採りたい春と、踏みとどまる母心
春。
息子の通う高校へ向かう道のり。
正門まで続く道には、見渡す限りのツツジ。
まるで花のトンネルのようで、思わず足を止めてしまうほどの美しさでした。
見惚れながら歩いていくと——
ふと左手の丘に、見慣れた景色が広がっていました。
わらびの群生。
その奥には、竹藪。
そして、顔を出し始めたタケノコたち。
思わず、
「うぁああ❗️」
と、声が出てしまったのです。
その瞬間、息子の言葉が頭をよぎりました。
「くれぐれも、採らないで。掘らないで。」
ああ、このことだったのか、と。
こんなに立派な自然の恵みが、すぐそばにあるなんて。
しかもここなら、山奥じゃないし、クマも来ないだろうし……なんて、
一瞬、心が揺れました。
でも。
ここは息子の通う学校のそば。
私の行動ひとつで、息子に恥ずかしい思いをさせるかもしれない。
そう思ったら、自然と足が止まりました。
採らずに、ただ眺めるだけの春。
それでも、胸がいっぱいになるほど、豊かな時間でした。
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