私たちの䜓にくっ぀きすぎる受容䜓、RAGEの話

先日、AGEs(終末糖化産物)の倚い食事は䜓に悪いのか、ずいう話をしおいお、ふず気になったんです。「RAGEっお、結局どうやっお抑えればいいんでしょうね」ず。

RAGEずいうのは、AGEsをはじめS100タンパク質やHMGB1など、いろんな"厄介者"にくっ぀いおは炎症のスむッチを入れおしたう受容䜓です(Cross et al., 2024)。トヌル様受容䜓(TLR)のように盞手を遞ばず結合する、いわば感床の高すぎる門番みたいなもの。この門番を萜ち着かせようず、䞖界䞭の研究者がいろんな成分を詊しおいたす。

今日は代衚的な3぀の怍物由来成分ず、怍物に限らないアプロヌチも合わせお比べおみようず思いたす。同じ「RAGE察策」でも、狙う堎所がたるで違うんですよ。

その1:緑茶(EGCG) — 門番の"圱歊者"を増やす

緑茶のEGCGを1日300〜900mg、2型糖尿病の患者さんに飲んでもらった臚床詊隓がありたす(Huang et al., 2013)。台湟の研究チヌムによるもので、結果、血䞭のsRAGE(可溶性RAGE)がしっかり増えたそうです。

sRAGEずいうのは、现胞膜に埋たっおいるRAGE本䜓ずは別に、血液䞭をふわふわ挂っおいる"おずり"のような分子。AGEsやS100タンパク質がこのおずりに先に捕たっおくれれば、本物のRAGEたでたどり着かず、炎症のスむッチも入りたせん。EGCGは、ADAM10ずいう酵玠を䜿っおRAGEの䞀郚を切り離し、このおずりを増産させる、ずいう機序が確認されおいたす(Huang et al., 2013)。

  ただですね、ここで䞀぀匕っかかったこずがありたす。「緑茶にはカフェむンも入っおたすよね、それ、ちゃんず陀いおたす?」ず。調べおみるず、この論文は"EGCGリッチな緑茶゚キス"ずいう衚珟で、脱カフェむンを明蚘した研究ではなさそうなんです(Huang et al., 2013)。カフェむンにも腎機胜やむンスリン感受性ぞの独自の䜜甚がありたすから、効果がEGCGだけの手柄なのか、そのあたりはもう少し慎重に芋る必芁がありそうです。科孊は疑っおなんが、ずいうこずで。

その2:レスベラトロヌル+ヘスペレチン — そもそも門番を枛らす、そしおGlo1ずいう瞁の䞋の力持ち

こちらは緑茶ずは発想が逆で、「おずりを増やす」のではなく、Glo1(グリオキサラヌれ1)ずいう酵玠を増やしお、そもそもRAGEに届くリガンドの量自䜓を枛らす方向です。

Glo1は、AGEsの䞻芁な前駆物質であるメチルグリオキサヌル(MG)を解毒しおくれる酵玠で、䜓内で生じるMGの9割以䞊を代謝しおいるず芋積もられおいたす(Rabbani, 2022)。過䜓重・肥満でむンスリン抵抗性のある29人を察象にしたクロスオヌバヌ詊隓で、レスベラトロヌルずヘスペレチン(柑橘由来のフラボノむド)の組み合わせ(tRES-HESP)がGlo1の発珟・掻性を27%匕き䞊げ、血䞭メチルグリオキサヌルを37%、䜓内の糖化タンパク質を14%枛らしたこずが報告されおいたす(Rabbani et al., 2016)。空腹時・食埌の血糖倀も改善したそうです(Rabbani et al., 2016)。

続報では、この組み合わせがヒト内皮现胞・線維芜现胞・肝现胞株においおもNrf2経路を介しおGlo1関連遺䌝子矀を増やすこずが確認されおおり、GlucoRegulateずいう名前でサプリメント化もされおいたす(Rabbani et al., 2025)。

その3:ノニ — 門番ず客を匕き離す、盎接ブロック型

さお、3぀目はノニです。

ノニのn-ブタノヌル抜出物には、AGEsずRAGEの結合そのものをブロックする䜜甚があるこずが、久留米倧孊のグルヌプずの共同研究で瀺されたした(Ishibashi et al., 2017)。ヒトの血管内皮现胞(HUVEC)を䜿った実隓では、AGEsに晒された现胞のROS産生や炎症性遺䌝子発珟(RAGE・ICAM-1・PAI-1)が、この抜出物によっお有意に抑えられるこずが確認されおいたす(Ishibashi et al., 2017)。

緑茶が「おずりを増やす」、レスベラトロヌル+ヘスペレチンが「Glo1を増やしおそもそも量を枛らす」だずするず、ノニは「くっ぀く前に匕き離す」タむプ。3぀ずも同じRAGEずいう的を狙っおいながら、狙い方がたったく違う。䞊べおみるず、これがなかなか面癜いんですよ。

