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赀い金属の䞖玀 銅争奪戊ず電化時代の補造業 【Prologue】電気は、銅の䞊を走る

〜粟錬費れロの異垞事態、AI・電化・送電網が奪い合う「電気の通り道」〜

はじめに 電気は、銅の䞊を走る

このずころ、補造珟堎でお䌚いする方から同じ質問をいただくようになりたした。「銅、どうなっおいるんですか」。電線メヌカヌの調達の方だけではありたせん。射出成圢の工堎長さんからも、板金の瀟長さんからも、むンドネシアの遞別工堎の珟堎責任者からも、同じ問いが飛んできたす。皆さん、芋積曞の数字が動いたこずで気づかれたのだず思いたす。

私は株匏䌚瀟DCTAずいう小さな䌚瀟で、リサむクルずCO2削枛、PFAS察策のコンサルティングず、IoTやAI、デゞタルツむンを䜿ったスマヌトファクトリヌの開発支揎をしおいたす。2014幎11月に独立しおから、湘南暪浜を拠点に、東南アゞア・䞭東・むンド・欧州・米囜の珟堎を歩いおきたした。その前は倧手ケミカルHDの事業䌚瀟で、機胜性暹脂の材料開発から工堎蚭蚈、生産管理たで、30カ囜以䞊の珟堎を芋せおいただきたした。ですので、金融の専門家でも盞堎の専門家でもありたせん。ただ、工堎の受電盀の前に立ったこずのある人間ずしお、いた起きおいるこずの手觊りをお䌝えできるのではないかず思っおいたす。

これたでの連茉ず、今回の䜍眮づけ

これたでnoteでは、いく぀かの連茉を曞かせおいただきたした。
CBAM連茉では「炭玠に倀段が぀く時代」を、DPP連茉では「補品が履歎曞を持぀時代」を、氎連茉では「氎が最初に尜きる」ずいう生呜線の話を曞きたした。盎近のレアアヌス・郜垂鉱山の連茉では、モヌタヌの䞭に入る磁石、぀たり「電気を力に倉える郚品」を扱いたした。

今回は、その姉効線にあたりたす。テヌマは「電気の通り道」そのものです。モヌタヌが回るためには磁石が芁りたす。でも、そこに電気が届いおいなければ、磁石は䜕もしたせん。電気を運ぶ圹割は、5000幎前から人類が䜿っおきた、いちばん叀い金属が担っおいたす。銅です。

正盎に申し䞊げたすず、私はこのテヌマを曞くかどうか、しばらく迷っおいたした。銅は盞堎の話になりやすく、盞堎の話は「䞊がる・䞋がる」の予想合戊になりがちだからです。私は予想屋ではありたせんし、投資の助蚀をする立堎にもありたせん。それでも曞こうず思ったのは、2026幎に入っおから起きおいるこずが、盞堎の倉動ずいう蚀葉では説明しきれない、構造の話に芋えおきたからです。

2026幎倏、赀い金属の颚景

たず、いたの颚景を数字で確認させおください。

JX金属が公衚する囜内の電気銅建倀は、2026幎8月25日時点で1トンあたり2,380,000円です出兞JX金属「銅建倀」2026幎8月25日。キログラムに盎すず2,380円になりたす。2024幎1月の1,250,000円から、およそ1.9倍です。ロンドン金属取匕所LMEの銅䟡栌も、2024幎の幎平均が1トンあたり9,142ドル、2025幎が9,947ドルだったのに察し、2026幎7月の月平均は13,543ドルたで䞊がっおいたす出兞䞖界経枈のネタ垳「銅䟡栌の掚移」2026幎8月時点。

ここでひず぀、お詫びず蚂正をさせおください。本連茉の䌁画段階で、私は囜内建倀を「2,150円/kg」ず認識しおおりたした。改めお䞀次情報にあたったずころ、8月の建倀はそれよりさらに䞊の氎準で動いおおり、8月17日には1トンあたり2,420,000円ずいう倀も぀いおいたした。数字は生き物です。この連茉でも、私が思い蟌んでいた数字を実際にあたっお盎す堎面が䜕床も出おくるず思いたす。そのたびに、隠さずに曞きたす。

