🌈 「1袋400円のポテチ」がなぜ970万袋も売れた?湖池屋・V字回復の4つの理由
「値下げしないと、うちの商品は売れない」
そんな空気に、うんざりしていませんか?
そう思ったあなた。その前提を、真正面からひっくり返した会社が日本にあります。
日本で初めてポテトチップスの量産化に成功した老舗、湖池屋です。
実は湖池屋、一時は業界首位のカルビーとの安売り競争に巻き込まれました。結果、2期連続の赤字に沈みます。
ところが現在は、プレミアム路線で見事なV字回復。ROE約13%という高い収益性を誇る企業に生まれ変わりました。
一体、社内で何が起きたのか…?
この記事では、湖池屋が価格競争から降りて勝った「4つの理由」を、順を追って解説します。
🥔 結論:湖池屋は「戦う土俵」から降りただけだった
結論から言います。湖池屋がやったのは、新しい必殺技を覚えることではありません。
戦う土俵そのものを、自分から降りたのです。
例えるなら、こういうことです。
マラソンで、ずっと前の選手の背中だけを追っていた人がいます。
その人がある日、ふと立ち止まりました。そして「自分は本当は、どこへ向かいたかったのか」を思い出したんです。
湖池屋がやったのは、まさにこれでした。
カルビーとの価格勝負を続ける限り、勝てるのは体力のある方だけ。安さで殴り合えば、利益はどんどん削れていきます。
ではどこを見るのか?
答えは「自社のルーツ」と「お客様」でした。
あなたは今、誰の背中を追いかけていますか? この一点の転換から、湖池屋のすべてが変わり始めます。
🔥 「ライバルを見るな」…新社長が最初に放った一言
湖池屋の反撃が始まったのは、2016年でした。
元キリンビバレッジ社長の佐藤章氏が、社長に就任します。数々の大ヒット商品を生み出してきた、伝説のマーケターです。
その佐藤社長が、社内に向けて最初に放ったメッセージ。それが「ライバルを見ない」でした。
意外ではありませんか?
普通、業績が苦しい会社ほど競合を細かく分析します。「あちらが100円なら、うちは98円で」と。
でも佐藤社長は、それをやめろと言ったんです。
向けるべき目は、競合ではない。「自社のルーツ」と「お客様」だと定義し直しました。
そこで立ち返ったのが、創業者の信念です。「業界で最高のものをつくる」——この一言でした。
安さで勝つ会社ではなく、最高のものをつくる会社。それが湖池屋の原点だった。
この「原点回帰」こそが、新生・湖池屋のすべての起点になります。
あなたの会社の創業者は、何を言い残していますか? 案外、探していた答えはそこにあるのかもしれません。
🍽️ ポテチは「スナック」じゃない。「料理」だ
リブランディングの象徴として生まれたのが、「湖池屋プライドポテト」です。
この商品、発売初年度でいきなり40億円を売り上げました。
スナック市場でヒットと呼ばれる目安は、年間20億円。つまりいきなり目安の2倍です。
しかも当時はデフレの真っ只中。価格は1袋150円前後という、かなりの強気設定でした。
なぜ、高いのに飛ぶように売れたのか?
