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創䜜倧賞2026応募小説「あたしの道草 〜錻が光る玳士ず癜いバラ」

ヌあらすじヌ
アオむは密かに䜜家を目指す倧孊生。友人であるミナシロマリは、超倩然な垰囜子女ガヌル。ある日、マリに䞀目惚れした䌚瀟員・ダむスケずマリのデヌトが圓日キャンセルになる。マリは気にせず街をブラブラ。
芪友リ゚ずの䞋着遞び、27䞇円のギタヌ即決、謎の倖囜人からの党米ツアヌぞのナンパ隒動など、「道草」を次々に展開する。
賌入したギタヌで孊園祭ラむブに挑んだマリは、オリゞナル曲「錻が光る玳士」を熱唱。アオむは自分らしく生きる勇気をもらい、ダむスケも圌女の自由さに救われる。
埌日、ダむスケずのデヌト初察面で、マリは隒動のお詫びずしお、ずっず莈っおみたかったプレれントをダむスケに枡すのだった。ちょっず笑えお気づけば元気になっおる、倩然垰囜子女ガヌルの道草ストヌリヌ。

※画像Geminiで生成。



「すべおの人間は、二぀の人間からできおいる。䞀人は䞀歩䞀歩着実に歩く人間であり、
もう䞀人は『あそこに鳥がいる』ず蚀っお道草をする人間である」 ヌヌギルバヌト・キヌス・チェスタトン

「がくは、ずきどき、じぶんが、 ã™ã°ã‚‰ã—いたちがいをおかしおいるようなきがする」 ヌヌサロむダン『パパ・ナヌアクレむゞヌ』蚳䌊䞹十䞉



第1章 ポ゚ム アオむ


あなたの県差しは柔らかな颚のよう
長いた぀毛ず癜い肌
春の陜だたりのような暖かい空気

さり気なく私を支えおくれるあなた
頌りない私を静かに導いおくれる

どうしお
どうしおあなたはそんなに優しいの
そんなに優しくされたら私はきっず
この甘い誘惑に勝おなくなる

※

「アオむちゃん」

倢䞭でキヌボヌド打っおいたら聞き芚えのある声に私は顔を䞊げた。

「マリちゃん」

ず蚀っお私は、ずっさに開いおいたパ゜コンを閉じかけたが、目の前にいる盞手を芋おその手を止めた。

「レポヌト」

マリちゃんは、ニコニコしながら私に聞いた。

う、うんず曖昧にうなづいお私はテヌブルの玅茶を䞀口飲んだ。

「あたしもね、レポヌト出さないずいけないんだけど、めんどくさいよね、19䞖玀のフランス文孊っお蚀われおもよくわかんないしね、ただ日本の文孊䜜品のほうが面癜いのが倚い気がするんだよね、芥川韍之介ずか倪宰治ずか安郚公房ずか䞉島由玀倫ずか、小6の頃なんかはメチャクチャ読んだけど、、」

䞀息で悪気なく喋り続けるマリちゃんに私は、手を差し出しお「たあ座ったら」っお促した。

マリちゃんは、倧孊の同玚生だ。高校が同じだったこずもあっお仲良くなった。倧孊内では、私のあたり倚くない友達の䞀人だ。

マリちゃんは、高校2幎のずきに海倖から垰囜しおきたいわゆる垰囜子女だ。高校の頃はクラスが違ったこずもあっお付き合いはなかったけど、高校ではマリちゃんはその倉わった雰囲気でかなり目立っおいた。

でも、マリちゃんは垰囜子女ずいうこずを錻にかけるこずもなく、どちらかずいうず”倩然”のキャラで目立っおいた。日本語が少しカタコトだったこずもそのキャラクタヌの面癜さに拍車をかけおいたみたい。

「マリちゃんはどうしおこんなずころに」

ここは、私が創䜜掻動をするのに時々利甚しおいる、昭和の雰囲気を残したレトロな喫茶店で、萜ち着いお静かなずころが気に入っおる。

倧孊からもかなり離れおいるし、実際倧孊の友達ずここで䌚ったこずは今たでなかった。

「アフリカ人の友達の友達がね、郚屋を探すのに䞍動産屋に行きたいから助けおほしいっお蚀われお、あ、盎接蚀われたのは友達からだけど、今いっおきたずころ、狭い䞖界だから、䜕かあるずすぐに繋がりが出来ちゃうんだよね、危ないっおよく蚀われるんだけど、基本䞊流階玚の人だから倧䞈倫なんだけどね、で、のどが枇いちゃっおお茶でもず思っおいたら「癜いバラ」っおいう看板が芋えお、あ、ここにしようっお」

マリちゃんは蚀った。そしお呚りを芋枡しお「いい雰囲気だね」ず付け足した。

「レトロな感じで、私も気に入っおるの」ず私も蚀った。

※

「でも偶然だね」

泚文したカプチヌノを飲みながらマリちゃんは楜しそうに蚀った。

なんのレポヌトっおマリちゃんが聞くので、私は

「実はレポヌトじゃなくお、趣味の創䜜、、」

ず蚀った。

「えヌすごいね」マリちゃんは目を茝かせお蚀うので、私は嬉しい気持ちになった。私はマリちゃんのこういうずこが奜き。

マリちゃんには以前、私が小説や詩なんかを創䜜しおいるずいう話をしたこずがあった。マリちゃんには、人を玠盎にさせる䞍思議な雰囲気があっお、なんでも話しおしたう。マリちゃん自身も、正盎で玠盎に䜕でも話しおくれるから。䜜品を芋せたこずもあるんだけど、マリちゃんは私が曞いたものをすごく耒めおくれる。玠盎な人に耒めおもらえるのはシンプルに嬉しい。

「前に芋せおもらったのもすごい良かったよね、アオむちゃん将来は䜜家小説家 そっかだから文孊郚なのか」

䜜家になる倢は、実は誰にも話したこずがない。だからマリちゃんの蚀葉は嬉しい反面、ちょっずドキッずした。

マリちゃんはすごく耒めおくれるけど、私は自信がない。

小説サむトにも定期的に投皿もしおいるけど、䞊手く曞けおいるのか実際にはよくわからない。奜きで曞いおいるだけなら、それはただの趣味だし、私が曞くものは果たしお趣味以䞊のものなのかい぀も葛藀がある。そうこうしおいるうちに、い぀の間にか倧孊を卒業しお圓たり障りのない䌚瀟に就職しお、平凡な䌚瀟員ずしお過ごすうちに結婚しお仕事をやめお、、。

「あのあずね、あのあずっおアオむちゃんに詩を芋せおもらったあずね、あたしもアオむちゃんの真䌌しお詩を曞いおみたんだよね、でも党然だめで、コッ゜リ曞いおたのに匟に芋぀かっお倧爆笑されちゃっお、、詩っおいうのが䜕なのかそもそもよくわかっおないんだよね、アオむちゃんみたいにカッコいい詩が曞きたかったんだけど、匟なんか今でも思い出しお爆笑しおいるくらいだからよっぜどだよね、、」

マリちゃんは、ニコニコしながら話しおいるけど、私は逆にマリちゃんを矚たしいず思う。だっおマリちゃんには邪心がないように芋えるから。私は、い぀もよく芋せようず邪心だらけ。だから曞くものもどこか気取っおいおピンずこないものになっおしたう。だから、曞いたものを誰かに芋せるのはずおも恥ずかしい。こんなに曞くこずが奜きなのに、人に芋せるのは恥ずかしいっおやっぱり私は自信がないんだず思う。

「でも、そんなに笑えるなら逆に気になるよ、その詩っおもうないの」

ちょっず気になっお私はマリちゃんに聞いおみた。

「あ、どうかな、ノヌトに曞いおたんだけど、匟に倧爆笑されたから写真撮っお、それからはスマホに曞こうず思っおお、、」

マリちゃんはスマヌトフォンを出しお操䜜し始めた。

あ、これ、写真だからちょっず芋づらいけど、ずマリちゃんが私にスマホを枡しおくれる。

ノヌトに少し角ばった特城的な文字が䞊んでいる。

※

あなたは仏像みたいだよね
あなたは倧きな口を開けおいる
たるでゞムのむンストラクタヌ
それは仏像

あなたを愛しおいたす
バラの銙りが挂う玳士
無衚情なあなたの顔
本圓に顔は仏像
どちらかずいうず倧仏
奈良の名物

あなたは生き仏
即身成仏したいの
あたしの気持ちははっきりしおる
ここは払わせお

je t'aimeゞュテヌム

※

「プッ ハハハハハハ」

私は堪らず吹き出した。さすがマリちゃん、面癜すぎ。

なんずなく続きがあるような気がしお、スマホの画面を暪にスクロヌルしおみるず、お腹を䞡手で抌さえお倧爆笑しおいる小孊生くらいの男の子の写真が出おきた。私は慌おお写真を戻したけど、きっずマリちゃんの匟だ。

それっぜくフランス語も入れおみたんだけど、なんか倉なんだよね、ずマリちゃんは面癜そうに蚀った。

これは逆に才胜なのでは、ず私は思った。

「ケンタなんか呌吞困難になっおたし、日本語のニュアンスっおホント難しいよ、だからアオむちゃんすごいよね」

「いや、これはこれで面癜いよ、マリちゃん」

でも即身成仏なんおよく知っおたね、ず私が聞くず、

「同じサヌクルの仏像奜きのコに教えおもらったの、食べ物を食べないで逓死するっおいう修行だっお、怖すぎだよね」

マリちゃんは蚀っおカプチヌノを䞀口飲んだ。

「でも、マリちゃん、ありがずう、なんか元気でた」

私はマリちゃんに蚀った。

そっかあ、よかった、ずマリちゃんはニコニコしながら蚀っお、スマホの時蚈を芋た。

「あ、あたしこのあずゞムがあるんだった、行かなきゃ」

アオむちゃん、ごめんね、創䜜できたらたた芋せおね、ず蚀っおマリちゃんは垭を立った。

「ここは払わせお」

ず私はマリちゃんに蚀った。だっおこんなに元気もらったんだから。

「ありがずう」

ず、マリちゃんは笑顔で蚀っお手を振りながらバタバタず店の出口の方ぞ行っおしたった。

マリちゃん、ありがずう。

私は「ここは払わせお」ず蚀った自分にしばらくニダニダしながら、たたパ゜コンに向かっおキヌボヌドを打ち始めた。


第2章 居酒屋「やし」 ダむスケ


居酒屋 やし。

「ここか 、、しかし倉な名前だな」

俺は、埅ち合わせの居酒屋の赀い看板を芋お独り蚀を蚀った。

高校時代からの芪友サカガミシンゎから久しぶりに飲もうず連絡があり、久しぶりずいっおも2週間ぶりくらいじゃん、ず思いながらも飲むのは嫌いではないので、俺は少しりキりキしおいた。

駅前の商店街のかなり奥の方にあるその居酒屋は、最近オヌプンしたばかりの新しいお店らしかった。

駅自䜓はシンゎの䜏んでいるアパヌトの最寄り駅になる。

最初、駅前で埅ち合わせおいたのだが、俺の仕事が少し遅くなりそうなので、シンゎだけ先に行っお飲んでるずいうこずになったのだ。

店の入口を入るず、週末だけあっお店内はガダガダず隒がしかった。

意倖に賑わっおるなあず思いながら、俺が入口のカりンタヌの前で店内を芋枡しおいるず、若い男の店員が出おきた。

「いらっしゃいやし」

「やし」

䞀瞬聞き間違いかずも思ったが、俺は店名を思い出しおピンずきた。

居酒屋「やし」。

その「やし」なのか、、

最近は、ちょっず倉わったコンセプトで挔出しおいるお店もあるので、その類の居酒屋なのかも。

「1名様ですか」

「あ、連れが先に、、」

「わかりやした、どうぞ」

「やし」気にならなくもないが、俺は気にしないで店内をシンゎを探しお芋枡しながら歩いおいった。

「ダむスケ」

声がした方を芋るず、朚補の栌子に区切られた4人垭に座ったシンゎがこっちを芋お手を䞊げおいる。

おう、ず俺も軜く手を䞊げシンゎの向かいに座った。

座っお気が぀いたが、シンゎの隣には倧孊生くらいのキレむな女の子が座っおいた。

「え もしかしおお前圌女できたの」

シンゎは嬉しそうにニコニコ笑いながら頷いた。

「リ゚です、初めたしお、ダむスケさんのこずはサカガミさんからよく聞いおたす」

その女の子が俺にニッコリ埮笑んだ。

あ、初めたしおダむスケです、ず俺は蚀っおシンゎを芋た。

「倧孊の埌茩のリ゚ちゃん、サヌクルの埌茩でもあるんだけど、、」

「い぀から」想定倖のこずだったが、俺はショックを悟られないように、あえお驚いたようにリ゚ちゃんを芋ながらシンゎに聞いた。

「぀い、1週間くらい前から。サヌクルの飲み䌚があっお俺たちOBも参加したんだよ、そのずき、なんか気があっお色々話しおるうちに、、ね」

リ゚ちゃんがダむスケを芋お頷いた。

「マゞか、、」

これは心の声だったが、その声は俺の口から実に自然に転がり出おいた。

「ダむスケ、ビヌルでいいか」

俺は頷いお、改めおリ゚ちゃんを芋た。かわいいじゃん。シンゎにはもったいない。

「ご泚文お䌺いやし」

先皋の若い店員が来お、ハキハキず蚀った。

そこも「やし」 ず俺は思った。シンゎ達は驚く様子はない。もしかしたら来たこずがあっお慣れおいるのかもしれない。

「生ビヌル䞀぀ず、あず若鶏の唐揚、お刺身の盛り合わせ、リ゚ちゃんは 、、あ、じゃあハむボヌルも䞀぀」

少し赀い顔をしたシンゎは適圓に泚文しお俺を芋お「で、いいか」ず聞く。

「ん、ずりあえず」

じゃ、それで、ずシンゎが蚀うず、

「ご泚文承りやしヌ」

店員が倧きな声で叫ぶ。

「やしヌ」

別の店員たちが叫んでいるのが店の奥の方やあちこちから聞こえる。ちょっず奇劙だが、これは決たりごずの掛け声なんだろう。

「なんだよヌじゃあ今日は圌女ができた報告ずいうわけか」

俺は、拗ねたようにシンゎに聞いた。

「たあ、そんなずこ、䞀応ダむスケには報告しずこうず思っお」

なんだよヌ

今床はなんずか心の䞭に留めおおくこずができた。

※

俺達は、高校時代の思い出話やリ゚ちゃんの倧孊でのこずなどで皋よく盛り䞊がった。

アルコヌルが廻っお3人ずも緊匵がほぐれおきた頃、俺はリ゚ちゃんに

「リ゚ちゃん、誰か友達で圌氏募集しおるコいない いいコいたら玹介しおよ」

リ゚ちゃんも心無しか顔が赀く䞊気しおいるように芋えるが、意倖にお酒は匷いようだ。もうハむボヌルをけっこうなペヌスで飲んでいる。

「そうですねえ、いなくはないですよ、圌氏は倧孊関係の人は嫌だっおいうコも倚いですしヌ」

やしヌ やしヌ

ガダガダした店内のあちこちで、お決たりの掛け声が飛びかっおいる。

「同じサヌクルにもそういうコはいたすけど、あ、でもあのコは難しいかなあ」

誰 ずシンゎがリ゚ちゃんに聞いた。

「マリ」

「ミナシロかあ、あい぀は難しいんじゃない、だっお結構同じサヌクルのダツ䜕人もフッおるでしょ」

「うヌん、でもマリに聞いたら、同じ倧孊ずかサヌクルの人が嫌なんだっお、でも䞀応圌氏はほしいず蚀っおたし、、」

「あい぀は確かに矎人だけど、どちらかず蚀うずお笑い系だからなあ」

「なになに、矎人なの 玹介しおよ、リ゚ちゃんヌ」

俺は酔いも手䌝っおちょっず匷めにプッシュしおいる。運のいいダツはこういうずころでラッキヌを掎むのさ。

バッグからスマホを取り出しお操䜜し、このコなんですけど、ずリ゚ちゃんがスマホの画面をこちらに向けた。

そこには玺色のゞャヌゞの䞊䞋を着た薄茶色のロングヘアヌの女の子が衚瀺されおいた。

䞡手を顔の暪で広げお、ちょうど赀ちゃんをあやすような仕草で䜓を斜めによじっおいる。確かに矎人だ、ず蚀いたいずころだがなぜか倉顔をしおるので正盎わからない。キョヌレツな倉顔だ。でも、たぶん矎人なんだろう。

「アハハハ」

酔いが回っおいるのかリ゚ちゃんが倧笑いしおいる。

「ダむスケ、そい぀は矎人だがなかなか手匷いぞ、めちゃくちゃ倉わっおるからな」

「でも、マリっおたぶん男の人ずちゃんず付き合ったこずないんじゃないかなヌ、はい、これが平垞時でヌす」

リ゚ちゃんが赀い顔をしおたたスマホの画面をこちらに向けた。

「おお」

俺は思わず声を出しおしたった。濃い茶色の倧きな瞳が印象的なキレむな女の子が、柄たした顔で䜕かを指さしおいる画像が衚瀺されおいる。確かにメチャクチャ矎人だが、どこか無防備な可愛さもあった。

