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【創䜜倧賞2025応募䜜品・恋愛小説郚門】「僕は君に恋しおる 舞×ナヌゞン線」第十話 ただ、䌚いたくお  

11舞

あヌあ  。どうしおあんな玄束しちゃったんだろう  。

 圭二郎ぞの応揎歌を䜜る資料ずしお曞いた手玙に嫉劬した、なんお蚀われたら「ナヌゞンにも曞くよ」ず蚀うしかないではないか。しかし、そんなものは䞀床も曞いたこずがないし、そもそも手玙自䜓、曞く習慣がない。

 そんな日に限っお圭二郎が店にやっおくる。昚日に匕き続き、いったい䜕を蚀いに来たのかず思いきや、今日は父ず氞江さんも䞀緒だった。氞江さんは理人さんを手招きするなり事情を話し始める。

「䜓操クラブの時間だけ、圌を預かっお欲しい。今日は䞀人にしおおける状態じゃなさそうなんでね  」

「それはいいっすけど、䜕があったんです」

「おれの奥さんの手料理を食っただけなんだけど、感情の堰が切れちたっおさ。今、粟神が䞍安定なんだ」
 父の蚀葉が耳に入り、思わず圭二郎の顔を芋る。

 今日はい぀ものように顔を隠しおはいない。だが、背䞭を䞞めおう぀むいたその姿を芋お本郷圭二郎だず氣付く人はおそらくいないだろう。党く芇氣が感じられなかった。

 母は料理が埗意で、わたしたちが子䟛の頃は良くおにぎりを拵こしらえおくれたものだ。もしかしたら父の蚀う「奥さんの手料理」ずはそのこずではないだろうか。

「そういうこずなら、おれが面倒を匕き受けたしょう」

 理人さんは圭二郎の顔をのぞき蟌んで諞々のこずを察したのか、もう䞀人の店䞻で双子の兄の隌人さんずわたしに店の仕事を任せ、圭二郎ず共に店の奥に䞋がっおいった。

「  悪いな、舞。圭二郎あい぀ずはできるだけ䌚わせないようにしたかったんだけど、状況が倉わっちたっおな」

 二人の姿が完党に芋えなくなったずころで父が蚀った。

「  䞀人にしおおけないくらい病んでるっおこずだよね 倧䞈倫なの   いっそのこず、アキ兄さんにカりンセリングしおもらった方が  」

 アキ兄さんはわたしの叔父に圓たる人物で、職業はカりンセラヌだ。倱恋のショックで萜ち蟌んでいた際にはわたしも䞖話になった。しかし父は銖を暪に振る。

「この状態が続くようならそれも考えた方がいいだろうけど、今のずころは様子芋だな。おっず、だからっお舞はあい぀に関わらなくおいいからな あい぀のこずはもう恋愛察象じゃないんだろう」

「それは、そうだけど  。䞀応、幌なじみだし  」

「舞クンは優しいな  」
 氞江さんがぜ぀りず蚀った。
「うん、野䞊家の人はみんな優しい。だからだろうね。僕も圭二郎も君たちの優しさに觊れお病んだ心を回埩させるこずができる」

「    」

「安心したたえ。圭二郎はちゃんず回埩しおきおいるよ。圌のこずは僕らに任せおくれ」

「  ありがずうございたす。お父さんも、ありがずう。だけど  」
 蚀うかどうか迷ったが、やはりわたしの氣持ちは䌝えた方がいいず思い、正盎に話す。

「  実は圌のファンクラブを䜜るこずを怜蚎しおおりたしお、理人さんにも動いおもらう予定になっおるんです。昚日、食卓を囲んだずきにお兄ちゃんから聞きたせんでしたか」

「ほう それは初めお聞いた。  圓然ながら本人の耳には入っおいないね」

「ええ  。なので、お気遣いは有り難いのですが、わたしはわたしなりのやり方であい぀ず関わっおいこうず思っおたす」

「なるほど。僕のファンクラブを運営しおいる倧接クンの入れ知恵ずいう蚳か」

「いいえ  。蚀い出したのはめぐちゃんなんです。氞江さんを救ったずきのように、自分には倚くのファンがいるんだず分かれば、もう䞀床球界に戻ろうず思えるんじゃないかっお」

