底はまだ見えない。世界を沼らせるK-POPクリエイティブ10選 Vol.2
こんにちは、iDIDメディア編集部です。noteでの更新はお久しぶりで、なんだか新鮮な気持ちです。
前回、K-POPのクリエイティブについて10組紹介しましたが、正直まだまだ紹介しきれていないということをお伝えしていたのを覚えていますか?
沼はまだまだ深いようで、今回はVol.2として、さらに実験的でニッチなグループを10組+α紹介します。
それでは、どうぞ!
まだVol.1を読んでいない方はこちらもぜひ!
1. CORTIS(코르티스)

デビューから1年足らずですが、今かなり勢いのあるグループです。BigHit Musicから2025年8月にデビューし、メンバー自身が作詞・作曲・振付・MV監督にまで関わる内製スタイルを取っています。デビュー時のビジュアルは、BigHit MusicのHead of Creative・キム・ソヨンさんとスタイルディレクターのActoyさんが手がけたパンク×Y2Kのスタイリング。00年代のスケートパンクを思わせるトゲトゲヘアやスタッズベルトを、レトロな懐かしさとしてではなく、今っぽい素材として取り入れているのが印象的でした。
事例1:「GO!」MV(2025年)
5人全員が共同ディレクターとしてクレジットされたイントロ曲のMV。実は練習生時代にメンバー自身が企画・撮影・編集していた映像がベースになっていて、それをロサンゼルスで再構成・追加撮影したものだそうです。ストップモーションを取り入れた粗削りな映像は、洗練されたデビューMVというより、10代の悪ふざけ・悪ガキ感をそのまま記録したような作品になっていました。
事例2:「REDRED」(2026年)
2ndEP「GREENGREEN」の先行曲。タイトルの「赤」と「緑」は、避けるものと選び取るものという対比のメタファーだそうです。MVの舞台は焼肉屋やゲームセンターといった韓国の日常的な場所で、加工されすぎていない街角のリアルさが特徴。振り付けもメンバー自身が考案し、覚えやすくどこか脱力感のある動きがTikTokで爆発的にバイラル化しました。デビューから1年足らずでKM Chart Awardsの「Record of the Year」を受賞し、「素のかっこよさ」を見せる方向性が結果につながっているように見えます。
2. KiiiKiii(키키)

Starship Entertainmentが2025年3月にデビューさせたグループで、IVEの妹分として登場しました。ビジュアルを手がけるのはクリエイティブディレクターのチョン・ヘウォンさん。KiiiKiiiでは「型にはまらない、既視感のないグループ」を目指したそうです。
事例1:デビュー時のInstagram設計

KiiiKiiiのInstagramは、よくあるガールズグループのヘッドショットやオフショットを一切使わずにスタート。代わりにミニチュア彫刻家、日本のパン職人、フードデザイナー、モヒカン専門の美容師など、独自の作風を持つクリエイターたちとコラボした断片的な映像だけが投稿され、グループ名だけをじわじわ匂わせる作りになっていました。
事例2:「404 (New Era)」(2026年)
「404 Not Found」というエラーコードを、「決まった座標を持たない自由」と読み替えたタイトル。子ども時代の映像と現在の練習風景を交差させたティザーからスタートし、幼い頃に憧れたディーバ像を今の自分たちが体現するという物語構成になっています。「New Era」というタイトルは、実はアメリカのヘッドウェアブランドNew Eraとのコラボレーションともかかっていて、楽曲のリリースと同時にNew Eraの2026年春夏コレクションが発表されました。
3. tripleS(트리플에스)

