伊勢神宮に参拝してから夕暮れの伊勢をチャリで巡った話
神宮。一般には伊勢神宮と呼ばれ、古来より日本の総氏神とされる最高位の神社である。江戸時代には「一生に一度はお伊勢参り」と言われ、庶民がこぞって目指した憧れの地でもあった。
そんな伊勢神宮へ参拝してみたのが今回のお話。
前回は豊橋鉄道の市内線と郊外線をそれぞれ乗りつぶし、伊勢湾フェリーで鳥羽へワープ、鳥羽駅に到着したところまでを扱った。
今回はその続きで、鳥羽駅から伊勢市駅へ向かうところからスタート。

鳥羽駅は JR と近鉄の共同駅で、規模としてはそれなりに大きい……のだが、あまりにも人の気配がなさすぎる。こちらの食堂も一瞬「これはもう営業していないのでは?」と思ったほどだが、調べてみると普通に営業しているらしい。完全に風評被害である。

前回通り過ぎた鳥羽水族館の方は観光客で賑わっている一方で、駅舎は静まり返っている。賑わいと静寂のコントラストがあまりにも極端で、なんとも不思議な空気感だった。

そんなわけで無人改札を抜けてホームへ。IC には対応していないので注意が必要だ。

静寂に包まれたホームにエンジン音を響かせているのは、快速みえ名古屋行き。こちらに乗車する。

クロスシートに腰を掛けて発車を待っていると、隣の近鉄ホームを特急が颯爽と出入りしていくのが見える。

単線非電化で IC も使えない JR に対して近鉄は特急も鈍行もガンガン走らせており、力量差がひしひしと感じられる。

それにしても、JR が私鉄にここまでボコボコにされているのは首都圏ではなかなか見られない光景である。

……いやまじで JR 東海、大丈夫か?
伊勢市へ
で、発車時刻が近づくとさすがにぽつぽつと乗客が集まり、自由席の窓側は半分ほど埋まった状態で鳥羽駅を出発した。しばらく近鉄と並走するが、やがて別れを告げて参宮線は海岸寄りを走っていく。

……といっても、すぐに伊勢市にて再び合流する。こんな具合で JR と近鉄の競合は名古屋まで続いている。

伊勢市駅は伊勢神宮外宮の最寄り駅。今回は駅近くの宿を予約したため、まずはチェックインして荷物を放り込み、身軽になってからチャリを確保。

駅から続く参道はこんな感じ。まさしく観光地といった感じの雰囲気だ。

そんなわけで外宮の入口に到着。徒歩でも10分かからない距離だが、チャリならさらに一瞬である。

外宮を参拝
記念撮影をしている高齢者ツアー客を横目に境内へ入っていく。入口のすぐ横手には大きな池と奉納舞台。上から見ると勾玉の形をしているため勾玉池と呼ばれているらしい。

ちなみに何の解説もなくぬるっと始まってしまったが、伊勢神宮には外宮と内宮が存在し、参拝の順序としては外宮から先に行くのが良いらしい。なお、外宮と内宮どちらか片方だけに行くのは片参りと呼ばれ縁起の悪いこととされている。なるべく両方へ参拝するべきだ。

外宮に祀られているのは豊受大御神。天照大御神の食事を司る神とされ、衣食住すべてを支える生活の守り神的な存在である。つまり、我々の生活基盤を支えてくれているかなり重要なポジションの神様だ。

で、さっそく正宮へ……と思ったのだが、団体客とタイミングが被ったのかやや混雑していたため、先に別宮へ迂回することにした。外宮境内には3つの別宮が存在する。

伊勢神宮はこのような別宮や摂社・末社・所管社など合わせて 125 社からなるようだ。なお、意外と高低差もあったので足元には注意されたし。

人は多いものの全体としては落ち着いた空気が流れており、いかにも神域といった雰囲気で心地よい。

そして池。

そんなこんなで正宮へ。残念ながら正殿まで立ち入ることはできず、外の門からこっそりと参拝するに留まる。内部の撮影も禁止だ。

ところで伊勢神宮の特徴として有名なのが式年遷宮。20 年ごとに社殿を建て替え神様を移すという行事である。正宮のすぐ隣には次の遷宮に備えた同じ広さの更地が用意されており、「ここに次が建つのか……」と一目で分かる。この視覚的なスケール感がなかなか面白い。

