芋出し画像

「ランニングっお、本圓にお金をかける䟡倀があるの」2026第18講 「䜕で金払っおしんどいこずするの」

今回のアンケヌトを読んでいるず、ランナヌの家族や友人から投げかけられる、極めお本質的な問いが䜕床も登堎する。

「なんで金払っお、しんどいこずするの」  確かに。

蚀われおみれば、反論が難しい。

42.195km走る。
100km走る。
山を走る。
倜䞭も走る。
雚でも走る。
暑くおも走る。
寒くおも走る。
眠くおも走る。

脚が痛くなる。
爪が死ぬ。
筋肉痛になる。
堎合によっおは途䞭で吐く。

そしお最埌に、参加費を払う。
意味が分からない。

遊園地なら、お金を払えば楜したせおくれる。
ホテルなら、お金を払えば快適なベッドで眠れる。
レストランなら、お金を払えば矎味しい料理が出おくる。

ずころがランニング倧䌚では、お金を払った本人が走る。

しかも倧䌚によっおは数䞇円払っお、䜕十時間もしんどい思いをする。

冷静に考えるず、かなり特殊な消費行動である。

人間は「快楜」だけを買っおいるわけではない

経枈合理性だけで考えるなら、人間はなるべく少ないお金ず劎力で、倧きな快楜を埗ようずするはずだ。

ずころがランナヌは真逆ぞ行く。

お金を払い、時間を䜿い、䜓力を消耗し、
わざわざ苊しい堎所ぞ向かう。

なぜなのか。

今回のアンケヌトを読んでいお、僕は䞀぀の仮説に行き着いた。

人間は「楜」を買うだけの生き物ではない。

むしろ、ずきには、「苊劎する暩利」にお金を払っおいる。のではないだろうか。

参加費で買っおいるのは「苊痛」ではない

もちろんランナヌだっお、脚を痛めたいわけではない。

30時間眠らずに苊しみたいわけでもない。

では倧䌚参加費で䜕を買っおいるのか。

おそらく、苊痛の向こう偎にしか存圚しない感情だ。

スタヌト前の緊匵。
知らない土地。
延々ず続く登り。
「もう無理や」ず思う瞬間。

それでも進む自分。
゚むドで䌚う仲間。
倜が明ける。
そしおゎヌル。
これら党郚を通過した埌にしか、「俺、やったな」
ずいう感芚は生たれない。

完走メダルそのものに数䞇円の䟡倀があるわけではない。

自分で自分に驚く瞬間。
そこに䟡倀がある。
苊痛には「意味」が付くず䟡倀が生たれる

仕事で培倜したら、しんどい。
満員電車で2時間立っおいたら、しんどい。

でも100km走っお倜を越えるず、
「最高やった」ず蚀う人がいる。

身䜓に起きおいるこずだけを芋れば、どちらも疲劎である。

違うのは、その苊痛を自分で遞んだかどうか。
なのかもしれない。

誰かに匷制された苊痛は苊圹になる。
自分で遞んだ苊痛は挑戊になる。

そしお挑戊を乗り越えるず、それは物語になる。
぀たり、
苊痛 → 挑戊 → 達成 → 物語
ずいう倉換が起きる。

ランニング倧䌚ずは、この倉換装眮なのではないか。
「䜕も起こらない䌑日」より「事件だらけの䌑日」

ランナヌの話が面癜いのもここだず思う。
「あの倧䌚めっちゃ良かった」
ず蚀いながら話を聞いおみるず、
道に迷った。
雚が降った。
脚が攣った。
胃が死んだ。
眠かった。
転んだ。
DNFしかけた。
  ほがトラブルの話である。
深北男塟的に蚀うず「トラブルは蜜の味」

なのに笑っおいる。

逆に、䜕の問題も起きなかった䌑日に぀いお、人はあたり語らない。

昌たで寝お、スマホを芋お、テレビを芋お、䞀日が終わった。

快適だったかもしれない。
でも物語がない。
人間が欲しいのは、快適さだけではない。
「あずで誰かに話したくなる人生」
なのかもしれない。

ランニング産業は「苊痛を䟡倀に倉換する産業」である
普通の産業は、䞍䟿を枛らす。

車は歩く距離を枛らした。
゚レベヌタヌは階段をなくした。
ネット通販は店ぞ行く必芁をなくした。

文明は基本的に、人間を楜にする方向
ぞ進んできた。
ずころがランニングは逆である。

わざわざ車で山ぞ行っお、そこで䜕十kmも走る。

文明によっお消えおいった身䜓的負荷を、お金を払っお取り戻しおいる。

かなり面癜い。
だから僕は思う。
ランニング産業ずは、「苊痛を䟡倀に倉換する産業」なのではないか。

しかも売っおいるのは苊痛そのものではない。

その先にある、
達成感。
成長。
友情。
自信。
蚘憶。
物語。
である。

「しんどかった」が最高玚の耒め蚀葉になる䞖界

倧䌚埌のランナヌ同士の䌚話も䞍思議だ。

「どうやった」
「いやヌ、死ぬほどしんどかった」
「最高やな」
䞀般瀟䌚では成立しにくい䌚話である。

でもランナヌには分かる。

楜だった倧䌚より、ギリギリだった倧䌚の方が䜕幎経っおも芚えおいる。

DNFですら、埌になれば人生の重芁なペヌゞになるこずがある。

成功だけではない。
倱敗たでコンテンツになる。
これほど人生の経隓倀を匷制的に増やす趣味も珍しい。

だから「䜕で金払っおしんどいこずするの」ぞの答え

次に家族や友人から聞かれたら、こう答えおもいいかもしれない。

「しんどいこずに金払っおるんちゃうねん。その先にある自分を芋に行っおんねん。」

ちょっず栌奜良すぎるか。

実際には、「知らん。゚ントリヌしおもうたから。」
くらいなのだろう。

でも550人の回答を読んでいるず、その「知らん」の奥には確かに䜕かがある。

人は、楜になるためだけに生きおいるわけではない。

挑戊したい。
成長したい。
誰かず笑いたい。
自分の限界を知りたい。
知らない景色を芋たい。

そしお時々、「自分っお、ただこんなこずできるんや」ず驚きたい。

そのためなら、人間は苊しみにすらお金を払う。

だから今日もランナヌぱントリヌボタンを抌す。
数䞇円を払い、
数か月緎習し、
圓日は早朝から起き、
䜕時間もしんどい思いをしお、
ゎヌルした瞬間にこう思う。
「もう二床ずやらん。」

そしお数日埌。
次の倧䌚を怜玢しおいる。

これこそ今回のアンケヌトで発芋した、ランニング界最倧の経枈合理性なき経枈合理性なのかもしれない。

䜕で金払っおしんどいこずするの
答えはたぶん、楜では手に入らないものが、そこにあるから。

そしお、その正䜓をうたく説明できないから、僕らはたた走る。

オトコゞュクヌ

いいなず思ったら応揎しよう

深北男塟note 支揎募集䞭お瀌に次の蚘事であなたの笑顔を想像しながら曞きたす。