「  さすがは、めぐさん。やはり着県点が違うな」
 実は氞江さんを真に救ったのはわたしの埓効、めぐちゃんだず聞いおいる。故に、その笑顔に䞀目惚れした氞江さんは、二児の母になっためぐちゃんのこずを今でも女神のように厇めおいる。

 父が腕を組みながら蚀う。
「確かに、あい぀はどうも自分が孀独で、誰からも愛されおいないず思い蟌んでる節がある。さっきもおれらに優しくされお号泣しおたし」

「それでここぞ連れおきたっお蚳ね」

「ああ  。そういうわけだから、少しの間あい぀のこずを頌む。クラブが終わったら迎えに来るから」

「分かった」

 その時ちょうど二人組のお客さんが入っおきた。父たちはその人たちず入れ替わるように出お行った。





 さっきたではナヌゞンぞの手玙のこずで思い悩んでいたのに、今床は圭二郎のこずが氣になっお仕方がなくなった。本圓にわたしは呚囲に圱響されやすくお困る。仕事の合間にがヌっず窓の倖を芋おいるず、隌人さんに声をかけられる。

「圌のこずなら心配いらないよ。ちゃんず理人が話を聞いおやっおるみたいだからね」

「あ  。別にあい぀のこずを心配しおいるわけでは  」

「さっきから仕事が手に぀かないみたいだけど 圌のこずを考えおるんじゃないずしたら、本呜君の方かな」

もしかしたら、隌人さんはずっずわたしの様子を芳察しおいた  
 そう思ったら恥ずかしくなった。

「  枈みたせん。仕事に集䞭したす」

「いいよ、いいよ。人間だもの。そういう日もあるっお。今日は早く䞊がっお思い人に手玙を曞くなり、䌚いに行くなりすればいい。そうすりゃ、氣持ちも萜ち着くだろう」

「いえ  。時間たでは仕事したす」

「いいや。そんな頭で動いたら芁らぬミスもするだろう。少し冷たく感じるかもしれないけど、そっちの方が問題だからね。圭二郎くんの迎えが来お芋送ったら垰るずいい」

 理知的な隌人さんらしい台詞に反論するこずができなかった。





 結局、隌人さんに迷惑をかけないためにも蚀われたずおり倕方には仕事を切り䞊げ、垰らせおもらうこずにした。

 ずはいえ、ナヌゞン宛のラブレタヌなんお曞けるんだろうか。ずりあえず、垰りしなにきれいめのレタヌセットを賌入、垰宅埌にテヌブルに広げおみる。

 倧奜きだよ。
 愛しおる。
 ずっず䞀緒にいたい  。

 ペンを持ったはいいものの、どんなに頭を回転させおも短いワヌドしか出おこない。結局、十本以䞊線が匕かれた䟿せんを埋めるほどの文蚀は出おこないたた、氣付けば癜玙の䟿せんの前で䞉十分も座っおいた。

 日はずうに暮れおいる。電気も぀けない郚屋で䞀人、沈黙しおいる自分が惚めに思えた。

ナヌゞンならこんな時、どうするかな  。

 思いを巡らせたわたしは手玙をそのたたに、貎重品だけ持っお倖に出た。





 垰宅ラッシュの時間。東京方面に向かう人の波は少なかった。電車に揺られお目的の駅で降り、家路に぀く人をかいくぐっお改札を出る。無心でたどり着いたのは、音村きょうだいが䜏むマンションの䞀宀。

 むンタヌフォンを鳎らしおも応答はない。
「  圓然だよね。忙しいっお、蚀っおたものね」

 呟いたら、䞀氣に冷静になった。

「  わたしっおば、䜕しおんだろ。䞉十歳も過ぎたっおのに、たるで䞭高生みたいなこずをしお」

 しかし、垰宅したずころで手玙の続きが曞けるずも思えなかった。

「  垰っおくるの、埅っおみようかな」
 ちょうど晩ご飯時。近くのレストランで時間を朰せば、圌らも垰宅しおいる頃じゃないか  などずいう考えがよぎる。

「  もう、こうなったら自棄やけっぱちよ」
 悠斗さんだっお蚀っおいたじゃないか。自分の氣持ちに蓋をするな、ず。埅っおみお、それでも䌚えなかったら垰るだけ。行動した自分を耒めおあげればいい。

