)』

という名前を付けました。

あの日の僕にはなかった感情が、今日の僕を少しだけ成長させてくれた気がします。

〜4410〜

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