あのお店が商業施設に入れて、このお店が入れないのはなぜか
同じような立地に、同じような規模。それなのに、あの店は入れて、この店は入れない。
理由の多くは、店の良し悪しではありません。
施設側は、そのお店だけを見ているわけではないからです。すでに入っている店との組み合わせ、客層の重なり、価格帯。「この施設全体にとってどうか」で見ています。
だから、単体では魅力的な店が落ちることがあるし、地味に見える店が通ることもあります。
真田亮佳といいます。
お店を出したい人の申し込みを見て、「入れる・入れない」を決める。そういう仕事を、長くやってきました。逆に、テナントとして審査される側の席にも座っています。どちらの言い分も、だいたい分かります。
向こう側にいると、こちらの事情はなかなか見えません。そこで何を見ていたのかを、出店する側の人に向けて書いていきます。
これまで、いろいろなことを書いてきました。転職の話も、仕事の話も、趣味の話も。
いま並べて見ると、バラバラでした。たぶん、そのせいで途中で手が止まったのだと思います。
もう一度やってみようと思って、今度は一つに絞ることにしました。これまでの記事は、いったん非公開にしています。
なぜ、これを書くのか
閉店したお店のシャッターを見て、寂しいなと思うことがあります。
ただ、その仕事をしてきた人間として言うと、その多くは契約した時点で決まっています。開けてから頑張ればどうにかなる、という話ではないことが多い。
でも契約書は、貸す側の論理を知らないと読めません。書いてあることの意味は分かっても、「なぜそう書いてあるのか」が分からない。分からないまま判を押す人を、たくさん見てきました。
世の中にある情報は、2種類しかありません
出店の条件について調べると、出てくるのはだいたいこの2つです。
用語の説明と、削減サービスの営業。
前者は「歩合賃料とは」「B工事とは」を教えてくれます。後者は「その見積もり、高すぎませんか」と声をかけてくれます。どちらもありがたいのですが、どちらも同じことを書いていません。
貸す側は、なぜそうしているのか。
理由は単純で、それを書けるのは向こう側にいる人間だけだからです。そして向こう側にいる人間は、普通、個人に向けて書きません。書く義理がないからです。
ただ、書いてはいけない決まりがあるわけでもありません。特定の施設や案件の話をしなければ、仕組みの話はできます。
だから書きます。
これから書くこと
商業施設に出店する場合の話に絞ります。
路面店は賃料が固定であることが多く、仕組みがかなり違います。ここで書くことは、あまり当てはまりません。逆に言うと、「入れる・入れない」を決める人間が存在するのは、商業施設のほうです。
順番はこう考えています。
契約の入口
・更新されない契約(定期借家)とは何か
・契約期間は、何年で結ぶべきか
お金
・商業施設の賃料は「売上の◯%」だけではない
・敷金はどれくらい必要か
・見落としやすいランニングコスト
工事
・B工事はなぜ高いのか。貸す側が、この仕組みを手放さない理由
・B工事は、どこまで押し戻せるのか
・内装監理費という費用
審査
・施設側が見ている3つの評価軸
・同じジャンルの店がすでにあると、出店できないのか
・契約満了という、入れ替わりの狙い目
途中で順番が変わるかもしれません。読んでくださる方の反応を見ながら決めます。
誰に向けて書くか
出店の話が具体的に動き出したのに、社内にも周りにも聞ける人がいない人に向けて書きます。
初めてお店を出す方でも、会社で1人で出店を回している担当者でも、同じだと思っています。困っているのは規模ではなく、「聞ける相手がいない」という状態のほうなので。
条件表を渡されて、これでいいのかどうか誰にも確認できない。そういう夜のための記事にしたいと思っています。
最後に
答えを全部持っているわけではありません。施設によって条件はまったく違いますし、私が見てきたのも一部です。
ただ、向こう側で何を考えているかは、わりと具体的に書けます。
一緒に読み解いていければ嬉しいです。
真田亮佳
