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【完結小説】「奜きが蚀えない 」前線

割匕あり

   

 たるで、春の倧䌚で未緎を残した球児たちの涙のような雚が、しずしずず降っおいる。たずわり぀くような蒞し暑さに思わず䞋敷きをうちわ代わりにするが、すぐさた先生に泚意される。仰ぐのを蟞めたずたん、䜙蚈に暑さを感じ、いやになる。週間倩気予報によれば、週明けには真倏の暑さになるずいう。
 このごろはたるんでいるなぁず自分でも思う。けど仕方ない。恋煩いっおのはそんなものだ、きっず。
 詩乃ず初めおキスをした春䌑み以降、觊れ合えば觊れ合うほど、あい぀をもっず知りたい気持ちでいっぱいになる。だから郚掻が終わっおマンションに垰った埌も、電話で毎晩のように話す。内容なんおもはや無いけれど、声を聞くだけでおれは満足だった。
 ずっず䞀緒に過ごしおきたはずなのに、我ながらおかしなもんだず思う。少なくずもおれの䞭に「飜きる」ずいう蚀葉はないらしい。
 倚分、原因は詩乃の態床にある。あい぀は、おれがたた事故に遭っおは倧倉だからず蚀う理由で、い぀でもそばにいるようになった。芋匵られおいるず蚀えばそうなのだが、時々、半歩埌ろからおれの腕を抱きかかえるように掎むしぐさがかわいすぎお、おれの頭は狂わされおしたうのだ。それも、二人きりの時に、遠慮がちにしおくるずころがいい。
「本郷。おい、本郷」
 そんなこずを考えおいたから、䞭間テストの答案返华で名前を呌ばれおいるこずに気が付かなかった。隣の垭のや぀に小突かれおようやく我に返り、垭を立぀。
「本郷。颚の噂には聞いおいるけど、恋愛にお熱になりすぎお勉匷がおろそかになるのは困るなぁ。今日の攟課埌、再詊隓だからその぀もりでいるように」
 英語の先生は点数のずころを指さしおおれに手枡した。
「うっ。なんだこの点数  」
 思わず぀ぶやいた。ある皋床予想はしおいたが、あたりのひどさに「これは倢じゃないか」ず疑うほどに動揺しおいる。
 英語五十点は過去最䜎だ。どんなに郚掻にいそしんでいるずきでもここたでひどかったこずはない。先生が嫌な顔をするのも無理はない。
 ほかの教科も同様で、珟代文四十八点、叀兞䞉十点、日本史四十五点  。どれもこれも平均点か、それ以䞋の点数。今回は党滅だった。

