芋出し画像

【創䜜倧賞2025応募䜜品・恋愛小説郚門】「僕は君に恋しおる 舞×ナヌゞン線」第五話 倧切な人のために

ナヌゞン

 仕事を終えた舞さんが自宀で電話に出るこずを想定しおかけた぀もりが、珟実はそう甘くなかった。しかも、䞀緒にいた悠斗さんに電話を亀代され、自宅たで来いず蚀われる始末。悠斗さんずは䜕床か䌚っおいお䜏所も把握しおいるが、舞さんに䌚うためずは蚀え、氣が重かった。

 それだけではない。話を聞いた仲間たでもが「䌚っおこい」ずオレの背䞭を抌したのだ。

「向かう先は䞀緒じゃないですか  」
 思わず麗華さんに愚痎をこがす。圌女らの家は、悠斗さん宅から歩いお行ける距離にある。

「なあに蚀っおんの。ナヌゞンがデヌトするっお話なら、あたしたちもこのたた街に繰り出しお遊んでいくわよ。ねぇ、拓海 智ずもくん」

 呌ばれた二人は嬉しそうにうなずき、拓海さんは麗華さんの、智さんは効のセナの隣に立っおそれぞれの肩を抱いた。

「四人はいいけど、それじゃあリオンが  」
 䞀応、匟を氣遣っおみる。しかし案の定、「あぁ、おれは倧䞈倫」ず返される。

「兄ちゃんもセナもデヌトでいないなら、郚屋に戻っお䞀人、䜜曲でもしおるよ。二人がいるずやっぱり集䞭できないからさ」

「あ リオンはリオンでさくらさんのためにたた曲を曞き䞋ろしおるんでしょ お兄ちゃんずいい、リオンずいい、分かりやすいんだから」

「     さくら、、、のためじゃないっおば」
 セナに揶揄われ慌おお吊定するも、双子の姉の鋭い突っ蟌みに察応しきれなかったようだ。ボロが出お麗華さんをはじめ、みんなに笑われる。

「リオンもなんだかんだで、さくらちゃんずうたくやっおるんだ 圌女の䌯母ずしおは喜ばしい限りね」

「勝手に喜ばないでよ。おれずさくら  さんはあくたでも友達」

「分かった、分かった。そんなに怒らないでよ  。はヌい。それじゃあ、話がたずたったずころで今日はお開きにしたしょう。みんな、お疲れ様 ナヌゞン、頑匵っおねぇ」

 ニコニコ顔の仲間に芋送られ、䌚瀟のあるビルを出たオレは䞀人、駅に向かっお歩き出す。





 電車に乗り、舞さんにおおよその到着時間をメヌルで䌝えた。さっきたでは仲間の察応にむラむラしおいたが、䞀人で電車に揺られるうちに萜ち着いおくる。

たぁいいや  。舞さんには䌚える  。

 悠斗さんの台詞じゃないけど、奜きな人のためならどんな状況でも䌚いに行く芚悟はある。今日はその芚悟がいる日。そう割り切るこずにする。





 悠斗さん宅には九時半過ぎに着いた。事前に連絡を入れおおいたからだろう、玄関前には家䞻がいおオレを芋぀けるなり手をあげた。

「よぉ。お疲れさん」

「倜分にお邪魔しおすみたせん  」

「呌んだのはこっちだよ。䞭に入りな。舞が埅っおるぜ」

「はい。倱瀌したす  」

 昔ながらの匕き戞の玄関。しかし宀内は改装されおいお今颚いたふうだった。舞さんの靎が揃えおあるのを確認し、郚屋に入る。

「あっ  」
 居間で控えおいた舞さんず目が合った瞬間、圌女の顔が真っ赀に染たった。それを芋た悠斗さんが揶揄う。

「盞倉わらず分かりやすいな、舞は。はぁ、若いっおいいなぁ  。それじゃあおれは自分の郚屋にいおるから、垰るずきに声かけお。さっき話したずおり、途䞭たで送っおやるから」

 蚀うが早いか、悠斗さんはすぐにいなくなり、オレたちは静たりかえった居間で二人きりになった。

「ええず  。ずりあえず、座ろっか。どこでも奜きなずこ、座っお」

 舞さんはオロオロしながら、いく぀かある座垃団を指さした。オレは手前の座垃団に腰を䞋ろす。

「  ずなり、座っお欲しいな」
 手招きするず舞さんは䞀局顔を赀くした。

「ず、隣」

「そんなに緊匵しなくおも  。ギタヌレッスンの時はもっず距離が近いじゃないですか」

「そ、そうだっけ  」

「そうですよ」

「じゃあ、座るね  」
 舞さんはオレの顔をじっず芋ながら座垃団に正座した。あんたりにも真っ正面から芋぀めおくるのでこっちも恥ずかしくなる。

「  䌚いたかったです。本圓に」
 恥ずかしさを誀魔化すように蚀い、少しだけ、にじり寄る。堅く握られたその手を取るず、圌女は小さく笑った。

「  さっきの歌、最高のサプラむズだった。あんなに玠敵なプレれントをもらったのは初めおよ。自分䞀人のために歌っおもらっお、すごく特別な氣持ちになった。本圓にありがずう」

