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義実家は一時間解散、忘年会は吉野家が良い。

著者 毎日人間 (言葉は頭を通過する前に出る)


「実家に行く日、いつなら大丈夫?」

夫が言って来たので、私はスケジュール帳を開いた。

「ごめんだけど、10年ぐらい予定入ってる」

「花火用意してるってさ」


まるで幼児を宥めるように夫が言った。

アパート住まいのため、花火が出来ず
「花火したい!!たまやーー!!」
と毎年、床に転がっている私には効果抜群だった。


義母が用意していたのは

『ロケット花火』だった。



勢い良く飛び立った花火は、あっというまに見えなくなった。


なんやこれ、一本目で飽きたんだが。



だからといって、大して面白くないテレビを観て、何か話さなくてはとあたふたするのは、
控え目に言って地獄である。


仕方がないので何の感情もなく、七本も飛ばした。


ロケット花火は義父が大切にしている畑に
ドラゴンボールみたいに散っていった。
七本集めても、願い事は叶わないが怒られるのが嫌なので我々は血相を変えて探し回った。


結局、ロケット花火は二本しか見当たらず、


暇潰しに森に入ろうと夫を誘った。


「嫌だよ、虫居るし」

「森ーーー!!救いの森ーーー!!」


成人だと思えない駄々のこねかただったので、
夫が溜め息を吐いて重い腰を上げた。


森はダムに続いていて、わりと直ぐに進めなくなった。


その癖、白いスニーカーやズボンが砂だらけになった。


ふざけんな、もう帰る!!


夫がホースでスニーカーを洗ってくれて、
とぼとぼリビングに戻った。

義父は全く同じ姿勢でテレビを観ていた。

「ロケット花火が畑に散乱し、行方不明になりました!!ごめんなさい!!」


「ははは、良いよ。楽しかったか?」


楽しいわけあるか



登場人物みんな良い人だが、暇で死にそうだ。



なんでお盆になったら、義実家に顔を出さなくてはならないのだ。


私はCOOLJAPANに物申したい。


お中元とかお歳暮とかも要らん。


どうしてもやりたいなら、LINEギフトで良い。



職場の新年会、忘年会、歓迎会、送別会も要らん。


親睦を深めるためらしいが、仲良い連中は苺狩りとかカラオケとか行ってるから余計な心配すんな。


どうしてもやりたいなら、全ての会はまとめて、吉野家で良い。


食ったら解散だ。


欲を言うなら、お昼休みに皆でワイワイ、
ケンタッキーフライドチキンを食べたり、
サーティワンアイスクリームを食べたりしたい。


どの味が良いか、じゃんけんで決めるのだ。


私はポッピングシャワーが良い。


この時ばかりは先輩とか上司とか知らん。

皆、平等に敵だ。


洗い物なんて出してたまるか、休憩室でDAISOの紙コップにコーラとか入れて、紙皿でやるのだ。


各々の飲み物は自分で勝手に注げ、甘えるんじゃない。


コーラは飲みきって在庫がない。


コーラ飲みたかったじゃない、伊右衛門で我慢しろ。

尚、費用は全て提案した者が負担する。



ごちそうさまです。スペシャルI love youだよ。



お盆もそうだ。


お墓参りして、ご飯食べたら解散にして欲しい。


家だと長居になるから食事はやっぱり吉野家で良い。


どうしても長居したいならカラオケか動物園にしてくれ。


タンバリン渡してもらえたら尚、良い。

盛り上げるのは任せろ。


ゴリラとライオンは見たい。

なにがなんでも見たい。




「今日はありがとう。また、来てね」


帰り道、義父母が笑顔でいつまでもいつまでも
手を振ってくれる。


夫の大切なお父さんとお母さん。


スペシャルI love youだよ。


来年は一時間で解散にして、マジで。








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