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展覧会レポ:『コンビニ人間』の表紙に見覚えがある人へ——金氏徹平「tower (UNIVERSITY)」体験記

【約1,600文字、写真14枚】

金氏徹平とthe constructions「tower (UNIVERSITY)」
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA|2025年12月13日–2026年2月15日

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA 入口付近

たしかに知っているはずなのに、
どこにも見たことのない塔が、

目の前に立っていました。





噴煙の塔、記憶の穴

 塔がドーン!

展示会場の様子 

 煙を吐き、穴という穴から何かが飛び出す。
 チューブがうねり、チェーンが揺れ、ボールが跳ねる(写真の塔は動きません)。

《tower (UNIVERSITY)》 2025(設計・制作:dot architects)

 これは「塔」そのものではない。映像の中で動き出した姿だ。(すぐ奥に映像作品があります)
 静かに佇む実物の塔が、スクリーンの中で命を得ていた。

上記《tower (UNIVERSITY)》部分
覗き込んでみると…

 裏側にまわると、塔の“内臓”があらわになる。
 まるで、記憶の奥を覗き込むような感覚だ。

上記《tower (UNIVERSITY)》 内部


ここからだされるものは、わたしのゴミだろうか。


 YouTubeの再生ボタンを押すと、ちょうど《tower》から始まります。

※出典:YouTube【MEET YOUR ARTISTS】「買い物をした時点で制作はほぼ終わっています」【アーティスト・金氏徹平】森山未來が参加するユニット《なむはむだはむ》とのコラボのお話も!「演劇作品《tower》」

 展示会場の一番奥では映像作品を鑑賞できる。
 塔は軋みながら、何かを吐き出し続けていた。

《tower (MOVIE)》2009 映像(15 分)作画:金氏徹平、森千裕、板垣賢司/撮影:金氏徹平/音楽:金氏徹平・八木良太/編集:板垣賢司 

 どこかで見たような、でも確かに“今そこ”にあるもの。 見ているうちに、自分の中の何かがざわつきはじめる。

——この「ざわめき」こそが、tower (UNIVERSITY)の真骨頂なのかもしれない。



虎は、わたしの中を歩いていた

 展示室の壁に、デカデカと写真が貼られている。そこには、虎を連れて歩く人の姿があった。 もちろん、本物の虎じゃない。けれど、…

展示会場に貼られた写真

 「いやいや、何をやってるんですかっ」と、思わず声が漏れる。
 その“虎”が、目の前にいる。

《Pavilions(未完成のパビリオン)P1》2025 木製品、ニス

 ヒリヒリとした質感に、空気が少しだけ張りつめる。
 触れたら、こちらの皮膚までざらつきそうな気がした。
 この空間で何か生み出されているのではなく、 自分の中にこれがある、そんな気持ちにさせられる。

展示室内の休憩スペースには、金氏徹平とthe constructions《tower (THEATER)》のドキュメントブックが置かれている。ページをめくることで、作品の奥行きにふれることができる。

——教育の現場で、表現が交錯する。  
 完成してないのに、始まってる。塔はまだ建設中(?)なのに、もう煙を吐いてる。  
 金氏徹平の「tower」が、京都市立芸術大学の新キャンパスで、学生やアーティストと一緒に暴れはじめた! 

 展示会場に貼られた写真

 これは展覧会? それとも、巨大な実験? 見に行ったら最後、自分の中の“何か”まで動き出すかもしれません。



■information

金氏徹平とthe constructions「tower (UNIVERSITY)」

  • 会期:2025年12月13日(土)〜2026年2月15日(日)

  • 会場:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA

  • 開館時間:10:00〜18:00

  • 休館日:12/15、12/22、12/27–1/5、1/13、1/19、1/23–26、2/2

  • 料金:無料

  • 所要時間:約30分

  • 混み具合:贅沢タイム

  • 写真撮影:可能

※内容は予告なく変更となる場合があります



あれ…この塔、見たことある気がするの巻

ショップはありませんが…
展示会場2階からの様子

 この塔、どこかで見たような…ってずっと思ってて。
 やっと思い出しました。これですよね!

村田 沙耶香『コンビニ人間』(2016)

 小説『コンビニ人間』の表紙に使われているのが、
 まさに金氏徹平さんの作品なんです。びっくり。
 あの表紙の“塔”が、今ここで、煙を吐いている。

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA正面の歩道から撮影(右手に少し京都タワーが見えます)

 小説『コンビニ人間』の会場での販売はありませんが、ブックオフに行ったら、110円で見つかる…かも? 知らんけど🌚

 そんなわけで、今日もどこかで、誰かの中を虎が歩いてるのかもしれません。



最後までご覧いただき、ありがとうございました。
この展覧会、あなたならどう感じるでしょう?
コメント欄で、あなたの視点や体験を聞かせてください。


次回は本年度ラストを飾る「クラウド・ゲイト・ダンスシアター(雲門舞集)『WAVES』」の鑑賞レポートを予定しています(毎週水曜更新)。


ソース
 会場配布資料 金氏徹平とthe constructions「tower (UNIVERSITY)」京都市立芸術大学

※画像の転載・二次利用は、ご遠慮ください。

取材・文・写真:入江 玄


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