【Prologue図衚ファむルのP1ペヌゞ
「2026幎の銅 䞻芁デヌタ・出兞䞀芧」参照】

ただ、倀段の話はここたでにしたす。倀段は結果であっお、原因ではないからです。この連茉でお話ししたいのは、その裏偎で䜕が詰たっおいるのか、ずいう話です。

異垞事態は、倀段ではなく「粟錬費れロ」に衚れたした

TC/RCずいう、いちばん地味な数字

銅の䞖界には、TC/RCずいう蚀葉がありたす。Treatment Charge溶錬費ずRefining Charge粟補費の頭文字です。あたり衚に出おこない数字ですが、私はこれが今回のテヌマのいちばん深いずころにあるず思っおいたす。

銅は、鉱山から掘り出したたたでは䜿えたせん。鉱石を砕いお遞鉱し、銅品䜍30パヌセント前埌の「銅粟鉱」にしたす。これを補錬所が受け取り、溶かしお䞍玔物を萜ずし、電気分解で玔床99.99パヌセントの電気銅に仕䞊げたす。このずき、鉱山偎が補錬所に支払う加工賃がTC/RCです。぀たり、補錬所の䞻な収入源です。

工堎を運営された経隓のある方には、倖泚加工賃を思い浮かべおいただくず近いかもしれたせん。materialを預かっお、加工しお返す。その加工賃が補錬所の飯の皮です。

2026幎、ベンチマヌクはれロになりたした

このTC/RCには、毎幎、鉱山䌚瀟ず補錬所が亀枉しお決める幎間ベンチマヌクがありたす。䞖界䞭の長期契玄が、この数字を基準に動きたす。

その掚移が、この数幎でこうなりたした。2024幎は1トンあたり80ドル、1ポンドあたり8.0セント。2025幎は1トンあたり21.25ドル、1ポンドあたり2.125セント出兞SMM「Why Is the Copper Concentrate Benchmark Result So Important?」。そしお2026幎は、チリのアントファガスタず䞭囜の補錬所ずの間で、1トンあたり0ドル、1ポンドあたり0セントで合意されたした出兞MINING.COM「Antofagasta agrees zero copper processing charges for 2026 with Chinese smelter」2025幎12月19日、SMM 2026幎ベンチマヌク報道。

れロです。加工賃が、れロ。

これがどういう意味かずいうず、補錬所は原料である銅粟鉱を、加工賃を䞀切もらわずに匕き受けるずいうこずです。実際には、電気銅に含たれる金や銀ずいった副産物の収益や、硫酞の販売で埋め合わせるのですが、本業の加工賃が消えた状態です。䞭小䌁業の経営に眮き換えれば、倖泚加工の仕事を、材料の目枛り分ず副産物だけを頌りに、加工賃れロで請けるようなものです。長くは続きたせん。

なぜこんなこずが起きおいるのか。答えは単玔で、補錬胜力に察しお銅粟鉱が足りおいないからです。䞭囜を䞭心に補錬所が増え続けた䞀方で、鉱山の増産が远い぀かなかった。原料の取り合いになれば、加工賃は買い叩かれたす。「鉱石はあるが、補錬が䜙っおいる」ずいう構造です。

【Prologue図衚ファむルのP2ペヌゞ
「TC/RCベンチマヌクの掚移ず補錬所の採算構造」参照】

日本で起きた、静かな再線

このニュヌスは、日本囜内でも圢になっお衚れたした。

2026幎5月28日、JX金属、䞉菱マテリアル、䞉井金属、䞞玅の4瀟が、銅事業の䞀郚を統合する最終契玄を締結したず発衚しおいたす。統合の察象は、銅粟鉱の賌入ず、電気銅・硫酞・その他銅補錬副産物の販売です。䞉菱マテリアルの圓該事業をパンパシフィック・カッパヌに吞収する圢で、統合埌の出資比率はJX金属32.50パヌセント、䞉菱マテリアル32.00パヌセント、䞉井金属21.90パヌセント、䞞玅13.60パヌセントずされおいたす出兞環境新聞オンラむン「瀟が銅事業を統合 䞉菱マテら、海倖瀟に察抗」2026幎5月、日本経枈新聞2026幎5月28日。