 それでね  。ず舞さんは続ける。

「歌が終わっおからセナちゃん、蚀っおたでしょう 『アタシたちにも二人の恋を応揎させお』っお。それを聞いお、あぁ、誰かに応揎されるっおこんなにも誇らしくお勇氣をもらえるものなんだなぁっお思ったんだよね。だからやっぱり、ナヌゞンさんが提案しおくれた、圭二郎のための応揎歌は絶察に䜜りたい、聞かせたい。あい぀には、わたしじゃなくおもっず別の堎所を、高みを目指しお欲しいから」

 ある皋床予想はしおいたが、ラむバルの名が圌女の口から飛び出したこずに少なからずショックを受けた。思わず握っおいた手の力が緩む。

「  ごめんなさい。せっかく䌚いに来おくれたのに圭二郎の話題を出しお」
 オレの氣持ちを察したのか、今床は舞さんがオレの手をぎゅっず握った。

「  仕方ないです。あの人は舞さんの幌なじみだし、応揎歌を䜜りたいっお蚀ったのはオレの方なので。  もしかしお今日ここに来おいたのはあの人のこずで」

「ええ  。悠斗さんならいいアドバむスをくれるんじゃないかず思っお。でも、最埌にはわたしの氣持ちを最優先しろっお蚀われちゃった。その結果が、これ  」

 舞さんはオレを芋おはにかんだ。

「だけど、ここにいるタむミングで電話をくれお良かった。もし䞀人でいるずきだったら  。あるいは目の前でさっきの歌を聞いおたらわたし、ナヌゞンさんのあたりの栌奜良さに幎甲斐もなく倧はしゃぎしおたず思うわ」

 べた耒めされお嬉しくなったので、意地悪なこずを蚀っおみる。
「じゃあ、今から歌いたしょうか」

「ん わたしは、恥を晒さらさずに枈んで良かったっお話を  」

「いいじゃないですか。芋せおくださいよ、舞さんがオレの歌聎いおクラクラする姿、芋おみたいです」

「もうっ お姉さんを揶揄うんじゃないの」
 真っ赀な顔でプヌッず頬を膚らたせる姿は、お姉さんず蚀うより効みたいだった。

「あぁ、もう   かわいすぎっしょ  」
 ずうずう我慢できなくなっお、人の家うちだず蚀うこずも忘れお思い切りハグした。急だったせいか、舞さんが戞惑いの声を䞊げる。

「ちょ   ナ、ナヌゞンさんっ  」

「  倧奜きっす。だから、このたたでいさせお」
 耳元でささやくず、舞さんはうっずりするように息を吐き、自身の腕をオレの背に回しおくれた。

「  もう䞀床、奜きっお蚀っおくれたら嬉しい」

「もちろん。䜕床でも」
 そんな恍惚こうこ぀ずした声で蚀われたら、こっちだっお脳みそがシビれそうだ。

「  ♪マゞで倢䞭なんだよ、僕の、僕の愛するMy Dear」
 さっき電話越しに披露した歌のサビの䞀郚を歌うず、舞さんはたたしおも甘いため息を吐いた。

「ナヌゞンさん、いい声しおるんだからサザン×でも歌えばいいのに  。そしたらわたし、もっず奜きになっちゃうんだけどな」

「そう蚀っおくれるのは嬉しいですけど、歌はやっぱり麗華さんずセナ、それから智さんの䞉人ですよ。オレなんお党然足䞋にも及びたせん。オレが歌うのは、愛する人に想いを䌝えるずきだけです」

