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適菜収『日本崩壊 百の徴候』と福田和也

 適菜収の『日本崩壊 百の徴候』は2025年6月の上梓されたものなのだが、今さらながら読んでみて、一つ気になった個所があったのでまずは引用してみる。2024年に亡くなった文芸評論家の福田和也に関する話である。

 福田は基本的には温厚な人間である。あるとき、変なトンカツ屋の店主がからんできたので、私が戦闘態勢をとると、「まあまあ」みたいな感じで止められた。しかし一度だけ怒ったことがあって、当時、内田たつるが「贈与論」について書いた記事が話題になっていて、他にもいくつかネット記事が出てきた。それでトンカツ対談の際に、私が「贈与論みたいなものが流行っているんですか」と話題を振ると、珍しく「そんなもの流行っていないよ!」と大きな声を出した。一般社会とは関係のない狭い世界の話を「流行」という言葉に関連付けたことが気に入らなかったんだろうな、当時の私は思った。真相はわからないが。

『日本崩壊 百の徴候』p.310

 おそらく福田は内田のようになりたかったんだと思う。内田のように出す本が次々と売れて社会に対して、あるいはせめて「論壇」内である程度の影響力を持ちたかったのであろう。しかし個人的な感想としては福田こそ絶えず「狭い世界」の話に終始しており、積極的に彼の時評を読む気にはなれなかった。

 ところで適菜の憂慮とは裏腹に野田佳彦の「やらかし」も手伝って、高市早苗を首相とした自民党は今年になって衆議院議員選挙で大勝して「禊」は済んでしまい日本維新の会と組んで最強の与党と化し、「大阪・関西万博」は大成功のうちに幕を閉じ、松本人志はネット上で完全復帰を果たしている。やっぱり日本は崩壊するのかな?