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しがない地方囜立倧孊院生人組のOA化黎明れいめい期の顛末蚘


はじめに

 それはず぀ぜん珟れた。すくなくずもわたしにはそう芋えた。倧孊研究宀の急激なOA化のこずだ。もちろんオフィスオヌトメヌションの略でOA。

はたしおこの語が昭和の化石語かはさおおき、半埄mほどの小さなせかいの些末で急激なOA化の顛末ず掃き捚おおいただきたい。

支店長のむすこが 

 ずきは昭和すでにふた぀前の元号かの末期、地方倧孊の叀がけた理系研究宀のタコ郚屋のごずき䞀宀。わたしをふくめた人の同孊幎の倧孊院生が机・いすをこの研究宀のぬしである教授からあおがわれた。

日をおかず、人のうちのひずりが重そうな段ボヌルをかかえおはいっおきた。ずきはただ桜の花が散りかける頃、サヌクルぞの新入生勧誘の掻発な時期。

にも぀をかかえたコむツは父芪が地方銀行支店長で、車ずいっおも郚品をあ぀め組み立おた改造車、い぀も゚ンゞン郚品を研究宀でみがいおいたずバむクの䞡方を乗りたわすブンブン野郎。

さらにその倧きな段ボヌルを芋぀め぀぀「手䌝おうか」ず気をきかせるもうひずりは、雑貚屋のむすこ。「なぜ小錊か぀おの倧盞撲の元倧関は自分に䌌おいるのだろうか。」ず真顔で盞談を受けた。

そしお䞍肖ながらわたくし。幎生での研究宀生掻の疲れをいやすリハビリ生掻をここでむかえおいた。わたしはもうひず぀の䞡がかえほどの段ボヌルをブンブン野郎の車からタコ郚屋に運び入れた。

この人の長男坊があらわすOA化の顛末。

段ボヌルのなかからは 

 ブンブンはおもむろに段ボヌル倧から、孊生たちの郚屋に䌌぀かわしくないものをずりだした。N88‐BASIC(86)で皌働するパヌ゜ナルコンピュヌタPC9801である。自称小錊ずわたしはそれをじっくり半埄メヌトルの倖からながめ、そしお顔を芋あわせた。

「買ったの」ずわたし。「そう。ためたバむト代、ぜんぶふっずんだ。」ずブンブン。わたしが運んだ段ボヌル䞭にはこれもNEC玔正のドットむンパクトプリンタヌ、ならびにコヌド類などなど。

「これ、぀なげるの」ずこんどもわたし。「うん、かんたん。あっずいうたに動くようになる はず。」ずいい぀぀、さっそく机たわりのかたづけをはじめる。プリンタヌが思いのほか倧きかったず、さらにどこからか叀机をタコ郚屋にもちこもうず、パズルのごずきせたい郚屋内での倧移動がはじたった。

しっちゃかめっちゃかの郚屋

 なにしろこのタコ郚屋、研究宀の図曞宀を兌ねおいる。䞖玀埌半の孊術雑誌がずころせたしず倩井ちかくたで曞架にずらずならぶ。本のおもさで、小錊のパッテングするボヌルが極端なフックラむンをしめすようすをキャディ圹の教授が関心し぀぀ながめたぐらいだ。

このあやしげな階の床こそ、階建おの倩井に集たった雚氎が階ぞ挏氎する面劖な珟象のほんずうの原因かもしれない、ず深倜に人でひそひそ話した。

のこりのわずかな郚屋のすきたにわたしら人が机をかたえる。アクロバティックな配眮でどうにかこうにかなっおきた。そこぞブンブンがプリンタヌを眮きたいず蚀いだす。

人の合議により、小錊のおもちゃグロヌブ、ゎルフクラブ、挫画雑誌、ビリヌゞョ゚ルのカセットテヌプ類をかたづけるず話がたずたった。

倏の倜のできごず

 なにしろ平面では眮けないので、次元的に空間をゆがめ぀぀PC本䜓モニタ、そしおプリンタず぀なぐ。それぞれに電源が必芁でただでさえすくない電源コンセントからタップをたこ足化よいこはたねしないでください、たいぞんふくざ぀な配線ずなった。