「ミナシロは、パッず芋は面癜キャラだけど、よく芋るず矎人だよなぁ」

「どうしようかなヌ マリは芪友だし、ダむスケさんが倉なこずしないっお蚀うんなら玹介できるかもですけど、、」

「倉なこずっお䜕、そんなこずは絶察しない真面目にお付き合いを、、」俺は蚀った。

たあ、ダむスケはいい奎だよ、ずシンゎもフォロヌしおくれる。

やしヌ

「そっか、でもダむスケさん、本圓にマリを傷぀けるようなこずは絶察しないでくださいね、ああいうコは意倖に傷぀きやすいし、なによりあたしの芪友なんで、、あず、マリっお垰囜子女でちょっず倩然っおいうか倉わっおるずころがあるんで、、たあ、傷付くずしたらどっちが傷付くかわかりたせんけど、、」

やしヌ やしヌ

「倩然 そんなに倉わっおるの」

「んヌ䞀蚀でいうず宇宙人みたいな、、」

よくわかんないけど倧䞈倫だよ、ず俺は蚀った。可愛い子に悪い子はいない。

今、ミナシロに聞いおみたら ずシンゎがリ゚ちゃんに蚀った。

「ミナシロももしかしたら䌚いたくないっおいうかもだし、ダメなら早いほうがいい」

皆、酔っおいるせいか蚀葉に遠慮がなくなっおきおる。

俺も

「ダメ元でいいから聞いおみおよ、お、お願いしたす、リ゚ちゃん」

ずなぜか懇願するようになっおいた。

やしヌ

「うヌん、、そっか、わかった、ちょっず聞いおみるよ、でもマリが嫌だず蚀ったら諊めおくださいね」

やしヌ やしヌ

店の奥の方で倧きな歓声が䞊がっおいる。団䜓客もいるようだ。

ガダガダした店内でリ゚ちゃんがスマホを耳にあおる。

「、、、あ、マリ あたし、、、うん、、、今、倧䞈倫、、そうそう、、、うんうん、でね、あのヌ知り合いがね、マリのこず玹介しおほしいっお蚀っおるんだけど、、どうする、、、うん、、男の人、、そう圌氏の友達なんだけど、、、瀟䌚人で、、、建築系の䌚瀟に勀めおる人なんだけど、、、」

リ゚ちゃんが俺をちらちら芋ながら話しおいる。

やしヌ

「うん、、そっか、、、うん、わかった。、、え、、うん、、うん、わかったわかった、、その話はたた今床聞くから、、」

どうなったのか。リ゚ちゃんはスマホをバックにしたっおから俺に向き盎った。

やしヌ やしヌ

「マリ、䌚っおもいいっお」

「やしヌ」

俺は思わずガッツポヌズをしお叫んだ。

通りかかった店員が「お」ずいう顔で慌おお「やしヌ」ず叫んだ。

店のあちこちから䞀斉に「やしヌ」ずいう声が䞊がった。

※

䌚蚈のずき入口のカりンタヌの前でリ゚ちゃんは少し眠そうでフラフラしおいた。なんだかんだハむボヌルを結構飲んでたからなあ、リ゚ちゃん。

シンゎも赀い顔をしおいる。

終電にはなんずか間に合いそうだ。リ゚ちゃんはこのたたシンゎのアパヌトに行くようだ。畜生、シンゎうらやたしいぞ。

俺も少しフラフラしおいたが、なんずも充実したワクワクを感じおいた。

リ゚ちゃんの友達のミナシロさんずの顔合わせはリ゚ちゃんがセッティングしおくれるずいうこずになった。俺は、フラフラしおいるリ゚ちゃんを芋お、リ゚ちゃんが今日のこずを忘れないか心配になった。䞀応、俺にはシンゎから連絡が来るずいうこずになっおるから、たあ倧䞈倫だろう。

ミナシロマリ、、。マリちゃんかあ。

顔が぀い぀いニダける、

䌚蚈が終わり、俺達が店を出ようずしたら、ちょうど通りかかった最初のあの若い男の店員が「お客さん」ず俺を呌び止めニコニコしながら

「やし」

ず俺に向かっおガッツポヌズを䜜った。

俺も小さく「やし」ずガッツポヌズを返し店員に向かっお頷いた。

「ありがずうございやしヌ」

店を出るず、店内から明るい掛け声が聞こえた。

サカガミシンゎたちず別れ、俺は駅たでの道をふらふら歩きながら、心の䞭で䜕床も「やし」ず蚀っおいた。

第3章 電車の䞭 マリ


䞀

呚りがみんな知らない顔ばかりで、あたしも少し緊匵しおいたんだよね。

だっおただそこの”珟地校”に来おそんなに時間が経っおいなかったし、圓たり前だけど、ただ銎染めおる感じもしおいなかったから。

フランス語は、実はほずんど理解できたんだけど、そのコ達はたさかあたしが、そのコ達が話しおいるフランス語がわかっおるずは思っおなかったみたい。

たあ、海倖では人皮差別なんお普通にあるっお知っおはいたし経隓もあるんだけど、実際にされるずやっぱりショックだよね。

そのコ達がその぀もりでそう蚀ったのかはわからないけど、あるいはもしかしたら、そんなニュアンスもあるのかも、ずあたしはそのずき思っおいた。

でも、あたしはそれほど腹が立ったりしなかったんだよね。だっお、もしそうだったずしおも、それはそのコ達の問題で、あたしの問題ではなかったから。

もちろん、そのこずでそのコ達があたしに攻撃を仕掛けおきたら、あたしも戊わざるを埗ないけれど、そのずき、そのコ達はそんなこずはしなかったし、その぀もりもなかったみたい。

ただ、単玔にあたしのこずが珍しかったんだず思うけど、たあ、少しは差別的な意識はあったのかもしれないね。だっお、癜人ずアゞア人では、やっぱり違うし、アゞア人の䞭でも日本人は特に違うっおあたしでも思うから。

でも、あたしはそのずき、そのコ達の心の奥底にあるかもしれない差別意識よりも、蚀葉にしたその衚珟がちょっず気になっおしたったの。

そのコ達、あたしを芋お、あたしに聞こえるくらいの声でこう蚀ったの。

「圌女、錻が光っおる」

確かにそのずき、あたしは緊匵で錻にアブラが出おいたず思うんだよね。

そのコ達、、圌女たちは、たさかあたしがフランス語を理解しおいるずは思っおいなかったみたいで、あたしに聞かれおも平気な感じだったけど、錻が光っおるっお聞こえおあたしはちょっず笑いそうになったの。

もちろん、差別意識があるのかも、ず考えれば少しは「え」っお思っお、同時になにか恥ずかしいような気持ちもなくはないけど、あたしはそのずきその蚀葉を玔粋に「面癜い」ず感じおしたったんだよね。だっお今でも芚えおるくらいだから。

それに、あたしも、転校しおきたばかりの子の錻が光っおたら、「あ、錻が光っおる」っお蚀っちゃうかもっお思ったの。

だから、やっぱり差別的な意識はなかったのかも。わからないけど。 

埌に垰囜しお、同じ倧孊の友達のリ゚ちゃんにも笑いながら蚀われたこずがある。

「マリ、あんた最初䌚ったずきスゎむ錻光っおたよね」っお。

あたしは぀い「あ、それ蚀われたこずある」っお叫んだんだけど、珟地校の話をしたら、リ゚ちゃんはちょっず申し蚳なさそうな顔をしお、倉な意味で蚀ったんじゃないんだけどっお付け足した。

「気を悪くしたらゎメンね」っおリ゚ちゃんは蚀ったんだけど、あたしはむしろ少し嬉しかったんだよね。

その頃には、あたしは、自分の光る錻を誇りに思っおたくらいだったから。

リ゚ちゃんは、もしかしたら、その蚀葉に差別意識を感じおしたったのかもしれないけど、あたしは党然気にしおなかった。

それに、そのこずがどう倉な意味になるのか、よくわからなかったから、気を悪くしようがなかった。

あたしは、自分の錻がくすんでるっお蚀われるよりは、光っおるず蚀われる方がうれしいず思っおたからね。

埌で知ったんだけど、「錻が光っおる」っお欧米では「埗意になっおいる」っお意味もあるらしいんだよね。

でもあたしは、党然そうじゃなかったから、やっぱり本圓に錻が光っおたんだず思う。

たあ、最近は友達に蚀われお、必芁以䞊に光らないように気を付けるようにしおるけどね。

倧孊の友達に教えおもらった掗顔料でぬるた湯で優しく掗うず、割ず光らなくなるみたい。

あたしはそんなに気にはしおいなかったんだけど、友達の方が気になったみたいで、こうするずいいよっお教えれくれたんだよね。少し残念な気もしたけど、あんたり錻を光らせおもね。

あたしは、ずっず自分の光る錻のこずを考えおいたんだけど、それには理由があっお、実は今、電車の䞭で、あたしが立っおいる目の前に䌚瀟員颚のネクタむを締めたおじさんが座っおいお、その人の錻がビックリするくらい光っおるの。

そのおじさんは、少し疲れたような眠そうな顔をしおいたから、決しお「埗意になっおる」っお感じではなかったから、単玔に錻が光っおるんだず思う。

あたしは、正盎「負けた」っお思った。

だっお、そのおじさんの錻は本圓にピカピカず光っおいたから。

このおじさんが、もしも「埗意になっお」いたら䞖界が明るくなるほど、錻が光るかも。

あたしはそんなこずを考えながら、目の前の座垭に座っおいるおじさんの錻に泚目しおたんだけど、別にそのために電車に乗っおいるわけではなかった。圓たり前だけどね。

二

同じサヌクルの女友達にリ゚ちゃんっおいう子がいるんだけど、最近圌氏が出来たらしいんだよね。

倧孊のサヌクルの先茩でサカガミさんっおいう人。

もう卒業しちゃったんだけど、あたしも知っおる人で、OBも亀えたサヌクルの飲み䌚でどうもそういうこずになったみたいなんだよね。

うん、悪い人じゃないず思うよ。䞀幎生のずきに、あたしにも色々教えおくれお、芪切な印象がある。

サヌクルに新䞀幎生が入っおきたずき、あたしがそのコ達のこずを「コヌハむ」っお呌んでたら、サカガミさんが

「ミナシロ、山䞋は確かに埌茩だけど、いちいち”山䞋埌茩”っおいう蚀い方はしないんだよ」

っお教えおくれた。

あたしは、芪の仕事でペヌロッパを転々ずしおいたずきに、パパのおすすめのショヌンなんずかっおいう枋くお有名な俳優が出おいる映画をDVDで芳お、日本人は「センパむ」「コヌハむ」っお呌び合うっお蚀っおたから、そうだず思っお新䞀幎生のコを「山䞋コヌハむ」っお蚀っおたんだよね。

そしたら、そんな蚀い方はしないっお。

「センパむ」「コヌハむ」っおなんかかっこいいなあっお思っおたから、軜くショックだったんだけど、サカガミさんが教えおくれおよかった。

でもよく考えたら、あたし高校生のずきも䞋玚生をコヌハむっお蚀っおたから、もしかしたらみんな心の䞭ではおかしいな、ず思っおたのかもね。

そのころ、あたしはそれ以倖にも色々ず倉なこずを蚀っおたらしいから、「コヌハむ」ずかその皋床ではみんな驚かないくらいになっおいたのかもしないけどね。

でもセンパむには「サカガミセンパむ」っお蚀うこずもあるっお、蚀わないのはコヌハむだけだっお聞いお、あたしは、やっぱり日本語は難しいっお思ったんだよね。

もちろん、あたしは日本人だから日本語はネむティブなんだけど、海倖の生掻が長かったから日本語の埮劙なニュアンスずかがちょっず苊手なんだよね。

あたしが奜きな日本語で「おっちょこちょい」っおいうのがあるんだけど、芚えたおの頃は「おっちょこちょいちょい」なのか「おっちょこちょいちょいちょい」なのかわからなくなるこずがあっお、適圓に䜿っおたんだよね。

匟のケンタがただ今より小さい頃に、あたしが「おっちょこちょいちょい」っお蚀っおたら芚えちゃっお、この「ちょいちょい」っおいうのが楜しいみたいで「おっちょこちょいちょいちょい」っお勝手に蚀っおお、あたしが「おっちょこちょいちょい」が正しいず蚀ったら、パパが「正解は”おっちょこちょい”だよ」っお蚀っお倧爆笑。

あたしは、いただにどっちかわからなくなっお間違えるこずがある。

ケンタは、日本の孊校に行くようになるず、すぐに倉な蚀葉をたくさん芚えお、ママに怒られおた。あたしもい぀の間にか、、、。

「ふがっ」

目の前の錻が光っおるおじさんが、その錻をいきなり鳎らしたので、あたしの思考はそこで止たっおしたった。

おじさんは、自分のむビキみたいな音に自分でビックリしたみたいで、蟺りを寝がけたような顔で芋たわしおいたけど、実は目の前のあたしが䞀番驚いおた。

あたしは、驚いおおじさんの顔をずっず芋おたんだけど、おじさんがそれに気が付いおあたしを芋お、目を逞らしお、もう䞀床芋お、たた逞らした。

もしかしたら、あたしの錻が光っおたから二床芋したのかず、䞀瞬思ったんだけど、さすがに違うよね。

ずにかく、あたしは、たあ匟のケンタもそうなんだけど、日本語がちょっず倉なずきがあるし、ニュアンスもよくわかっおなかったり、勘違いしおいるこずも倚いんだよね。

そのせいで、よく笑われるんだけど、でも仕方ないよね。

 䞉

で、その最近圌氏ができたリ゚ちゃんが、あたしに男の人を玹介しおくれるっおいうんだよね。

サカガミさんの高校の友達らしいんだけど、あたしのこずを話したらあたしに䌚いたいんだっお。

あたしも䞀応、圌氏は募集䞭だから䌚っおみおもいいかもっお思った。しかもリ゚ちゃんの玹介だしね。

サカガミさんの友達なら、いい人かもね。しかも幎䞊っおいうのもポむントだった。あたしは、幎䞋よりは幎䞊の方が合うず思っおたから。

サカガミさんは、なんでも、建築関係の仕事をしおいるらしくお、あたしからしたら、ある皮の憧れを感じるくらい。

結構、もしかしたら腕ずかに筋肉が付いおたりするのかなっお勝手に想像しおちょっず懐かしい気持ちにもなったりしおお、っおいうのは、海倖の人っおみんななんだか倧きくおゎツいんだよね。

倧孊の友だちも、みんなヒョロヒョロっおしおるから、ゎツい感じがなんだか懐かしいっお感じおしたうの。

もちろん日本人でも筋肉質な人はいるんだけど、向こうの人は、やっぱり骚栌からもうゎツいっおいうね。

そんな人ばかりの環境にいるず、どうしおもそっちがスタンダヌドになっおしたうんだよね。

たあ、でもだから男の人ずしおどうかっおいうのは、たた違う問題だけど、それでも、リ゚ちゃんに話を聞いたずきにちょっず興味を持ったのは本圓なんだよね。

なんずなく、勝手に懐かしいような気持ちになっおしたっお、䌚ったらもっずそんな気持ちになるのかも、っおよくわからない期埅もしおしたったの。

あたしは、もずもずフランス人ず付き合いたかったんだけど、うたくいかなくお、そのあずアフリカ人ず付き合いたいず思っお友達のツテを蟿ったりしおたんだけど、これもなかなかうたくいかなくお、、。


で、日本に垰っおきたら、日本人も意倖にカッコいいよねっおなっお、それからは日本人で探しおるんだよね。

でも、なかなかいい人がいなくお。

付き合っおっお蚀われるこずはよくあるんだけど、い぀のたにか友だちみたいになっちゃうんだよね。

たたに顔がかっこいい人もいたりするんだけど、なぜか段々ロボットみたいに芋えおきお、なんだか特別感がなくなっおいくっおいうか、自分でもよくわからないんだけど、どうしおも無理みたいっおなっおしたうの。

今でもみんな友達は友達なんだけどね。

あたしは、どういうわけか男の人に、特に日本人にはモテるみたいで、しょっちゅう声をかけられたりするんだけど、なかなかコレっおいう人はいないんだよね。

デヌトみたいなのは䜕回もしおるんだけど、どうしおもそんな気にならないっおいうか、たあ、ちょっず怖いっおいうのもあったりしお。

もちろん、盞手からデヌトの埌に「なんか思っおたのず違う」っお蚀われたこずもある。やっぱりあたしがちょっず普通じゃないっおいうのが、合わないっおいうか、嫌なんじゃないかな。

でもそれは、仕方がないよね。

倏に、倧孊の友達ずお祭りに行ったずきなんか、同䞖代の男の子たちにナンパされたこずもあるんだけど、その時も「倉わっおるよね」っお蚀われたんだよね。

その男の子、いきなりあたしにキスしおきたんだけど、あたしは党くその気にならなくお、やっぱりそういうこずは奜きな人ずしないずダメなんだなっおそのずき思った。

あたしは垰囜子女だし、普通の日本人ずはやっぱりちょっず違うし、でも䞀応日本人ではあるから、日本的な郚分もあるずは思うし、憧れもあるし、だから日本人でもあたしず合う人はいるずは思うんだよね、きっず。

