「値段が、書いていなかった」

さっきの店では、全部に付いていたのに
ガラスのケースの中に
石がならんでいた。
値段だけが
どこにも書いていない。
BBEは、日常のふとした体験を、
脳科学の視点で読み解くnoteです。
完成した人が教えるんじゃなく、
一緒に変わっていく途中の人が書いています。

手前の台には出しっぱなしの石
💎 知りたかったのは、値段だけ
ナッシュビルの通りに
小さな店が集まっていて
石の店をいくつか歩いて見て回っていた。
そのうちの1軒が宝石店だった。
触れないように
ガラスのケースに
丁寧にしまわれている。
丁寧に、と
自分でメモに書いていた。
しまい込まれている、でもなく
守られている、でもなく。
値段が知りたかった。
買うつもりだったかというと
そこまでではなかったと思う。
ただ、いくらなんだろう、と
それだけ。
でも、どこにも
書いていなかった。

第一印象はとても広い



🪨 さっきの店では、棚から出てきた
その前にいた店は
全部に値段が付いていた。
探しているものを
たどたどしく伝えたら
店員さんが棚から出してきて
近くで見せてくれた。
結局、買わなかった。
それでも
石は棚から出てきた。
こっちの店では
石はガラスの向こうにいて
出てくる気配がどこにもない。
同じ日の
同じ通りの、べつの店で
これだけ違った。
🧠 まわしたルーレットが、答えを決めた
50年あまり前の実験がある。
ふたりの心理学者が
実験に参加した人の目の前でルーレットを回した。
出る目は仕掛けてあって
10か、65のどちらか。
そのうえで、質問をする。
国連の加盟国のうち
アフリカの国が占める割合は
いま出た数より
多いですか、少ないですか。
そのあとで
では何%だと思いますか
と聞く。
10が出た人たちの
まんなかの答えは、25%。
65が出た人たちは、45%。
さっき目の前で
まわっただけの数字だ。
質問とはなんの関係もない。
それでも答えは
そこからあまり離れなかった。
先に置かれた数字が
答えの出発点になる
しかも、正しく当てたら
お金を出すと言っても
この寄りかたは減らなかった。
論文には、そう書いてある。
ボクは長いこと
高いか安いかでしか
選べない自分のことを
だらしないと思っていた。
そういう作りじゃなかった。
数字が先にあるとそこから動く。
それが、ふつうだった。
🔖 値札は、壁じゃなかった
値札のない店で
ボクは一周して、出てきた。
聞けばよかったと思う。
聞けば教えてくれたはずだ。
でも、聞いたら
買う流れになりそうで聞かずに出た。
メモにはこう書きかけて
途中で終わっている。
値段がない方がいいものを選ぼうと
たぶん、こう続けたかった。
値段がないほうが
いいものを選ぼうとするのかな、と。
そこで止まったのは
自分でも答えが出せなかったからだ。
いま、ひとつだけ
言えることがある。
値札は、選ぶ手間を
肩代わりしてくれていた。
無い店では
自分の物差しを
出さないといけなくなる。
出せなかった・・・。
——持っていなかったんじゃない。
しばらく、使っていなかっただけだ
🚪 一周して、出てきた
出るときに、一応
センキュー、と言った。
買っていないのに言ってしまう。
日差しはまだ暑くて
これは日焼けするかな
と思うくらいだった。
値札は、壁だと思っていた。
そうじゃなくて
手を伸ばしていい、という合図
だったのかもしれない。
ガラスの向こうの石はきれいだった。
きれいだったけれど
あの日いちばん覚えているのは
棚から出してもらった
あっちの石のほうだ。
もし値段が
どこにも書いていなかったら。
あなたは、なにを見て決めるだろうね。
追伸:
通常、モノに値段がついているのが
当たり前・・・なんですが
全く値段のついていない店では?
店主と相談して、予算とかを相談していくんだろう。
自分の英語力ではなかなか難しいし、
これといった、ピンときたものはなかったので
自分で値段をつけるなら?
ほしいものに自分で値段がつけられるだろうか?
📎 参考にした資料
先に見た数字に、答えが引っぱられる(Tversky & Kahneman
「Judgment under Uncertainty: Heuristics and Biases」
Science, 185(4157), 1974)
https://bear.warrington.ufl.edu/brenner/mar7588/Papers/tversky-kahneman-science-1974.pdf
アンカリング効果とは?意味や具体例、実験と日常での活用法
(Psycho Psycho)
https://psycho-psycho.com/anchoring-effect/
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値段を聞けずに一周して出てきたやつが
どこから来たのかは、こっちに。

#エッセイ #日常 #半歩こっち側 #脳のバタフライエフェクト #アンカリング #値段 #ナッシュビル #石 #選ぶということ
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