KiiiKiiiが「型にはまらない」を掲げるグループだとしたら、tripleSは型そのものを壊しにいったグループです。24人という規模のガールズグループで、しかもメンバーが個人・サブユニット・全体と流動的に活動するという設計自体が実験的です。手がけているのはMODHAUSのCEO・Jaden Jeong(チョン・ビョンギ)さん。壮大な世界観設計を得意とするクリエイティブディレクターで、tripleSではファン参加型のシステムと組み合わせた独自の手法を展開しています。
事例1:「Objekt」というNFTフォトカードシステム

tripleSのアルバムには、通常のフォトカードとは異なる「Objekt」という仕組みがあります。ブロックチェーン上で管理されるデジタルカードで、ファンはこれを集めることでサブユニット結成の投票権を得たり、コミュニティ内での交換に参加したりできます。フィジカルなカードとデジタルな所有権が結びついているという点で、K-POPのグッズ文化とWeb3技術を掛け合わせた珍しい試みです。
事例2:ASSEMBLE24(2024年)

24人全員がひとつのグループとして初めてリリースしたアルバム。1st EP「Assemble」から2年かけて段階的にメンバーが増え続け、ようやく「完全体」になったというプロセス自体がコンテンツになっています。1人ずつ公開されていく個別コンセプトフォトは、24通りのビジュアルが積み重なって最終的にひとつの世界観を作るという、tripleSにしかできない設計になっていました。
4. ARTMS(아르테미스)

tripleSと同じくMODHAUS・Jaden Jeongさんが手がけるグループ。グループ名はギリシャ神話の月の女神アルテミスに由来していますが、同時にNASAの月面探査計画「アルテミス計画」ともかけているそうで、「原点に戻り、そこからさらに先へ」というメッセージが込められているといいます。
事例:DALL(2024年)

デビューアルバム「DALL(Devine All Love and Live)」は、月と仮想的な存在を重ねた世界観で構成されています。先行曲「Virtual Angel」はBillboardの「2024年ベストK-POPソング」に選出されるなど、批評的にも高い評価を受けました。
5. OnlyOneOf(온리원오브)

OnlyOneOfも、tripleSやARTMSと同じくJaden Jeongさんが創設段階で関わったグループです。「点」から始まり、点をつないで「線」を作り、飛躍を経て「面」を築いていくという抽象的な概念を掲げていて、アルバムごとのビジュアルにその段階を落とし込んでいます。
事例:「Dora Maar」「Picasso」(2022年)
「unknown art pop 2.1」の収録曲2曲は、ピカソと画家ドラ・マールの関係をモチーフにしたもの。楽曲名自体を美術史上の人物名にするという珍しいアプローチで、アートワークではピカソが描いたドラ・マールの肖像画がそのまま小道具として登場し、GUCCIのモノグラム柄やハイブランドのアイテムと同じ空間に置かれています。
6. Dreamcatcher(드림캐쳐)

tripleS・ARTMS・OnlyOneOfと、コンセプトの構造そのものが実験的なグループが続きましたが、Dreamcatcherはまた違う方向の一貫性を持っています。2017年デビューから「ダークファンタジー×ロック」という路線を一度も外していません。メンバーそれぞれに「悪夢」や「恐怖」のモチーフが設定されていて、それがアルバムごとのビジュアルやMVの世界観に反映されています。
事例:公式グッズのライトスティック&ローブ

多くのK-POPグループが短い棒状のペンライトを採用する中、Dreamcatcherが販売したのは杖のような形をしたライトスティック。しかも同時に黒いローブ(マント)も公式グッズとして展開され、コンサート用の衣装まで公式グッズにするのはK-POPでも珍しい発想です。魔法使いの杖のようなデザインは、コンサート会場全体をダークファンタジーの世界観に染める仕掛けになっています。
7. MAVE:(메이브)

これまで紹介してきたグループは、人間のメンバーが世界観を演じるという構造でしたが、MAVE:はそもそもメンバー全員がAIで生成されたバーチャルアイドル。Unreal EngineとMetaHumanという技術で作られていて、脱退や卒業、契約問題といったアイドルファンがいつか直面するであろう不確実性がない、という点もファンにとって独特の安心感になっているのではないかと思います。
事例1:「Pandora's Box」(2023年)
デビューシングルのMVは公開から1週間足らずで500万再生を記録。IDYPIAという未来世界からやってきたキャラクターという設定で、Webtoonシリーズ「Mave: Another World」とも連動しながら世界観を広げています。
8. XLOV(엑스러브)

