死ぬまでガールズトーク

「自分も歳をとったらいつか死ぬ。」

ぱつんぱつんの頬が光る若い女だった私は、この事実が信じられずボールペンで皺を描いて加齢をイメージしていた。

そこから20年。
頬や胸の位置が落ちてきた。
寝ジワのはずが定着してる。
文庫本の文字が霞んで見える。

私も歳をとるんだな、と理屈でなく実感として理解した途端、今まで目に入らなかったニュースがたくさん目に入り出した。

「年齢を理由に入居を拒まれる高齢者、社会的孤立の深刻化」 

……友達が独身女性ばかりの私には他人事じゃない。

主に氷河期世代の彼女たちは言う。「結婚はしたくない。趣味もある。今、十分満たされてる。」

……でも、20年後は?30年後は……?

世を恨まず時代を恨まず、一人で幸せを見つけて生きてる彼女たちの将来を「負け犬の末路は悲惨」なんて言わせるか。
そうして彼女たちとの60歳以上の人生を考えだした。



最適解は、「おひとり様の友人と独立した部屋でルームシェア、リビングに行けば誰かといつでもおしゃべりできる」。
または「おひとり様の友人複数が徒歩圏内に住み、日常的に声を掛け合える、いつでも誰かの家に集まれる」になった。

まるで大学周辺に住んでる大学生みたいなライフスタイル。
でもそもそも既存の人生モデル「結婚→出産→子供独立→老後(子供に期待)」から外れてるんだから今更何が問題か。
そこでいつまでも学生みたいに集まりガールズトークをする。
長く生きるほど語るネタも増えていく、語る先から忘れていく、だから延々できる。
……ボケ防止にもなるしネ!



これらがきっと楽しく最低限の見守りネットワークになると思ったのは、お年寄りが過半数の公営住宅に住んだ経験から。
その時私は希少な若者だったので、役員をやらされ団地内のイベントに走り回らされた。
どのイベントも高齢者が集会所に多く集まりおしゃべりに花を咲かせ、月一の掃除も高齢者が参加し情報交換していた。
自治会費の集金や回覧板を回しに、役員は定期的に一戸ずつ声をかける。
そんな昭和っぽいご近所付き合いは、若いうちは窮屈で面倒なもの。
でも、若い自分でも「この団地のような距離感は老後にはすごくいいかも!」と感じた。むしろこの距離が必要だ。

この時の直感をいつか正解にする。
おひとり様シニア女子が、横とつながりながら住み続けられる場所を作る。
何十年後のガールズトークのメンバーと、今から信頼を築き上げていくんだ。


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