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ロック×映画⑫ 「音楽は降りてこない。絞り出すんだ」ジョー・ストラマー『レッツ・ロック・アゲイン!』

この夏、東京・神保町がロック映画の聖地になっている。
「ロックの時間」(会場:シネマリス)、8月18日の1本目は、ザ・クラッシュのジョー・ストラマーの最晩年を追ったドキュメンタリー映画『レッツ・ロック・アゲイン!』(2004年)である。

監督は、ストラマーと長年の親交があったディック・ルード。
映画では、2001年のアメリカ・ツアーや2002年の日本ツアーの模様をはじめ、ストラマーが率いる新バンド、メスカレロスのライブはもちろん、楽屋での姿やインタビュー、アルバムを売り込むためのプロモーション活動までカメラに収めている。

かつてパンクロッカーとして世界を熱狂させたミュージシャンが、ライブ当日に自ら街頭でチラシを配り、ラジオ局をアポなしで訪ねて、音楽を売り込む。
そこには、「ザ・クラッシュのジョー・ストラマー」という過去を引きづる姿はない。
過去の栄光にとどまることなく、「今、自分が作りたい音楽」を届けようとする一人のミュージシャンだ。
その飾らない姿から、音楽に対する彼の情熱が浮かび上がってくる。

映画を観ていると、ストラマーがインタビューなどで語る言葉の一つひとつが心に残った。
そこで今回は、映画を観ながら私が書き留めたいくつかのストラマーの言葉を紹介したい。


「過去という瞬間にとらわれず、今という時間を生きたい。」


クラッシュの音楽を聴き続けてきたファンから、
「クラッシュを聴いて、自分の生き方が変わったんだ」
と言われたストラマー。
それに対して、彼はこう言葉を発する。
「それが俺にとってのリアルだ」


「11年のブランクがあった。音楽業界においては、111年のブランクがあったのと同じだ。」


「何かに秀でているからといって、大物ぶってはいけない。」


インタビュアーから、
「ミュージシャンはよく、作曲するときに“音楽が降りてくる”と言いますが、あなたもそうですか?」
と聞かれると、ストラマーはこう答える。
「たわごとだね。絞り出すんだ。」


「意見を持つと、見えなくなる。視野が狭くなる。真実が見えなくなる時があるんだ。」


「作詞はレタスのようなものだ。すぐ腐る。だから、3カ月も前に書いた詩を、いまさらレコーディングしたくないんだ。」


「生きているだけでクレージーだ。」


「メジャーじゃないところに、お宝は埋まっている。」


これらの言葉の一つひとつに、過去の栄光に安住することなく、「今」を生きようとしたストラマーの姿勢が表れているように思う。

2002年12月、ジョー・ストラマーは50歳で急逝した。
この映画は、結果として、彼が最後にどんな音楽を作り、どんな姿勢で音楽と向き合っていたのかを記録した作品になった。

これは「過去ではなく、今を生きたロッカー」ジョー・ストラマーを見る映画なのだと思う。


【注】
ここで紹介したジョー・ストラマーの言葉は、映画を観ながら私自身が書き留めたものです。そのため、英語の原文や映画の字幕・翻訳とは、表現やニュアンスなどが異なっている場合があります。あらかじめご了承ください。


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