回覧板選手権強豪地区に住む私
うちの町内会の回覧板は、なかなか読み応えがある。
町内会の回覧板というと、「○月○日に清掃活動があります」「ゴミ出しのルールを守りましょう」みたいな、必要事項だけが淡々と書かれているものを想像する。
しかし、うちの回覧板は違う。
町の近況や事件が、B4用紙の裏表にびっちりと書かれている。町内会長さんによる、オリジナル新聞だ。
少し前には、動物のフンに悩まされている方から相談を受けた、という話が載っていた。多分、散歩中の犬ではないか。近所の猫も怪しい。そんなところから始まり、看板を立てても改善しない、センサーライトをつけても改善しない。そこで、いよいよ防犯カメラを設置したところ、犯人は野生動物だった。
そこから町内会長さんも一緒になって対策をしたらしい。そして最後には、「困ったことがあったら、まずは町内会までご相談ください」とある。
頼もしい。
また、近所で火事があったときには、「数年前にも同じ通りで火事があった。なぜ、あの通りは火事が続くのだろうか」と、考察まで始まる。もちろん、火の用心の注意喚起や、それを受けて火の用心のパトロールを強化していることなども書かれている。
ご家族から掲載の許可が下りると、亡くなった方についても訃報だけでは終わらない。「喧嘩っ早いところもあったが、根は優しい方。話好きで、話しだすと止まらない。長年交流があったのに寂しい」など、故人との想い出まで綴られていた。
町内のイベントがあったときには、大人のマナーの悪さを指摘し、一方で、子どもたちの良かった行動を詳しく書いて、「あのマナーの悪い大人にも、子どもの爪の垢を煎じて飲ませたい」という、なかなか辛辣なご意見まで掲載されていた。
おもしろい。
いや、かなりおもしろい。
私はこの町に引っ越してきたとき、この回覧板に驚いた。町内会の回覧板って、こんなに人間味のあるものなのか。
そして私は、いつの間にか町内会長さんのファンになっていた。町内会長さんは、いつもファイルを小脇に抱え、いそいそと町内を駆け回っている。
きっと、いろんな人から相談を受けているのだろう。困っている人のところへ行き、話を聞いて、一緒に対策を考えて、問題が解決したら、今度はそれを記事にして、町のみんなに知らせる。それを毎回やっている。
すごい方だ。
町内会長という肩書きだけを見ると、なんとなく「役員」という感じがするけれど、私の目には、もはやこの町の情報局であり、相談窓口であり、記者であり、時にはコラムニストでもある。
そして何より、町のことが好きなんだと思う。
こんなにおもしろい回覧板が回ってくる地区に住んでいることが、なんだかちょっとお得な気がしている。
もし叶うなら、バックナンバーを遡って読み漁りたい。
私が回覧板を読まずに回すことは、まずない。
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