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【前編】東京から京都まで雨の中チャリで引っ越した話

サイクリングを趣味にしていると、たまに耳にするのが「ロングライド」という概念である。1日で 200km 以上を走破する猛者たち、数日かけて日本縦断を目指す旅人たち。彼らの存在は尊敬に値する一方、エンジョイ勢である私には少々縁遠い世界だ。私の走行距離は長くても1日 100km 台で、200km を越えるような旅程にチャレンジしたことはないし、何日にもわたって走ったこともない。

そんな中、とある事情で実家のある東京を離れしばらく京都に滞在することとなった。荷物はすでに輸送済みなので、自分の体だけが移動すればよいという状況だ。この事実を、脳が「それって……チャリで移動するチャンスでは?」と変換したのがすべての始まりだった。

そうだ 京都、行こう。(チャリで)

東京〜大阪間などをチャリで走った旅行記はネットにいくらでもある。だが、「引っ越した」という文脈で走った話は全く見ない。これはネタになるのでは? という半分興味、半分酔狂な理由で私は決意した。

「そうだ、京都までチャリで行こう」と。

当日

というわけで当日、東京西部の自宅から出発だ。装備はクロスバイクと最低限の工具、パンク修理キット、輪行袋、モバイルバッテリー、そして「最悪輪行すればいいでしょ」という圧倒的逃げ腰。しかも今回は「引っ越し」なので、スタート地点もゴール地点も「自宅」。ある意味で最も快適な長距離移動であるはず……だった。

が、雨。ポツリポツリと……という優しいレベルではなく、普通にしとしと降っている感じ

まあ数日前から天気予報でうっすら感づいていたし防水対策は万全ではあるものの、やはり雨の中チャリで走るというのはとてもキツイ。というわけでずぶ濡れになりながら多摩川をわたる橋の1つ、是政橋に到着。

本来ならばそのまま南下して多摩丘陵を越え、神奈川県へと突入する予定だった。……が、初っ端から雨に濡れてモチベがしわしわになってしまった私はここで橋を渡らず、多摩川サイクリングロードをなんと京都と逆方向の都心方面へ走ることに

いつもはサイクリストやジョガーだらけの多摩川サイクリングロードだが、さすがに雨の中走っている修行僧はほとんどいなく、人がいないという意味では快適なライドだ。前輪が巻き上げた水しぶきを顔に浴びつつ多摩川を下っていく。

あっさり輪行

そしてたどり着いたのが登戸。「駐輪禁止」とでかでかと書かれた柱にびしょ濡れのチャリを置き、袋に詰めていく。

久しぶりの輪行だったが短時間でサクッと完了。

というわけで「雨の中チャリで引っ越した話」というタイトルにさっそく偽りがあることが判明しつつ、小田急線に乗車。

急行の唐木田行きを見送り、小田原行きに乗り込んだ。

前面展望を楽しみつつ、新松田で下車。

ここは以前、伊豆箱根鉄道を乗り潰すために特急ふじさんで訪れて以来の訪問だ。

雨も弱まっていたので輪行解除し、国道 246 号へと向かう。

ところで、この辺りの 246 号は自転車が通れない区間がやたら多いので注意が必要だ。というわけで並走する県道や裏道を縫うように進んでいき、県境が近づくと景色は一気に山道へと変わる。

霧が出ているなど秘境感も漂うが、御殿場線が並走しているため万が一完全にリタイアとなっても輪行できるという安心感がある。

そして遠景には山を突き抜ける巨大な高架橋が建設中。

で、ついに静岡県に突入。チャリで静岡県に侵入したのはおそらく初めて

(写真を撮る余裕がなかったので Google ストリートビューからキャプチャ)

ちなみに一番傾斜がきつかったのは、意外にも市街化されている駿河小山駅あたりの県道 394 号線。後で調べたらチャリに優しそうな迂回ルートがあったので、これは普通にルート取りをミスった感じだ。

……といった感じで坂を登りきり、御殿場に到着。

良い感じの写真を撮りたかったが、坂を登った疲れもあってマジで微妙な写真しか残っていなかった

で、ここからは下り坂開始だ。風を切り裂きながら 246 号をずっと南下していく。これは気持ち良い!雨が止んだわけではないが、勢いとテンションだけで乾いていく気がする。

ちなみに、このあたりは The 田舎の幹線道路という感じであまり景色は面白くない。逆方向で走る場合は山道を登るのに比べて坂の傾斜は楽かもしれないが、この微妙な景色が延々と続くので気持ち的に辛いかも

道中、ふとお寿司が食べたくなったので昼食を摂取

路面の水たまりを避けつつ、スピードをどんどん上げていく。

で、下り坂が終わったあたりで進路を再び西へ変え、国道1号と並走する狭い県道を爆走する。タイトルからするとまるで「東海道を走る旅行記」っぽいが、この日国道1号を走行したのはわずか 50m 程度だ。王道ルートを見事に回避している感は否めない。

