春は、すぐそばにあった(わらび編)
今年も春が来て、わらびの季節になりました。
これまでは毎年、遠くの山の麓まで出かけ、急な斜面に足を踏ん張りながら、命がけでわらびを採っていました。滑り落ちないように気をつけながら、手を伸ばして採るその時間は、自然の厳しさと向き合う時間でもありました。
採ってきたわらびは、アク抜きをしてから丁寧に干し、1年分の保存食にしてきました。春の恵みを閉じ込めて、季節を越えていただく。そんな暮らしの積み重ねが、私の中にありました。
けれど今年は、熊が怖くて山に入ることができず、わらびのこともどこかであきらめていました。
そんな時、ご近所さんからわらびをいただいたのです。
しかも聞いてみると、それはすぐ近くに生えているものだと知り、思わず驚きました。あんなに遠くまで行き、危険な思いをして採っていたものが、こんなにも身近な場所にあったなんて。
これまで私は、遠くにあるものばかりを求めていたのかもしれません。
でも本当は、必要なものは、すでに手の届くところに備えられていたのだと、教えられた気がしました。
命がけで取りに行く時もあれば、こうして与えられる時もある。
どちらも自然の恵みであり、どちらも大切な時間。
こんな自給自足も、いいものだなと、ふと心がゆるみました。
今年はいただいたわらびを、これまでと同じようにアク抜きをして、干しわらびにしようと思います。
そしてまた1年、この春の恵みを味わいながら、静かに感謝していきたいと思います。
