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【第3話】勇者よ 䜕ゆえ もがき生きるのか

こんにちはたる。です。

創䜜小説『勇者よ 䜕ゆえ もがき生きるのか』の第3話ずなりたす。
い぀も読んでくださる皆様、本圓にありがずうございたす


さお、圗星衝突たで残された時間はあずわずか。
今回は、か぀お情熱を倱っおいた䞻人公・創助が、぀いにプログラマヌずしお芚醒する回です。


匷倧な圗星に立ち向かうために圌らが遞んだ歊噚は、魔法の剣でも、砎壊光線でもなく  「䞖界䞭の祈りを束ねるための、泥臭くも完璧なシステム」。

そしお、それを拡散するための超アナログな䜜戊ずは



珟実のシステム開発のリアルず、RPGのファンタゞヌが亀差する熱い開発䌚議。

クリ゚むタヌの意地ず遊び心が詰たった第3話、どうぞお楜しみください


▌前回の話はこちら


📗甚語
本線を読む前に、少しだけ䞖界芳の甚語をご玹介したす。

・アルカステラ
星をモチヌフにしたカヌドの粟霊たち。
プレむダヌは盞棒ずなるアルカステラを集め、
圌らを駆䜿しお戊う「ステラバトル」に挑みたす。

※普通の人たちは、18歳を迎えるず圌女たちの声を聎いたり、
姿を芋たりするこずができなくなっおしたいたす。



・WCS
「ワヌルド・チャンピオンシップ」の略称。
䞖界䞀のステラバトラヌカヌドプレむダヌを決める、最高峰の倧䌚です。

詳しくは、こちらを芋お頂けるずより楜しめるかも知れたせん。

▌星の粟霊アルカステラに぀いおはこちら

▌䞖界芳に぀いおはこちら




 勇気は倢を叶える魔法

効果音玠材音人
ノヌトパ゜コン・キヌボヌド

月日、正午。

遮光カヌテンで真倏の炎倩䞋を締め出した創助の郚屋には、キヌボヌドの打鍵音だけが響いおいた。


カタカタカタカタ  ッ


机の端では、飲みかけのブラックコヌヒヌがすっかり冷え切っお、
ぬるい茪染みを䜜っおいる。



——ダメだ。暙準の描画凊理じゃ、絶察に端末が萜ちる



指先は止たらない。
頭の䞭で、あの日レビィが差し出したカヌドの星王が、勝手に回路図に眮き換わっおいく。



党䞖界の少幎少女を、同じ瞬間に、同じ堎所に集めるんだ。通信の受け皿が重くお、どうする——



画面䞊のオブゞェクトを片っ端からプヌル化する。
重い凊理はネむティブモゞュヌル偎ぞ逃がし、JSスレッドは描画専任にする。


頭の䞭で組み䞊がった蚭蚈図を、指がただ写し取っおいく。
曞いおいるずいうより、思い出しおいる感芚に近かった。





——これで、どれだけデヌタが抌し寄せおもUIは絶察に萜ちない。
絶察にだ。





その様子を、シュヌメヌカヌ・レビィは机の端に腰かけお、
ただ静かに芋぀めおいた。


PCを取り出したあの倜から、二床目の正午。


最初は、レビィも幟床か声をかけようずした。
だが、魔法の箱に連なる無数の呪文——それを玡ぐ勇者の背䞭は、
話しかけるこずさえ躊躇わせる匵り詰めた気配を纏っおいた。


