「人生、遠回りしちゃダメ。」って、ほんとにそう?
自分の選んだ道が正解か不安なあなたへ
「最短で成功する方法。」
「タイパが大事。」
「効率よく学ぼう。」
最近は、そんな言葉を毎日のように見かけます。
AIに聞けば答えはすぐに返ってくるし、本を読めば知識も手に入る。
だから、人生も遠回りしないほうがいい。
失敗は少ないほうがいい。
そんな空気を感じることがあります。
でも……
ほんとにそうでしょうか。
勉強が嫌いだったわたし
私は、勉強が得意な子ではありませんでした。
テストでは0点を取ることもありました。
高校も大学も自己推薦で進学し、受験勉強をしたこともありません。
そんな私が最初に就職したのは、老舗のITコンサル会社でした。
SPIの対策なんて一度もしていません。
大学の事務員さんから、
「就職セミナーにまったく来ないじゃない!」
と追いかけられたこともあります。
そんな私が福岡で採用面接を受けられる会社を見つけ、何となく応募してみました。
当時は就職氷河期。
何十社も受けても内定が出ない人が珍しくない時代でした。
でも、私がチャレンジした会社は、そのITコンサル会社ただ一社だけ。
面接が終わったあと、営業の面接を担当してくださったリーダーへ、お礼状を書きました。
そのこともあってか、ご縁をいただき採用していただくことになりました。
後からそのリーダーに、こんなことをこっそり教えてもらいました。
「テストは最下位だったけど、なんか面白そうだったから採用したんだよ。」
今でも忘れられない言葉です。
「SEは仕事が終わるまで帰れなさそうだから、営業の方がラクかも。」
「朝も9時出社ならゆっくり行けそう。」
そんな、本当に浅はかな理由で選んだ仕事でした。
ところが入社すると、同期は慶應や早稲田、外語大など、有名大学出身者ばかり。
その光景を見たとき、人生で初めて思いました。
「勉強しよう。」
就職して初めて勉強しはじめたわたし
それまで、本なんてほとんど読んだことがありませんでした。
実は、一冊さえ最後まで読み終えたことがないくらい、本が苦手だったんです。
でも就職したその日から、
「やばい……。」
そんな気持ちが湧いてきて、私は週に5冊以上、本を読むようになりました。
心理学。
営業。
脳神経科学。
コミュニケーション。
読んでは営業先で試す。
うまくいかなかったら、また考える。
また本を読む。
また試す。
そんな毎日でした。
当時は、
「もっと早くできるようになりたい。」
「もっと効率よく成果を出したい。」
そう思っていました。
でも今振り返ると……
私を成長させてくれたのは、本ではありませんでした。
本がくれたもの
本は知識をくれました。
でも、知識だけでは人は変われません。
実際にやってみて、
失敗して、
落ち込んで、
「なんでうまくいかなかったんだろう。」
そうやって考え続けた時間が、少しずつ私の中で腑に落ちていったのです。
その積み重ねが、やがて営業という仕事を大きく変えてくれました。
気づけば私は同期の誰よりも早く成果を出せるようになり、最後には月5,000万円の売上を任せてもらえる営業になっていました。
学生時代、テストで0点を取っていた私が、です。
でも、私にとって本当に価値があったのは、その数字ではありませんでした。
人は知識ではなく、経験によって変わる。
そのことを、自分の人生で知ることができたことでした。
成功するための知識
あの頃の私は、
成功するためには知識が必要だと思っていました。
でも今なら違うとわかります。
本当に必要だったのは、
知識ではなく、自分と向き合う時間でした。
知識は誰かから教えてもらえます。
AIも、本も、たくさんの答えを教えてくれます。
でも、
知識は、人から教えてもらえる。
でも、腑に落ちることだけは、自分でしか体験できません。
苦しさの先に
このことは、仕事だけではありませんでした。
人生も同じでした。
苦しい出来事があるたびに、
「なんで私はこんなに苦しいんだろう。」
「なんで、この言葉だけ引っかかるんだろう。」
「なんで私は怒ったんだろう。」
そうやって、一つひとつ自分の心と対話するようになりました。
最初は答えなんて出ません。
何度も同じところでつまずきます。
それでも、
何度も問い続けました。
「なんで?」
「私は何を怖がっている?」
「本当にそう?」
その問いを、
何年も、
何十年も繰り返してきました。
すると少しずつ、
見えてくるものがありました。
心と向き合う
自分の感情を俯瞰できるようになると、不思議なことが起こります。
相手の感情も、少しずつ違って見えてくるのです。
怒っている人を見ても、
「怖い人だ。」
ではなく、
「この人は、どんな経験をしてきたんだろう。」
そんなふうに考えられる瞬間が増えていきました。
もちろん、それが正しいとは限りません。
でも、
感情の奥には、その人なりの理由があるかもしれない。
そう思えるようになったのです。
それは、本を読んだからではありません。
自分自身の心と、何度も向き合ってきたからでした。
腑に落ちることの大切さ
知識は、すぐに手に入ります。
AIも、本も、たくさんの答えを教えてくれます。
でも、
腑に落ちることは、誰かからもらえるものではありません。
自分の違和感と向き合い、
自分の人生を見つめ、
何度も問い続けた先で、
ようやく自分だけの答えになる。
それは、一日ではできません。
一週間でもできません。
自分の人生を歩きながら続いていく、長い旅です。
必要ないことなんて一つもない
だから私は思うのです。
遠回りだったと思っていた時間も、
失敗ばかりだった時間も、
悩み続けた時間も、
全部、必要な時間だった。
人生には近道はあります。
でも、
飛ばしてはいけない時間もあります。
その時間があるから、
人は自分を理解し、
人を理解できるようになる。
知識は近道を教えてくれる。
でも、
人生を腑に落とすのは、自分で歩いた道だけ。
だから私は、
答えを増やすのではなく、
「ほんとにそう?」という問いを届け続けたい。
だからもう一度、問いかけたいのです。
「人生、遠回りしちゃダメ。」
……ほんとにそう?
🌿「ほんとにそう?」シリーズについて
このシリーズは、「当たり前」と思っていた思い込みに、小さな問いを投げかける物語です。
答えを教えるためではなく、自分の中にある答えに出会うきっかけになれたら嬉しいです。
もし心に残った一節があれば、コメントで教えてください。
あなたの「ほんとにそう?」も、ぜひ聞かせてください。
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