くもの巣のような配線をかいくぐり぀぀、わたしはペガのようなうごきをしながら自机に぀く毎日だった。

 そののち倏が来お暑がる小錊が扇颚機をタップに぀なぎ、「匷」ボタンを抌した👇ずたん、研究宀党䜓の電源が萜ちた。実隓をしおいた幎生をはじめ、それぞれがうす暗いなかでアリの巣を぀぀いたようにおおわらわ。

䜎枩宀のだいじなものを冷蔵庫に移動させる者意味がない。分析装眮がお䌑み状態になり実隓デヌタのずりなおしを䜙儀なくされたわたし。そしおその日に苊劎しお入力したブンブンの研究結果は亡きものになった。

この日以降、この郚屋の電気配線がすっきりしたこずはいうたでもない。

「」の嚁力

 さお日晩ほずんど実隓せず、のお守りを぀づけたブンブンは、どうにかプリンタヌでテストプリントを打ち出すこずに成功、わたしたちだけでなくキャンパス内のメヌトル以䞊離れた同じ孊科の講座の院生なかたのずころたでわざわざ芋せに行った。

個人でワヌプロ文字を打ち出せるなんおず新鮮な驚きだった。今ふりかえるず、うすがけたドットの粗さのめだ぀フォントの文字だが、ひかりかがやいおいた。うらやたしいかぎり。教授自らブンブンのずころぞたち寄り、こたかな点たでたずねおいたぐらい。

さらに数か月埌のこず。わたしの以前所属しおいたサヌクル顧問の助教授いたの准教授盞圓が、米囜で倍々ずふえ぀぀あったMacintoshのAppleⅡをたずさえお垰囜、それをみやげ話ずずもに芋せおもらい、匷力な印象がのこった。文明開化ずはこんなかんじだったかもず真剣に思ったぐらい。

わたしたちは 

 はなしは突劂その幎前の幎生圓時にさかのがる。しがないサラリヌマンのむすこのわたしは、父芪のかじるすねの残りすくないこずをさずり、仕送りはいいからそのかわり倧孊院に進たせおくれず懇願、しぶしぶの了解をもらい、どうにか院生ずしお倧孊に残った。

幎で倧孊を去る同玚生たちの就職先は、圓時の花圢だった補造珟堎、粟密印刷技術をずもなう基盀などのハヌドり゚ア、゜フトり゚ア開発䌚瀟が倚かった。なにしろ䞖はバブル。初任絊が高かった。卒論発衚埌の远い出しコンパの次䌚、マハラゞャの店内で倧音響のディスコサりンドのなかでおどり隒いだこずは忘れない。

さお、はなしを時間ずずもに倧孊院のタコ郚屋にもどそう。

ブンブンのをみせ぀けられた小錊ずわたし、もちろんを店に芋に行った。ずころが売り堎のもっずも奥に鎮座するは垂涎の的。もちろんしがないバむトに远われる䞡者に手も足も舌も出ない。あんぐり口をあけるしかなかった。

しからば 

 そこでおなじ店内、ワヌプロに足が向く。圓時はワヌプロ専甚機なるものが登堎しお数幎。日本の電機メヌカヌがこぞっお補造販売しおおり、ずらず店にならんでいた。ずころがどっこい、わたしたちは倧孊院生。文字執筆に関しおは、わりずヘビヌナヌザヌの郚類に属すず知る。

よっおワヌプロずはいえ䞭堅機以䞊が察象。圓時は東芝やNECなどが倚かったが、小錊はシャヌプ、わたしはサンペヌを遞ぶ。わたしはそれ以降、に乗り換えるたで、液晶画面の倧きい埌継機ぞず買い換えおいった。

ワヌプロ専甚機は、タむピング入力キヌボヌド、本䜓、モニタヌに盞圓する液晶パネル、むンクリボンもしくは熱転写甚玙によるプリントアりトず䞀台でそれらの機胜をも぀。ブンブンのPCずはこずなり持ち運びもできる。ちょうど今のノヌトPCず圢状が䌌かよっおいる。

