中国留学生が語る!国内トレンド⑦ 没入型宮廷宴会レストラン
5000円で皇帝生活を体験できる?!予約殺到の宮廷宴会レストラン
皆さまこんにちは!
インバウンド消費者研究室でインターンをしている、中国出身の梁です!
今回は中国国内のイマーシブトレンドについてご紹介します!
よろしくお願いいたします!

最近、日本のSNSでも「没入型(イマーシブ)」という言葉をよく耳にするようになりました。東京でもイマーシブ・テーマパークができるなど話題ですが、中国では今「没入体験」と「食」を融合させたレストランが流行しています!
今、中国のSNSを見ていると「これ、どこの映画のセット?」と二度見してしまうような投稿が溢れています!
豪華な宮殿できらびやかな衣装に身を包み、優雅にダンスを眺めながら食事をする人々。実はこれ、映画の撮影ではなく、いま中国の若者の間で爆発的に流行している「没入型(イマーシブ)宮廷宴会レストラン」なのです。
今回は、中国国内だけでなく、旅行で訪れる外国人観光客の間でも話題になりつつある、この「没入体験」について深掘りします!
■① 国内トレンド:宮廷宴会レストラン
宮廷宴会レストランは、いま中国の北京、上海、西安、杭州などの大都市で流行しており、「宮宴(ゴンイェン)」や「イマーシブ・ダイニング」と呼ばれる新しいスタイルのレストランです。

このトレンドを一言で表すなら、「グルメ+ ショー + 変身体験」が完全に一体化したエンターテインメントです!
単に美味しい料理を食べるだけではありません。「宮廷料理」「衣装・メイク体験」「宮廷舞踊・演劇」という3つの要素を組み合わせることで、ゲストを特定の歴史時代、唐代や清代といった華やかな宮廷の世界へと誘います。
衣装・メイク体験: 入店後、まずは自分好みの本格的な宮廷衣装を選びます。その後、時代考証に基づいたプロヘアメイクを施してもらいます。
宴会料理: 支度が整うと、宮女(店員さん)に導かれて宴の席へ向かいます。当時の宮廷料理を再現され、コース料理が運ばれてきます。
宮廷舞踊・演劇: 食事中、目の前のステージや自分のすぐ隣で、プロの役者によるダンスや楽器などのショーが繰り広げられます。

値段はコース、テーブルの位置による異なりますが、大体一人で200~800元(約4000~17,000円)です。
宮廷宴会レストランが最近人気がありすぎて、予約が取れないという声が多く見られます!
■② 利用者層_若年層
このブームを支えているのは、性別を問わず20代〜30代の若者たちです。
また、最近ではその評判を聞いた外国人観光客の間でも、「中国でしかできない体験」として非常に高い人気を集めています!

それでは、なぜこれほどまでに若年層の心を掴んで離さないのでしょうか。その最大のキーワードは、圧倒的な「非日常感」にあります!
これまでの観光や外食は、あくまで「見る側」や「食べる側」だけでした。しかし、ここでは自分自身が衣装を着てメイクをすることで、「歴史ドラマの登場人物」という非日常のアイデンティティを手に入れることができます!

美しい衣装や豪華な内装、目の前で繰り広げられるショー、そして店内には数え切れないほどの「映えスポット」が用意されており、レストラン全体がまるで巨大な映画のセットそのもの。どこを切り取っても美しい空間は、SNSで写真や動画をシェアするのにぴったりですね!
日々の仕事や学業といった忙しい日常から完全に切り離され、数時間だけ「特別な存在」になれ、このご褒美感こそが現代の若者の心を強く惹きつけている理由だと言えるでしょう!
■③ SNS上の発話_RED、Douyin、Bilibili

今回のトレンドも、中国の3大SNSであるBilibili、RED、Douyinで大きな話題になっており、華やかな写真・動画と共に数万件の口コミが投稿されています!
SNS上の関連投稿を見てみると、次のような声が溢れています。
「こういう宮廷の宴は、人生で一度は絶対に体験しておくべきだよ!」
「単なるグルメの宴じゃない!礼楽の演奏や詩の吟唱が次々と繰り広げられて……これこそが、中国人ならではの儀式感とロマンだよね〜」
驚いたことに、海外からも注目が集まっており、コメント欄には
「こんにちは。今度西安に行く予定なのですが、これはどうやって予約すればいいですか?」
といった英語の問い合わせが書き込まれました!
このように、宮廷宴会レストランは伝統文化を再興させ、美食を楽しみながら歴史文化を体験でき、極めて価値の高い活動として評価されています。

■④ 人気になった理由_承認欲求&国潮(グオチャオ)
それでは、このブームの裏側にある消費者のインサイトをさらに深く探っていきましょう!
1. 承認欲求
まず、「SNSでの承認欲求」がこのブームを爆発させた大きな要因の一つだと考えます。
豪華な内装と美しい衣装で撮った写真は、SNSで発信し、友人や親戚から「いいね」をもらうためのコンテンツとなります。現代の若者にとって、宮廷宴会は単なる体験を消費するだけでなく、その体験を「コンテンツとして発信」し、周囲に認められることまでがセットになった活動です。
もちろん、宮廷宴会は、非日常的な体験であり、個人の満足感と幸福感を追求できる側面もあります。しかし、それ以上にSNSでの反応を通じて得られる承認欲求的な満足のほうが、このトレンドを支える強力なモチベーションになっていると感じます。
2. 国潮(グオチャオ)
このトレンドを分析する上で欠かせないのが、「国潮(グオチャオ)」というキーワードです!
近年の中国の経済成長、そして政府による後押しに伴い、現在の若者たちは自国の文化に対する自信が高まりました。
彼らにとっては、伝統文化をもはや古臭いものではなく、「最高にかっこいいエンタメ・ファッション」として再定義しました。それを「国潮(グオチャオ)」と呼んでおり、積極的に支持している若者が多くいます。