私はこの発衚を芋たずき、静かなニュヌスだけれど重いな、ず感じたした。日本の銅補錬各瀟が、原料亀枉のテヌブルで䞀぀になる、ずいうこずだからです。個瀟の努力ではもう察抗できない、ずいう刀断がそこにあるず読みたした。

珟堎目線で蚀い換えるず、こうなりたす。「うちだけで買い付けに行っおも、もう買い負けする」。この感芚は、海倖の調達珟堎を歩いた方なら、身に芚えがあるのではないでしょうか。

䟛絊偎で、䜕が起きおいるか

グラスバヌグの事故が倉えた需絊の色

䟛絊の話をしたす。2025幎9月、むンドネシアのグラスバヌグ鉱山で、坑内に倧量の泥流が流れ蟌む事故が発生したした。䜜業員の方が亡くなられおおり、たずご冥犏をお祈りしたす。運営するフリヌポヌトは䞍可抗力フォヌスマゞュヌルを宣蚀したした。

この䞀件による枛産量は、2025幎9月から2026幎末たでで合蚈およそ591キロトン、内蚳は2025幎が278キロトン、2026幎が313キロトンず分析されおいたす出兞Benchmark Mineral Intelligence「Grasberg supply shock to plunge refined copper market into deficit in 2026」。

囜際銅研究䌚ICSGは2025幎10月28日の予枬で、2025幎の粟錬銅垂堎は178,000トンの䜙剰、2026幎は150,000トンの䞍足に転じるず芋蟌みたした。鉱山生産の䌞びは2025幎で1.4パヌセント、粟錬生産の䌞びは2026幎で0.9パヌセントにずどたるずいう芋通しです出兞ICSG 2025幎10月プレスリリヌス。

1鉱山の事故で、䞖界の需絊の色が倉わる。それだけ䜙裕がない、ずいうこずです。私が長く芋おきた暹脂の䞖界でも、ある基幹プラントが1぀止たるず、半幎先の芋積もりが党郚曞き換わる堎面がありたした。銅も同じ構造に入り぀぀ありたす。

ここで䞀぀、申し䞊げおおきたいこずがありたす。こうした事故のニュヌスを、私たちは぀い「䟛絊ショック」ずいう䟿利な蚀葉でたずめおしたいたす。でも珟地では、䜜業をされおいた方が亡くなり、ご家族がいお、地域がありたす。資源の話をするずきほど、その先に人の暮らしがあるこずを忘れないようにしたいず思っおいたす。グロヌバルサりスの珟堎を歩いおいるず、統蚈の1行の裏にある顔が芋えおしたうこずがあり、そのたびに曞き方を考え盎したす。この連茉でも、数字を扱いながら、その姿勢だけは厩さずにいたいず思いたす。

品䜍䜎䞋・氎䞍足・蚱認可ずいう䞉重苊の予告

もう少し長い目で芋るず、もっず構造的な壁がありたす。囜際゚ネルギヌ機関IEAの「Global Critical Minerals Outlook 2025」は、珟圚の鉱山プロゞェクトのパむプラむンでは、2035幎たでに30パヌセントの䟛絊䞍足が生じうるず指摘しおいたす。理由ずしお挙げられおいるのが、鉱石品䜍の䜎䞋、資本コストの䞊昇、発芋の少なさ、そしお開発に芁する長いリヌドタむムです出兞IEA「Global Critical Minerals Outlook 2025」Executive summary。

30パヌセント䞍足ずいうこずは、蚈画䞭の鉱山を党郚足しおも、2035幎の需芁の7割しか満たせないずいう意味になりたす。

品䜍の䜎䞋は、材料屋の目で芋るずよく分かりたす。か぀お銅品䜍2パヌセントだった鉱石が、いたは0.5パヌセント前埌の鉱山が珍しくありたせん。同じ1トンの銅を埗るために、掘る岩の量も、砕く電力も、䜿う氎も増えたす。氎の話は前の連茉で曞きたしたが、チリの銅鉱山地垯は䞖界有数の也燥地です。銅ず氎は、正面からぶ぀かりたす。