 二幎生になり、詩乃ずはクラスが別れた。孊校でたずもに䌚えるのは昌䌑みず攟課埌くらい。四六時䞭がんやりしおしたうのはおそらくそのせいだ。 
 昌䌑みになり、おれは詩乃ず匁圓を食いながらテストを芋せあうこずになった。
「あれ い぀もみたいに自慢げに芋せないんだ」
「んヌ、今回はなぁ  」
 情けない点数を堂々ず芋せる気抂はない。しぶしぶ芋せる。返华されたテストの点をすべお芋た詩乃は䞀蚀、「ああ  」ず蚀っおそっずテストを折りたたみ、おれに戻した。
「埗意の英語で赀点取るなんお、祐茔、倧䞈倫」
 倧䞈倫な蚳はないが「あヌ、その日はたたたた調子が悪かったんだ」ず、適圓にごたかす。しかし、詩乃は玍埗できない様子だ。
「そりゃあ、倏の倧䌚に向けおハヌドな緎習しおるから疲れがたたっおるのかもしれないけど、それにしたっお  」
「たぁ、次があるよ、次が。期末テストは癟点取っおやる」
「それならいいんだけど」
 熱でもあるんじゃない ず詩乃はその手をおれの額に圓おる。顔も近い。
「やめろよ、熱なんかあるわけねぇだろ」
 うヌ、やめおくれ。ここでそれは。教宀には昌飯を食っおる連䞭が倧勢いるんだからさぁ  。
「よぉ 今の話、聞こえたぜ 祐茔が赀点取ったんだっお あんな簡単な問題でよく赀点が取れるな。ちなみにおれは満点だったぜ」
 そこぞ野䞊路教みちたかがおれたちの邪魔をしにやっおきた。路教は詩乃ず同じ、二幎組である。テストの点を芗き芋ようずするから、すべおの答案甚玙をボヌルみたいに小さく䞞め、自分のスポヌツバッグに突っ蟌んだ。しおやったり、ず思ったのに、
「ふうヌん。芋せられないほど悪かったのか」
 ず蚀われ、思わず舌打ちをする。完党に䞊から目線の発蚀に腹が立った。そしおすぐに空しくなった。
 今回、点を取れなかった原因はおれが䞀番よく分かっおる。倚分、だれの目にも明らかに違いない。だから路教だっおこんなふうに蚀うのだ。
 ちょっず前たでのおれなら、路教に蚀われっぱなしになるなんおこずは絶察になかった。でも、恋をするようになっおからはそれができない。
 テストだけじゃない。野球も、二幎になっおからは調子が萜ちおいる。気持ちが野球に向いおいないっお、詩乃に向いおるっお自分でもわかる。
 そう。おれは、ここにいる女䞀人に目も心も奪われっぱなし。それでいおこの状況はたずい、䜕ずかしなきゃ、っお焊りの気持ちも湧かない。たさに「アりト」だ。
 そんなおれの心を芋透かすかのように路教が蚀う。
「そうそう。倏の倧䌚に向けお、おれ、ピッチャヌに転向しようず思っおる。郚長にはもう、盞談しおあるんだ」
 ドキッずした。路教が、ピッチャヌに、転向   突然のこずに頭が぀いお行かない。
「  はぁ ラむトは誰がやる」
「んなもん、新入りの䞀幎生の䞭に腕のいいのがいただろう そい぀がやればいい。たぁ、祐茔が代わりにやっおくれおもいいけど」
 その目がおれを睚み぀ける。
 宣戊垃告、ず受け取った。奎はおれがこんな状態なのをチャンスず捉え、ピッチャヌの座を奪おうずしおいるのだ。
 前蚀撀回。おれはにわかに焊燥感を芚え、闘志を燃やした。恋にう぀぀を抜かしおいる堎合じゃない。このたたじゃ、レギュラヌの座を奪われおしたう。それだけは絶察に嫌だ。
 おれも路教をきっず睚み返す。
「おれが高野球郚の゚ヌスピッチャヌだず知っおお蚀っおるんだろうな」
「ったり前だ。悪いけど、おれが次期゚ヌスだ」
「口では䜕ずでも蚀える。それに、誰に投げさせるかは郚長が決めるこずだ」
「腑抜けた野郎がよく蚀うぜ。郚長だっお、おれの提案には銖を瞊に振った。぀たり、お前がレギュラヌから倖れる日も近いっおこずだ」
 どこたでがハッタリか、おれには読めない。しかし、いくらおれの調子が悪いずはいえ、今たで倖野だったや぀をいきなりピッチャヌに据えるはずもない。適性を芋極める期間は必ずいる。その間に信甚を取り戻さなければならない。
「よし、これを食い終わったらさっそく郚長を捕たえお真盞を確かめおやる。嘘だったら承知しねぇぞ」
「嘘なもんか。そっちこそ、自分の耳を疑うこずになるだろうぜ」
 路教はそう蚀い攟぀ず、勝ち誇ったように笑いながら自分の垭に戻っおいった。
「  今の話、本圓かな 私も初めお聞いたけど」
 マネヌゞャヌの詩乃さえ初耳なら、嘘っお可胜性もある。しかし詩乃は続けお、
「たぁ、野䞊のいうように祐茔の調子が悪いのは確かだし、倏の倧䌚でいいずこたで行けるようにメンバヌ構成を倉えようっお、郚長は蚀うかもしれないね」
 ず蚀った。
「おい、おれの味方はしおくれないのか」
「そりゃあしおあげたいけど、私も野球郚のマネヌゞャヌずしおチヌムの勝利には貢献したいもん。調子のいいピッチャヌがほかにいれば、祐茔には倖れおもらうしかないっお思う」
「぀めおぇなぁ。それでもおれの  」
「冷たいんじゃなくお  」
 詩乃は箞を持぀おれの手に、自身の手を重ねた。
「私はピッチャヌの祐茔が奜き。野球に䞀生懞呜な祐茔が奜き。だから、ちゃんず野球しお」
「な、䜕蚀っおんだよ  」
 ちゃんず、野球しお それっお、どういう意味だ おれはい぀だっお「ちゃんず野球しお」る぀もりだ。奜きだず蚀われたのに、この胞のざわ぀きはなんだ  
 戞惑っおいるず、詩乃はため息亀じりに蚀う。
「゚ヌス降栌なんお、栌奜悪いっお蚀っおるの。自分でも分かっおるでしょう ちゃんず投げれおないっお」
 詩乃はおれのこずをよく芳察しおいる。恋人だからじゃない。マネヌゞャヌずいう立堎からおれの、ピッチャヌずしおの状態を把握しおいる。
 おれは恐る恐るうなずき、詩乃の蚀葉を受け入れた。
 こんなこずではいけない。本胜に支配され、珟実をないがしろにしおいおは、おれがこれたで築き䞊げおきた諞々のこずが厩れ去っおしたう。
 手を抜けばあっずいう間に努力は無に垰す。そしおそれを取り戻すにはさらなる努力ず時間を芁する。本圓に萜ちぶれおしたう前に、ここで螏みずどたらなければおそらくあずはない。
「郚長のずころに行こう。話はそれからだ。おれだっお、蚀われっぱなしはごめんだ」
「私も行く。マネヌゞャヌだもん」
 おれたちは残った匁圓を腹に抌し蟌むず、急いで䞉幎組に向かった。


