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翠のつぶやき④|宮中に吹く風、ヒメミコ「みめ」の物語

さて、伊勢のヒメミコの杜にも、いい感じの風が吹いてきたところで、天武とさららのいる飛鳥浄御原宮にもどってみましょう。

今日の主人公は、その飛鳥浄御原宮にやってきた一人の女の子のお話よ。

名前を県犬養三千代っていうの。彼女のパパは、壬申の乱で活躍したとかで、天武天皇から絶大な信頼をえてたらしいの。

天武天皇としては、自分の信頼の置ける部下の娘を、後宮に集め、血の継承のシステムを一刻も早く安定させたいという思惑があったみたいね。

さっき、後宮ていう唐風な言い方したけど、天武の意識としては、宮中にヒメミコの杜を作るっていうイメージだったかも知れないわ。 つまり、安心して、子供を育てられる環境を整えたいっていう思いね。

この時、三千代はまだ14歳だったはずよ。でも当時の感覚としては、もう大人の仲間入りっていう年齢かな。

でもね、さらら様の前に出ると、まだまだ子供…もう緊張しちゃって、自分の名前を言った時、声が裏返っちゃって…

それから、もう居直っちゃって、大きな声で、

「こんな田舎娘ですけど、元気だけが取り柄です。どうぞよろしくお願いいたします。」

っていったら、その場にいた人たちから、思いっきり笑われちゃった。

ただ、さらら様は、そんな私に、

「元気が何よりの宝です。しっかり励んでくださいね」

って、やさしく声をかけてくださったの。

それから、何かにつけ、さらら様は、私を側に置いてくださり、お話の相手をさせていただいたの。お話と言っても、たいした話じゃないの。それに、たいした話なんか鼻からできないしね。

話すことといったら、さらら様が私に質問なさって、それに私が、答えるっていう感じ…

生まれたところはどんなところ? 今、外ではどんな遊びが流行ってるの?

そんな時、さらら様が、おっしゃったの。

「お前と話をしていると、都の外を流れる風の匂いがする」って…

その日から、私の呼び名は「みめ」になったの。

そう、私は、この宮中に、オキナガの杜を作れと父に命じられやってきたヒメミコ…それが、オオアマ様とさらら様の望みだという…

私のやることは、田舎のおばば様から伝えられたヒメミコの杜のしきたりを、この宮中に根付かせること。

ただ、このことは、決して口に出すでないぞと、父から厳しく言われていたの。黙って粛々と己の役を果たしてこいとね。

というわけで、次の作品の主人公は「県犬養三千代」こと「みめ」ちゃんに決定です。ちょっと、時間がかかっちゃうかもしれないけど、乞うご期待です。よろしくね。

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