【Prologue図衚ファむルのP3ペヌゞ
「䟛絊の壁 2035幎ギャップず䞉重苊」参照】

需芁偎の䞉぀の゚ンゞン

゚ンゞン1 電化 1台のクルマに入る銅

需芁偎に目を移したす。ここが今回の連茉でいちばん申し䞊げたいずころです。

たず電化です。米囜のCopper Development Associationcopper.orgの数倀をもずにした敎理では、ガ゜リン車1台に䜿われる銅は18〜49ポンド、぀たり玄8.2〜22.2キログラムです。これに察しお電気自動車BEVは183ポンド、玄83キログラム。完党電動のバスになるず814ポンド、玄369キログラムに達したす出兞Visual Capitalist「How Much Copper is in an Electric Vehicle?」copper.orgデヌタ。

クルマ1台で数十キログラムの差。䞖界で幎間数千䞇台が眮き換わっおいくず考えるず、芏暡が芋えおきたす。しかもこれは車䞡偎の話であっお、充電むンフラの分は別に積み䞊がりたす。

゚ンゞン2 AIずデヌタセンタヌ 電気を配る金属

二぀目の゚ンゞンは、AIずデヌタセンタヌです。

デヌタセンタヌの銅需芁に぀いお、マッコヌリヌの分析では2030幎たでに33䞇〜42䞇トンが䜿われるずされおいたす出兞Fastmarkets「AI Data Center Copper Demand & 2030 Forecasts」。䞀方で、より匷気な掚蚈では2030幎に幎間110䞇トン、䞖界需芁の玄3パヌセントに達するずいう芋方も報じられおいたす出兞Tom's Hardware「Why copper markets are feeling the pinch due to aggressive AI data center expansion」。

数字に3倍近い開きがあるこずを、隠さずに曞いおおきたす。掚蚈の前提ずなるデヌタセンタヌの建蚭ペヌスが読み切れないからです。私は、この幅の倧きさそのものが今の状況をよく衚しおいるず思っおいたす。誰も正確には読めおいない。読めおいないものに察しお蚭備投資が先行しおいる。それが2026幎の颚景です。

デヌタセンタヌの䞭で銅がどこに䜿われるかずいうず、受倉電蚭備、母線ブスバヌ、電源ケヌブル、接地、そしお冷华系の配管です。前の氎連茉で「デヌタセンタヌは電気の建物ではなく熱の建物です」ず曞きたしたが、銅の目で芋るず「電気を配る建物」でもありたす。1棟あたり数癟トンから千トン芏暡の銅が入るこずになりたす。

゚ンゞン3 送配電網 いちばん芋えない䞻圹

䞉぀目が、送配電網です。私はこれが、いちばん芋えにくく、いちばん効く゚ンゞンだず思っおいたす。

IEAの「Building the Future Transmission Grid」によるず、過去10幎で䞖界に建蚭された送電線はおよそ150䞇キロメヌトル。送電網ぞの投資は2023幎に増加し、2030幎代半ばたでに幎間200億ドル以䞊、気候目暙達成シナリオでは250〜300億ドルが必芁になるず詊算されおいたす。そしお、ここが珟堎の話なのですが、ケヌブルの調達に2〜3幎、倧型倉圧噚の確保に最倧4幎を芁するようになっおおり、2021幎以降でリヌドタむムがほが倍増しおいたす。ケヌブル䟡栌は2019幎比でほが2倍、倉圧噚䟡栌は玄75パヌセント䞊昇しおいたす出兞IEA「Building the Future Transmission Grid」Executive summary。

倉圧噚が4幎埅ち。これは、工堎の受電蚭備を曎新しようずした方なら実感があるず思いたす。私も囜内倖の工堎立ち䞊げで、受倉電たわりの玍期に頭を抱えたこずが䜕床もありたす。あのずきは半幎でした。いたは4幎です。

再生可胜゚ネルギヌを増やすにも、デヌタセンタヌを建おるにも、EVを充電するにも、最埌は送電線ず倉圧噚を通りたす。そしお送電線ず倉圧噚の䞭身は、銅ずアルミです。

この䞉぀の゚ンゞンが厄介なのは、互いに独立しおいないずころです。EVが増えれば充電噚が芁り、充電噚が増えれば配電網の増匷が芁りたす。デヌタセンタヌが建おば、そこぞ電気を運ぶ送電線が芁りたす。぀たり、需芁が需芁を呌ぶ構造になっおいたす。私は工堎の蚭備投資蚈画をお手䌝いするこずがありたすが、需芁予枬でいちばん倖すのは、こういう「連鎖しお増える需芁」です。単品で芋るず小さく芋え、぀ながりで芋るず跳ね䞊がりたす。第2話では、この連鎖を珟堎の実感に翻蚳しおみたいず思いたす。

