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対話で重要なのは、テンポやわかりやすさよりも「待つ姿勢」なんじゃないか

インタビューをするとき、ひいては人の話を聴くという行為全般において、「待つ」時間をとても大切にしている。

もともと私は人と話しているときに訪れる「急な沈黙」がすごく苦手だった。それまでテンポよく続いていた会話のラリーが突如止まって、相手が返答に悩んだり、次の話題を探そうとしているような仕草を目にすると、居心地が悪くなった。

だから、ついつい相手の顔色を伺いながら、一秒でも早く次の話題、次の質問へと移ろうとする癖があったのだけど、最近はこの癖をやめることにした。

これまで300人以上に渡ってインタビューをしてきたなかで、人によって考えるスピードや話すテンポはまったく違うと気がついたからだ。

スピーディーに会話を進めたい人もいれば、その場でじっくり考えながら言葉を練るようにして話す人もいる。

目の前にいる人がどんなペースで話したいかをよく観察して、こちらのペースもチューニングしていくことが、よりよく聞くことにつながるのではないかと思えるようになったのだ。

「人によって会話のペースが違う」なんて当たり前といえば当たり前のことなのだけど、会話を自分主体で考えていると、相手の話す間を待っていることができない。顔色を伺いすぎてしまったり、相手の言葉をよく聞かずに予測で話したり、リズム感ばかりを重視して話してしまったりする。

でも、よく考えれば、コミュニケーションとはリズムゲームではないのだから、別にテンポが良くなくても、言葉がうまく出てこなくてもいいのだ。

次の言葉を何秒でも何分でも、じっくり待つ。言葉を咀嚼する時間を一緒に楽しむ。すると、今まで考えていなかったことや、思ってはいたけれどうまく言葉にできなかったことが、急に形となって表れてくれることがある。

そんなセレンディピティを共有するようなあり方が、対話において重要な気がしてきた。

コミュニケーションにおいて「待つ」こととは、つまり相手への信頼であり、相手の心地のよいペースを尊重したいという姿勢の表れなのかもしれない。

せっかくその場で出会い、人生のなかで貴重な時間をわずかながらでも共有させてもらう。その贈与に対して、どんな姿勢を見せたいのか。私自身もまた、どのように対話を楽しむのか。

話すスピードやテンポ、わかりやすさよりも、そんな待つ姿勢こそが互いの間に生まれるコミュニケーションをもっと耕してくれるのではないだろうか。


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