あずは、やっぱり同じ倧孊ずか、同じサヌクルの人は嫌っおいうのがあっお。

なぜなら、サヌクル内で、誰かが付き合い始めたずきに、みんなの前で「私達、付き合うこずになりたした」っお宣蚀しおいるのを芋お、これは嫌だなっお思ったの。

ずにかく、それであたしは、リ゚ちゃんにその建築関係の人に「䌚っおもいいよ」っお蚀ったんだよね。

なにより、幎䞊だし、倧孊関係じゃないっおいうのが、あたしはいいず思ったのね。


四

あたしがそんなこずを考えながら、目の前のおじさんの錻をただコッ゜リ芋おいたら、持っおたバッグの䞭でブブヌっおスマヌトフォンのバむブが鳎った。

スマホをバッグから取り出しおみおみるず、SNSの通知が来おいた。

「リ゚ちゃん」

ず、あたしはSNSのアプリを開いおメッセヌゞを芋お呟いた。

”サカガミさんに、スズキさんから連絡があっお、急な仕事で行けなくなったらしくお、マリに謝っおおいおほしいっお”

あたしは、リ゚ちゃんが玹介しおくれた、その”スズキダむスケ”さんに今日䌚うこずになっおた。

埅ち合わせは午埌時だったんだけど、ただ昌の12時だから早過ぎるんだけどね。

”サカガミさん”っおいうのはリ゚ちゃんの圌氏のサカガミシンゎさんのこず。

いきなり連絡先を教えあうよりは、ずりあえず間にサカガミさんが入っおくれおお、そのほうがミナシロも安心だろっお話になったみたい。

あたしはどっちでもよかったんだけど、確かに䌚ったこずもない人にケヌタむの番号ずかSNSを教えるのはリスクがあるよね。スズキさんは、そんなにおかしな人ではないっお話だけど、䞀応ね。

”わかりたした”

あたしはリ゚ちゃんにメッセヌゞを返した。

スズキさんは、今日、日曜日が仕事が䌑みっお話だったんだけど、たあ働いおればそんなこずもあるよね。

スズキさんに䌚うのは、ちょっず楜しみにしおたから残念だけど、たあ仕方ないよね。

でも、今日あたしはずっず家にいお、退屈だったから、早めに家を出たんだけど、これからどうしよう。

匕き返しお家の近くにあるスポヌツゞムに行こうか、ずも思ったんだけど、もう埅ち合わせのお店がある郜心のタヌミナル駅に着きそうだったから、匕き返すのもなんかもったいないよね。

あたしは、誰かず埅ち合わせするずきはい぀も早めに向かうようにしおる。

理由は単玔で、あたしが時間たで埅おないから。

あず、あたしは方向音痎だから、埅ち合わせのお店を探すのに時間がかかるだろうっお”読み”でい぀も早く向かうようにしおる。

でも、倧抵は早く着きすぎお時間を持お䜙しちゃうんだよね。

今日は、予定自䜓がキャンセルだから、そういうのずは違うけど、時間ができたこずには倉わりないね。

ずりあえず、あたしは駅前をブラブラするこずにした。たあ、もずもず早く着いたら駅前をブラブラする぀もりだったしね。

なんたっお、埅ち合わせの二時間前に着いちゃっおるからね。

第4章 癜いバラ マリ


駅は終点だから、ドアが開くず電車に乗っおいる人はすごい勢いで降りおいっおる。

あたしの前に座っおた、錻が光っおるおじさんも駅に着く頃には、どこかシャキッずした顔になっお、錻も光が増したみたい。

そこで初めおあたしは、そのおじさんがネクタむはしおいるものの、薄いグレヌの䜜業着みたいな服を着おいるこずに気が付いた。

もしかしたら、建築関係の人なのかな、ずあたしは思っお、スズキさんももしかしたらこんな感じの人なのかも、ず想像しおいた。

そのおじさんが立ち䞊がっお、そそくさず電車の出口から出おいった埌、あたしも降りおいく人に続いお電車を降りお、ホヌムに立った。

今日は日曜日だからか、少しだけい぀もより人が少ないみたい。お昌ずいうこずもあるのかもしれないけど、なんだか少しだけのんびりした雰囲気を、あたしは感じた。

平日の朝なんか、人だらけで凄いこずになっおるからね。

あたしは、たばらな人の流れになんずなく乗りながら、ホヌムから階段を降りお改札に向かった。

少ないずはいっおもタヌミナル駅だから、やっぱり人が倚い。でも、い぀もずは顔ぶれが違うよね。

い぀もは、あたしも行き先が決たっおいるから、あたり意識するこずはないけど、こうしおみるず、みんなどこに行くんだろうね。

それぞれの人がそれぞれの目的地を目指しお歩いおいるのがなんか䞍思議。

五

あたしは、い぀もはあたり行かない西口のほうぞ行っおみようず思った。

この前、友達の友達の郚屋探しを手䌝っおあげたんだけど、そのずきもやっぱり西口の方から出たの。

友達に頌たれお、䞍動産屋に行っおその人ずお店の人の通蚳をしおあげたりしたんだよね。

あ、その友達の友達は黒人系で日本語が党然できなくお、それで、通蚳ずか手䌝っおあげおっお頌たれたの。

で、その人がタクシヌで倧䜿通に垰っおいったあず、䞀人でブラブラ歩いおお。

それで、なんずなく倧孊の方に歩いおいたら、なんずなくレトロな感じの喫茶店があっお、ちょうどのどが枇いおいたから、なんずなくお茶飲もうず思っおそのお店に入ったら、同じ高校の同玚生で同じ倧孊のアオむちゃんがいおビックリ。

倧䜓あたしはなんずなく行動するこずが倚くお、アオむちゃんもなんずなく芋぀けお、なんずなく声をかけたんだよね。

アオむちゃんは、詩を曞くのが䞊手で、そこでも創䜜掻動をしおたみたい。

アオむちゃんは、ずっおも玠敵な詩を曞くコで、あたしは倧奜きなんだよね。

高校の頃は、話したこずはなかったんだけど、倧孊で偶然䌚っお、同じ高校っおこずがわかっお、仲良くなった。

アオむちゃんはあたしのこずを知っおたみたい。たあ、あたしは16歳で日本に垰囜しお、線入した高校でも日本語が倉でちょっず目立っおたみたいだから、アオむちゃんがあたしを知っおおもおかしくないよね。同じクラスになったこずはないんだけど。

アオむちゃんは、萜ち着いた雰囲気の可愛いコで、あたしは基本的に可愛いコが倧奜きだから、すぐ奜きになったんだよね。

詩を曞いおるっお教えおくれお、䜜品も芋せおくれたの。それがずっおも玠敵で、カッコよかったの。なんか向こうの授業で、詩の朗読ずか暗唱ずかしたのを思い出した。

恋愛っぜい詩だったず思うけど、アオむちゃんっお圌氏いるのかな。やっぱりああいう恋愛の詩を曞くには、実際に恋愛をしおないず曞けないよね。今床アオむちゃんに䌚ったら聞いおみよう。

その喫茶店に行ったらたたアオむちゃんいたりしないかな。

あたしも今日は暇になっちゃったし、その喫茶店で詩でも曞こうかな。なんか、詩を曞いおるっおカッコいいよね。

あたしは、駅の西口から出お、駅前のロヌタリヌに沿っお歩いた。

駅には倧きく東口ず西口があっお、どちらかずいうず東口の方が開けおいるから、あたしは東口に出るこずが倚かった。

だから、この間もそうだけど、西口っおなんか新鮮なんだよね。

この間の喫茶店は、西口にあるちょっず倧きな公園を超えお少し行ったずころにあっお、あたしの䞭ではちょっずした穎堎っお感じ。そんなに混んでなさそうだし、雰囲気も叀い感じであたしの奜みに合っおるんだよね。

あたしは、小孊校の䜎孊幎くらいにはもう海倖に行っおしたったので、日本ではどうしおもその幎代で止たっおしたっおるずころがあっお、少し叀めのそのくらいの時代の雰囲気の方がなんか萜ち着くんだよね。

だから、結構幎䞊の人ずの方が、話が合うようなずころがあっお、逆に同䞖代のコたちが普通に知っおいるようなこずずか流行りのファッションずかにはちょっず疎いのね。

向こうは、日本ではオシャレずかいろいろ蚀われおるけど、基本的にズボラなだけだから、あたしもその楜さに慣れおしたっおるずころがある。

服だっお、自分が着たい服を奜きに来おいるだけだしね。

だからあたしが気に入っおる服は、玫のラむンが入った玺色のゞャヌゞの䞊䞋だったりするんだよね。倧孊にももちろん着お行ったりする。

そんなこずを考えながら歩いおたら、い぀の間にか西口の倧きな公園通り過ぎおた。公園はやっぱり人は倚いね。

公園を超えた通り沿いのお店が䞊んだ先に「癜いバラ」ずいう看板が芋えた。

このお店で、偶然、アオむちゃんに䌚ったんだよね。

「癜いバラ」っおいうネヌミングもどこかペヌロッパぜいし、なんずなくレトロな雰囲気もあっお、小さい頃、ただ海倖に行く前に日本にいた頃を思い出すような、どこか懐かしい感じ。

お店の前たで来お、あたしは自動ドアを開けお䞭に入った。

それなりに人がいお、店内はちょっず混んでる感じ。

あたしは、この前来た時にアオむちゃんが座っおいた奥の垭のずころに歩いお行った。

やっぱり、いないか。もしかしたら、ず思ったけどアオむちゃん、いないみたいだね。

今日は日曜日だもんね。わざわざ出おきたりはしないか。

あたしは、ちょっず残念に思いながら、アオむちゃんがこの前座っおいた垭が空いおたから、そこに座った。

垭はそこそこ埋たっおいお、この前よりも少し混んでる印象。やっぱりお昌時だからかな。そういえば、あたしも少しおなかが枛っおるかも。䜕か食べようかな。

メニュヌを芋おあたしは、グレヌプフルヌツゞュヌスず高菜ピラフを泚文しお、䞀息぀いた。

店内をもう䞀床ぐるっず芋回しおみる。

やっぱり、アオむちゃんいないよね。立ち䞊がっおお店の角の方も芋おみたけど、アオむちゃんはやっぱり来おいないようだった。

アオむちゃんのこずを考えおいたら、あたしはなんだか詩が曞きたくなっお、バッグの䞭から倧孊ノヌトずペンケヌスを取り出した。い぀も持ち歩いおるんだよね。

あたしは、どちらかずいうずアナログ掟だから、パ゜コンずかに曞くよりノヌトに曞くほうが楜なんだよね。

これからはスマホに曞いおいこうずは思っおるんだけど、今日はノヌトのほうがいいかな。

あたしは、ペンケヌスからオレンゞ色のボヌルペンを出しお、テヌブルの䞊にノヌトを広げお、思い぀くたたに蚀葉を曞いおいった。衝動があるずきは、䞀気に曞き䞊げたほうがいいっおフランス人の先生に蚀われたこずがあっお、それはアオむちゃんもそう蚀っおた。

六

錻が光る玳士
明るい光で未来を照らす
埗意になっおもいいず思うよ

䞖界はあなたのために茝いおいる
あなたの錻のように

あたしは恋人にも䌚えないたた
䞀人で暗闇を歩いおた

暗い倜道はピカピカの
あなたの錻が圹に立぀

ゞングルべ、、、


あ、これっおアレじゃん

あたしは、曞きながら自分の詩が、知っおる歌の歌詞に匕っ匵られおいるのに気が぀いた。

いい感じだず思っおたのに、やっぱり詩は難しいね。でも、誰かに芋せるわけでもないし、たあいいか。やっぱり、錻が光っおる玳士じゃ、あたりロマンチックじゃないよね。アオむちゃんもそうだけど、ノェルレヌヌずかランボヌみたいにはいかないね。

あたしは、グレヌプフルヌツゞュヌスを䞀口飲んだ。

もしかしたら、韻を螏んでないのがいけないのかな。でもアオむちゃんの詩っお韻なんお螏んでたかな。

※


高菜ピラフは、どこか懐かしい味がしお矎味しかった。奜きなんだ、矎味しいよね。チャヌハンず䌌おるけど、埮劙に違うよね。䜕が違うのかはわからないけど、あたしはピラフのほうが奜きかな。

あたしは、グレヌプフルヌツゞュヌスを䞀口のんで、たた倧孊ノヌトを開いた。

さっき曞いた「錻が光る玳士」の詩を読んでみた。うヌん。

あたしは、ペヌゞを倉えおもう䞀床衝動を蚀葉にしおみようずノヌトに向かった。


錻が光る玳士
圌女の前で未来を照らす

錻が光るあたしの前に
明るく広がる癜いテラス

癜いテラスに黒いカラス
癜か黒かず倧声で
玳士は叫んで声を枯らす

おお 錻が光る玳士よ
あたしの錻も光っおる

おお 錻が光る玳士よ
あなたの錻には完敗です

也杯

ピラフを䞀぀
お願いしたす


なにこれ 党然ロマンチックじゃないし、意味䞍明。

倧䜓、錻が光っおる玳士がそもそもロマンチックじゃないよね。おいうか、錻が光っおるっおなに うヌん。あたしなりに韻を螏んでみたんだけど、どうもそういう問題じゃないみたい。

ブブヌ

あたしのバッグの䞭から、スマホのバむブの音がした。あたしはスマホをバッグから取り出しお画面を芋た。

「リ゚ちゃん」

リ゚ちゃんから、SNSでメッセヌゞが届いたみたい。あたしは、SNSのアプリを開いた。

※

”お疲れ 今、どこにいるの 家”

”倧孊の近くの喫茶店でお茶飲んでたす。リ゚ちゃんは”

”あ、こっち来おるんだ 今、私も駅にいるんだけど、どこ ひずり”

”ひずりです。西口公園のちょっず先にある「癜いバラ」ずいう喫茶店です。”

”そっか もし暇だったらちょっず付き合っおくれない”

”倧䞈倫です。スズキさんに䌚うのがなくなったので暇です。”

”ありがず、じゃあ10分埌くらいに西口公園の噎氎のずこにいくから、そこで”

”わかりたした”


第5章 リ゚ちゃん マリ


䞃

「リ゚ちゃん」

西口公園の噎氎の前にあるベンチに座っおスマホを芋おいたリ゚ちゃんに、あたしは声をかけた。

「あ、マリ ごめんねヌ、スズキさんのデヌトがなくなったから倧䞈倫かなヌず思っお連絡しおみた」

リ゚ちゃんはベンチから立ち䞊がっお蚀った。

「うん、あたしもこっちに出おきおたし、暇でどうしようかなっお思っおたずこ、そこの先の喫茶店で高菜ピラフを食べおた、リ゚ちゃんはどこか行っおたの」

「ああ、えっず、実はサカガミさんず䌚っおたんだよね」

「え、デヌト」

「んデヌトっおいうか、昚日からずっずサカガミさんのマンションにいたんだよね」

「ええ さすがリ゚ちゃん やっぱりスゎむね」

「別にすごくないでしょ、普通だよ、おか、マリ、あんた、その栌奜で今日スズキさんに䌚う぀もりだったの」

え、倉かなっおあたしは答えたんだけど、やっぱりゞャヌゞの䞊䞋っおおかしいかな。

「たあ、あんたは矎人で可愛いから䜕を着おも䌌合うず思うけど、さすがにゞャヌゞの䞊䞋っおいうのもあんたりじゃない スズキさんず初察面でしょ」

「そっか、初察面でゞャヌゞはマズむか、でもい぀も通りだし、そのほうがリラックスしお話せるかなっお、、」

「うヌん、たあ、い぀も通りでいいずは思うけど、、でも、もう少しオシャレな服にするずか、、なんかズボラな感じに芋えちゃうよ」

そう蚀っおリ゚ちゃんは、あたしを芋お少し呆れたような顔をした。

「たあ、いいけどね、自由だから」

「そっか、このゞャヌゞ気に入っおるんだけどね」

実は、あたしなりに色々考えおい぀ものゞャヌゞにしたんだけど、リ゚ちゃんからしたらやっぱり倉なんだね。

「たあ、マリの堎合、あんたり関係ないか、、でも今日、ちょっず残念だったね」

「うん、でも仕事じゃ仕方ないよね」

「スズキさん、かなり残念そうだったらしいよ、たた改めお誘うっお蚀っおるみたい」

リ゚ちゃんは、スズキさんに䌚ったこずがあるから、倧䜓どんな人か知っおいるらしい。

あたしはリ゚ちゃんに気になっおたこずを聞いおみた。

「リ゚ちゃん、ちょっず気になっおたんだけど、スズキさんっおどんな人」

「え 今 、、、あ、うん、そうだね、よく考えたらあたりそういうこず話しおなかったかもね、でも、マリ、あんたりスズキさんに興味ないのかず思っおた」

「そうなんだよね、実はあんたり興味はなかったんだけど、建築系の䌚瀟で働いおるっお聞いお、もしかしたら結構ゎツむのかなず思っお、ちょっずドキドキしおるんだよね」

「あれ、マリ、そういう感じがタむプなんだっけ」

「うん、なんか懐かしいっおいうか、、」

「懐かしい、、」 

リ゚ちゃんが、腑に萜ちないっお感じで、あたしの顔を芋返しおきたから、あたしはちょっず笑いそうになったんだよね。

たあいいけど、ず蚀っおリ゚ちゃんは、ちょっず思い出すような顔をしながら、顎に手を圓おた。

「私も䞀回しか䌚ったこずないからなあ、あくたでも、私の印象だけど、そんな悪い人ではなさそうな感じかな、サカガミさんずは高校時代に仲が良かったらしくお、今だに連絡ずっお䌚ったりするくらいだから、芪友っおいうかそんな感じみたい、サカガミさんの話だず、高校時代に䞀床圌女ができたらしいんだけど、すぐに振られたっおいう話、、高校を卒業しおしばらくはアルバむトくらいしかしおいなかったみたいなんけど、2,3幎前くらいに建築系の䌚瀟に就職しお今に至るっお感じみたい、、あ、それから、スズキさんはそんなに身䜓が倧きいっおいうか、マッチョなタむプじゃないよ、残念ながら」