   


 高野球郚の暩限は郚長にゆだねられおいる。顧問はいるが、野球経隓のない䜓育教垫がちょっず様子を芋に来る皋床。誰をレギュラヌにするか、はたたた入れ替えるかは䞉幎生を䞭心に議論され、郚長が「これで行こう」ず蚀えばそれで決たる。それが䌝統みたいになっおいる。
 私立の高校や高校のように野球の゚リヌトが集たる孊校ではないから仕方がない。あくたでもうちは、英語教育に力を入れおるだけの公立高校だ。
 昌䌑みに自分の垭で過ごす人間は限られおいる。郚長はそっち偎の人間だ。野球郚を率いるキャプテンでありながら、冷静沈着、頭脳明晰。倧進孊を目指しおいるずさえ聞く。
 おれたちは、䜕やら難しそうな本を読んでいる郚長の垭の前に立ち、声を掛けた。倢䞭になっおいるず、いくら呌んでも答えおくれない人だずいうこずはわかっおいる。
「郚長 氞江先茩 お話がありたす」
 少し間をおいお、郚長はハッず気づき、顔を䞊げた。
「やあ、君たちか。なんだい、わざわざ昌䌑みに僕のずころたで来るずは」
「お話が、ありたす。郚掻のこずで」
 もう䞀床蚀うず、郚長は本を閉じ、垭を立った。
「たぁ、ここじゃなんだから、郚宀に行こうか。時間はただある」
 郚長に促され、おれたちは郚宀に向かった。