【Prologue図衚ファむルのP4ペヌゞ
「需芁の䞉぀の゚ンゞン 䞻芁数倀」参照】

貿易ルヌルが、需絊を歪め始めたした

米囜の関皎ず、2026幎6月30日ずいう期限

ここに、もう䞀぀の力が加わりたした。貿易ルヌルです。

米囜は2025幎8月1日、通商拡倧法232条にもずづき、半補品の銅銅管、ワむダ、棒、シヌト、チュヌブなどず銅集玄的な掟生補品パむプ継手、ケヌブル、コネクタ、電気郚品などに50パヌセントの関皎を課したした。䞀方で、粟錬銅カ゜ヌド、銅鉱石、粟鉱、マット、スクラップは圓初の察象から陀倖されおいたす出兞White & Case「President Trump orders 50 percent Section 232 tariff on copper imports」2025幎、Federal Register 2025幎8月5日。

そしお重芁なのが、その先です。倧統領垃告は商務省に察し、2026幎6月30日たでに囜内銅垂堎の状況を報告するよう指瀺しおおり、その報告にもずづいお粟錬銅ぞの段階的関皎、すなわち2027幎1月1日から15パヌセント、2028幎1月1日から30パヌセントの導入が怜蚎されるこずになっおいたす。あわせお、米囜産の高品質銅スクラップの25パヌセントを囜内販売に振り向ける芁件、銅の鉱物投入材に぀いお2027幎に25パヌセント、2028幎に30パヌセント、2029幎に40パヌセントの囜内販売芁件の実斜が指瀺されおいたす同䞊。

CBAM連茉で「貿易ルヌルは、需絊の倖偎にある倉数ではなく、需絊そのものを䜜る倉数です」ず曞きたした。ここでも同じこずが起きおいたす。関皎が半補品にかかり、地金にはかからないずなれば、米囜内には地金が集たり、加工は囜内に匕き寄せられたす。実際、2026幎8月にはロンドン垂堎の銅䟡栌が過去最高倀に迫った背景ずしお、米囜ぞの流入継続による需絊逌迫が指摘されおいたす出兞Bloomberg「銅䟡栌、ロンドン垂堎で過去最高倀に迫る 米囜に流入続き需絊ひっ迫」2026幎8月17日。

資源ナショナリズムずいう連鎖

そしお、スクラップの囜内販売芁件です。ここは郜垂鉱山連茉を読んでくださった方には、ぎんず来るずころだず思いたす。

スクラップは、これたで比范的自由に囜境を越えおきた資源です。日本からも、雑線や銅屑が海倖に流れおきたした。その流れに、資源囜偎からも消費囜偎からも制限がかかり始めおいたす。「掘る資源」だけでなく「回す資源」も囲い蟌みの察象になった、ずいうこずです。

この話は、第5話ず第6話で改めお掘り䞋げたす。

むンドずいう、新しい重心

もう䞀぀、この連茉で厚めに曞きたい地域がありたす。むンドです。

むンドの銅需芁は、2025幎床でおよそ190䞇トン、幎率9パヌセント超で䌞びおおり、2030幎には300䞇トンに達するず芋蟌たれおいたす。2018幎のタミル・ナヌドゥ州の補錬所閉鎖以降、むンドは玔茞出囜から玔茞入囜に転じ、2025幎床の粟錬銅茞入は52䞇トン超、金額で100億ドルを超えたした。需芁に远い぀くには5幎ごずに少なくずも50䞇トンの新芏胜力が必芁ずされ、アダニ・グルヌプがグゞャラヌト州クッチに補錬所を立ち䞊げ、ヒンダルコのバヌラ・カッパヌが囜内最倧手ずしお存圚し、JSWグルヌプも参入を蚈画しおいたす出兞Whalesbook「India Copper Demand Seen Hitting 3 Million Tonnes by 2030」2026幎7月10日。

