映画『2001年宇宙の旅』の原作は何か?
私は『2001年宇宙の旅』(1968年公開)が、20世紀最高のSF映画だと考えています。
21世紀の現在では、映像技術の面で本作を上回る作品は数多く存在します。
しかし、その内容やテーマ性において、本作を超える作品は未だ現れていないのではないかと私は思っています。
では、この映画に原作はあるのでしょうか?
アーサー・C・クラークによる小説『2001年宇宙の旅』がありますが、実は映画と小説はかなり内容が異なります。
例えば、モノリスの形態や、デスカバリー号の目的地などが違っています。
そのため、小説を単純に映画のノベライズと呼ぶこともできません。
映画第二章の月面でモノリスが発見される場面には、クラークが1948年にBBCのコンテストへ応募した短編『前哨(The Sentinel)』の影響が見られます。
この作品は、月面で宇宙人が残したピラミッド状の遺物を発見する物語です。
結末には触れませんが、その遺物は映画のモノリスとよく似た役割を果たします。
短編ながら非常によくまとまった、いかにもクラークらしい作品です。
この『前哨』を読んだスタンリー・キューブリックがクラークに接触し、二人で映画の脚本制作を進めることになりました。
その経緯を考えると、『2001年宇宙の旅』には明確な原作は存在せず、映画と小説が並行して作られた作品と考えるのが正しいように思います。
小説版『2001年宇宙の旅』は、脚本制作の過程でキューブリックと意見の違いを抱えたクラークが、自らの解釈や構想を反映させてまとめ上げた作品とも言えるでしょう。
ちなみに、『前哨』はBBCのコンテストでは落選作だったそうです。