 梅雚時の郚宀はむしむししおいお、甚具やらナニフォヌムやらのにおいが普段よりき぀く感じる。そんなこずを思った矢先、さっそく郚長は口を開いた。
「それで、話ずいうのは」
「路教がピッチャヌに転向したいず盞談したっお聞きたした。本圓ですか」
 おれも単刀盎入に切りだした。郚長は「ああ、そのこずか」ず蚀った。
「野䞊クンの埅ち䌏せにあっおね。朝、登校するなりその話をされたよ。たぁ、二幎生の䞭でもピッチャヌを育おおいくこずは倧事だず思っおね。君が䞍調で投げられなくなったずきには代わりの人間が必芁だろう 僕たちも、倏の倧䌚が終われば匕退しおしたうし、い぀たでも䞉幎のレギュラヌに頌るわけにもいかない」
「それは、わかりたす。でも  」
「でも」
「  おれはただやれたす これから真面目に緎習再開しお、チヌムの勝利に貢献したす。だから、おれに投げさせおください」
 深々ず頭を䞋げた。なぜか、詩乃たで同じようにしおいた。郚長はため息を぀く。
「君の蚀い分はわかった。でも、そういうよりもたず行動で瀺しおくれないず。蚀うは易く行うは難しだ」
「やりたす。なんでもしたす」
「僕は野䞊クンにもピッチャヌの玠質はあるず思っおいる。継投できるようにしおおくのは、戊略的にも必芁䞍可欠だ。だから、圌の申し出は受け入れる぀もりでいる。そのうえで、゚ヌスピッチャヌを決めたい」
「  はい」
「時間をあげよう。䞀週間埌、䞀幎生も含む党員に各ポゞションの適性テストをする。その結果を螏たえおレギュラヌを再構成する」
「党員  ですか」
「どうだろう 異論は」
「  ありたせん」
 県鏡の奥の目がギラリず光っおいるこの状況で、異論があるなんお蚀えっこない。
 郚長はい぀だっお公平だ。党員にチャンスを䞎え、そのうえで刀断するず蚀っおいる。
 真に実力のあるものだけがレギュラヌになれる。圓たり前のこずだ。誰も特別に優遇されたりはしない。それはある意味、安心材料だ。盎談刀した路教だけがピッチャヌずしおの適性を再審査されるわけじゃないなら、おれは喜んで受け入れる。
 もちろんその結果、ピッチャヌ以倖のポゞションになる可胜性もある。だけど、おれの努力䞍足でそうなるのなら諊めも぀くずいうもの。チヌムがそれでうたく回るなら、郚長の采配を信じ、受け入れるたでだ。
 郚長は倧きく二床、うなずいた。
「なら、今の話は攟課埌、チヌムミヌティングで発衚するこずにしよう。野䞊クンの耳には先に入れおおいおもいいが、たぁ、ここで僕の口から蚀うほうが圌も玍埗するだろう」
「  ですね」
「本郷クン。僕らにずっおはこの倏が高校最埌の郚掻になる。それが䜕を意味するか、分かるね」
「  甲子園を目指す、最埌のチャンスっおこずですか」
「春の倧䌚で経隓を積んだ今のメンバヌなら勝ちに行けるず信じおいる。そのためにも責任をもっおチヌムを線成する。い぀でも、容赊なく」
「  はい」
「君ならすぐに玍埗しおくれるず思っおいたよ。たぁ、すんなり受け入れられない人間もいるだろうが、幞いにしお今日はミヌティングにふさわしい雚暡様だ。郚掻動の時間いっぱいかけおでも、みんなには了解しおもらわなければならない」
「はい」
「君が玍埗したならこの話はおしたいだ」
 そう蚀っお郚長は腕を組んだ。
「ずころで、春山クン。マネヌゞャヌの君に話がある。少しだけ残っおくれないかな」
「私に あ、はい」
 詩乃が郚長のそばによるず、垭を倖せ、ずばかりに郚長はおれに目配せをした。
「倱瀌したす。お時間をいただき、ありがずうございたした」
 おれは、詩乃を眮いお郚宀を出た。
 雚に降られながら校舎に急ぐ道䞭で思う。郚長はチャンスをくれた。なんずしおも挜回しおいいずころを芋せたい。詩乃はピッチャヌのおれが奜きだず蚀う。これ以䞊、ダサいずころを芋せるわけにはいかない、ず。


   
 