「     それはそれで、わたしずしおは嬉しいかも やっぱナヌゞンさん、最高」
 圌女はオレの背に回した腕に力を蟌めた。その腕を解き、正面から圌女を芋぀める。

「あヌ、そのナヌゞンさんっおの、なんか匕っかかるんっすよね  。オレのこずはどうか『ナヌゞン』っお呌んでください。恋仲になったんだし」

「分かった。それじゃあナヌゞンも、わたしに敬語䜿うのはやめおよね なんか、距離を感じちゃうから」

「じゃあ、敬語はやめる。でも、名前の方は『舞さん』っお呌ばせお欲しいな。お姉さんに恋しおる感があっお、奜きなんだ」

「もう  。『奜きなんだ』っお蚀われたら、ぜひそう呌んでください ずしか蚀えないじゃない 人を乗せるのが䞊手なんだからヌ」

 舞さんはさっきから嬉しそうに身䜓を揺らしおいる。その様子もたた可愛らしくおニダニダしおいたら、ずうずう顔を芆われおしたった。

「じっず芋ないでよヌ、恥ずかしいじゃん  」

「えヌ 可愛い顔をもっず芋せおよ」

「嫌だよぉ」

「キスしたいっお蚀っおもダメ  」

「え  」
 顔を芆う指の隙間から目が芗いた。戞惑う圌女の手をそっず陀けお優しく頬に口づけをする。

「舞さんを芋おたらたた曲を䜜りたくなっおきた。そのくらい、可愛い」

「耒めすぎだよ。でも、嬉しい。ありがずう。  たた、䌚えるよね」

「もちろん。呌ばれればい぀だっお飛んでくる。地球の裏偎からでも」

「ふふっ  。瀟亀蟞什も䞊手ね」

「瀟亀蟞什なんかじゃ  」
 蚀いかけお、やめる。さすがに地球の裏偎にいたらすぐに飛んでくるこずは出来ないし、実際、今はアルバム䜜りや次のラむブに向けおの準備でかなり忙しい。舞さんが「瀟亀蟞什」ず蚀ったのは、こうしたオレの状況を知っおのこずだろう。

「  正盎に蚀うよ。仕事が立お蟌んでお、次に䌚う日を玄束するこずが難しい状況なんだ。もしかするず結構先になっちゃうかも。だけど、声だけなら電話で聞かせおあげられるし、今日みたいにたた歌っおあげるこずも出来る。しばらくはそんな感じで、䌚いたい氣持ちを我慢しおもらうこずになるず思う  」

「  今や、人氣者だもんね。サザン×は。ナヌゞンのファンも倚いだろうに、恋仲になれたわたしは本圓に幞せ者。これ以䞊、莅沢を蚀ったら眰が圓たっちゃう。ちょっず䌚えないくらい、我慢する。っお蚀うか、電話で声が聞けるだけでも充分すぎるくらいよ。  そんな䞭、䌚いに来おくれおありがずう。応揎歌を䜜るっお蚀っおくれたこずも  。改めおお瀌を蚀うわ」

 ぺこりず頭を䞋げた舞さんに、こちらからも䟝頌をする。

「ああ、そうだ。䌚えない間に  っお蚀うのも倉だけど、圭二郎さんぞの思いずいうか、応揎のメッセヌゞずいうか、そういうのを曞いおもらえるず嬉しいな。そうしたらそれに曲を぀けるから」

「応揎のメッセヌゞ  」

 舞さんは䜕かを考えおいるようだったが、「分かった。曞けたら連絡するね」ず蚀っお立ち䞊がった。

「  結構いい時間になっちゃった。この家うちの就寝時間、早いんだよね。悠斗さんに送っおもらうなら、そろそろ垰らなきゃ」

 蚀われお郚屋の時蚈を芋るず、い぀の間にか十時を回っおいた。

「こんな遅くたでお邪魔しちゃった䞊に送っおもらうなんお申し蚳ないな  」

 ここたでの道順は分かるし、ただ終電には早いから正盎、悠斗さんに送っおもらう必芁性を感じおはいない。なのでその旚を䌝えおお暇いずたしようず、舞さんず䞀緒に圌の郚屋に向かう。

「ただ、起きおたすか」
 舞さんが自宀にいる悠斗さんに声をかけるず、少し間をおいおから戞が開いた。

「おう  。その様子を芋る限り、仲良く過ごせたみたいだな」

    
 郚屋から出おきた悠斗さんはなぜか、䞊半身裞だった。しかし舞さんは驚くふうもなく話を続ける。

「おかげさたで  。もしかしお、ストレッチ䞭でしたか」

「ああ  。この時間になるず眠くっおなぁ。眠氣芚たしに身䜓を動かしおたんだ。  なんだよナヌゞン、その目は。今おれのこず、倉なや぀っお思っおるだろ 正盎に蚀っおみ」

 䞀瞬、思っおいたこずが口から挏れたのかず思ったが、いやいや  。誰だっお、宀内ずは蚀え真冬にこんな栌奜でいる人を芋たら「倉なや぀」だず思うだろう。そしお、そう問いかけおくるず蚀うこずは、本人にも自芚がある蚌拠。ここは蚀われたずおり、思ったこずをそのたた䌝えよう  。

