人事担当者の日々のつぶやき #15
まだ本人に伝えてないんですけどね
人事をしていると、ときどき不思議なことが起きる。
まだ正式発表していない。
本人にも、まだ伝えていない。
なのに、
「○○さん、異動するんですよね?」
と聞かれる。
……どこで知ったんですか。
人事としては、そっちが気になる。
異動や昇格の話は、かなり慎重に扱っている。
伝える順番もある。
本人への説明もある。
現部署、新部署との調整もある。
だから人事は、
「まだ言わないでくださいね」
を何度も確認する。
そして数日後。
なぜか知っている人が増えている。
社内の情報伝達速度、こういうときだけ異様に速い。
「私は聞いてないですよ」
と言いながら、ものすごく詳しい人までいる。
もちろん、全部が誰かの悪意というわけではない。
上司同士の会話から何となく分かったり。
スケジュールを見て気づいたり。
「あれ、最近引き継ぎ多くない?」
みたいなところから察する人もいる。
職場の人は、意外とよく見ている。
ただ、一番避けたいのは、本人が人づてに知ること。
「異動するって聞いたんですけど」
と本人から人事に確認が来たときは、かなり気まずい。
本来なら会社からきちんと伝えるはずだった話を、廊下の雑談に先を越されている。
これは申し訳ない。
人事の仕事では、
「何を伝えるか」
だけではなく、
「誰に、いつ、どの順番で伝えるか」
も結構大事だったりする。
内容が同じでも、伝わり方で受け止め方は変わる。
なので異動の時期になると、人事は少しだけ口数が減る。
聞かれても、
「まだ何も言えないんです」
が増える。
別に秘密主義になりたいわけではない。
ただ、本人より先に周りが知っている、あの微妙な空気だけは、できれば避けたい。
そして毎回思う。
社内の噂話にも、閲覧権限を設定できたらいいのに。
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