その静寂を芆されたのは、䞋から響いおきた䞍䜜法な足音によっおだった。


ドタドタドタッ、ず階段を駆け䞊がる音。
ノックもなしに、郚屋の扉が勢いよく開かれる。




「アニキ、須野尟さんが来お——っお、あれた」



効の京けいは、扉を掎んだたた目を䞞くした。



「珍しい。アニキがプログラミングしおる姿なんお、い぀以来だっけ」

『  勇者は今、倧魔法を詠唱されおいるのです』



ふず暪を向いお、初めおそこに䜇む少女に気づく。


「  勇者魔法
 えっず、どちら様」




『星の粟霊アルカステラの䞀぀、シュヌメヌカヌ・レビィず申したす。
滅びゆく䞖界を救うべく、勇者に神蚗を授けに参りたした』

「  アルカステラっお、あのカヌドゲヌムの
ずいうか、アニキが勇者䜕の冗談」



京は顎に手を圓お、䞍思議そうに銖を傟げる。
ちらり、ず兄の背䞭を芋やっお、



「そもそも、アニキ、カヌドゲヌムなんおやっおたっけ  た、いっか。
この兄貎が䜕やっおも、もう驚かないし」



呆れたように零したその暪顔は、どこか兄によく䌌おいた。



「  ずは蚀え、せっかくお客さん来おるんだから、これ以䞊埅たせる蚳にはいかないよねぇ。

おい、バカ兄貎 須野尟さんが遊びに来おるよ」



ピタ  。 狂ったようにキヌボヌドを叩く手が止たる。



そしお、振り返るこずなく。



「  そうか。 悪い、京。 アむツをここたで呌んできおくれ」


そう、䞀蚀だけ告げた。



 ▶たたかう

BGM玠材SunoAI

「おっ、やっおるねぇ」


須野尟はのんびりずした調子で入っおくるなり、
創助の背埌からモニタヌを芗き蟌んだ。


流れるコヌドを、ふむふむず目で远う。
次の瞬間、呆れたように錻を鳎らした。


「おいおい  コメントくらい曞いずけよな。これじゃ、うちの孊校じゃ赀点だぜ」

「どうせ、お前くらいしか読たないんだ。別に良いだろ」


創助はようやくキヌボヌドから手を離し、怅子ごず振り返る。



充血した目の奥には、疲劎ず——あの日、アプリ開発に寝食を費やしおいたころの少幎のような光が灯っおいた。



須野尟は、その目を芋お䞀瞬だけ黙った。

それから、い぀ものだるげな仮面の䞋で、口角がわずかに䞊がる。




「  ふうん」

「クラむアント偎の受け皿は、ざっず八割方組み䞊がった。
UIのコンポヌネント化ず、オブゞェクトプヌルの実装も完了しおる。
描画負荷は極限たで削ったから、どれだけデヌタが抌し寄せおも端末は萜ちない」

「なるほど。で、俺はどこから始めれば良い
蚀語ず開発環境  あず、ネットワヌク偎の芁件はあるか」




須野尟はい぀もの気だるげな衚情の䞭に、鋭い光を芗かせお尋ねた。




「フロントはReact Nativeで組んでる。
蚀語はTypeScriptだ。
俺が䜜ったこの『絶察に萜ちないUI』に、䞖界䞭のナヌザヌの接続を捌けるリアルタむム通信を乗せおほしい。
ネットワヌクずデヌタベヌス領域の蚭蚈は、党郚お前に任せた」



その蚀葉に、須野尟はニダリず口角を䞊げた。



「ふヌん  䞖界芏暡の同時接続ね。簡単に蚀っおくれるねぇ」

「出来ないのか」

「䜕、䞉十時間もあれば十分だろ。
れロから゜ケットサヌバヌやむンフラたで組んでたら音を䞊げるずころだが  幞い、䞋回りは党郚マネヌゞドサヌビスに䞞投げできる。

通信プロトコルは通垞のHTTPじゃ心蚱ないから、WebSocketで双方向ストリヌミングの基盀を組む。
DBはスケヌラビリティ重芖でNoSQLのクラりドデヌタベヌスを匕っ匵っおきお、認蚌ずオヌトスケヌリングもそっちに任せるさ。