……といったところで外宮の参拝は終了。滞在時間は約 30 分。やや駆け足ではあるが、ひと通りは見て回れた。

で、続いて内宮へと向かう。外宮と内宮は 4km ほど離れているが、バスが高頻度に運行されており 20 分程度で移動することができる。
チャリで内宮へ
チャリの場合もバスと同じくらいの時間で移動可能だ。

なにやら観光地化されていそうな通りに突っ込んでいく。

伊勢参りで賑わった門前町を再現したエリア、おかげ横丁である。The 観光地 という感じで人だらけ。

中でも有名なのが赤福本店で、大変な賑わいを見せていた。

そして江戸の街並みに完全に溶け込んでいるスタバ。もはや違和感が仕事を放棄している。

そんなこんなで人で溢れるおかげ横丁をチャリでゆっくりと通り抜け、若干の場違い感を抱えながら内宮入口に到着。
内宮を参拝
入口至近の駐輪場にチャリを置き、いよいよ内宮へ突入する。

入口に架かる立派な橋は宇治橋。これも式年遷宮の対象で毎回架け替えられているらしい。

ちなみに外宮では一般的な神社と同じく左側通行だったが、内宮では右側通行となっている。

参道は外宮よりも直線的で広く、スケール感が一段階上がった印象。鳥居も明らかにデカく「ここが本丸か」と思わせる風格がある。

しばらく歩くと、先ほど渡った五十鈴川のほとりに出る。穏やかに流れる水音が心地よく、思わず立ち止まってしまう。

内宮に祀られているのは天照大御神。言うまでもなく神道の最高神であり、日本という国そのものの中心とも言える存在である。

というわけで正宮へ。先ほどと同じく、正殿までは立ち入れず外側の門から参拝することになる。

参拝後は境内をうろうろ。

内宮にもいくつか別宮があり、それぞれに人が集まっている。

そしてやはり池。

さらにこちらの池にはやたらと大きい鯉がいた。

いや、まじででかいな。

……といった感じで参拝を終えて戻ってきた。

所要時間は約 40 分だったが、けっこう早足で周ってしまったのでもっと落ち着いて巡っても良かったかもしれないなあ。

チャリで街巡り
というわけでここからは再びチャリに乗って走り出す。

夕焼けの時間帯になってくるとおかげ横丁も部分的に静かな場所ができて、趣深い光景だ。

五十鈴川沿いの光景。なかなか美しいではないか。

で、ここからは伊勢市街の方へと走っていったのだが、正直なところ典型的な地方都市という感じであまり面白いものはなく、特に写真も撮らずに走り続けた。
そして都市部を通り抜けて田舎景色に変わったところで、日没を迎える。目の前に広がる水田と、細い道に沿って続いていく電線、そして淡いグラデーションを描く伊勢の夕焼け空が大変美しい。

あ~、この橋から日没を迎えられたら 100 点満点だったのだが……まあ、この状態でも十分美しいから良いか。

さらにそのまま走り続け、海岸に到着。

昼間に見た青空とは対照的に、日没後の空は淡い色の層を重ねていてこちらも大変趣深い。

西の方へ視線を向けると、山の向こうに沈んだ太陽の光が空をオレンジ色に染めている。

あれは鈴鹿山脈だろうか。海を挟んだ対岸にしっかりとした山のシルエットが続いている様子が印象に残った。

ふと空を見上げると、月もかなり高い位置まで昇っている。昼と夜が静かに入れ替わっていく時間帯である。

……といった感じで、伊勢の夕暮れを楽しんでから帰路に着いた。

……とその前に、空が完全に暗くなる前に水田に囲まれた細い道を爆走してみる。なんかこういう道をチャリで走るの、エモいよね。

中心部へ戻る頃にはすっかり夜になっていた。伊勢神宮は夕方頃に閉まってしまうということもあり、昼間に見かけた観光客は全くおらず街全体がすっと静けさを取り戻していた。観光客は鳥羽や志摩の方に宿泊するのが一般的なのだろうか。

おわりに
……といった感じで、伊勢神宮の観光とチャリでの散策を楽しんだ話だった。伊勢神宮は超ド定番観光スポットゆえに捻くれ者バックパッカーの私としてはやや近寄りがたい場所ではあったが、やはりその美しさやスケールの大きさは別格だった。観光客も多かったが神社という性質上あまり人まみれにはならず、満足度は非常に高かった。
そして、チャリでふらっと田舎の方へ爆走した先で出会った夕焼けの風景。これが今回の旅をぐっと印象深いものにしてくれた気がする。
……といったところで今回はここまで。