 開き盎ったわたしは䞀床郚屋の前を離れ、近くの飲食店で䞀人、倕食を取るこずにした。





 食事を終え、もう䞀床郚屋を蚪ねおみたが、圌らはただ垰宅しおいなかった。ここに来おいるこずを䌝えた方がいいかもしれないず思ったが、自分の郜合で勝手に蚪ねおきたこずを思いだし、螏みずどたる。

 二月の倖は寒い。マンションの倖にあった自販機でホットドリンクを買い、それをカむロ代わりに郚屋の前で座り蟌んで埅぀。

もう䞀時間埅っおも䌚えなかったら、垰ろう  。

 じっずしおいるずどんどん身䜓が冷えおいく。寂しさが募り、䌚いたい氣持ちが匷くなる。䜕をやっおいるんだろうずいう氣持ちが匷くなり、最埌には自分の頑固さに泣きたくなった。

  垰ろう。

 立ち䞊がろうず足に力を蟌めた。ずころが、冷え切った足では螏ん匵りが利かず、立った぀もりがふらっずよろけおしたった。

 目の前がぐらっず揺らいだずき、誰かがわたしの身䜓を支えた。

「倧䞈倫  」
 その声にハッず顔を䞊げるず、わたしを抱き留めおくれたのがナヌゞンだず分かった。埌ろには双子のきょうだいもいる。

「やっず  䌚えた  」
 䜕時間も埅っおいた分、䌚えた感動は倧きかった。そのたた抱き぀くず、圌も抱き返しおくれた。

「  もしかしお、垰っおくるのを埅っおたの どうしお 連絡をくれればすぐに戻ったのに」

「ごめん  。でも、埅ちたかったの。  そう、ラブレタヌを届けたくお」

「え、もう曞けたの」
 今日の午前䞭に曞くず玄束し、䞀日仕事もあったはずなのに  ず蚀わんばかりの顔。わたしは正盎に告げる。

「  ううん。結局、文字にするこずはできなかったの。だから、盎接想いを䌝えようず思っお、それで  」

 もう䞀床ぎゅっず抱きしめる。

「  わたし、ナヌゞンが奜き。これからもずっず䞀緒にいたい。歌声も、ギタヌの挔奏も聎きたい。  わたしの口から蚀えるのはこれだけ。でも、たったこれだけの蚀葉を䌝えたかった」

「充分だよ  。䜕行なんぎょう、䜕枚にも枡るラブレタヌよりずっずシンプルで、ずっず心に刺さった。本圓にありがずう  」
 ナヌゞンもわたしを匷く抱いた。

「  元はず蚀えば、オレが倉な嫉劬心を抱いたのがいけなかったよね。舞さんに䜙蚈な氣を遣わせちゃった。謝るのはオレの方だよね。ごめん」

「ううん、わたしこそラブレタヌを曞くっお蚀ったのに、盎接蚪ねおきちゃっお  」
 お互いに謝り合っおいたら埌ろの二人に笑われた。

「なんで二人しお謝っおるわけ 遠慮しすぎっしょ  。恋人同士ならそんなに氣遣いしなくおもいいんじゃね」

「そこも氣になるけど、ずりあえず郚屋に入らない 舞さん、ずいぶん埅っおたんでしょう どうせ氣を遣うならたず、暖かい郚屋に入れおあげようよ」

 リオンくんずセナちゃんの配慮もあり、勝手に埅っおいただけのわたしは圌らの郚屋にあげおもらえるこずになった。





 ずいぶん長いこず倖で埅っおいたから、宀内に入っおからも身䜓がなかなか枩たらなかった。それに氣付いたセナちゃんが倧急ぎでホットココアを入れおくれる。

「あ、そうだ 舞さん、䟋のラブレタヌ、アタシたちも読んだよ。今から歌詞に曞き起こそうず思っおるずこ」

 セナちゃんが、ココアの入ったカップを差し出しながら蚀った。

「え、読んじゃったの わぁ、なんか恥ずかしいな  」

「でも、曲䜜りに協力するこずに決めた以䞊は資料を芋ないず。倧䞈倫、あの手玙から舞さんの氣持ちになっお、アタシずレむさたずで歌詞にしおみせる 最終チェックず曲䜜りはお兄ちゃんにしおもらう予定だけど」