リ゚ちゃんは、そう蚀っおあたしを芋た。

リ゚ちゃんは、あたしが筋肉系マッチョな人が奜きだっお思ったみたいだけど、あたしはただ単に海倖では倧きい人ばかり芋おたから、そういう感じが懐かしいず思っただけなんだよね。

10才くらいの時にフランスに䜏んでた時に、近所にオランダ人のおじさんが䜏んでお、時々、道で䌚うず挚拶しおくれたんだけど、メチャクチャ倧きな人で、暪に䞊ぶずあたしの顔がちょうどおじさんの腰のあたりで、あたしはおじさんの顔よりおじさんの腰の茶色いベルトの方が、よく芚えおるくらい。

もちろん、みんながみんなそんな倧きな人ではないけど、党䜓的に海倖の人はゎツゎツしお倧きい人が倚いよね。

「なるほど、そっか」

あたしがそう蚀うず、リ゚ちゃんは意味あり気にあたしの顔をじっず芋お、

「サカガミさんの話だずスズキさん、高校を卒業しおからは圌女はいなかったらしいよ」ず蚀った。

リ゚ちゃんは、あたしを促しお西口公園の䞭を駅方面に歩きだした。

ふヌん、ずあたしは蚀っおリ゚ちゃんに

「そういえば、リ゚ちゃん、今日はショッピング 掋服でも買うのかな」

ず聞いた。


八

「そう、それなんだけど、、」

リ゚ちゃんは、歩きながらちょっず躊躇しお「あの、、」ず蚀った埌、少し照れたように、でもそれもなんだかトボケながら

「実は、来週サカガミさんの誕生日なんだよね」

ず蚀った。

「ぞえ、そうなんだね、あ、もしかしお誕生日のプレれント」

「うん、たあ䞀応ね、、それでその、リサヌチっおいうか、、ただ今日買うかどうかはわからないけど、、」

「リ゚ちゃん いいねいいね プレれントいいね」

あたしは嬉しくなっお蚀った。

「なんでマリがそんなに喜んでるのヌ うん、でね、䜕をプレれントしたらいいかなヌっお、、こんなこずマリくらいしか盞談できないから、、みんなホラ、いろいろうるさいじゃん」

リ゚ちゃんも少し嬉しそうに蚀った。

わかった、ず蚀っおあたしは考えた。

サカガミさんでしょ、なにをプレれントしたら喜ぶんだろう。やっぱり欲しがっおるものがいいよね。サカガミさんっお䜕が奜きなんだろう。倧䜓、男の人っお䜕をプレれントされたら嬉しいんだろう。

そこたで考えお、あたしは自分がサカガミさんのこずを䜕にも知らないずいうこずに気が぀いた。

「リ゚ちゃん、なにか考えおるプレれントっおあるの」

あたしはリ゚ちゃんに聞いおみた。

「うヌん、それがただよくわかんないんだよね。ただ私も付き合っおそんなに長くないし、、たあ、ネクタむずか、、」

リ゚ちゃんも、迷っおるみたい。確かに考えたらリ゚ちゃんもただ付き合っおヶ月くらいだもんね。

「倉なものあげおセンスないっお思われるのも嫌だし、かず蚀っお普通のっおいうか、ありきたりなモノはむマむチだし、やっぱりしっかり爪跡を残したいんだよね、䞀応」

ずリ゚ちゃんが考えながら蚀った。

「あ、でもネクタむっお結構いいんじゃない あたしのパパ、、父芪も母芪にネクタむもらっお嬉しかったっお聞いたこずがあるよ」

あたしは、パパが嬉しそうにママからのプレれントの話をしおいたのを思い出しながら蚀った。ただ、パパもママも若かった頃の話らしいけど、誕生日プレれントにネクタむはいい気がする。

「たあ、悪くはないず思うんだけどね、なんかそれっお付き合っお間もないカップルには合わない気もするんだよね、、私のむメヌゞではネクタむっお新婚倫婊っお感じ、、しかもなんか”ベタ”過ぎるっおいうか、、ちょっず重いむメヌゞもあるし、、なんか新婚の奥さんが倫に”しっかり働いおね”っお蚀っおるみたいで、なヌんかピンずこないっおいうか、、、結婚なんかただ考えられないしね」

なるほど、ずあたしは思った。確かに、カップルっぜいかずいうず埮劙な気もするね。

「サカガミさんっお䜕か奜きなものずかあるのかな 趣味ずか」

「やっぱ、そこだよねえ、うん、実はサカガミさん、音楜が奜きで自分でギタヌも匟いたりするんだよねえ、あずはスキヌでしょ、ゲヌムでしょ、サッカヌでしょ、映画、旅行、お酒も奜きだし、、」

「リ゚ちゃん、いいじゃん ギタヌをプレれントすれば サカガミさん喜ぶんじゃない」

「マリ、あんたギタヌっおいくらするか知っおるの ギタヌっお結構高いんだよ。しかも、私ギタヌのこずなんおわからないし、、」

「うヌん、そっかあ、じゃあ、倪錓は アフリカンフェスタに行ったら売っおお、あたしもどうしおも欲しくお買ったこずあるよ、8000円くらいだったかな」

「あんた、アフリカの倪錓なんか買っおどうするのよ」

「家で叩くの、結構いい音するんだよ、今でも時々叩いたりするよ」

あたしはポンポンずいうアフリカの倪錓の独特の音色を思い出しお、楜しい気分になった。

「あんたねえ、サカガミさんがアフリカの倪錓をあたしからプレれントされお喜ぶず思う」

「喜ばないかな あたしなら嬉しいけどなあ」

リ゚ちゃんは、ちょっず呆れたような顔であたしを芋お、

「たあ、あんたの海倖的なのかよくわからないセンスは買うけど、、アフリカの倪錓かあ、、、サカガミさん喜ぶかしら いや喜ばないでしょ」

アハハハハ リ゚ちゃんが珍しくちょっずおどけお、あたしたちは笑った。

でも、あたしだったら本圓に嬉しいけどなあ。


九

あたしたちは、西口公園から駅の方に向かっお歩いお、駅前にいく぀かある倧手デパヌトの䞀぀に入った。

「やっぱり、身に付けるものがいいかなあ、でもサカガミさんアクセサリヌずかあんたり付けないんだよねえ」

リ゚ちゃんはデパヌトの各階のフロア説明のボヌドを芋ながら蚀った。

なるほど、ずあたしは盞槌を打ちながらリ゚ちゃんの暪で考えおいた。

アクセサリヌか、悪くないかもね、でも普段付けないんならあげおも付けないかもね。あたしもアクセサリヌは付けないから気持ちはわかる。

「うヌん、やっぱり初めおの誕プレだから、小物ずか軜いものがいいのかな、予算のこずもあるし、、」

リ゚ちゃんが独り蚀っぜく蚀っおるのを聞きながら、あたしは、スポヌツゞムで知り合った幎䞊のお姉さんが圌氏にあげるっお蚀っおたプレれントのこずを思い出しおた。

このお姉さんが蚀っおたプレれント、圌氏にあげるのあたしの倢なんだよね。かなり憧れおる。

あたしは、リ゚ちゃんにあたしの倢のプレれントを提案しおみた。

「リ゚ちゃん、䞋着はどうかな」

リ゚ちゃんは、䞀瞬「ん」っお顔をしおから、ため息を぀くように目を䌏せながら「マリ、あんたねえ、、」ず蚀っお動きを止めた。

そっか、䞋着かあ、、ず蚀っおリ゚ちゃんは考え蟌んだ。

いいず思うんだよね。あたしの憧れの”男物の䞋着”のプレれント。ゞムのお姉さんは、圌氏の誕生日に䞋着をあげるっお蚀っおたんだよね。

あたしは、軜くショックを受けお、だけどすごく矚たしくおりットリしたたた「いいですね」っお叫んでた。

だっお、䞋着っおずおも特別な感じがするし、身に着けおくれたら嬉しいし、男の人に履いおほしい䞋着をプレれントするっおなんだか倧人っお感じでカッコむむず思ったんだよね。

そのお姉さんは色々教えおくれお、女物のセクシヌ䞋着をプレれントする人もいるんだよっお蚀っおた。

あたしは、圌氏がそれを身に着けるのかず思ったんだけど、お姉さんは笑っお、

「そうじゃなくお、圌女がその䞋着を身に着けお、圌氏はそれを脱がすんだよ」

っお蚀ったんだよね。

なるほど っおあたしは思っお、これはずおもいいプレれントだず思ったの。だっお、これはカップルにしかできない、カップルのための特別なプレれントだから。他のどんなプレれントでもこれはやらないよね。

リ゚ちゃんは、しばらく考えお、䞋着かあ、ずもう䞀床呟いた。

「いやあ、でも、、、たあねヌ」

リ゚ちゃんは、明らかに心が揺れおた。

「リ゚ちゃん、付き合っおるんだし、倉なこずは䜕もないず思うけど、、」

あたしは蚀った。

「うヌん、たあ、ずりあえず、色々芋ながら考えるよ」

そう蚀っおリ゚ちゃんは、歩き出した。

いいなあ、あたしも圌氏のプレれントで色々悩んでみたいなあ。あたしはプレれントをあげるのが奜きだから、圌氏はきっずあたしからいろんなものを貰えるね。でも、たずは圌氏を䜜らないずね。あヌ今日スズキさんが来おくれおたら、あたしはそのたた付き合っおたかも。もう、ほずんど誰でもいいっお感じ。リ゚ちゃんの話だず、スズキさん、割ずいい人みたいだし。このさいスズキさんでもいいよね。

それから、リ゚ちゃんずあたしは色んな階を芋お回っおプレれントを探した。

色々あちこち回っおリ゚ちゃんは、結局、青っぜい皮のキヌケヌスを買った。鍵っお毎日必ず䜿うから、その床に自分のこずを意識させられるかなっお蚀っおたけど、確かに それに倀段もちょうどいい感じだっお。

こういうのは高䟡すぎるず返っお重い感じになるから、皋々がいいんだよっおリ゚ちゃんは蚀った。でも、リ゚ちゃんが買ったキヌケヌスは割ず高玚感があっおいい感じだずあたしは思った。

「リサヌチの぀もりだったけど、買えおよかった」

ず蚀っおリ゚ちゃんは満足そうだった。

「よかったね」

あたしが蚀うず、リ゚ちゃんは䜕でもないような玠振りで

「マリ、䞀応、ちょっずさっき蚀っおた䞋着も芋おみおいい」

ず蚀った。

「あ、もちろん」

あたしは嬉しくなっお蚀った。そうこなくっちゃね。

第6章 アンダヌりェア マリ


十

リ゚ちゃんずあたしは、5階にあるアンダヌりェアのショップに行っおみた。

男の人の䞋着は、女の人のに比べるず地味な感じで、掟手なのはあたりなさそうだったけど、シックでなんかかっこいいよね。ブランドのせいかな。

実際にショップに来おみるず、リ゚ちゃんもあたしもちょっず恥ずかしくなったんだけど、なるべく気にしないように堂々ず、圓たり前のようにお店の䞭に入った。

いろんな皮類のアンダヌりェアが䞊んでいる店内を軜く芋枡しお、リ゚ちゃんは、あたしに囁いた。

「やっぱり買うのはネットにするわ、なんか恥ずかしくなっおきた。今日はリサヌチだけ」

「わかった」

あたしも、そのほうがいいず思った。だっお意倖に刺激的で遞ぶ䜙裕はなさそう。

特に、男の人の䞋半身だけのマネキンが刺激的で、あたしはドキドキしおた。

「マリに聞いおもしょうがないけど、やっぱりボクサヌパンツがいいよね」

「え」

あたしも男の人のパンツのこずは、実はよく知らなくお、パパが履いおた海氎パンツみたいなのや、匟のケンタの子䟛っぜいパンツしかむメヌゞがなかったんだけど、䟋えばこのマネキンが履いおるのは、確かによく芋るずボクサヌっぜい感じがした。

「そうだね」

ず、あたしは答えお考えた。匟のケンタは、い぀もママが買っおくる癜いブリヌフっおいうの を履いおるけど、さすがにああいうのは子䟛っぜいよね。でもプロレスラヌみたいな人が履いおいるような䞉角の小さいのは刺激が匷すぎるっおいうか、あ、でも付き合っおるなら、関係ないか。

ゞムのお姉さんは、その䞋着をどうやっお遞んだかは教えおくれなかったから、その遞び方はあたしにはわからない。

でも、男の人はどうやっお自分の䞋着を遞ぶのかな。

そこたで考えお、あたしは、リ゚ちゃんに気になっおたこずを小さな声で聞いおみた。

「リ゚ちゃん、パンツのサむズっおわかるの」

「え、うヌん倧䜓ね、、」

「ぞえ、そういうものなんだ、、やっぱりわかるものなの」

「うヌん、MかLずか くらいじゃないかな、、」

なんだか生々しくお、あたしは顔が火照っおきた。

「マリ、なんでそんな真っ赀な顔しおるの」

あたしは恥ずかしくお「ぞぞ、、」っお照れ笑いしたんだけど、やっぱり恋人同士だずそういうこずもわかるんだね。

あたしがニダニダしおいるずリ゚ちゃんは、あたしの顔を芋お、ハッずしたように

「あ、マリ たさかず思うけど 䞋着のサむズっおそのサむズじゃないからね。」

「え」

「あんた、男物の䞋着のサむズっおなんの倧きさだず思っおる」

「え えっず、その、だから、、男の人の、、」

だから違うっお ず、リ゚ちゃんはもう䞀床蚀っお、あたしの腕を匕っ匵っおショップの倖に出た。

゚ントランスのずこたで来お、リ゚ちゃんはアハハハを可笑しそうに笑った。

「マリ、あんた倉なこず考えおたでしょ、違うよ アハハ LずかMっおマリが考えおるそのサむズじゃないよ」

あたしは、よくわからなくお、えヌでもっお蚀ったんだけど、やっぱりあたしは䜕か勘違いしおたみたい。

「ええ、じゃあ、LずかMっおなんの倧きさなの」

っおあたしは、リ゚ちゃんに聞いおみた。

リ゚ちゃんは笑いをこらえながら、

「いや、だから、それはパンツの倧きさでしょ だから、、たあり゚ストずか腰回りずかじゃないかな、たぶん」

ず蚀った。

そうなんだね、知らなかった。あたしはおっきり、、。

たあでも、あんな䞋半身だけのマネキンに囲たれおるず、やっぱりちょっず刺激的だよね。リ゚ちゃんも蚀っおたけど、こういうのはネットで買ったほうがいいずあたしは思った。

リ゚ちゃんは、ただただクスクス笑っおる。そんなに可笑しかったかな。たあでも、プレれント自䜓は買えたわけだし、ずりあえずよかったね、リ゚ちゃん。


十䞀

「ふヌん、そうなんだねヌあたしはおっきり、、、だっおブラゞャヌは胞の倧きさだから、、」

あたしは、今日2杯目のグレヌプフルヌツゞュヌスを飲みながらリ゚ちゃんに蚀った。

あのあず、リ゚ちゃんずあたしは、もうアンダヌりェアのショップには戻らなかった。

あたしたちはそのたたデパヌトを出お、駅前のコヌヒヌショップでドリンクを飲んでいた。

「たあ、そう蚀われおみれば、マリが勘違いするのも分からなくもないけど、、考えたこずもないな、、いや、でも、やっぱ違うでしょ」

リ゚ちゃんは、可笑しそうに蚀っおカプチヌノを飲んだ。

「サカガミさんに聞いおみれば」

「そんなこず聞けるわけないでしょ たあ、ずりあえずプレれントは買えたから、、䞋着は無理にプレれントしなくおも倧䞈倫だし、、よく考えたらちょっず攻めすぎおる感じもするし今回はやめずくわ、、たあ、でもマリ、今日はありがずう、助かったわ」

リ゚ちゃんは、そう蚀っおカプチヌノのカップをテヌブルの゜ヌサヌの䞊に眮いた。

「いや、党然 あたしも楜しかった。でもリ゚ちゃんっお倧人だよね、あたしは割ずモテるんだけど、付き合うっおなるずけっこう難しくお、、デヌトは䜕回もしたこずあるんだけど、なかなかやっぱりそういう目で芋れる人がいなくお、、あたしも誰かにプレれントあげたいなあ」

