心にモノトーンのエフェクトをかけて見えた魅力
四国のゲストハウスに泊まった時のこと。
あいにくの雨模様。「せっかくのきれいな瀬戸内海が、雨で残念です」と宿主にこぼすと、穏やかに笑ってこう返してくれた。
「そうですね。でも、私はこういうシトシト降る雨の瀬戸内海も、水墨画のような風情があって好きなんですよ」
ほんの一言だった。なのに、その瞬間から私の目には、目の前の景色が見事な水墨画にしか見えなくなった。
そこにはネオンもなければ、派手な建物もタワーもない。主役になるような「目を引く何か」がないからこそ、雨のグラデーションが深く、静かに胸に染みてくる。
宿主の言葉は、私の心に、「モノトーンのエフェクト」をかけて、魅力を引き立たせてくれたようだった。
「自分の価値」を考えたとき、私はいつも「他人にはない個性」や「誰にでもわかる実績」を追い求め、過度に大きな自分を形作ろうと力んでいたように思う。
けれど、あの海のように悠然と構え、悪天候という逆境すらも「風情」に変えてしまう生き方だってある。自分の生き様にモノトーンのエフェクトをかけることで見えてくる「自分のシェイプ」にこそ、価値が宿っているのかもしれない。
瀬戸内海のように泰然と。
そしてあの宿主のように、一言で誰かの心をふっと軽くできる人になりたい。
そう深く心に刻んだ、雨の一日だった。
♪君の強さは とんがってるその先じゃないとこにだって宿ってる
君のかっこよさは 鉄壁のシェイプじゃないとこにだって活きてる