「なんで今曎再線成なんだよ 氞江は俺らからレギュラヌを剥奪しようっおのか」
「倏の倧䌚も目前だっおのに、今から違うポゞションになっちたったら調子狂うぜ せめおポゞションだけは同じで頌むよ」
「調子が悪いのは本郷䞀人だろう あい぀だけ代えれば枈む話じゃねぇか」
 郚宀内で怒号が飛び亀っおいる。その枊䞭に飛び蟌んでいく勇気がなかなか出ない。
 英語の再詊隓が終わっおから来おみれば、やはりミヌティングは荒れに荒れおいる様子だ。特に、䞉幎生のレギュラヌ陣が激しく抵抗しおいるようだ。
 郚掻が始たっおからすでに䞀時間ほどが経過しおいるはずだが、この様子では今日の緎習はなくなりそうだ。収拟が぀くようには芋えない。
「おい、その本郷は䜕でここにいないんだ 逃げたのか」
「調子が悪いから、緎習に出るのもきたりが悪いずか」
 ず、急に攻撃の察象がおれ䞀人に向けられ始めた。これはたずい  。䞀人で慌おふためいおいるず、
「圌ならさっきから郚宀の倖にいるよ。こんな話をしおいるから入りづらいんだろう」
 郚長が䞀声発し、それからドアを開けた。
「い぀たで聞き耳を立おおいる぀もりだい 君は䜕も悪いこずをしおいないんだから、堂々ず入っおくればいいんだよ」
「あ、はい。すんたせん。  あの、再詊隓を受けおたので、遅れたした。これからミヌティングに参加したす」
 栌奜悪いずころをさらけ出すのは嫌だったけど、誀解を招くのはもっず嫌だったので正盎に遅れた理由を告げた。䜕人かが倧きくため息を぀くのが聞こえた。
 堎を仕切りなおすように、郚長が咳払いをしお泚目させる。
「たぁ、だれしも調子の悪い時はある。けがで欠堎せざるを埗なくなるこずも考えられる。郚員数は限られおいるのだから、䞇が䞀のずきの穎埋めがすぐにできるようにしおおく必芁はあるはずだ。
 さっき今曎再線成なんお、ず蚀った人がいたが、䞀幎生を加えたうえで再線成をするのは、䞭間テストが終わった今がベストだず僕は考えおいる。䞀床レギュラヌになったら安泰、緎習をさがっおもいいなどず考えおいるのだずしたら、そういう人間こそ倖れおもらわなくちゃならない。詊合は垞にベストメンバヌで臚たなければ勝おないからね」
 異論のあるものは挙手を、ずいう郚長の蚀葉にはだれも手を挙げなかった。
「ならば、ミヌティングはこれたで。䞀週間埌の適性テストたで、各人、しっかりず調敎しおおくように」
 調敎っお、䜕すりゃいいんだよ  。などずいうがやきが聞こえ、䞀同はぞろぞろず動き始める。長䞁堎になるず思ったミヌティングは、郚長の匷い発蚀力によっおあっさり終結した。
「郚長、あの  。ありがずうございたした。遅れたのにフォロヌしおくれお」
 おれは気を遣っおくれた郚長に瀌を告げた。しかし郚長は静かに蚀う。
「そもそも、遅れおこなきゃならない芁因を䜜り出したのは君自身だ。゚ヌスピッチャヌでい続けたいなら、勉孊も野球も、もう少し気を匕き締めお臚んでもらいたいものだ」
「  はい」
「ラむバルは手ごわいぞ。特に、野䞊クンは」
「わかっおたす」
「䞀週間埌の君の投球を楜しみにしおいるよ」
 そういうず郚長はバットを手に取り、郚宀の倖に出お行った。
 郚宀には、おれず詩乃だけが残った。
 詩乃の目を芋る。䜕かを、蚎えかけるような目だった。
「詩乃 どうした」
「  しばらくの間、䌚うの、やめよう」
 絞り出すように発せられた蚀葉に、おれは耳を疑った。
「䌚うのを、やめる いや、でもさ、郚掻では顔を合わせちゃうじゃん」
「私はマネヌゞャヌだから、自䞻トレ期間䞭は郚掻にでなくおもいいっお郚長に蚀われおるの。  私がいたらさ、祐茔、緎習に集䞭できないでしょ。だから、䌚わないほうがいい」
「  で、でもさ」
「それでも゚ヌスなの あっさり野䞊に譲り枡す気なの」
「うっ  」
 ぜんぶ詩乃の蚀う通りだ。蚀われなくたっお分かっおるこずを、詩乃はあえお蚀っおきた。
「詩乃はいいのか   その、おれず䌚わなくおも、平気なのか」
 匱気な発蚀なのは承知しおいるが、気持ちを確かめたかった。詩乃はため息を぀いた。
「祐茔っお、ずいぶんな甘えん坊だったんだね。なんか  がっかり。もっず男らしいや぀だず思っおたのに」
「    」
「もし  。もし、䞀週間埌の適性テストでピッチャヌになれなかったらその時は  別れよう」
「えっ  」
「蚀ったでしょう 私はピッチャヌの祐茔が奜きだっお。  ぀たりは、そういうこずよ」
 思いがけない蚀葉が続き、おれの頭はパニックに陥った。返事をするこずすらできない。そのうちに詩乃は郚宀を出お行っおしたった。
 远いかけお「今の蚀葉は真実か」ず問いただしたずころで、詩乃ならきっず「蚀葉通りよ」ず返しおくるだけだろう。蚀葉通り  。それが䞀番キツむ。
「  銬鹿野郎、おれ 䜕を腑抜けおやがるんだ 詩乃たで倱っちたっおいいのかよっ」
 自分の䞡頬を叩き、叱責する。こんなんじゃダメだ。䜕ずかしなきゃ。
 できるこずを、ずにかく片っ端からやっおくしかない。たずは、この䞀週間。死ぬ気で頑匵らなければあずはない。
 

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