「ん、たあ、マリは確かにモテるずは思うよ。私も䜕人かマリず付き合いたいっお人を聞いたこずがあるし、、でも、マリっお結構、理想が高いんじゃない 誰でもいいから付き合っちゃえばいいのにっお思うけどね 䜕事も経隓だよ、、倧䜓マリっおどんな人が奜きなの 聞いたこずあったっけ」

リ゚ちゃんにそう蚀われお、あたしはうヌんっお考えた。

あたしが奜きな人のタむプ、、、。こういうこずっお䜕回か聞かれたこずがあるんだけど、それたで聞かれる床にあたしは「ゲンズブヌル」っお答えおたの。

フランスの俳優っおいうか歌手の人なんだけど、日本では誰も知らないんだよね。

元々はママが奜きだったんだけど、ママの圱響であたしも奜きになっお、でもこれが本圓に奜きなタむプなのかっおいうず、実はあたし自身も考えちゃうんだよね。だっお、あたしは胞毛が苊手だから。

ママが若い頃にゞェヌン・バヌキンに䌌おるっお蚀われたこずがあるらしくお、それでゲンズブヌルも奜きになっおっおいうこずみたいなんだけど、ママからしおもかなり幎䞊なのに、あたしからしたらもう殆どご先祖様っおいうくらい幎が離れおるから、どうもなんかあたしみたいな若者が奜きなタむプずしおは、ゲンズブヌルを知っおいる人でもあたりピンずこないみたいなんだよね。あたしも、実際のずころよくわからなくなっおお、、。しかも、ゲンズブヌル自䜓がもう亡くなっおるしね。

だからリ゚ちゃんに「奜きな人のタむプは」っお聞かれおも、どう答えたらいいか考えおしたったんだよね。

あたしは、どんな人が奜きなんだろう

「ずりあえず”幎䞊”かなあ」

あたしは答えた。

「ざっくりしおるね、そういえば、なんかフランスのなんずかっおいう俳優が奜きっお蚀っおなかったっけ」ずリ゚ちゃんが蚀ったからあたしは

「あ、そう、セルゞュ・ゲンズブヌルね、確かに奜きなんだけど、どちらかっおいうずそれは母芪が奜きなんだよね、あたしには幎䞊過ぎるから、、実際、もう亡くなっおるしね、だから奜きなタむプっおいうず幎䞊で、あず、倧孊関係以倖かな」

ず蚀っおみたんだけど、リ゚ちゃんは、あたしの顔をしばらくじっず芋お

「なるほどね、でも、それは奜きな人のタむプずは違うんじゃない 幎䞊なら誰でもいいわけじゃないでしょ」

ず蚀った。

確かに、でもゲンズブヌルみたいな人がいたずしおも、同じ倧孊の人だったら嫌だなあ。

「うヌん、実際のずころよくわからないんだよね、、あたしは自分がちょっず倉わっおるから、盞手も倉わっおないず合わないんじゃないかなっお思っおる。向こうでは倉わっおるのが圓たり前だから、あたしもそんなふうに育ったから。あたしは、普通っおいうのがよくわからないし、、倧䜓、才胜ある人っお倉わっおる人が倚いから、、」

リ゚ちゃんずは、前にもこんな話をしたこずがあるような気がする。リ゚ちゃんは、ずにかく誰でもいいから付き合っおみたらっおい぀も蚀っおる。

なるほどねえ、っおリ゚ちゃんは蚀っおたたカプチヌノを䞀口飲んだ。

「たあ、スズキさんがどうなるかだね、、私は意倖ずいいんじゃないかなあっお気もしおるけどね、、、向こうはマリのこず気に入っおるみたいだけど」

あたしも、実はスズキさんが気になっおきおるんだよね。ただ顔も知らないし、どんな人かも、䌚ったこずもないんだけどね。たあ特別な才胜はなさそうだけど、だからずいっお悪い人っおわけでもなさそうだし、でも奜きかずいわれれば、圓たり前だけどただそんなこずはないし、、ずにかく可胜性があるっおだけでこんなにドキドキできるっおいうこずは、あたしもやっぱり動物っぜいね。

「あたしも、スズキさんにパンツをプレれントしようかな」

「え」

「いや、お近づきのしるしに、あたしも䞋着のパンツをスズキさんにプレれントしようかなっお、リ゚ちゃんが矚たしくお、、あたし圌氏にパンツをプレれントするのが倢なんだよね」

「いや、だから私は今回はプレれントしないよ、、おか、あんたただスズキさんず付き合うっお決たったわけじゃないでしょ」

「そうなんだけど、だからお近づきのしるしに、、、」

「パンツを プレれントするの マリ、あんたが蚀うず本気に聞こえるから、、䞀応蚀っずくけど、そういうこずはやめた方がいいよ」

あたしずリ゚ちゃんは、それから30分ほどそのコヌヒヌショップで話した。

リ゚ちゃんは、色々やるこずが溜たっおるから家に垰るっお蚀っお垰っおいった。リ゚ちゃんは、䞀人暮らしだからね。それだけでも矚たしいのに、圌氏たでいおいいなあ。

それから、スズキさんにパンツをプレれントするのはやっぱりやめた。

リ゚ちゃんに、初察面で䞋着をプレれントされたらどう思うっお蚀われお、想像したら笑いがこみ䞊げおきお、リ゚ちゃんも「それダバむでしょ」っお二人で爆笑。

確かに、付き合う前にそんなこずしたら倉だよねっお玍埗。


第7章 ゞュリアン マリ


十二

「たあ、やっぱり芋た目ずフィヌリングが䞀番倧事ですよ」

ずその店員のお兄さんは蚀った。

やっぱりそうだよね。

うヌん、どうしようかな、、この赀いのもカッコいいし、でもこの茶色いのもプロっぜくおいいよね。

あたしは、所狭しず゚レキギタヌが䞊べられた店内を芋枡しながら考えおた。

コヌヒヌショップを出お、リ゚ちゃんず別れおから、あたしはどうしおも衝動を抑えられなくお、西口公園の近くの楜噚屋さんに来おいた。

駅を西口から出たずきは、なぜか毎回西口公園の方に行くこずが倚くお、そのずきにこの楜噚屋さんの前をよく通っおお気になっおたんだよね。


楜噚屋さんのショヌりむンドりにはたくさんのカッコいいギタヌが䞊べられおお、あたしは憧れずずもに、そのギタヌ達に興味をそそられおいお、い぀かそのお店に行こうず思っおた。

リ゚ちゃんの圌氏のサカガミさんがギタヌが匟けるっおいう話を聞いお、なんずなく忘れおいた情熱が蘇っおきたっおいうのかな。

゚レキギタヌを芋るず、あたしは自動的にゞュリアンっおいうクラスメむトだった男の子こずを思い出すんだよね。

ゞュリアンは、ちょっず背が䜎かったんだけど癜人なりのハンサムな顔をしおいお、よく話しかけおくれおあたしもちょっず気になっおた男の子だったの。髪の毛もクルクルっおしおおいい感じだったしね。

圓時のあたしは、海倖生掻にはそれなりに長くなっお慣れおはいたんだけど、やっぱり差別されるこずがあったり、治安のこずも芪から結構蚀われおたこずもあっお、い぀もどこか譊戒心をもっお生掻しおたんだよね。

特に、差別に぀いおは露骚にされるこずもあっお、最初はビックリするこずも倚かった。歩いおおいきなり唟をかけられたこずもあったからね。

もちろん、かわいがっおくれる人も倚かったけど、䞀定数そんな人がいるっおこずは知っおお、それが長い間圌らの圓たり前の生掻の䞭で育たれおきたこずも䞀応理解はしおいた。

぀たり、そういうこずはあっお圓たり前だず思っおたの。

だから、ゞュリアンに家に誘われたずきは、ビックリしたし少し譊戒心もあっお、けっこうドキドキしおたんだよね。その孊校には、ただ転校しお、ヶ月くらいだったしね。

でもゞュリアンは、なぜかあたしに䜕かず声をかけおくれお、優しく接しおくれおたんだよね。

ゞュリアンは、あたしが日本人っおこずに関心があったみたいで、色々ず日本のこずを聞かれたのを芚えおる。あんたりちゃんず答えられなかったんだけどね。


ある日、ゞュリアンがあたしに家に来ないかっお誘っおきたんだよね。

え、っお思ったんだけど、仲良くしおもらっおたし、興味もあったから、あたしは次の日曜日にゞュリアンの家に行くこずにしたんだよね。

誘われるたたに䞀人でゞュリアンの家に遊びに行ったんだけど、今考えおみるずあたしもなかなか倧胆だよね。䞀応、ママには話をしたんだけど、ママは「いいじゃない」っお軜い感じで蚀っおお、ちょっず嬉しそうでもあった。

でもなぜか本胜的にパパには内緒にしおたんだけどね。別にパパはそんなこずで怒るようなタむプではなかったけど、なんずなく秘密っお感じもあたしは楜しんでたかな。パパはい぀も垰りが遅かったから話せなかったずいうのもあるけど。

たあ、家にはゞュリアンのパパもママもいお、二人きりっおわけではなかったんだけどね。


家に行くず、ゞュリアンのパパずママも出迎えおくれお、あたしはママが持たせおくれた手䜜りクッキヌを枡しながら、たるで日本代衚みたいな気分で挚拶したのを芚えおる。

あたしはゞュリアンの郚屋に招かれたんだけど、なぜかゞュリアンがギタヌを匟いおくれお、戞惑いながらも、あたしはゞュリアンが匟いおるその黒い゚レキギタヌがカッコいいっお思っおちょっずドキドキしたんだよね。

ゞュリアンのギタヌ挔奏は倩才的で、たるでプロレベルだった。

アンプっおいう四角いスピヌカヌにギタヌのコヌドを刺しお、物凄い速さでギタヌを匟いおた。結構倧きな音で匟いおお、あたしも聞いたこずがある有名な曲も匟いおくれた。

あたしは、ちょっずビックリしたけど、これはゞュリアンなりの日本人のあたしに察する芪愛のアプロヌチだず受け取ったんだよね。あたしは、倧きなギタヌの音ずゞュリアンの超速い挔奏に、ずにかくシビレおあたしもギタリストになりたいず思ったくらい。

ゞュリアンは、色々ずギタヌや曲に぀いお説明しおくれたんだけど、あたしはゞュリアンの黒いピカピカのギタヌがカッコよくお、りットリしおた。

ゞュリアンのお父さんは音楜の教垫をやっおいお、専門はピアノだったみたいだったけど、ゞュリアンは小さい頃から昔のバンドの映像を芋おお゚レキギタヌに目芚めたみたいなんだよね。

テレビでも、流行っおいる音楜だけじゃなくお結構叀い音楜もたくさん攟送されおいたから、昔の良質な音楜に觊れる機䌚も倚くお、ゞュリアンは15才ながら䜕十幎も昔の音楜が奜きなんだっお。

ゞュリアンのパパも、昔のロック音楜が倧奜きで、自分でもバンド掻動をやっおた事があるらしいっお蚀っおたから、ゞュリアンもきっずそのお父さんの圱響もあるんだろうね。

ゞュリアンは、近所の音楜奜きのおじさん達ず䞀緒に、䜕十幎も昔の曲を挔奏しお、時々歌も歌ったりもしおるっお蚀っおた。

その䞭に日本人もいるんだよ、ずもゞュリアンは蚀った。

あたしはずいえば、どちらかず蚀うずロックずかそっち方面の音楜には疎い方なんだけど、家族でドラむブに行くずきは、パパがい぀も有名な曲をかけたくっおたから、耳だけはいいず思うんだよね。


ゞュリアンずは、いろいろな話をした。

ゞュリアンが、

「僕は日本が奜きなんだ。アニメも奜きだけどあの独特の文化は特別だず思う」

お蚀ったずき、あたしは、「確かに ちょっず倉わっおるけど独特の魅力があるよね」っお蚀ったんだけど、ゞュリアンは面癜そうに笑っお

「マリだっおそうだよ」

っお蚀ったんだよね。

あたしは、そのずきはあたり深く考えなかったんだけど、よく考えおみるず䜕が”そう”なんだろうっお話だよね。あたしは、倉わっおるっお蚀われたのかず思っお「ん」っおなったんだけど、ゞュリアンの顔がちょっず赀くなっおお、なぜかわからないけど、あたしもなんだか恥ずかしくなったんだよね。

ゞュリアンが、マリはどんな音楜が奜きなんだいっおあたしに聞くから、あたしは、チャむコフスキヌずかストラビンスキヌかなっお答えた。

あたしは小さい頃バレ゚を習っおいたから、バレ゚の音楜になんずなく銎染みがあったからね。あずはピアノを習っおたから、ショパンずか、、。

でも、パパはドラむブのずきに昔のロックやポップス、シャン゜ンなんかも聎いおたし、ママも音楜は奜きだから、家では䜕かしらの音楜がかかっおるっお蚀ったら、ゞュリアンは「ぞえ」っお興味深そうに聞いおた。

ゞュリアンずは、ギタヌを匟かせおくれたりしお、なんずなくいい感じの雰囲気になっおたんだけど、あたしはなんだか恥ずかしくお昚日芋た倢の話ずかを喋りたくっおお、ゞュリアンも、自分が奜きな音楜の話を熱心に話したりしおお、あたしたちはそれぞれに少し照れながら自分の情報を盞手に投げ合っおた気がする。で、それは、15才のあたしの倧切な思い出の䞀぀になった。


そのあずリビングに呌ばれお、ゞュリアンのパパが、あたしに優しく話しかけおくれた。

「マリ、りチは日本には結構関わりがあっおね、私の匟は日本に䜏んでるんだよ」

なんお蚀っおお、あたしは、ペヌロッパの倧人は厳栌でちょっず嚁圧的な印象があったから、ゞュリアンのパパのフレンドリヌな態床はちょっず意倖だったけどずおも嬉しかった芚えがある。

「マリは、頭が良くお、成瞟はクラスで䞀番なんだよ」

っおゞュリアンが蚀うずゞュリアンのパパは「ぞえ、すごいね」っお驚いおた。


ずにかく、そのずきにゞュリアンが匟いおたギタヌがカッコよくお、あたしはい぀か゚レキギタヌが欲しいっお思っおたんだよね。

ゞュリアンは、孊校でもあたしにずおも優しくしおくれお、あたしが少し差別意識をもったクラスメむトに俗語でちょっずした悪口を蚀われたずきにも「気にするこずないよ」っお蚀っおくれたりした。あたしはそういった俗語の悪口を理解できないフリをしおたんだけど、ゞュリアンにはあたしが党おを理解しおるっおこずが分かっおたみたい。

あたしはそれから䞀幎くらいで垰囜するこずになったんだけど、垰囜するずきもゞュリアンは手玙ずギタヌのピックをくれたりした。

その孊校でのあたしの友達は、どういうわけかアフリカ系の女の子が倚くお玔粋に癜人系の男の子の友達はゞュリアンしかいなかったような気もする。もちろん期間が短かったっおこずもあるけど。

今考えおみるず、ゞュリアンはあたしの初恋の盞手だったのかなっお気もするけど、結局、回くらい家に行ったくらいでデヌトもしたこずがないし、すぐに垰囜っおなったから䜕も進展もしようもなかった。もちろん、色々矎化されおるっおこずもあるだろうけど、今のあたしからしたら割ずキレむな思い出の䞀぀っお感じだね。

ただ、ゞュリアンがなにかのタむミングで「マリは日本人のなかで䞀番可愛いず思うよ」っお蚀っおくれたこずがあっお、随分倧人っぜいこずを蚀うのねっおあたしも぀い぀い意識しおたっおいうのはあるかも。

向こうの男の子っおどこかマセたずころがあるから、そんなこずを蚀うのも普通なのかもしれないけどね。


ずにかく、ギタヌっおいうずどうしおも、このゞュリアンのこずや、あのカッコいい黒い゚レキギタヌを思い出すんだよね。物凄い速さで動くゞュリアンのしなやかな指先も、あたしにずっおはギタヌずセットっお感じ。

あたしにずっおは、ギタヌずずもに、もしかしたらこれが淡い初恋の思い出っおこずになるのかも、なんお埌で思ったりもしたんだけど、なんにも具䜓的な進展もなくお、手を繋いだりもしなかったし、もちろんキスもしなかったし、そもそも奜きなのかもよくわからなかったし、これっお䜕だろうっお感じだった。

でも今だにギタヌを芋るず、ゞュリアンのこずを思い出しおちょっずドキドキするっおこずは、やっぱりゞュリアンはあたしの初恋の盞手っおこずになるのかもね。

考えおみるず、このころのこずがあるから、あたしはたずフランス人ず付き合いたいず思っおいたのかも。


十䞉

あたしは、目の前䞊べられたギタヌをがんやり芋枡しながら、無意識にそんなこずを考えおいた。なんだかあの頃の耇雑な感情を思い出したような感じがしお、

「うヌん」

ず、あたしは唞った。

「色ずか圢ずかの奜みもあるずは思うんですけど、意倖ず盎感的に決める人が倚いですよ」

店員のお兄さんがたた蚀った。

なんずなく、思い出に浞っおいる感じになっおいたので、あたしは改めお目の前に䞊んでいるギタヌを芋枡した。

「あれカッコむむかも」

あたしは壁の䞊段の右奥に掛けられおいる、赀茶色で、角みたいな突起が二぀ある枋い感じのギタヌを指さした。

「あ、SGか、いいですね」

お兄さんは蚀った。

ゞュリアンのギタヌずはちょっず違う感じだったけど、あたしにはすごく個性的な感じがした。

「お客さん、バンドずかですか」

っお店員のお兄さんが聞いた。

ギタヌは初心者で、今はせいぜいアフリカの倪錓しか叩けないっおいうのは最初にお兄さんに䌝えおたんだけど、そういえばバンドずかそういうこずは考えおなかったなあ。

あたしは、家で匟いおちょっず自慢するくらいかな、将来的にはわからないけどっお答えた。

「あ、それなら、もっずお手頃なのがありたすよ。あの蟺は20䞇円以䞊する結構お高いダツなんで、初めおなら最初はこの蟺りがおすすめです。もちろん、最初からむむのを買っずくっおいうのもアリですけど」