MAVE:とは対照的に、XLOVは人間らしさをむしろ強く押し出しているグループと捉えられます。「ジェンダーレスコンセプト」を前面に掲げた稀有なグループで、グループ名は「X(未知・否定)」と「LOV(不完全な愛)」を組み合わせたもの。この設計思想がそのままビジュアルに反映されていて、性別の記号を意図的に外したスタイリング、メイク、シルエットが特徴的です。
事例:「I ONE」(2025年)
2ndシングル「I ONE」のコンセプトフォトでは、クロップトップにデニム、透け感のあるスカートを組み合わせたスタイリングが披露されました。メンバーそれぞれが同じアイテムを異なる着こなしで見せていて、「誰か一人の型」に寄せない衣装設計になっているようです。
9. KISS OF LIFE(키스 오브 라이프)

XLOVとは違う角度で「個」を見せているのがKISS OF LIFEです。名前の「Kiss of Life」は人工呼吸を意味していて、「K-POPシーンに新しい息吹をもたらす」という意味が込められているそうです。メンバー自身がインタビューで「ビジュアルの美学において自分たちが大きな役割を果たしている」と語っていて、デビュー当初は4人のメンバーそれぞれに全く異なるスタイリングを与える手法が目立っていました。
事例:「Midas Touch」(2024年)
1stシングルアルバムのコンセプトフォトでは、ゴシック調のスタイリングに神話的なシンボルや柄を組み合わせながら、メンバー一人ひとりが全く異なる個性を見せていました。ブロンドヘア、カラーレンズ、非現実的な瞳の演出など、それぞれ違う方向のビジュアルが同じコンセプトの中に共存し、グループとしての統一感より、個々を尊重するものとなっています。
10. MEOVV(미야오)

グループ名「MEOVV」は「My Eyes Open VVide」の略で、Wを意図的に「VV」と表記することでロゴに視覚的な面白さを持たせています。手がけているのはTEDDY Parkさんで、BLACKPINK等のクリエイティブを長年主導してきた人物です。TEDDYさんにとって8年ぶりの新規ガールズグループ立ち上げということで、それも相まって注目を集めていました。1stEP「My Eyes Open VVide」の先行曲「Hands Up」はヒットにも繋がっています。
事例:「MEOW」デビュープロモーション(2024年)
デビュー前のプロモーションでは、The Black LabelのソウルHQやハリウッドのキャピトルレコードタワーの屋上に、巨大な黒猫が5匹並んで座っているというCG映像が公開されました。5人のメンバーを5匹の猫に重ねる表現で、グループの存在を印象づけています。
番外編:K-POPメソッドの越境、XGとno na
K-POPの制作システムやビジュアル哲学は、韓国の外でも独自に進化しています。
全員日本人でありながら韓国のK-POPシステムでトレーニングを受け、英語で歌う「X-POP」を掲げるXG。原宿系ストリート、ハイファッション、レトロフューチャリズムを横断するシルエットが特徴で、「Y3K」(3000年的な未来観を意味する新しい造語)ファッションの象徴的存在を担っていくかもしれません。

引用元:Daily News | Billboard JAPAN
一方、2025年5月にインドネシアからデビューしたno naは、K-POP的な制作システムを取り入れながらも、インドネシアのアイデンティティを前面に押し出しています。デビュー曲「Shoot」のMVはバリの棚田や滝が舞台で、「Work」ではバリの伝統打楽器チェンチェンの音を取り入れました。K-POPの制作手法をそのまま輸入するのではなく、自国の文化と掛け合わせるという選択が、好意的に受け入れられているように思えます。

引用元:PR TIMES
おわり
10組+番外編を紹介してきましたが、K-POPのクリエイティブはこれからも進化していきそうですし、正直沼の底はまだ見えません。というか、これからも一層深くなっていく気がします。Vol.3があるかは未定ですが、また面白いグループを見つけたら報告したいと思います!
Credits
Text, Edit:OMIMU(iDIDメディア編集部)
