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小学4年生、自転車で国道の果てを見に行く



小学4年生の夏休み。

この通学路の大きな道はどこへ行くのだろう?

そんなアホな疑問を持った私は、一緒に行きたいという妹と自転車で行ってみることにした。

水筒に麦茶とおにぎりを持ち、妹と朝から冒険へ出発。

子供だけで校区外に出るのは当時の校則違反だったけれど、そんなのは気にしない。

だって、夏休みだもの!

ちなみに、その「大きな道」の正体は国道2号線。
アホな小学生姉妹にそんなことは分からない。

元気よく、ペダルをこいで走り出した。

通学路を過ぎ、少しずつ見慣れない風景に変わっていく。まだギリギリ校区内だ。

1時間ほど走るとくたびれてしまい、開店したてのスーパーへ駆け込んで涼む。

知らない街のスーパーに、当時の私たちはドキドキしていた。

再び走り出すと、お日様がジリジリと肌を焦がす。

信号で止まるたびに、水筒の麦茶をガブ飲みした。

「お姉ちゃん、もうお茶ないよ」

「私のを分けてあげる。どこかでジュース買おうね」

大きな交差点を渡ると、そこに郵便局があった。

私たちは知っていたのだ。
郵便局の裏側、局員さんが出入りする場所にある自販機は、ジュースが安く買えることを。

そこでジュースを一気に飲み干し、ウォータークーラーの冷たい水を水筒に補充する。
今思えばそれは郵便局の福利厚生だったのだろうけれど、
子供相手に細かいことは誰も気にしない。

元気を取り戻した私達は、順調に国道のはしに向かい走り出す。

しかし、この冒険は思わぬ形で終わりを迎える。

なぜか国道を進んでいたはずが、高速道路の入り口に入り込んでしまっていたのだ。

大慌てで料金所の職員さんが走ってきて、止められてしまった。

私たちのはた迷惑な大冒険は、家から8キロ離れた高速道路の料金所で「行き止まり」となった。

汗だくの不審者(子ども)を前に、料金所の職員さんは優しかった。

事務所の休憩室に招き入れてくれ、涼しい部屋でお昼ご飯まで食べさせてくれたのだ。

テレビで甲子園の中継を観たのを、今でもよく覚えている。

帰り際、「帰り道に飲みなさい」と水筒に麦茶をたっぷり入れてくれた。

そして、職員さんのおばちゃんに「もう家にまっすぐ帰ること」を固く約束させられ、危ないからと裏口から国道まで自転車ごと誘導してもらった。

今振り返ると、ツッコミどころ満載の危なっかしい事件である。

あれから幾年月

私はこの一件以来、物理的な「どこまで行けるか冒険」はしてない。
その代わり、妹は自転車で川を遡って山道で遭難しかけたりと、アレコレとやらかしてくれるようになったのだが……

それは別の話。

妹に「あの夏の冒険を覚えている?」と聞いてみた。

すると、自転車で一緒に冒険した記憶はあるらしい。
しかし、妹の評価は散々だった。

「姉ちゃんはトロトロ走るし、高速道路のおばちゃんと勝手に約束して家に帰るなんて言うし、当時から冒険者には向かん女やね」

今や妹は、好き勝手に生きる現代の「冒険者もどき」だ。

対する私は、冒険は頭の中の妄想だけで満足できる立派な小市民になった。

自転車では高速道路に入れないことを身をもって知った、小学4年生の夏。

それが私の、リアルな物理的冒険の終わりだった。

……やっぱり、クーラーの効いた部屋で楽しむ妄想の冒険旅が、一番快適だ。

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