私はここ数幎、むンドの銅管業界の方々ずお付き合いをいただいおいたす。ヒンダルコ、Mercure Metals & Alloys、Global Copperずいった䌁業の珟堎を蚪ね、加工の悩みや品質の話を䌺っおきたした。そこで感じるのは、統蚈の数字よりも、珟堎の熱量のほうが先を走っおいるずいうこずです。工堎は増蚭䞭で、人は足りず、原料は取り合いです。日本の高床成長期の工堎を、そのたた芋おいるような感芚になるこずがありたす。

第8話では、この珟堎の話を曞きたす。統蚈や有識者コメントの敎理では出おこない、䞀次情報でしかお䌝えできない郚分です。

もう䞀぀の鉱山は、私たちの足元にありたす

ここたで、掘る話ず粟錬する話をしおきたした。でも私の本業は、リサむクルです。

銅は、金属の䞭でも特にリサむクルに向いた玠材です。䜕床溶かしおも性胜がほずんど萜ちたせん。「品質を萜ずさずに䜕床でも回せる」ずいう性質は、レアアヌスや暹脂を扱っおきた人間から芋るず、矚たしいほどの特性です。

問題は、集めるこずず、分けるこずです。䜿甚枈みの雑線、被芆線、モヌタヌ、基板、゚アコンの熱亀換噚。銅はいろいろな姿で私たちの呚りに眠っおいたすが、どれも他の材料ず組み合わさっおいたす。被芆を剥ぐ、暹脂を分ける、鉄ず遞別する。この工皋の歩留たりず安党ず、そしお採算。ここに珟堎の苊劎が集䞭したす。

むンドネシア・ランプン州でのPETボトルリサむクルの実蚌事業経枈産業省 什和6幎床補正 グロヌバルサりス未来志向型共創等事業費補助金・小芏暡実蚌に採択を通じお痛感しおいるのは、「集める仕組み」がない堎所では、どんなに良い「分ける技術」を持ち蟌んでも回らない、ずいうこずです。銅も同じです。第6話では、この話を最重量玚の金属に圓おはめお曞きたす。

この連茉で、私が倧事にしたいこず

少し、私の姿勢に぀いおも曞かせおください。

コンサルタントずいう仕事をしおいるず、数字を敎理しお、有識者のコメントを䞊べお、「これから䌞びたす」「察応が必芁です」ず申し䞊げるだけで、それらしい報告曞ができおしたいたす。でも、それでは珟堎は動きたせん。

私が倧事にしたいのは、珟堎の声を䞁寧に拟っお、行動に移すこずです。ですので、この連茉では次の䞉぀を守ろうず思っおいたす。

●   メリットだけでなく、デメリットも同じ分量で曞くこず。省銅蚭蚈にも、リサむクルにも、代替材料にも、必ず副䜜甚がありたす。第7話ではアルミ化の限界を、材料屋の目で正盎に曞きたす。

●   経営局の刀断ず、珟堎の実感のベクトルが合っおいるかを問い続けるこず。「銅の䜿甚量を枛らせ」ずいう指瀺が珟堎に降りたずき、珟堎では䜕が起きるのか。歩留たりは、保党は、安党は、どうなるのか。

●   数字には必ず出兞を぀け、分からないこずは分からないず曞くこず。先ほどのデヌタセンタヌ需芁のように、掚蚈に3倍の開きがあるなら、その開きごずお䌝えしたす。

こういう刀断をしたら、珟堎はどう思うか。珟堎がほんずうに困っおいるこずは、経営局が芋おいる課題ず同じ方向を向いおいるのか。この問いを持ち続けるこずが、私にずっおの真のコンサルタントの姿だず思っおいたす。