理由はシンプルです。ポテトチップスの「定義」そのものを変えたから。
「スナック菓子」から「ひとつの料理」へ。商品の立ち位置を、丸ごと引っ越しさせたんです。
例えるなら、コンビニのコーヒーが「作業のお供」から「一杯のブレンド」に変わった瞬間に似ています。中身より先に、意味が変わる。
もちろん、中身も本気でした。国産じゃがいも100%。皮のむき方、揚げ方、油の質まで徹底的に見直しています。
ネーミングも巧みでした。「神のり塩」「ぞっこん岩塩」。「神」と付けることで、別次元のクオリティを宣言したのです。
パッケージは、業界の常識と真逆でした。競合が派手な暖色で目立とうとする中、白基調のスタイリッシュな自立容器を採用。
うるさい棚の中で、静かな自信がかえって目を引いた。
味づくりも「万人受け」は狙っていません。辛さが苦手な人は離れるかもしれない。でもハマった人は、熱狂的に愛してくれる。
この間口の狭さと奥行きの深さが、長く買い続けてくれるファンを生みました。
📦 1袋400円でも爆売れ!「揚げたて直送便」の衝撃
プレミアム路線の極めつけが、オンライン通販限定の「揚げたて直送便」です。
工場で揚げたてのポテトチップスを、3日以内に自宅へ届ける。完全受注生産のサービスです。
気になるのは、やっぱり値段ですよね。
1箱6袋入りで、1袋あたり送料込み約400円。スーパーなら100円台で買える商品です。
「さすがに高すぎるのでは?」
そう思ったあなた。結果はまったくの逆でした。
累計970万袋超の大ヒット。会員数は100万人を超える勢いです。
なぜ4倍近い値段でも売れたのか? 理由は大きく2つあります。
1つは「プチ贅沢」需要です。節約疲れした消費者にとって、数百円の自分へのご褒美はちょうどいいサイズでした。
もう1つはギフト需要。スーパーには置いていない、という希少性があります。
しかも数百円なら、相手に気負わせません。ちょっとしたおすそ分けとしても渡しやすい価格帯です。
例えるなら、旅先でしか買えないお菓子。同じ材料でも、手に入りにくさそのものが価値になるんです。
さらに、この仕組みには社会的な意味もあります。
湖池屋のアイデンティティは「国産じゃがいも」。それを守るため、全国の農家と連携して高付加価値商品をつくっています。
生産者の利益とやりがいを守る。売り手も作り手も一緒に豊かになる設計になっているんです。
🏢 戦略を動かした本当の主役は「人事制度」だった
ここまで読んで、こう感じた方もいるはずです。
「結局、優秀な社長が来ただけでしょ?」
いいえ、違います。
実は湖池屋、社内の仕組みそのものを同時に作り替えていました。
当時の社内には、指示待ちの社員が多かったといいます。どんなに良い戦略も、動かす人がいなければ絵に描いた餅です。
そこで佐藤社長は、人事制度の改革に踏み込みます。狙いは「周囲を巻き込んで挑戦し、イノベーションを起こせる人材」が活躍できる会社にすること。
具体策は、大きく3つでした。
1つ目は「チャレンジ目標」の導入。毎年の評価に、通常業務とは別の新規の取り組みを組み込みました。
新しい課題解決の手法を生み出す姿勢そのものを、高く評価する仕組みです。
2つ目は年功序列の廃止。年功要素をなくした、役割基準の人事制度に変えました。
実力があれば、20代後半で次長クラスへの抜擢もある。挑戦者がきちんと報われる設計です。
3つ目は越境学習。入社後10年以内に、3部署以上を経験させます。
多角的な視野を持ち、部署の壁を越えて動ける人材を意図的に育てているんです。
結果、何が起きたか?
若手のモチベーションが上がっただけではありません。それに触発されたベテラン社員も、マインドセットを変えて再び動き出しました。
例えるなら、止まっていた歯車に1つだけ回転を与えたようなもの。噛み合った隣の歯車が、次々に回り始めたのです。
ここで、4つの理由を並べてみましょう。
①ライバルを見ない ②商品の定義を変える ③希少性で価値をつくる ④挑戦を評価する。
この4つが噛み合ったからこそ、湖池屋は復活できたんです。
✅ さあ、自社の「原点」を掘り起こそう
湖池屋の復活劇から、私たちが明日から使えるヒントを整理します。
競合の土俵(価格競争)から降り、自社の「原点」と「誇り」を再定義する
商品の「定義」を変えれば、新しい価値と価格が生まれる
万人受けを狙うより、熱狂的なファンを1人つくる
生産者やパートナーも一緒に豊かになる仕組みにする
挑戦を評価する人事に変え、戦略が動く土壌をつくる
安売り競争に疲れたと感じたときは、この言葉を思い出してください。
「ライバルを見るな、原点を掘れ」。
あなたの会社の原点にも、まだ語られていない「誇り」がきっと眠っているはずです。
まずは自社の創業ストーリーを調べ直すところから、始めてみませんか?
この記事が面白かったら、ぜひ「スキ」とコメントで教えてください! あなたの会社の「原点」も聞いてみたいです📣