こんな感じの狭い道

道中、ふと県道を抜けて新しそうな広い道へ。周囲はだだっぴろい畑で交通量も少なく、しかも直線の1本道で走りやすいというなかなかありがたい道だった。でも富士山は厚い雲に覆い隠されていた

晴れていれば見える

で、このあたりで東海道新幹線の方へ移動し……

奥へ見える駅舎へ。

静岡のローカル線「岳南電車」の終着駅、岳南江尾駅だ。

岳南鉄道を乗り潰す

岳南電車の岳南鉄道線は JR 東海道線の吉原駅から岳南江尾駅までの  9.2km を結ぶ単線路線で、工業地帯という沿線の特徴を活かした工場夜景などで有名なローカル線だ。

それにしても、工場の駐車場みたいなところに終着駅があるのちょっと面白いな。

駅舎はとてもシンプル

まさしく田舎の終着駅という感じだ。

というわけで次の便を待ちつつサクッと輪行。

岳南鉄道線は終点がどこの路線にも繋がらない盲腸線である。私は「来た道を戻りたくない原理主義者」なので、乗りつぶすなら起終点を往復しなければならず苦労する路線だ。

というわけでチャリで移動できるこの機会を活用して、岳南鉄道線を折り返さずに全線完乗してしまおうという企みである。

折り返し吉原行きの列車が到着。

岳南電車の使用車両は元京王の 3000 系と 5000 系。

車端部でゆったりと車窓を楽しむ。前述の通り工業地帯を走るため貨物輸送用の機関車もいるようだ……が、現在は貨物輸送は廃止されているらしい。

ふと後ろを見ると巨大な工場の煙突。工場好きにはたまらない景色だろう。私もけっこうテンション上がっていた。

で、起点の吉原駅に到着。

JR へスムーズに乗り換えできるような構造になっていそうだったが、私は一旦岳南電車の駅を出る。

とほとほチャリを運びながら JR の改札へ。絶妙に距離があって辛かった。

わざわざこの距離を歩いた理由は、学割乗車券を購入するため。これで一気に浜松までワープする!

「え……チャリ使わないのかよ!」というツッコミが聞こえてきそうだが、1度輪行しちゃうと解除するのが面倒だから仕方なし。加えてこの日は浜松に宿を取っていたので、時間的にもワープしないとキツイ状況だった。

ちなみに移動距離的にはチャリよりも電車で移動した距離の方が倍以上多いという……。なんというタイトル詐欺。

浜松に到着

というわけであっという間に浜松に到着。輪行解除し、宿へと向かう。

宿の駐輪場にチャリを放り込んでチェックインし、とほとほ向かったのは遠州鉄道新浜松駅

遠州鉄道は浜松駅至近の新浜松駅から北上し、西鹿島までの約18kmを結ぶローカル線だ。西鹿島では同じく浜松のローカル鉄道である天竜浜名湖鉄道と接続する。

 IC カードは独自規格となっており、Suica などの交通系 IC カードは利用できないので注意が必要だ。ただ、現在はクレカタッチでの乗車が可能になっているとのこと。

というわけで私は紙の切符を購入。

遠州鉄道と言えば赤い列車が特徴的だが……

この時やってきのは緑色の列車。ピントが合わずブレブレである。

前面展望開始!

遠州鉄道は全線単線ながらもほぼ全ての駅に交換設備が設けられており、日中は 12 分間隔という高頻度運行を実現している、なかなか面白い地方私鉄である。

全体的にラッピング車両が多く、むしろ赤い列車を目にする方が稀という状況だ。

エヴァのラッピング車を目撃。

で、終点の西鹿島駅に到着。全線完乗を達成した。

周囲をぶらぶら散策したいところだったが、さすがに時間的に厳しかったため駅をちょこっと見るだけで終了。

車庫も併設されており、終着駅らしい雰囲気だ。

というわけで全く同じ列車に乗車。前述の通り私は「来た道を戻りたくない原理主義者」なので苦しい旅程だが、まあ今回は仕方なし。

車内はこんな感じ。

折り返し便では新浜松までは行かず、手前の遠州病院にて下車した。ちょっとだけ運賃を節約。

浜松に戻ってから少しだけぶらぶらして、この日は終了。

ちなみに翌日の天気予報もガッツリ雨。「いやいや、これだけ降ったんだから明日は晴れるんじゃない?」という希望的観測で眠りにつく……。

翌日

そして翌日……めちゃくちゃ雨降っているなあ。現実は非情である。

まだ京都までの道のりは半分程度。私のサイクリングはいったいどうなってしまうのだろうか。

……というわけで次回へ続く!

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