お兄さんは、手前の巊偎に䞊んでいる゚リアを右手で指した。

なるほど、赀、癜、黄色、ず氎色ずちょっずかわいい感じのギタヌが䞊んでお、これはこれでいい感じ。ピカピカしおお、色぀やもいいね。初心者甚っおこずなのかな。でもリ゚ちゃんの蚀っおた通りギタヌっお結構高いんだね。

お兄さんず目が合ったら、お兄さんはニコッず笑っお巊の窓偎の初心者甚゚リアをもう䞀床指した。

でもあたしは、あのSGっおいうギタヌにどうにも惹かれおたんだよね。


「マリ先茩」

あたしは暪から声をかけられお、声の方を芋た。

「磯郚コヌハむ」

そこには倧孊の埌茩の”磯郚コヌハむ”がギタヌのケヌスを肩に抱えおこっちを芋おいた。

磯郚コヌハむは、サヌクルの埌茩の山䞋コヌハむの仲のいい友達で、厳密には盎接の埌茩ではないんだけど、よく山䞋コヌハむず䞀緒にいたから、぀いでにコヌハむっおいう呌び方が定着しおしたったんだよね。

ちなみに、サヌクルの埌茩の山䞋コヌハむは、山䞋コヌハむっおいう呌び方をサカガミさんに指摘されおからはなるべくしないようにしおお普段は「山䞋」っお蚀うようにしおた。

だけど、磯郚コヌハむは盎接の埌茩じゃないから、逆に呌びやすい呌び方でいいかず思っお、そのたた磯郚コヌハむっお呌び続けおる。磯郚コヌハむも、そう呌ばれるこずに぀いおは䜕も蚀わないから、気にしおないか、あるいは”気に入っおる”っお思っおる。

「なんすか、マリ先茩、ギタヌっすか」

「磯郚コヌハむ、偶然だねヌ、今日は山䞋は」

「今日は䞀人っすよ、、マリ先茩、ギタヌ買うんですか」

磯郚コヌハむは、興味深そうな顔でこちらに近寄っおきた。磯郚コヌハむは軜音楜郚に入っおおバンドでラむブずかをやったりしおるから、ギタヌには詳しそう。

「そうなんだよね、なんかギタヌが欲しくなっお、芋おるんだけど、あれがいいかなヌっお」

あたしが右奥に掛かっおいるSGずいうギタヌを指さすず、

「SGじゃないっすか 、、けど、あれ27䞇円もしたすよ、、、マリ先茩、ギタヌ匟けるんですか」

「実はほずんど匟けないんだよね、今はアフリカの倪錓を叩くくらい」

「アフリカの、、」

磯郚コヌハむは、䞊んでいるギタヌを芋枡し、あたしの巊偎の安いギタヌが䞊んでる蟺りを指しお

「マリ先茩、初心者だったら、その蟺りの安いダツにした方がいいんじゃないっすか」

ず蚀った。

「䜕かを始めるずきは、良いもので始めるっおいうのがあたしのこだわりなんだよね」

これは、実はい぀もパパが蚀っおるこずで、䜕でもなるべく䞀流のものに觊れるこずが倧事だっおあたしは小さい頃から蚀われおきたんだよね。

「はあヌ、やっぱ”お嬢”は違いたすねえ、たあでも、自分が気に入ったのを遞ぶのがいいずは思いたすけどね」

「よかったら、ちょっず匟いおみたすか」

店員のお兄さんがあたしに蚀った。


十四

ガガガヌッ 

ガガガガヌッ

ガガガ、ガガガガヌッ

「ちょ、ちょ、マリ先茩」

「なに どした 磯郚コヌハむ」

「詊し匟きですから、そんないきなり激しい感じで匟くのはダメっすよ、マナヌ的に、、」

ねえ、ず磯郚コヌハむは、暪にいた店員のお兄さんに蚀った。お兄さんが苊笑いをしおいるから、きっずそうなのかもしれない。

「そっか、ごめんなさい、、なにしろ匟いたこずないからね、でもこういう前衛的な挔奏もどこかで聎いたこずある気がするんだよね」

店員のお兄さんが、ギタヌをアンプに繋いでくれお詊し匟きをさせおくれるっお蚀うから、あたしは䟋のSGギタヌを取っおもらっお匟かせおもらっおいた。

確かに、ゞュリアンはもっず掗緎された挔奏をしおいた蚘憶があるけど、そんな挔奏はあたしができるわけないから、雰囲気で匟いおみたら、思いの倖前衛的な感じになっお自分でもビックリ。アンプに繋ぐずこんなに倧きな音が出るんだね。

「たあ、マリ先茩、最初は持った感じずか、重さずか、ちょっず音を鳎らしたずきにシックリくるかずか、フィヌリングを確認するんすよ、、どうですか、持った感じは」

「いいね、ずっおも 確かにあたしはギタヌはただ匟けないから、フィヌリングを確認するしかないね、その意味では、かなりシックリくる気がする」

「だそうです」

磯郚コヌハむは、暪で芋おいた店員のお兄さんに蚀った。

磯郚コヌハむに答えお「あ、はい」ずその店員のお兄さんが蚀ったずころで、埌ろから別に店員さんが来おお兄さんになにか耳打ちした。

お兄さんは、ちょっず驚いたような顔をしお耳打ちした店員さんを芋お、あたしたちに「ちょっずすいたせん」ず蚀っおお店の奥に行っおしたった。

店員のお兄さんが歩いおいくのを芋おいた磯蟺コヌハむにあたしは蚀った。

「今床は磯郚コヌハむが匟いおみおよ、あたしはOK」

いやあ、オレが買うわけじゃないからなあ、ず蚀いながら磯郚コヌハむはあたしからSGギタヌを受け取っお、慣れた手぀きでポロロヌンず鳎らした。

「磯郚コヌハむ、䞊手だね」

あたしは蚀った。

「コヌド鳎らしただけっすよ」

ず蚀いながら磯郚コヌハむは、今床はどこかで聎いたこずがあるような音階をギタヌで匟いた。

「あ、コレ聎いたこずある」

あたしは叫んだ。これ、ゞュリアンも匟いおたような気がする。

「あ、知っおたす クラプトンっすよ、ギタヌの神様の」

「おお、けっこう有名人だよね」

たぶん、パパがドラむブBGMにもあったような気がする。

たあ、そうっすね、ず蚀っお磯郚コヌハむはさらに慣れた手぀きで色々ず音階をSGギタヌで匟いた。

「やっぱ、高いギタヌは匟きやすいっすねえ」

磯郚コヌハむは、SGギタヌを匟きながら蚀った。

「磯郚コヌハむ、ギタヌ䞊手だね」

䞀応、バンドやっおたすからね、ず蚀っお磯郚コヌハむは埗意気に笑った。

それから磯郚コヌハむは、「やっぱいいわ」ず蚀いながら、いろんな音階をSGギタヌで匟いおいた。


「でも、マリ先茩、ギタヌを買うんなら”軜音”に入りたせんか。マリ先茩が入るずみんな喜ぶず思いたすし、それにそのほうがたぶん、ギタヌも早く匟けるようになりたすよ、、あず、ラむブもできたすし」

SGギタヌをポロポロ匟きながら、磯郚コヌハむが蚀った。

「軜音っお軜音楜郚のこず なるほど、いいかもね、、あたしは家に誰か来たずきに匟いお自慢できればサむコヌっお思っおたんだけど、確かにラむブずかしおみたいかも」

あたしは、ギタヌを持っおステヌゞの䞊でゞュリアンみたいに挔奏しおいる自分を想像しおテンションが䞊っおきた。

「よし、決めた あたし軜音楜郚に入るよ、、そしたら磯郚コヌハむ、あたしにギタヌの匟き方教えおよ」

「あヌいいっすよ、マリ先茩来おくれたらみんな喜びたすよ、マリ先茩、よく話題に出るんで、、それに、アオダマさんやハルダマさん、コナカさんずか知り合いですよね」

「あ、そう、サクラちゃんやリンちゃんもそうだし、ワカナちゃんもリコちゃんも友達だからね、、でもこっちのサヌクルの合宿のずきはいけないけどね」

「あの、、お客様」

さっきの店員のお兄さんがい぀の間にか戻っおきおおあたしに声を掛けおきた。

「あ、あの、このSGギタヌ買いたす」

「ええ」

磯郚コヌハむが倧きな声を出した。

「マリ先茩、27䞇円っすよ ホントに倧䞈倫なんすか そのぞんに、䞇くらいのダツありたすよ」

「倧䞈倫、株を売るから」

磯郚コヌハむは、いやホント、マゞか、、誰ず話しおるかわかんなくなるなあ、ず蚀っお店員のお兄さんを芋お

「だそうです」

ず蚀った。

店員のお兄さんは「あ、はい」ず蚀っお、ちょっず゜ワ゜ワしながらあたしをチラっず芋お、磯郚コヌハむに耳打ちするように小声でなにやら話しおいた。

「ええ マゞっすか」

磯郚コヌハむは驚いたように蚀っお、困惑したように、いや、たあ、倧䞈倫だず思いたすけど、、ええ、、ずあたしの顔を芋た。

第8章 党米ツアヌ ダむスケ


十五

「党米ツアヌ」

俺は、倧声を出した。

「党米ツアヌっおなんだよ どういうこず え マリさんが 党米ツアヌ そう蚀っおるの」

俺は、最寄り駅から自分のアパヌトたでの10分ほどの垰り道を、スマヌトフォンで話しながら歩いおいた。もう倜の11時くらいだろうか。

電話の盞手は、高校時代の同玚生で芪友の”サカガミ”シンゎだ。

俺は、建蚭䌚瀟に勀めおおり、今日は本圓は久しぶりの䌑日だった。

でも、担圓物件に぀いおクレヌムが入ったずのこずで、課長から連絡があり、今日は䌑日返䞊でその察応に远われおいた。

珟堎を解攟されたのが倜の10時。今から1時間ほど前ずいうわけ。

通り慣れたアパヌトたでの道は、倜11時くらいになるず人通りもほずんどなくなっおくる。

実は、今日俺は芪友のシンゎの圌女リ゚ちゃんの玹介で、ミナシロマリさんずいう女子倧生ず䌚うこずになっおいた。

垰囜子女でちょっず倉わっおいるらしいが、写真を芋せおもらうずメチャクチャ矎人で䞀目がれしおしたい、少し無理を蚀っお玹介しおもらったのだ。ストレスフルな瀟䌚生掻の䞭で、圌女でもいないず仕事のモチベヌションも䞊がらないずいうものだ。

シンゎの話では、盞手のマリさんも乗り気でシンゎず䌚うのを楜しみにしおいる、ずいうこずだった。

しかし、悪倢の電話でマリさんず䌚うずいう今日の予定は厩壊した。

ある皮、そういう仕事ではあるし、よくあるこずでもあるが、よりによっお”マリさんず䌚う”ずいうその日が急遜仕事になっおしたうずは、俺もツむおないよなあ。

ずりあえず、状況を䌝えおマリさんず䌚う予定を泣く泣くキャンセルするしかなかった。

ミナシロマリさんは、シンゎの圌女のリ゚ちゃんの倧孊のサヌクル仲間で、玹介しおくくれたのもリ゚ちゃんだったが、やり取りはシンゎず圌女のリ゚ちゃんを通しお、マリさんず連絡を取るこずになっおいた。

぀たり、マリさんず俺の間をシンゎずリ゚ちゃんが仲介しおいるような感じ。

䜕を譊戒しおいるのかずも思ったが、そのずきはシンゎの圌女のリ゚ちゃんずも初察面だったし、マリさんずリ゚ちゃんは芪友ずいうこずで、これはたあ、マリさんを玹介しおくれただけでも喜ぶべきだろう、ず俺は玍埗しおいた。

だから、今日はマリさんず䌚った時に、盎接SNSや連絡先を教えおもらうのが、俺のミッションの䞀぀でもあった。

たあ、いずれにしおも、今日の予定はキャンセルされおしたったので、俺はガッカリしながらも次に備えるべく、マリさんの様子を聞くためにシンゎずSNSでやり取りしおいたが、話がなんだか倉なのだ。

”で、マリさんの様子は なんか蚀っおたっお”

”残念そうにしおたらしいよ。実は今日リ゚はミナシロに䌚ったらしい”

”え、そうなの”

”䞀緒に買い物したらしいけど、特に気にしおなかったっおさ”

”そっか、たあ、ならいいけど、たた改めお誘うっお䌝えおもらっお、、”

”それはもちろん ただ、その、ミナシロからリ゚に連絡があっお、なんでもアメリカに行くからダむスケも䞀緒に行かないかっお”

”ぞ どういうこず”

”ミナシロがアメリカに行くっお蚀っおるらしい”

”だからどういうこず”

”䞀緒に行かないかっお”

”アメリカに いや、意味わからん”

”党米ツアヌっお話”

”たすたすわからん”

”スティヌブずかなんずか”

”たすたすたすわからん 䜕の話”

”党米ツアヌだっおさ”

”だからどういうこずだよ マリさんがアメリカでツアヌでもするのかよ”

”よくわからんが、そういうこずらしい”

SNSでは埒があかないず刀断しお、俺はシンゎに電話した。

「党米ツアヌっおなんだよ」

「いや、電話が切れちゃっおリ゚もよくわからないらしいんだけど、ミナシロがアメリカに行くっお蚀っおるらしいんだよ、で、シンゎも䞀緒に行かないかっお」

「いや、話がよく芋えないんだけど、、」

「んヌずりあえず、リ゚が蚀っおるこずを䌝えるず、ミナシロがどういうわけか、今日、楜噚屋でギタヌを買ったらしいんだよ、それも27䞇もするダツを、、で、どういうわけかそこに来おたスティヌブなんずかっおいう倖囜のミュヌゞシャン、ギタリストらしいんだけど、にナンパされお、䞀緒に党米ツアヌを回らないかっお誘われたらしいんだよ」

「はあ なにそれ」

「だよなあ、リ゚もちょっずミナシロが䜕蚀っおるのかよくわからなかったらしいんだけど、どうも、気に入ったからアメリカに来ないかっおこずなんじゃないかっお、぀たりナンパだよ」

「ナンパでアメリカに来ないか そんなこずある」

なんか、俺の想像を埮劙に超えおくるんだが、どういうこず

「よくわからんが、そういうよくわからんこずが起こるのがミナシロなのだよ」

「、、、話を聞いおもよくわからないんだけど、、぀たり、マリさんは、そのナンパに乗ったっおこずなの たあ、あれだけ矎人ならナンパはされるだろうけど、、アメリカに で、俺にどうしろず」

「たあ、電話が切れたらしくお俺もリ゚も話がよく分からないから、リ゚がミナシロにたた聞くっおさ、そしたら連絡するよ、たあ、今日のこずはミナシロは党く気にしおなかったっお蚀っおたから、あんたり気にするなよ、あ、ちょっず電話かかっおきたから切るぞ」

「お、おいちょ、、」

「ツヌ、ツヌ、ツヌ、、」

有無を蚀わせず電話は切れおしたった。

はあ どういうこず アメリカ 党米ツアヌ スティヌブ 俺は䜕が起こっおいるのか党く分からなかった。

マリちゃヌん、䞀䜓どういうこず

第9章 スティヌブ マリ


十六

「ママ、あたしちょっずアメリカ行っおくる」

え、オレも行きたい ずいう匟のケンタの声が埌ろから聞こえた。

「アメリカに䜕しに行くの」

キッチンカりンタヌの向こうで倕食の甚意をしおいたママが、特に気にする様子もなく、あたしを芋お蚀った。

「今日、楜噚屋さんでアメリカ人のミュヌゞシャンの男の人に声を掛けられお、アメリカに誘われたの、党米ツアヌに䞀緒に来ないかっお」

「党米ツアヌっお、、その人は䞀䜓だれなのよ、知っおる人」

「知らない人、ミュヌゞシャンのギタリストなんだよね、少し挔奏しおくれたんだけど、プロ䞊みにギタヌが䞊手だったよ、圓たり前だけど」

「有名な人」

「たぶん、ちょっず、たあ、それはわからないけど、今、日本に来おいる䞖界的に有名なアヌティストのサポヌトメンバヌなんだっお、スティヌブっおいうんだけど」

「スティヌブ」

「うん、スティヌブ・ドゥカップルニャヌ」

キャハハハハ 埌ろでケンタの笑い声が聞こえた。

「、、倉わった名前ね、ドゥカ、、、」

「ドゥカップルニャヌ」

キャハハハハ ケンタがたた笑った。ケンタが笑うので、あたしも釣られお笑いそうになっお口元を抌さえた。

「ケンタ、人の名前で笑うのはよくありたせんよ、倱瀌よ」

ママがケンタを睚んで蚀った。

「だっお”ニャヌ”っお蚀うから」ケンタが䞍満気に小さく蚀い返した。

「で、そのスティヌブが10月から別のグルヌプの党米ツアヌに参加するから、それに同行しないかっお、費甚なんかは党郚出すからっお」

「ツアヌっおどれくらいなの 1ヶ月くらい」

「半幎くらいだっお」

「半幎、、、」

ママはちょっず困惑したような顔をしおた。

「どうしおそんなこずになったの」

「よくわからないんだけど、どうもあたしのこずが気に入ったみたい、スゎむ勢いで耒めたくっおきお、で、スティヌブもハンサムだったからね、぀い぀いあたしも話を聞いちゃっお、、最初はお店の店員さんが来お、その人英語が出来るらしいんだけど、なぜかあたしのコヌハむに話しかけお、スティヌブがあたしず話したいっお蚀っおるっお、どういう気の回し方なのかよくわからないんだけど、コヌハむずその店員が話しおるずきに、スティヌブがやっお来お盎接あたしに声を掛けおきたんだよね、ギタヌを買うのかいっお。
最初は、よかったら食事でもっお話だったんだけど、今来日しおるアヌティストのサポヌトしおるっお蚀っおたから、有名人かず思っおあたしも気になっおきお、話を聞いおるうちに、スティヌブが別グルヌプで10月に党米ツアヌに参加するっお聞いお、、よかったら来るかいっお蚀うから”いく”っお」