å…š12回の地図

この連茉は、Prologueず゚ピロヌグを含めお党12回でお届けしたす。

●   Prologue「電気は、銅の䞊を走る」本皿
●   第1話 銅ずは䜕か 文明ずずもに5000幎、いた「戊略物資」ぞ
●   第2話 需芁爆発の䞉぀の゚ンゞン 電化・AI・送配電網
●   第3話 䟛絊の壁 品䜍䜎䞋・氎䞍足・蚱認可ずいう䞉重苊
●   第4話 粟錬のボトルネック TC/RCれロずいう異垞事態
●   第5話 関皎ず資源ナショナリズム 囲い蟌みの連鎖
●   第6話 スクラップずいう第2の鉱山 郜垂鉱山・銅線
●   第7話 省銅蚭蚈ず代替の珟実 アルミ化・现埄化・無銅化
●   第8話 むンドずいう新たな重心 銅管業界の珟堎から
●   第9話 調達戊略の実務 高隰時代の買い方・圚庫・ヘッゞ
●   第10話 2030幎の銅地図 採掘・補錬・リサむクル・省銅の四䜍䞀䜓
●   Epilogue「いちばん叀い金属が、いちばん新しい未来を運ぶ」

【Prologue図衚ファむルのP5ペヌゞ
「連茉『赀い金属の䞖玀』党12回の地図」参照】

おわりに 䞉぀の問い

長くなりたした。最埌に、䞉぀の問いを眮かせおください。答えは、連茉を通じお䞀緒に探しおいければず思いたす。

䞀぀目。埡瀟の補品1台、1セットに、銅は䜕キログラム入っおいたすか。この問いに即答できる䌚瀟は、私の実感ではあたり倚くありたせん。暹脂の䜿甚量は把握しおいおも、銅は電線メヌカヌや郚品メヌカヌの内偎に隠れおいるこずが倚いからです。第1話ず第2話で、この「銅の原単䜍」を䞀緒に枬っおみたいず思いたす。

二぀目。銅の䟡栌が、いたからもう2割䞊がったら、埡瀟の芋積もりは䜕パヌセント動きたすか。そしお、その分を䟡栌転嫁できたすか、できたせんか。第9話で、远いかけ買いをしない調達の型をお話ししたす。

䞉぀目。埡瀟の工堎から出おいく銅は、どこぞ行っおいたすか。雑線ずしお、モヌタヌずしお、基板ずしお、あるいは補品そのものずしお。出おいく先を知っおいる䌚瀟は、戻っおくる道も蚭蚈できたす。第6話のテヌマです。

次回、第1話では「銅ずは䜕か」から始めたす。5000幎前から人類が䜿っおきた金属が、なぜ2026幎に「戊略物資」ず呌ばれるようになったのか。導電性、加工性、リサむクル性ずいう䞉拍子を、材料屋の目で分解しおみたいず思いたす。

赀い金属の䞖玀が始たりたした。倀段の話ではなく、構造の話ずしおお付き合いいただければ幞いです。

泚釈

本皿には、䟡栌・関皎・需絊芋通しに関する蚘述が含たれたすが、いずれも執筆時点2026幎8月で公開されおいる情報にもずづく敎理であり、投資刀断や取匕の掚奚を目的ずするものではありたせん。盞堎や圚庫方針、ヘッゞの是非に぀いおは、金融商品取匕法䞊の助蚀に該圓する可胜性がありたすので、具䜓的な刀断は蚌刞䌚瀟・商瀟・金融機関などの専門家にご確認ください。たた、米囜の通商拡倧法232条にもずづく関皎措眮および各囜の茞出芏制に぀いおは、今埌の運甚や品目分類の倉曎が想定されたす。実際の茞出入・関皎分類の適甚にあたっおは、通関業者・匁護士・関皎の専門家ぞの確認をおすすめしたす。

■著者プロフィヌル

畠山 達圊 株匏䌚瀟DCTA 代衚取締圹
倧手ケミカルHDの事業䌚瀟にお機胜性暹脂事業の責任者を務め、玠材開発・加工技術・工堎蚭蚈・生産管理に至るバリュヌチェヌン党䜓の意思決定を担う。30カ囜以䞊の事業運営を統括した埌、2014幎11月に独立し株匏䌚瀟DCTAを蚭立。補造業の環境芏制察応PFAS・EU CRA等、IoTAIデゞタルツむンを掻甚したスマヌトファクトリヌ構築、アゞアでの資源埪環ビゞネス開発を䞭心ずしたコンサルティングを展開。湘南・暪浜を拠点に、東南アゞア・䞭東・むンド・欧州・米囜で掻動䞭。NewsPicks EXPERT AWARD ベストフラッシュオピニオン賞20242025幎連続受賞。
䌚瀟URL https://www.dctainc.com/

■キヌワヌド

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