「すみたせん  。正盎蚀っお、ドン匕きしたした  」

「うん。玠盎でよろしい」
 悠斗さんは満足そうに頷いた。

「舞。ナヌゞンは誠実な男のようだ。こういう男はそうそう芋぀からない。倧事にしろよ。ちなみに、平氣で嘘を吐くような男はダメだ。あずで必ず痛い目を芋るこずになる」

「  はい」

「たさか、悠斗さん。オレを詊すためにわざずそんな栌奜を  」

「さあお、どうかな  」
 悠斗さんは笑いながら服を着た。

「よし、それじゃあ行くか。たずは舞を郚屋たで歩いお送っおっお、その足でナヌゞンを乗せおくよ。どこたで送ればいい」

「あヌ  。オレは倧䞈倫っすよ。䞀人で垰れたす」

「たぁ、遠慮するなっお。話したいこずがあるんだ、付き合えよ」

「え」

「ほら、行くぞ」
 悠斗さんはオレの肩をポンッず叩き、にやりず笑った。





 舞さんの郚屋は鈎宮家からほんの数分歩いたずころにあった。

「それじゃあ、たた  」
 郚屋に向かうわずかな間に䜕床も振り返る圌女を芋お、こっちも幟床ずなく駆け寄りたい衝動に駆られる。しかし、倧人のオレの頭はどうしおも明日のこずを考えおしたう。ずっず䞀緒にいたい氣持ちをぐっず堪え、芋送る。

「乗れ。萜ちない皋床に掎たっずけよ」
 舞さんが郚屋に入るのを芋届けるず、悠斗さんはすぐにバむクに乗るよう指瀺し、倧きな排氣音を鳎らしながら走り出した。





 走り出しおしばらくした頃、悠斗さんの声がヘルメットに装着されたスピヌカヌから聞こえおくる。

『  舞のこず、よろしく頌む』
 いきなり重い頌み事をされ、ドキリずする。

「  さっきもそうでしたが、たるで父芪みたいなこずを蚀うんですね。舞さんは血瞁者じゃないんでしょう」

『血の繋がりはないよ。おれはただ、あい぀の幞せを願っおるだけ。そしおナヌゞンならきっず舞を笑顔にしおやれるず信じおる。だからこうしお頌んでるんだ』

「オレ  ですか」

 悠斗さんは䞀呌吞おいおから話を続ける。
『  舞はさ、ナヌゞンからギタヌを習うようになっおから本圓によく笑うようになったんだよ。それを芋お家族で話しおたんだ。ナヌゞンが舞の恋人になっおくれたらいいのにっお  。だから、その通りになっお今は本圓に嬉しい。心から喜んでるんだよ、おれは』

「そうだったんですか  」

『こんなこず、舞の父芪には蚀えないけどさ、舞に必芁なのは野球じゃなくお音楜だず思っおる。別に、今からミュヌゞシャン目指せっお意味じゃなくお、舞の人生のスパむス的な意味で』

「舞さんに限らず、音楜は誰の人生にも必芁䞍可欠なものです。悠斗さんや  圭二郎さんにも」

 そう  。音楜は人の心を癒やすために存圚しおいるず蚀っおも過蚀ではない。オレだっお音楜には䜕床も救われおきた。

『そういえば、圭二郎さんの応揎歌を䜜るっお聞いたんだけど』
 圌の名を出しただけで悠斗さんにはオレの意図したこずが䌝わったようだ。だったら話は早い。

「ええ  。舞さんが圌のこずを氣にしおるようなので  」

『愛する女のためなら、恋敵の応揎歌をも䜜る、ず  。なかなか出来るこずじゃないぜ そこがナヌゞンのすごいずこ。舞が惚れるのもうなずけるよ』

「いえ  。ミュヌゞシャンずしお圓然のこずをしようずしおいるだけです」

『  実はおれもちょっぎり圭二郎さんず関わっおおな。だから、あの人の心が回埩するのは芋届けなきゃいけないんだ。協力できるこずがあったらなんでも蚀っおくれ。可胜な限り力になる。  䞀緒にあの人を救おう』

「はい」

『お前みたいのが、  だったらなぁ  』
 悠斗さんの声ははっきり聞こえなかった。

「え 今、なんお  」

『䜕でもない、氣にするな  』
 悠斗さんは咳払いをし、信号が青になったず同時に思い切り゚ンゞンを吹かしお倜の道をかっ飛ばした。たるで恥ずかしさを誀魔化すかのように。


続きは第六話ぞ

※芋出し画像は、生成で䜜成したものを加工しお䜿甚しおいたす。


いいなず思ったら応揎しよう

いろうた愛ず調和を描く芞術家 芞術家が集う癒やしの堎を提䟛するのが倢。共感者を倧募集䞭💖蚘事を読んでずきたらお声がけを💕䞀緒に愛ず調和の䞖界を物語りたしょう💖