「マリ、あなた考えなさすぎ、もう少し考えなさいよ、あなたは孊生だし、なにより幎頃の嚘なんですからね」

「費甚は党郚出すっおいうから、いや、あたしもなんかホントかなっお思っお、やっぱり圌氏に盞談しおみるっお蚀ったら、圌氏も呌ぶずいいよっおいうから、、」

「マリ、圌氏なんおい぀できたのよ」

「圌氏はいないよ、候補はいるけどただ圌氏じゃないんだよね」

「それ、パパには蚀わないほうがいいわよ、心配するから、でも圌氏ができたら、ママには蚀わないずダメよ」

「だから、圌氏ず䞀緒ならアメリカもいいかなっお思っお、、」

「圌氏はいないんでしょ」

ママず話しながら、あたしは考えおた。もしかしたらアメリカに行くためのネックになりそうなのは”圌氏”っおこずになるのかな。

「マリ、あのね、䞀応蚀っおおくけど、そんな話でアメリカに行くのはママは反察、倧䜓、あなたは孊生なのよ、それなのに半幎も遊びで海倖に行くなんお、お金がかからないずしおも、そんなのはダメよ、、あなたのこずだから、そのために無理やり圌氏を䜜るなんおこずもやりそうだし、倧䜓、そのスティヌブっおいう人がどういう人かもわからないのに、どんな目に䌚うかもわからないのに、そんな話を蚱可する芪はいないわよ」

ママは真面目な顔であたしに蚀った。

ママの話を聞いお、あたしも、たあそっか確かにっお思ったんだよね。あたしの考えでは、今日䌚いそびれちゃったけど、スズキさんを圌氏にしお二人で党米ツアヌっおいうのも悪くないかなっおちょっず思っおたの。でも、確かに、そんな簡単な話じゃないのかも。実際のずころ、今あたしには圌氏はいないし、スティヌブもハンサムだけどどんな人間かたでは確かにわからないし、もしかしたら囜際的な犯眪組織の人間だったっおこずも可胜性ずしおはれロではないし、、そうなったら、スズキさんにも迷惑かけるかもしれないし、最悪呜の危険もあるかも。

あたしはうヌんっお考えおしたったんだよね。

※


「ふヌん、それで」

リ゚ちゃんが蚀っお、カプチヌノのカップに口を付けた。このあいだの西口の駅前のコヌヒヌショップ。

「そのあずパパが垰っおきお、音楜雑誌の出版瀟の知り合いにスティヌブのこずを調べおくれるように頌んだだよね、そうしたら次の日に連絡があっお、スティヌブが今来日しおるアヌティストのサポヌトメンバヌっおいうのは本圓で、ミュヌゞシャンずしおは色んなグルヌプやバンドのサポヌトメンバヌずしお、けっこう評䟡されおる人だったの、、で、10月から党米でツアヌを始めるグルヌプのサポヌトメンバヌっおいうのも本圓だったの」

「ぞえ、だったら本圓に本圓だったんだ、じゃあ本圓に行くの、アメリカ」

「いや、それで、ネットではこういうサポヌトメンバヌの现かい情報たでは、あたり出おこないんだけど、パパの知り合いが詳しく調べおくれた情報によるず、スティヌブっおかなり女癖が悪くお、しかもDVでも蚎えられたこずがあるんだっお、あたしもこれは流石にマズむなっお、、すぐに連絡しお断ったの、家族にダメだっお蚀われたっお」

「なるほどね、たあでも、そんなこずだろうずは思ったわ、あんたがアメリカに行くっお蚀い出したずきはどうなるかず思ったけど、あ、スズキさんもビックリしおたよ、あんたが、ただ䌚っおもいないスズキさんも行かないかっおアメリカに誘ったから」

「リ゚ちゃん、スズキさんには、アメリカには行かないこずになったっお䌝えずいおね、なんか、今回はあたしも反省しおる、、パパにも蚀われたけど、あたし、いろんなこずをぶっ飛ばしおるすっ飛ばしおるんだっお」

「それはそうだよ、だっおホラ、あんた、あのずき私ず別れたあずその27䞇もするギタヌを買ったんでしょ、党く匟けないのに、それだっおそうだよ」

リ゚ちゃんは、むスに立おかけおあるSGギタヌのケヌスをチラッず芋お、呆れたように肩をすくめた。

でもすぐ埌に「でもたあ、それが、あんたの面癜いずころなんだけどね」っおちょっず面癜がるように蚀った。

あたしは、SGギタヌの黒いケヌスを芋お、

「あ、これはこれから磯郚コヌハむに教えおもらっお匟けるようになるから、、あたし軜音楜郚に入るこずにしたの」

っお宣蚀した。

「ええ、そうなの サヌクル掛け持ちするの」

頷くあたしに「ホント、なんなのあんた」っおリ゚ちゃんは蚀っお笑った。

第10章 孊園祭 ダむスケ


十䞃

倧孊の構内は凄い数の人で、䞀般のお祭りなんかず違い独特の青臭い熱気が感じられた。

ほずんどは孊生なんだろうが、俺のように䞀般の人も結構いるようだ。暡擬店が䞊び、所々で飛び亀う呌び蟌みの声も匵りのある生きの良さがあった。

チアリヌダヌのような恰奜をした女子倧生が二列に䞊んで、䞀人が叩く倪錓に合わせお螊りながら俺の暪を通り過ぎる。これは、䜕かの宗教儀匏か

倧孊の構内は、䜕か異様に感じられる、ずいうず蚀い過ぎかもしれないが、非日垞だがどこか懐かしい空間があった。

俺は、倧孊に進孊しなかったので、倧孊の孊園祭に来るのは初めおだった。

「孊生じゃなくおも入れるの」

ず、思わずリ゚ちゃんにそう聞いおしたったが、倧孊の孊園祭など意識するこずのない高卒のニヌト䞊がりの䌚瀟員にずっお、そこは立ち入っおはいけないある皮の聖域のようなものだったからだ。

そこには、俺ずは違う、いわゆるリア充のご子息、ご什嬢の方々がいらっしゃるハむ゜サ゚ティな堎所ずいうわけだ。あ、リア充っおもう蚀わないのかな。

倧孊の構内は、今たで改修工事でお邪魔させおいただくこずが䜕床かあったが、そのずきも決しお孊生さんの邪魔にならないように、迷惑をかけないように、卑屈なほど気を䜿っお歩いおいた。

今は孊園祭の来蚪者ずしお、堂々ず歩いおいおももちろん誰も䜕も蚀わないが、やはりどこか”孊生様”に迷惑をかけおはならないずいう意識が働き、隅の方を歩いおしたう。孊歎コンプレックスを持぀高卒䌚瀟員の悲しい性だ。

たあ、心の䞭を深く掘り䞋げおいくず、どこたでも自分のコンプレックスが発掘されるが、実際のずころ日垞生掻では、そのこずを意識するこずはほずんどなかった。俺の呚りは皆同じようなコンプレックスを持った䌌たような人間ばかりだったから。

぀たりは、そんな䞭で、俺はたあ、毎日楜しくやっおるっおこず。匷がりじゃなくおね。


ずころで、俺は、ラむブむベントの䌚堎である野倖特蚭ステヌゞを探しおいた。

「音楜が聞こえるず思うんで、そっちの方に歩いおいけばそこが野倖特蚭ステヌゞです」

たあ、そりゃそうなんだろう。リ゚ちゃんの説明は本圓にアバりトだった。

晎倩の青い空に響くがんやりしたバンドサりンドの方ぞ、なんずなく歩いおいただけだったが、気が付くず、本圓に目の前に野倖に特蚭されたステヌゞが珟れた。

たくさんの人が集たっおおり、ステヌゞに蚭眮された音響機材の向こう偎に孊生バンドが倧きな音で挔奏しおいた。

䌚堎の䞭倮には客垭が甚意されおいお、その䞡偎に立ち芋の芳客が集たっおいた。

螊ったり歌ったり、たた談笑しながら笑ったり、もちろん興味なさそうに埌ろを通り過ぎたり、぀たりそれぞれがそれぞれの楜しみ方で、この空間を味わっおいるようだった。

リ゚ちゃんの話だず、倧孊の軜音楜郚が野倖でラむブ挔奏をするずいうこずで、軜音楜郚にずっおは幎間の倧きめのむベントの䞀぀ずいうこずだった。

挔奏される曲は様々で、流行りの曲のカバヌだけでなくオリゞナルの曲を挔奏するバンドも少なくない、ずリ゚ちゃんは蚀っおいた。

挔奏は、それなりにハむレベルに俺には感じられたし、ドンドンず身䜓に響く重䜎音も迫力があっお芳客の孊生達もかなり盛り䞊がっおいた。

さお、ずころで、なぜ俺はこんなずころにいるんだろう。

倧孊の孊園祭なんお今たで党く瞁がなかったのに、今、その孊園祭の野倖䌚堎で孊生バンドの挔奏を聎いおいる。

実は、䞀週間ほど前に高校時代からの芪友サカガミシンゎから連絡があった。

シンゎは俺の芪友で、リ゚ちゃんの圌氏だ。


「ダむスケ、実は来週、りチの倧孊の孊園祭があるんだよ、で、その孊園祭で、ミナシロがラむブデビュヌするこずになったらしくおな、お前、よかったら芋に来ないか 前回、お前が仕事で䌚えなくお、結局、そのたたその埌もミナシロには䌚えおないだろ」

そう、俺は前回の”あれ”以来、なぜか仕事がずおも忙しくなっおしたっお、ただマリさんには䌚えおいなかった。


※

「ダむスケ、ミナシロが䞀緒にアメリカに行かないかっおさ」

シンゎの蚀葉を思い出しお、俺の胞にそのずきの衝撃ずドキドキ感が蘇っおきた。

「党米ツアヌに䞀緒に行こうっおさ」

䜕床聞いおも、䜕を蚀っおるか党くわからない。ミナシロマリさんが、䞀緒にアメリカに行こうっお 


俺は、ただ䌚ったこずのないミナシロマリさんずアメリカに行くのか しかも党米ツアヌ 半幎間も 費甚はかからないっお 

理解が党く远い぀かない。䌚ったこずもないのに䞀緒にアメリカ 党米ツアヌ それが䜕なのかもわからない。

いや無理だ。いや、埅およ、でもこれはもしかしたらチャンスなのかも。いやいや、でも仕事はどうする 半幎間も䌑めるわけがない。、、、やめるか、仕事 いや、䜕を考えおる。 でも、、、いやおかしい。盞手はただ䞀床も䌚ったこずもない女子倧生だぞ。


俺は、悶々ずしたたた数日過ごした。珟実感のない、そのよくわからない話ずリ゚ちゃんが芋せおくれたミナシロマリさんの倉顔の写真。

日䞭もボヌッずしおいお䜕床も課長に怒鳎られたが、それでも俺はただ、浅い眠りの䞭で倢を芋おいるようだった。

マリさんずアメリカかあ、、。


しかし、寝がけたような状態は、数日埌のシンゎからのSNSのメッセヌゞであっけなく終了した。

”ミナシロが、アメリカに行くのやっぱりやめるっおさ”

”ごめんなさいっおお前に謝っずいおくれっお”

、、、、、ええ、ああ、、たあ、そうだろうな、、、そりゃそうだろ、、そうですずも、そうですずも、、そりゃそうですずも、そりゃそりゃ、、、。

そのずき、着信が入る。スマホの画面に「課長」ず衚瀺されおいる。

「スズキ、クレヌムだ」

怒気を含んだ課長の蚀葉も、たるで珟実感がなく、頭を玠通りしおいく。

「、、、、ハむ、、、わかりたした、、、グズッ」

「なんだ、どうした、、お前、具合でも悪いのか、、、、、、え、、お前、たさか、、泣いおるのか」


※

今、思い出しおみおも、俺はなぜ泣いおいたのか党くわからない。本圓に䞍可解。

䌚ったこずもない女子倧生に䞀緒にアメリカに行かないか、ず誘われお、どうしようか悩んでいるうちに、やっぱやめた、ごめんね、っお話。いや、悩むか普通。そんなの無理、で終わる話だ。

でも俺は、、なんずいうか、、䞀瞬でも、倢を芋ちゃったんだよなあ、たぶん。気が付かないうちに俺はけっこうメンタルをダラれおるのかもなあ。

ただ厳密には、俺は、䟋えばその女子倧生に振られたわけではないし、もちろん付き合っおいたわけでもないし、もっず蚀えば䌚ったこずすらない。

それなのに、涙が埌から埌から流れお、課長の蚀葉に満足に返事するこずすらできなくなっおいた。ダバ過ぎる。

なんなんだ、䞀䜓。

そんなこずがあった埌、俺はどういうわけかメチャクチャ忙しくなっお䞀ヶ月も党く䌑みが取れないくらいになっおしたった。たあ、それはそれで、良かったのかもしれないが。

※

「あ、ああ、もう忙しくおな、なかなか䌑みが取れないんだよ、でもマリさん、ただギタヌを始めお確か2か月くらいだろ、もうラむブずかできるんだ 」

「あ、たあそれはノリで倧䞈倫なんだそうだ」

「ふヌん、なんか、盞倉わらずっお蚀っおいいのかどうかわからんが、なんか、スゎむな、、マリさん、今床はラむブかあ」

シンゎが誰かに電話を替わる気配があった。

「スズキさん、リ゚です」

「あ、リ゚ちゃん、久しぶり」

「スズキさん、マリもなんか色々お隒がせしおスズキさんに悪かったず思っおるみたいで、気にしおるんですよね、、だから、ラむブもそうなんですけど、よかったら、打ち䞊げに来たせんか、マリも盎接謝りたいみたいだから」

「え、いやあ、党然気にしおないから、、ただ今、俺、仕事がマゞで忙しくお、でも、もし䌑みが取れお行けそうだったらマリさんのラむブは芋おみたいなあ、さすがに打ち䞊げ行くほど俺も図々しくはなれないけど、、、」

「んヌやっぱそっか、じゃあ、ずりあえず、マリが出る時間を教えるんで、できたらなるべく来おくださいよ」

「わかった、でも確実に䌑みが取れるかわからないからマリさんには蚀わないで、それに䌚う時はちゃんず䌚いたいから、でもラむブは行けたら必ず行くよ」

ずいうわけで、偶然その日になんずか䌑みが取れたので、こうしおマリさんのラむブデビュヌを芳るために、こっそり孊園祭に乗り蟌んできたずいうわけ。なんだかんだ蚀っお、俺はただ諊めおないんだな。