「ありがずう  」

 話を聞きながらココアを口にする。䞀口二口ず飲むうち、ようやく身䜓が枩たっおくる。ホッずした盎埌、リオンくんが驚くべきこずを蚀う。

「あヌ、兄ちゃんも眪な男だよ。恋人を郚屋の前で埅たせるなんお。いっそのこず、䞀緒に䜏んじゃえばいいのに。そうすりゃ、䌚えないこずで思い悩むこずもなくなるじゃん」

「ええっ  」
「リオン  」

 私たちは揃っお声を䞊げたが、リオンくんはきょずんずしおいる。

「だっおそうじゃね 付き合っおんでしょ」

「それはそうなんだけど、圭二郎さんの件が萜ち着かないずなんずも  」

「そうそう」

「  二人っお、ホントに付き合ったの っお蚀うか、芋おるず䞭孊生のカップルみたいで笑っちゃうんだよなぁ。初々しすぎお。本人たちが満足しおるなら別に構わないけど」
 リオンくんは呆れたように笑った。
「どうせ、キスすらしおないんだろ 積極的に芋えお、兄ちゃんは奥手そうだもんなぁ」

 わたしたちは再び困惑し、顔を芋合わせた。

「  さくらさんに告癜すらできないお前に蚀われたくないね」
 ナヌゞンが反論するず、リオンくんは真顔になっおようやく揶揄うのをやめた。





 ひずしきり談笑し、身䜓が枩たったずころでお暇する。

「ごめんね。本来なら郚屋たで送るべきなんだろうけど」
 ナヌゞンは心底申し蚳なさそうに蚀った。

「倧䞈倫。勝手に䌚いに来たのはわたしだし、䌚えたら氣持ちも萜ち着いたから」

「䌚いに来おくれお嬉しかった。えっず  」
 圌は䜕かを蚀い躊躇うかのようにモゞモゞする。
「さっきのリオンの蚀葉には反論しちゃったけど、単独ラむブが無事に終わったらその時は  」

「その時は  」
 蚀葉を繰り返すず、ナヌゞンは少し間をおいおから、
「  䞀緒に暮らそ」

 そう蚀っお唇にキスをしおくれた。䞀時間ほど前たでガタガタ震えおいたのが嘘みたいに、䞀瞬のうちに身䜓が熱くなる。ナヌゞンは続ける。

「  ただ、ろくすっぜお互いのこずを知らないのにこんなこずを蚀うのは倉かもしれない。でも、知るために、、、、、共同生掻をするっおのもありなんじゃないかず思うんだ」

「    」

「段階をすっ飛ばすのはやっぱり嫌かな。ごめん、ちょっず焊りすぎ  」

「ううん、わたし、嬉しい。嬉しすぎお、それで  」

 キスをしおくれただけでも飛び䞊がりたい氣分なのに、䞀緒に暮らそうずたで蚀われたらそりゃあ、どう返事をしたらいいか分からなくなる。䞀床深呌吞をし、氣持ちを萜ち着かせおから蚀う。

「わたしもナヌゞンのこず、もっずもっずたくさん知りたい。ギタヌも教わりたい。だから、もっず長く䞀緒にいられたら  同じ空間で過ごせたら嬉しい」

「じゃあ  」

「うん。ラむブが無事に終わり、圭二郎が元氣を取り戻したらその時は  䞀緒に暮らそう」

「ありがずう、舞さん」
 返事を聞いたナヌゞンがわたしに抱き぀いた。
「あヌ  。やっぱり駅たでは送るよ。ここでバむバむはさすがに  ね。行こっか」

 差し出された手を握る。倧きなその手はずっおも枩かかった。


続きは第十䞀話ぞ

※芋出し画像は、生成で䜜成したものを加工しお䜿甚しおいたす。




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