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「あの頃」と「いま」をつなぐ現代文化のスナップショット:『現代文化への社会学: 90年代と「いま」を比較する』

90年代と現在を比較することで、現代文化の仕組みを浮かび上がらせようとする論文集。

モバイルメディア、テレビ、インターネット、カメラ、ファッション、LGBT、アート、スポーツ観戦、夏フェス、音楽、ゲーム、マンガ、書店、ショッピング、外食と、誰にとっても身近な15のテーマを取り上げています。

世代的に90年代が青春時代だった自分には「そうそう、あったよね」と懐かしさを感じつつ、今との変化を実感できる内容でした。

ただし、各章はかなりコンパクトで、比較の提示が中心。深掘りまではしていないため、「比較されていることはわかるけど、その先に何を考えるかは自分次第」という読後感があります。

とはいえ、社会学的に「90年代と今をどう対比するか」という切り口は、これからさらに資料を読み込んでいくための良いガイドブックにもなると思いました。

興味深いのは、文化の多様化が「進化」ではなく「並列化」として描かれている点です。

例えばLGBTやジェンダー観は、90年代にはほとんど可視化されていなかったのが、いまは社会の前面に出てきている。一方で、音楽やファッションのようにテクノロジーによって楽しみ方が変わったものもある。比較を通じて見えてくるのは、文化が直線的に進むのではなく、複数の文脈が同時に重なり合っている姿です。

「読んで考える」というよりも、「読みながら自分の経験や感覚と照らし合わせる」ことで、初めて面白さが立ち上がる本だと思います。流し読みでも十分楽しめるし、気になったテーマはさらに深掘りしてみたくなる。そんな現代文化の入り口として位置づけられる一冊でした。

● [新版]現代文化への社会学: 90年代と「いま」を比較する(2023年、北樹出版)


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