黒牢城 本当の最後とそれぞれの選択
有言実行、家族で見てきました、黒牢城。
私は元々原作を気に入ってしっかり読み込んでかつ、史実も一通り調べたことがある派なので、
省略したエピソードで惜しむものも多かった。
また、歴史物慣れしてれば理解できるのか分からないけど、子どもたちへのフォローは必要でした。
想像以上に本格的な時代もので、
みんなおじさんだし名前も似てるしで、区別に苦労したらしい。
画面は暗めで顔がよく見えず、音楽はなくて虫の音や草ずれのリアルな音で作られた、その時代の息吹をかんじさせる基本静めの時代映画。
でも、面白かったらしいです。
もっと派手な心理戦になるかと思ったらそうでもなかったけど、
十分に楽しめてました。
本木さん演じる殿の八面六臂の活躍や ガチ強い武将っぷり。
なのに逡巡し右往左往するのが、面白みを支えていました。
反対に家臣一人一人は、別に有名俳優でなくても良い気はしましたが、
見覚えある顔でないと区別がますますつかなくなるから仕方ない。
演じてもらった子孫も喜ぶし。
私は、この基本静かな映画の中で
役者さん一人一人の話し方や、声の質の差をすごく感じました。
本木さんはクリアな発音ではないけれど、そこに感情がにじむ。
菅田さんは自然すぎて役の人本人。
青木さんはかげんが上手。
舘さまはきれいに話し過ぎだけど、聞きやすいから大事なポイントで助かる。
そして吉高さんのすごさ。
間とか声色が完璧すぎ、紅一点のこの重要な役は吉高さんしかいないと思わされました。
けっこう無茶なセリフも彼女が言うと、
そうなんだろうなあ、となる。
また、原作のテーマはもう少し複雑でしたが、
映画としては、
目的や望みを見失った目標は手放して
自由になってもいいんじゃないか?
を分かりやすく見せてくれてました。
かつて目指した目標に
人を縛り付け、自分も囚われて、破滅や不幸に突き進まなくてもいいんですよって。
世の中にはいまだにそんな拘束が溢れている。
しんどいことです。
映画では最後まで気持ちを寄せてくれた人たちがいて、
それでもそれぞれが自分の意思でちがった道を選び、殿はうなずく。
伝えたいことが伝わるいいラストだったと思います。
史実に基づく感動としては、
官兵衛の開城後のエピソードがないのが残念ですが、
いい映画を作るために、原作にこだわりすぎないのも大事なこと。
引くは地獄、ではなーい、ということだと思います。