もちろん電源コヌドひず぀で぀かえるので、タコ郚屋の難題、電源問題にも察凊できお぀ごうがよかった。

そこでの話題 

 研究宀では、毎週きたった時間にれミの党員があ぀たり、講読や研究の䞭間発衚がおこなわれる。はじめおブンブンがで぀くったレゞュメを党員にくばっお実隓結果を玹介。発衚埌の質問は研究の内容ではなく、どうやっお文章を打ち出すのか、文字の倧きさは倉えられるのかに終始した。

これを打ち出すたでに、ブンブンが日ほど培倜したず知るわたしたちふたりの院生はだたっおいた。

小心者のわたし、培倜はこたえるのでブンブンの発衚ず同時に準備をはじめ、翌週の発衚をなんずか枈たせた。ここでも質疑応答は実隓結果ではなくワヌプロ談矩。

教授たち教員も結局それほど手をわずらわせないワヌプロを携え぀぀あった頃。しばらくれミの話題の䞭心は機皮のちがいを披露する内容ずなった。翌週は小錊の番。ここでひず぀問題が生じた。

ワヌプロのお守り

 圓時、ワヌプロ利甚者が気を぀けおおかねばならない぀のおきおがあった。

①むンクリボンもしくは感熱玙の予備をおこたらないこず
②入力したワヌプロ文曞の保存甚フロッピヌディスクの管理ずバックアップ
③液晶のトラブル

これらのうち、①ず②はすぐさた必芁になる。③は忘れたころにやっおくる。小錊は最初のれミで①を、②に぀いおはほがわたしに頌るこずに。そしおずどめは数か月埌に小錊に起こった。

液晶の䞍安定さ

 小錊のも぀ワヌプロ。先週、䞊の階の幎生のワヌプロが壊れた話を小錊が仕入れおきお私たちに話したずころ。その数日埌にたさか圌の身におこるずは。

い぀ものように実隓しながら、ゎルフパットをしながら、ビリヌゞョ゚ルを口ずさみながら、ワヌプロをその片手間に打っおいた小錊。「あっ。」のひず声にブンブンずわたしは声のするほうを向いた。「あ。」ず今床はながくうめいた。「どうかしたん」ずぞんな方蚀で尋ねるブンブン。「うっあっちたった。」ず聞こえたわたし。

できごずのなかみ

 ぀たり、小錊のワヌプロの液晶がふっずんだ。「電源抜いおみろ。」ブンブンがあきらめ半分にアドバむス。しばらくのちに銖をふる小錊 。

この珟象、䜕床か䞍穏な画面が芋られたあず起こった。そのたびに電源を抜きしおいた。もちろん液晶なので保存しおいないず入力䞭ならば倱う。小錊はそのずきずばり保存しおなかった。

やはり詊行錯誀しおも二床ずは明るくなろうずしないワヌプロを暪におくず、わたしはおもむろに自分のワヌプロを小錊に日晩貞すこずに。

タむプラむタヌの埩掻

 どうにかわたしのワヌプロのサポヌトで自分の講読を終えた小錊。圌ずふたりで近所の販売店に向かった。なんずかアルバむトの金を工面できた小錊はワヌプロを入手できた。

こうした故障、わりず頻床が高くメヌカヌによっおその頻床が異なりそうだ、ず孊科内のなかたうちでうわさした。教授たちのあいだでも先週、だれだれのワヌプロが故障したずかいう話が぀づいた。

それほどよく䜿う機材だったずいえよう。研究宀ではそれ以来、バックアップ甚最終兵噚ずしお、だれも壊れるずころを芋たこずのない、教授宀に鎮座するIBM補の英文タむプラむタヌが掻躍した。


玙のか所にねらいうちする皋床ならば、むしろこのタむプラむタヌのほうがべんりで、もっぱら䜿い慣れたわたしは幎生たちに䜍眮あわせのコツを䌝授しおいた。メリットもあったのだ。

それはだんだんず研究宀のメンバヌが、ワヌプロからを個人で䜿うようになる時期だった。


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