いや、おいうか、ただ䜕も始たっおもいないから。なにしろ、ただ䌚っおもいないんだから。


第11章 錻が光る玳士 ダむスケ


俺は、孊生だらけの人ごみをかき分けお、なるべくステヌゞの方に近づいた。

ずにかく熱気が凄い。いや、若さっお凄いな。俺もそんなに幎は倉わらないんだけど、こんな元気はもうないな。

ステヌゞでは、五人組のバンドが最近の曲だろうか、どこかで聞いたこずがある曲をテンション高く挔奏しおいた。

意倖に䞊手いもんだな、ず俺は思った。

リ゚ちゃんに聞いたバンド名からするず、マリさんのバンドは次みたいだ。

マリさんのバンドずいっおもマリさんはゲストみたいな扱いらしく最初に䞀曲だけ挔奏しお、あずはマリさん以倖のメンバヌで挔奏を続けるらしい。

぀たり、マリさんは最初の䞀曲だけ挔奏するゲストっおこずみたい。でも、マリさん、オリゞナル曲を挔るんだっお。凄いな。

孊生の歓声ず拍手の䞭で五人組は挔奏を終え、ステヌゞを降りる。

次はいよいよマリさんのバンドだ。

ステヌゞ䞊に、次のバンドメンバヌが袖から出おきた。それぞれのメンバヌがセッティングずチュヌニングを始める。

マリさんらしき人はいないようだ。

よく考えおみるず、俺が”生”マリさんを芋るのは、これが初めおずいうこずになる。なんだか俺は、䞍思議な高揚感を感じおいた。

俺は、リ゚ちゃんが最初に芋せおくれたマリさんの倉顔の写真ず、平垞時の写真を思い出しおいた。

぀いに、、。

なんだか俺、アむドルか䜕かの远っかけみたいだな、俺が思った時、ステヌゞの袖から、玺色のゞャヌゞの䞊䞋を着た女の子がすたすたずギタヌを抱えお出おきた。

女子倧生にしおは、少し幌い印象で、華奢だけど堂々ずした䜇たいがあるその女の子は、甲高い独特の声でステヌゞ袖の誰かを呌んでいるようだ。

呌ばれた男は、床に萜ちおいたシヌルドを拟っお、その女の子のギタヌに挿した。ギタヌがアンプに繋がった独特のブオンずいう音がした。

マリヌッ ずいう声が客垭の方からした。

その女の子は、声の方を芋お嬉しそうに笑っお手を小さく振った。

あれが、マリさん あのゞャヌゞ、写真のゞャヌゞだ。

俺は、急にドキドキし始めた。

バンドの準備が敎い、マリさんがステヌゞ䞭倮のマむクに近付いた。

マリヌッ マリヌッ ず客垭のあちこちから声が䞊がった。

マリさんは、ガガガヌッ ずギタヌを匟いお、そしおすぐにやめた。

それからマむクに向かっお、

「あ、そっか、えヌっず、じゃあ、䞀曲だけやりたす、、あ、あたしがね、、、あ、アオむちゃん」

ず蚀っお、たた嬉しそうに手を振った。

俺は、ドキドキしながら䜕かクスクス笑いのような奇劙な感情のカタマリが胞の底から湧き䞊がっおくるのを感じおいた。

マリさんは、真っすぐステヌゞの䞊に立ち、たたマむクに向かっお

「えっず、じゃあ、あたしは䞀曲だけです、、あたしが歌詞を曞いお、磯郚コヌハむが䜜曲したした、、、」

ず蚀っお䞀呌吞おいお

「錻が光る玳士、、、チェケラヌ」

ず甲高い声で蚀っお、ガガガガヌッ ずギタヌをかき鳎らし始めた。

歓声が䞊がる。

同時に、客垭のあちこちから、友達だろうか「アハハハ」ずいう女の子の楜しそうな笑い声が聞こえた。

俺はずいうず、「チェケラヌ」で思わず吹き出しおしたっお、それから倧きな声で笑った。

錻が、、光る、、

ハハ、、やっぱりマリさん、倉わっおるよ。

たいったな、、ハハハ。


第12章 道草 マリ


十八

「錻が光る玳士〜」

あたしが歌い始めるず、客垭のあちこちで笑いが起こった。

たあ、それはそうだよね、我ながら倉な歌で、どう考えおも意味䞍明。

あ、アオむちゃんも笑っおるヌ。アオむちゃんが笑っおるのを芋るず、あたしたで笑いそうになるよ。

たあ、緎習で歌っおるずきも、みんな笑っおたからね。

やっぱり歌詞はアオむちゃんに頌んで曞いおもらった方がよかったかも。でも、せっかく歌詞を曞いたからやっぱりこれはこれでいいよね。たあ、最初は”詩”の぀もりだったんだけどね。

曲は磯郚コヌハむが付けおくれお、わりずカッコいいんだけど、あたしは芚えたコヌド぀をひたすらガシャガシャ繰り返すだけ。

あずは、バンドの方でうたく展開しおくれるから、歌を音が倖れないように歌うのがあたしのメむンの䜿呜なんだよね。

でも、䞀応、ギタヌも結構緎習したからね。

だっお、気に入っお買ったSGギタヌだからね。ガシャガシャやるだけで倧興奮。

あたしは、幞せを感じながらSGギタヌをガシャガシャやっお、この意味䞍明の歌を䞀生懞呜歌っおた。

ゞュリアンずかスティヌブみたいにはただ匟けないけど、い぀かあのレベルで匟けるようになるずいいなあ。

「おお、錻が光る玳士よ〜」

※

ギタヌを買ったず蚀ったら、パパが「マリは、ミュヌゞシャンにでもなる぀もりかな」っおいうからあたしは「それもいいかもね」っお蚀ったの。

「それはすごいな」

パパは楜しそうに蚀っお、倕食埌のワむンを片手にリビングの゜ファヌに腰を䞋ろした。

「楜しみだな、マリがギタヌを匟くのを芋るの」

「もう少し匟けるようになっおからね、そしたらパパの前でも匟くよ」

「マリ、あなた今回のこず少し反省しなさいよ、勝手に話をドンドン進めお、、アメリカ行きを断るのも倧倉だったんでしょ、少しは考えお行動しなさい」

ママが、キッチンカりンタヌの向こうから蚀った。

「うん、わかった、、あたしも今回は反省しおる、、ちょっず簡単に考えすぎおた、たずは圌氏を䜜っおからだよね」

「圌氏、、、」パパが、少し反応した。

「そういうこずじゃないでしょ、マリ」

ママがカりンタヌから少し乗り出しお蚀った。

パパが、おほんっず咳払いをしお蚀った。

「たあ、音楜雑誌関係にパパの知り合いがいおよかったね、サポヌトメンバヌたではネットでも情報を芋぀けるのは結構倧倉らしいからね。その圌は、ミュヌゞシャンずしおの実力はかなり評䟡されおいるらしいけど、私生掻ではちょっず問題もあったみたいだから、、その、、マリ、䜕ず蚀ったっけ、スティヌブ、、、」

「ドゥカップルニャヌ」ずあたしは蚀った。

「キャハハハ」

ず、たたたたお颚呂䞊がりでリビングに入っおきたケンタが笑った。

「フフ、、ケンタ、よく飜きずに笑えるね、この名前のどこがそんなに面癜いの」

ず、あたしは蚀ったけど、あたしも実はちょっず面癜いずは思っおいたんだよね。でも、やっぱり倱瀌だず思うから気を付けおたの。

「えヌ、ニャヌっおいうのがネコみたいで、、あ、姉ちゃんも笑っおるヌ」

「ドゥカップル、、、ニャヌ」

「キャハハハハ」

「コラ、二人ずも いい加枛にしなさい マリも、子どもじゃないんだから」

ママが、キッチンカりンタヌの䞭から倧きな声を出した。

「マリ、人生は時々人間関係を通しお展開しおくんだよ。今回はたたたた、そのドゥカップルニャヌがむマむチだったわけだけど、、、だけど、やっおみたい、行っおみたい方向に進んでいくのはずおも倧事なこずだし、パパは応揎するよ」

「うん、パパ、ありがずう」

「あなた、そんなこず蚀っお、マリが本圓にミュヌゞシャンになるっお蚀いだしたらどうするのよ」

ず、ママがたたカりンタヌの䞭から蚀った。

「それが、マリのやりたいこずなら、パパは党力で応揎するよ」

パパもそうやっおきたから、ママに出䌚えたんだよ、っおパパは蚀った。こういうずころ、パパは本圓に䞊手いんだから。

「そんなこず蚀っおるず、マリがたたおかしなこず始めるわよ、あなた、、この子は興味を持ったら行動するのに躊躇しないんだから」

ママは、呆れたように蚀ったけどちょっず嬉しそう。意倖ず単玔なんだよね、ママも。

「たあ、やっおみおから、ちょっず違ったっおこずもきっずあるだろうけどね。でも、人生はたくさん道草しながら歩くのが楜しいんだよ。それに、マリもケンタも、それからママも、パパの郜合で長い間あちこち匕っ匵り回しおしたったからね。だから、奜きなこずをやっおるのをみるず、パパは嬉しいんだよ」

パパの顔はちょっず赀いみたい。

「あら、あたしは海倖の生掻楜しかったわよ、もちろん、倧倉なこずも倚かったけど、、」

ママが蚀った。

「あたしも」

ず、あたしも蚀った。ケンタはリビングから出おいっちゃったけど、きっずケンタもそう蚀うず思う。

キッチンから、ママがリビングに出おきお

「でも、マリは孊生なんだし、道草もいいけど、危ないこずには気を぀けないず、、」

ず蚀っお゜ファヌに座った。

「わかった、気を぀ける」

ず蚀いながら、あたしは考えおた。

スズキさんには悪いこずをしちゃったから、ちゃんず謝らないずね。だいぶ混乱しおたっお話だから。

お詫びのしるしに”男物のパンツ”をプレれントするっおいうのはどうかな。ただ圌氏じゃないけど、それだけに特別なプレれントで謝眪の気持ちを衚すっおいうのもいいかも。

もし、リ゚ちゃんに「あんたが男物のパンツをあげたいだけでしょ」っお蚀われたら、それはその通りなんだけどね。

第13章 也杯 アオむ


マリちゃんは、アオむちゃんっお蚀っおこっちに手を振っおくれた。

実は、マリちゃんがラむブに出るっお、結構楜しみにしおた。どう考えおも、面癜そうだったしね。

実際、マリちゃんが歌い出しおから、私はずっず笑っおた。

「あなたの錻には完敗です」

マリちゃんの独特の甲高い声は、音楜に負けずによく通る。

マリちゃんの歌を聎きながら、私は、マリちゃんはやっぱり詩の才胜があるんじゃないかなっお思い始めおた。

いや、でもこういうのっお才胜っおいうのかな。

錻が光る玳士、、、。

いや、私には絶察に曞けないし、しかも、それを歌にしお歌うだなんお、考えられない。

でも、マリちゃんを芋おるず、楜しそうだし、笑われおも平気で気にしおないように芋える。

もちろん、心の䞭は芋えないから、本圓のずころはわからないんだけど、私はなぜだか、「私も頑匵ろう」っお気になるんだよね。

笑われたっおけなされたっお、それが私だし、自分自身を生きるっおきっずこういうこずなんじゃないかな。

マリちゃんの日垞は、楜しそうだし、私もあんな颚に生きたいな。

「也杯 ピラフを䞀぀お願いしたす」

ハハハハ いや、ホント、わけがわかんない。でもマリちゃん、サむコヌだよ。

い぀も、ありがずうね

バンドの挔奏ぱンディングでゞャヌンっおカッコよく終了したけど、マリちゃんのギタヌだけガガガガヌッお少しズレお終わった。

マリちゃんは、珍しく少し恥ずかしそうにしながら、グルっず客垭を芋枡した。

そしお、私の方を芋お、い぀ものようにニコっず笑った。

ありがずう

垰囜子女のマリちゃんは、日本語でそう蚀っおすたすたずギタヌを抱えお、ステヌゞの袖に消えおいった。

あヌ面癜かった でも、毎日こんな日垞でいいのかな 

きっずいいんだよね、ね、マリちゃん。

ステヌゞに残ったバンドメンバヌが、次の曲の挔奏を始めた。


゚ピロヌグ ダむスケ


「それでね、よく芋たらそのおじさんの爪が5センチくらい䌞びおお、、」

「ぞ、、ぞえ、、」

「しかもけっこう汚れおお、、あたしはどうしおも我慢できなくお、近くのコンビニで爪切りを買っお持っおっおあげたの」

「その、、ホヌムレスの人に」

俺が飲もうずしおいたコヌヒヌは、口に近づいおは戻るを䜕床も繰り返しおいた。

マリさんは、たるで昔からの芪友ず話しおいるかのように、楜しそうに、だが真剣な顔で話しおいる。

「そう、でも盎接わたすのはちょっず怖かったから、寝おる時を芋蚈らっおこっそり近づいお、、パッず爪切りを」

マリさんは、䜕かを眮いお手を匕っ蟌める仕草をした。マリさんはラむブの時ず同じゞャヌゞの䞊䞋を着おいる。

「もう、あたしにずっおはかなり倧きなミッションだったけど、なんずかそこたではやり遂げお、、でね、次の日に倧孊の垰りにこっそり芋たら、、そのおじさんの爪が短くなっおお、、もうあの時の充実感ず蚀ったら なんおいうか、、ぞそが茶を沞かすっおいうのかな」

「ぞ、ぞそが、、、」

俺は思わず、マリさんを芋返しお、そう呟いた。

倕方の少しレトロな感じの喫茶店「癜いバラ」。

店内には、それなりに客がいたが日曜日だからだろうか、少し萜ち着いた雰囲気が挂っおいるような気がする。倧孊生くらいの女の子だったら、もう少しオシャレなずころに行っおいるむメヌゞがあるが、マリさんは違うのだろうか。たあ、そうであっおも俺はもう驚かないが。

マリさんの孊園祭が終わっおから2週間が過ぎ、倖の空気もかなり肌寒くなっおきた気がする。

俺は、ようやく取れた䌑みにぶ぀けお、シンゎを通しおマリさんをあらためおデヌトに誘ったのだ。

䞀床は俺の仕事の郜合でキャンセルしおしたったから、俺ずしおは申し蚳ない気持ちもずっずあったが、マリさんはマリさんで、䟋の党米ツアヌの件で俺に謝りたいずずっず蚀っおいるずいう話だった。

そんなわけで、今回のデヌトはすんなり決たった。

デヌト いや、デヌトず蚀っおいいのかどうか。

実はマリさんはこの埌スポヌツゞムの予玄があるらしかった。なんでも、仲のいいむンストラクタヌの人が蟞めおしたうずいうこずで、今日が最埌の日だからどうしおも行かなくおはならないずのこずだった。

たあ、忙しい人なのはなんずなく予想はしおいたが。

ずはいえ、初顔合わせであり、初めお盎接話すずいうこずに倉わりはなく、俺は喜びながらも、柄にもなく緊匵なんかしおいたのだ。

俺は、埅ち合わせの時間の20分前にお店に着いたが、マリさんはすでにお店の奥の垭にいお、䞀人で䜕かゞュヌスを飲んでいた。

俺は惹き぀けられるように、すぐにマリさんを芋぀けた。

俺は、緊匵しながらマリさんの座る垭に近づいお「お疲れ様です」ず声をかけた。

マリさんは、すぐに顔を䞊げお

「あ、スズキさんですか」

ず少し蚛ったような独特な甲高い声で蚀っお、綺麗でどこか無防備な笑顔を芋せた。

俺は、たるで仕事の仲間にするような挚拶をすぐに埌悔したが、ずりあえず垭に座りコヌヒヌを泚文しおあらためおマリさんに向き盎った。

マリさんはたるで久しぶりに䌚った昔からの友達のように流れるようにしゃべり始めた。

海倖には「お疲れさた」ずいう蚀葉がない、ずいうこず。倧孊の工事の人は「お疲れ様です」ずは蚀わずに「オズレッス」ず蚀うこず。ここは自分が気に入っおいる喫茶店で、よく来るこず。自分は海倖で育ったから日本のこずは普通の人ほどは知らないので、よく倉わっおるず蚀われるこず。最近は詩を曞くこずにハマっおる、ずいうこず。

俺は、マリさんが喋る合間を狙っお、なんずか軜い自己玹介ず前回のキャンセルを詫びた。

マリさんは、党然気にしおないどころか、むしろ色々あっお感謝しおいる、ず蚀い、自分もアメリカの件では皆に怒られお反省しおいるず申し蚳無さそうな顔をした。

それから俺は、なんだか時間を忘れたようにマリさんの楜しそうな顔を芋ながら、そのあっちこっちに飛んでいくマリさんの話を聞いおいた。えヌず、顔が3぀ある仏像の話から、今はホヌムレスの人に爪切りをあげた話ですね。

怒涛の勢いでマリさんは喋り、おれはマリさんの話をたるでラゞオのように聞きながら、なにか俺に起こっおいる非珟実を倢のように楜しんでいた。

そしお、垭に぀いお30分くらい経ったころに、マリさんのスマホに着信があり、それをきっかけにマリさんはバタバタずお店を出お行った。

いや、たあ、最初からその予定だったのだ。俺はあたり話はできなかったが、別に驚きはない。

マリさんが倉わっおるっお 確かに。でも、そんなずころが俺には䞍思議に心地よかった。マリさんは矎人だし。

でも、マリさんがマリさんであるずいうこずは、マリさんが矎人だずいうこずよりも、俺には特別に感じられた。

「フ、フフッ」

残された垭に座ったたた、俺は䞀人で小さく笑った。

テヌブルの䞊には、綺麗に包装されたノヌトパ゜コン䜍の箱が眮かれおいる。

マリさんが、䟋のアメリカの件のお詫びだず蚀っお眮いおいったものだ。䞭身はタオルか䜕かだろうか。それにしおは随分綺麗に包装されおいる。

マリさんずの関係がこれからどうなっおいくのかはわからないが、俺はなんだかそんなこずすらどうでもいいような䞍思議な気持ちになっおいた。

今、この瞬間がずおも楜しくお心地いい。そしお、なんだかずおも愉快だ。

やっぱマリさんっお、、、。

「クククッ、ぞそが、、茶を沞かすだっお、、、ククッ」

思い出しお俺は、綺麗に包装されたその箱を芋ながら、呚りに気付かれないように、たた䞀人で小さく笑った。

おわり


いいなず思ったら応揎しよう