「国潮(グオチャオ)」の盛り上がりを象徴するもう一つの体験が「漢服」です!
漢服は、魏晋南北朝時代から清朝にかけて漢民族が着用していた服装・装飾の体系を指します。
今、漢服を着るのは、女性が多いイメージがあるかもしれませんが、実は女性だけでなく、男性も漢服を着用することが多いです!また、漢服にはどんな体型の人も美しく見せる」という、包容力のある魅力があります。例えば、ふくよかな体型が「美」の象徴だった唐代のスタイルであれば、体格に自信がない人でも非常に優雅に着こなすことができます!
宮廷宴会レストランで漢服や旗袍などを着て宮廷料理を楽しむことは、単なるコスプレではなく、自国の歴史を自分の肌で感じ、体験するという深い意味を持っています。その裏には、現代の若者たちの自国の文化への愛や尊重が現れているのではないかと思われます。レスト
■⑤ 類似トレンドーー劇本殺(マーダーミステリー)
没入型の宮廷宴会レストランと並び、現在の中国で高い人気のあるイマーシブトレンドは、劇本殺(マーダーミステリー)が挙げられます!

劇本殺(マーダーミステリー)とは、「劇本」は脚本、「殺」は犯行(殺人事件)を指します。もともと欧米発祥のパーティーゲームでしたが、中国で独自の進化を遂げ、今の没入型推理解決ゲームになりました。
劇本殺は、ボードゲームの枠を超え、現在では専用の豪華なスタジオで、衣装に着替え、数時間かけて一人のキャラクターを演じ切るというロールプレイング体験活動です。
劇本殺ジャンルは、ガチ推理系やエモ系まで多くあります。時代設定も、魏晋南北朝時代から現代まで、自分の好みに合わせて自由に選べます。
通常1つのストーリーににつき5〜8人の参加者が必要であり、1回のプレイ時間は4時間から、長いものでは6時間以上もあります。
このイマーシブ活動は、多忙な学生や会社員にとってのストレス解消の場であると同時に、社交の機能も果たしています。長時間を共に過ごし、協力して謎を解くスタイルから、近年では新たな恋活の場としても大きな注目を集めています。
■⑥ 留学生の体験談
私はまだ没入型宮廷レストランを実際に体験したことはありませんが、REDやDouyinといったSNSでよく目にします。
豪華な内装や優雅なショー、そして当時の衣装をまとったスタッフさんたちが作り出す完璧な世界です!そんな投稿を見るたびに、「私も一度、絶対に行ってみたい!」とワクワクしてしまいます。
SNSのコメント欄では「この料理の量じゃお腹いっぱいにならないかも?」という声も見かけますが、こうしたお店では、お腹を満たすことよりもその空間を体験することに一番の価値があるのだと思います。
漢服や旗袍(チャイナドレス)を着て、綺麗にヘアメイクをしてもらい、食事を楽しみながらショーを眺めることは、まさに別世界に迷い込んだような特別な体験です。
すべての時間が終わってお客さんがお店を出た瞬間、まるで現代にタイムトラベルして戻ってきたような、不思議な余韻に包まれるのではないかと予想します。
■⑦ この流行は続くのかーーモノ消費からコト消費へ
さて、この「没入型の宮廷宴会レストラン」のトレンドは、一過性のブームで終わってしまうのでしょうか?
結論から言えば、しばらくは形を変えつつも、こうした「体験」を求めるサービスや商品は残り続けると考えています。
その理由としては、この流行が一時的な現象ではなく、「SNSでの承認欲求」や「国潮(グオチャオ)」といった現代若者の価値観を反映しているからです。
今の中国の若者たちが「モノ」にお金を使うよりも、自分だけの特別な「体験(コト)」に価値を感じるようになっている現状を表しています。
似たような心理で人気を集めるものとして、イケメンレストランや以前ご紹介したちいかわパークのトレンド(訪日トレンド④)などが挙げられます。
これらはすべて「モノ」より「体験(コト)」を重視しているトレンドです!
「宮廷宴会なんて一回体験したら飽きてしまうのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、季節ごとにメニューや衣装が変わったり、将来的にはAI技術を使ってテーブルの上に歴史上の人物が現れるような演出も可能になるでしょう!
このように、テクノロジーと伝統文化が組み合わさっていくことで、「体験」を重視する人たちにとって、大きな魅力として継続していくはずです!
■⑧ 最後に
没入型の宮廷宴会レストランというイマーシブトレンドは、単なる食事のためのイベントではありません。
忙しい日常を送る若者たちが、自分のルーツである歴史に触れ、自分の国の文化に対して誇りと深い興味を持つ大切なきっかけになっています。
古いものをそのまま残すのではなく、今の時代に合わせて「最高にかっこいいエンタメ・ファッション」」として再定義しました。このエネルギーこそが、いま中国で起きている没入型の宮廷宴会レストランのブームの本質だと感じます。
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次回もぜひお楽しみに!!
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