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yamamoto15
短編小説『ある朝の記憶』
出勤前に立ち寄ったコンビニで、なんとなく目についたポーク玉子おにぎりを手に取った。職場に着いても始業まではまだ少し時間がある。デスクに腰を下ろし、包装を開く。海苔の匂いと、温められた玉子の甘い香りがふっと立ちのぼった。一口かじった瞬間、不意に去年の夏の朝が蘇る。沖縄旅行の最終日だった。
「明日の朝、ポー玉食べたいんだよね」
ホテルのベッドに寝転がりながら、彼女が言った。
「ポー玉って何?」
僕が尋ねると、彼女はスマホの画面をこちらに向けた。
「これ。ポークたまごおにぎり」
厚いスパムと玉子焼きが挟まったおにぎりの写真だった。
「へえ、そんなのあるんだ」
食べ物にあまり興味のない僕は、ろくに画面も見ずに答えた。
「絶対おいしいから」
彼女はそう言って笑った。
そのときの僕は、翌朝も、その翌年も、その言葉を思い出しながらポークたまごおにぎりを食べることになるなんて、考えもしなかった。
