見出し画像

忍者スポットでマスゲーム

関西に引っ越してきて20年が経過しようとしている。
梅田駅によく行っている。
多い時だと、週に二、三回。

20年前の引っ越し当時、梅田の地下を歩くのが怖かった。
横切る時なんて、サバイバルだった。
誰にもぶつからずに歩くのが非常に難しいのだ。
みんながみんな、器用に人を避けていて、まるで忍者のようだった。

私の中での二大忍者スポットがある。

一つ目は、阪神百貨店と御堂筋線改札口とホワイティに囲まれた地下通路。
もう一つは地上階で、阪急百貨店と阪急電車へ向かうムービングウォークを挟んだ両方の通路。

他にも人が多い通路や広場はたくさんあるが、あそこまで人の流れに法則がない場所はあまりない気がする。(いや、今、忘れているだけで他にもあるかもしれない。)

まっすぐ進みたい人と、それを横断したい人と、それらを斜め横断したい人がごちゃごちゃに絡み合っている。

引っ越してきたばかりの時は、人の流れの複雑さに前に進めなくなってその濁流の真ん中でゆるく立ち往生することもあった。川の流れを遮る岩のようになってしまうから、立ち往生されるのが最も邪魔だと今ならわかるが、みんながぶつからずに歩いているのが奇跡のようだった。

あの二大スポットは、まるで運動会の競技のマスゲーム。
誰がどの隙間を縫って歩くかを全員がアドリブでやっている。
大量の忍者がマスゲームをしている。

なんとなく歩調も揃っている。
あそこではみんな共通のメトロノームで動いているのかもしれない。

忍者スポットの私の克服の仕方はこうだった。
歩きたい方向を見て、それに向かって頭の中で自分の歩くルートを線で引き、ここを通る、と決めると良いと友人から教わった。

また、ぶつかることを恐れるのは最もしてはいけないこと。
脳が意識したことに引き寄せられる。

そうやってみるとなんだかとてもするすると歩けるようになった。

関西では車の運転も同じだと感じていた。
どういう方向に進むのかを自ら手を挙げるようにして表現しないといけないということ。側道から大きな道に合流したい時も「私は合流します!」と、表明しないとなかなか入れてもらえなかったが、逆に、その態度があると案外すんなりと入れてもらえた。

地下の通路でも同じで、「私はこちらへ歩きます!」を表明して歩くようにしている。そうすると不思議とぶつからない。

あれから20年が経ち、忍者スポットで立ち往生する人を見守りながら、そこで毎日開催されているマスゲームに余裕で参加している。




いいなと思ったら応援しよう!

yoko よろしければ応援お願いします!いただいたチップは、自分自身の経験を増やすために大切に使わせていただきます🎁✨