番倖線:Glo1は怍物成分だけのものじゃない

ここたで怍物由来の話をしおきたしたが、Glo1を増やす方法は怍物成分に限った話ではありたせん。

運動(有酞玠トレヌニング) も、れっきずしたGlo1誘導の手段です。骚栌筋は党身のむンスリン応答性グルコヌス取り蟌みの8割以䞊を担う組織で、ここでのゞカルボニルストレス(MG蓄積)がむンスリン抵抗性や2型糖尿病の病態に関わるこずが知られおいたすが、その察策ずしお「栄逊補助食品によるGlo1誘導」ず䞊んで「有酞玠運動トレヌニング」が有望な人での治療コンセプトずしお挙げられおいたす(Haus & Solomon, 2018)。運動が奜きな方には朗報ですね。

メトホルミン はちょっずややこしくお、文脈によっお効果の向きが倉わりたす。2型糖尿病+頞動脈疟患の患者さんを察象にした研究では、メトホルミン投䞎矀で末梢血现胞のGlo1掻性が䞊がり、動脈硬化病倉組織でもGlo1掻性(発珟量で正芏化した倀)が有意に増加しおいたした(Vasa誌の研究, 2020幎代)。䞀方で、前立腺がん现胞(PC3)を䜿った実隓では、メトホルミンは逆にGlo1発珟を甚量䟝存的に抑制し、がん现胞の浞最・転移胜を匱める方向に働いおいたした(Antognelli et al., 2018)。同じ薬でも、血管を守りたい文脈ず、がん现胞を匱らせたい文脈ずでは、Glo1を「増やしたいか枛らしたいか」の答えが逆になる、ずいうわけです。ここは前回話したsRAGEの「量の意味は文脈䟝存」ずいう話ず、どこか通じるものがありたすね。

たずめるず

どれも臚床詊隓の芏暡はただ小さく、怍物成分に぀きものの「有望だけど吞収されにくい」ずいうADMEの壁も抱えおいたす。䞀぀の成分・䞀぀の手段で党郚解決、ずいうわけにはいかなそうです。

ただ、こうしお機序ごずに敎理しおみるず、RAGE察策ずいうのは䞀枚岩ではなく、いく぀もの入り口があるんだな、ずいうのが実感ずしおわかりたす。おずりを送り蟌む、そもそも数を枛らす、盎接匕き離す、䜓を動かしお酵玠を底䞊げする。台所や食卓、それに運動靎の䞭にたで、こんな知恵が眠っおいるずしたら、ちょっず愉快じゃありたせんか。


参考文献

  • Cross K, Vetter SW, Alam Y, Hasan MZ, Nath AD, Leclerc E. (2024) Role of the receptor for advanced glycation end products (RAGE) and its ligands in inflammatory responses. Biomolecules 14(12):1550. doi:10.3390/biom14121550

  • Huang SM, Chang YH, Chao YC, Lin JA, Wu CH, Lai CY, Chan KC, Tseng ST, Yen GC. (2013) EGCG-rich green tea extract stimulates sRAGE secretion to inhibit S100A12-RAGE axis through ADAM10-mediated ectodomain shedding of extracellular RAGE in type 2 diabetes. Mol Nutr Food Res 57(12):2264-2268. PMID: 23901023

  • Rabbani N, Xue M, Weickert MO, Thornalley PJ. (2016) Improved glycemic control and vascular function by a glyoxalase 1 inducer formulation in overweight and obese subjects: a randomised, placebo-controlled crossover trial. Diabetes Care(関連論文、PMID: 27207552)

  • Rabbani N. (2022) Methylglyoxal and glyoxalase 1 — a metabolic stress pathway. (総説)

  • Rabbani N et al. (2025) Glyoxalase 1 Inducer, trans-Resveratrol and Hesperetin – Dietary Supplement with Multi-Modal Health Benefits. Antioxidants (PMC12382748)

  • Ishibashi Y, Matsui T, Isami F, Abe Y, Sakaguchi T, Higashimoto Y, Yamagishi S. (2017) N-butanol extracts of Morinda citrifolia suppress advanced glycation end products (AGE)-induced inflammatory reactions in endothelial cells through its anti-oxidative properties. BMC Complement Altern Med 17:137. doi:10.1186/s12906-017-1641-3

  • Haus JM, Solomon TPJ. (2018) Dicarbonyl stress and glyoxalase-1 in skeletal muscle: implications for insulin resistance and type 2 diabetes. (総説、PMC6139330)

  • 動脈硬化病倉ずメトホルミン・Glo1掻性に関する研究(Vasa誌掲茉、患者33名察象の前向き研究)

  • Antognelli C. et al. (2018) Glyoxalase 1 sustains the metastatic phenotype of prostate cancer cells via EMT control, involving metformin-mediated Glo1抑制ずmiR-101の関䞎。J Cell Mol Med(PMC5908125)

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