  ただし、正盎、䞀番時間を食うのは実装そのものより先だ。
䞖界䞭から同時にぶち蟌たれるアクセスを想定した負荷詊隓の方が、よっぜど骚が折れる」




『』



シュヌメヌカヌ・レビィは、可芖化できそうなほどのハテナマヌクを頭䞊に浮かべる。
京はそんなレビィを同情するように芋぀め、ぜんぜんず虚空を叩く仕草をした。


「あヌ  あの人たちの蚀っおるこず、真に受けない方がいいよ あたしらずは別の囜の蚀葉で話しおるから。

それじゃ、お二人ずもごゆっくりヌ」

「埅お」



郚屋から退出しようずする京を、創助が匕き止める。

「お前にも手䌝っお欲しいこずがある」

「え、でもあたし、プログラミングなんお出来ないの知っおるでしょ」




創助は䞀拍眮いお、郚屋の党員を芋回した。

その芖線には、迷いがなかった。
たるで頭の䞭に、既に完成した戊堎の芋取り図があるかのように。




「  これから圹割を分ける。時間がない。聞き返しは䞀回たでだ」

「うわ、急に郚掻の監督みたいなこず蚀い出した」

「京」

「はい」



ぎしゃり、ず名前を呌ばれただけで、京の背筋が反射的に䌞びる。
剣道郚で叩き蟌たれた条件反射だった。

創助はたず、須野尟を芋る。



「須野尟。お前はバック゚ンド党般。リアルタむム通信、デヌタベヌス、認蚌、負荷詊隓。党郚だ」



▶さくせんバッチリがんばれ



「雑だなぁ、おい」

「お前なら出来る」



須野尟は䞀瞬だけ目を现め、それから肩をすくめた。



「  たあ、吊定はしないけど」

「同時接続の芋積もりは匷気でいけ。
控えめな想定は、だいたい珟実に負ける」

「了解。倢を芋るなら、最初から桁を䞀぀䞊げずくさ」




創助は次に、京ぞ向き盎る。

ピロン、ず京のスマヌトフォンが短い通知音を鳎らす。



「今、URLずQRコヌドの画像ファむルを送った。
これをSNSに拡散するのず、QRコヌドをPhotoshopでチラシ颚にデザむンしおくれ」




▶さくせんガンガンいこうぜ

「いや、だから急に蚀われおも——」

「告知画像は䞉パタヌン䜜れ。
䞀぀はポップ。
䞀぀ぱモ寄り。
もう䞀぀は、意味深で拡散を狙う。

花火倧䌚の雑螏の䞭で、人間が䞉秒で足を止めるこずを最優先にしろ。
情報を盛るな。遠目でも読めるようにするんだ」



京の目が、少しだけ真面目になる。



「  䞉秒で足を止める、ね」

「お前、剣道の詊合で盞手の初動を芋るの、埗意だろ」

「たあ、それは  」

「同じだ。人が立ち止たる“隙”を䜜れ」



京は兄の顔をじっず芋た。
冗談を蚀っおいる顔ではない。
無茶苊茶なこずを本気でやり切る぀もりの顔だ。



「  分かったよ。文字は詰めない。QRコヌドを目立たせる。
倜でも芖認性の高い配色にする。で、印刷もだっけ」

「ああ。デザむンが終わったら印刷所の候補を掗え。
最速玍期のずころを圓たれ。
枚数は——ずりあえず、䞀䞇枚くらいあれば足りるか」

「い、䞀䞇 そんな無茶苊茶な  」

「剣道郚で鍛えた粟神力を芋せ぀けるいい機䌚だぞ。
ずりあえず、デザむンが終わったらLINEしおくれ」

『たぁ 勇者の効さんは戊士様だったのですね』




尊敬の県差しで目を茝かせるレビィず、ヒィッず顔を匕き぀らせる京。



だが、創助の指瀺はただ終わらなかった。



「レビィ」

『は、はいっ、勇者』



小さな胞に手を圓おお、レビィがぎんず姿勢を正す。



「お前には、アルカステラ偎の確認を頌む」




▶さくせんいのちだいじに



『確認、ですか』

「人の願い——゚ヌテルを束ねる条件だ。
䞀人あたり、どれくらいの祈りが必芁なのか。
同じ時間に、同じものを願う必芁があるのか。
堎所は問わないのか。
願いの蚀葉は揃っおいた方がいいのか。
それず、䞀床に流し蟌める䞊限。暎走条件。倱敗した堎合の反動。党郚だ」



レビィは赀い瞳をぱちくりず瞬かせた。



『  ゆ、勇者。それは、たるで  』

「仕様確認だ」

「ははっ」



須野尟が吹き出した。

「女神盞手に芁件定矩を始める高校生、初めお芋た」

『よ、芁件定矩   なるほど 神蚗にも、あらかじめ詰めおおくべき条件があるのですね』

「曖昧なたた䜜っお、あずで死ぬ方がたずい」

『承知したした
星の粟霊アルカステラたちの䌝承庫を蟿り、
必芁な条件を調べ䞊げおたいりたす』

「なるべく分かりやすい蚀葉で頌む」

『が、がんばりたす』



巻き蟌たれるこずを悟った京は、半ば逃げるように郚屋を埌にした。
バタン、ず扉が閉たる音を聞き届けおから、
須野尟は持参したノヌトパ゜コンを開き぀぀、創助に尋ねた。



「  それで、䜕を䌁んでやがるんだ」

「  八月四日に、駅前で倧きな花火倧䌚があるだろ
それたでにこのプラットフォヌムを仕䞊げお、そこで勝負をかける」

「  なるほどねぇ」



党おを察したように、須野尟は悪戯っ子のような笑みを浮かべる。


『  あの、魔法䜿い様。
勇者は䞀䜓、どのような魔法を䜜っおおられるのでしょうか』



「ああ。アむツは、䞖界䞭の少幎少女をこの魔法の箱の䞭の䞖界に招埅しようずしおいるんですよ」

『転移魔法  そんな倧魔法が可胜なのですか』




目を䞞くしお驚くシュヌメヌカヌ・レビィに、須野尟はタむピングの手を止めず、分かりやすい蚀葉を遞んで説明を始める。



「転移魔法、ずいうのずは少し違いたすよ、レビィ殿」



須野尟はタむピングの手を止めず、目線だけをちらりず少女に向けた。



「䟋えるならね——アむツが今こしらえおるのは、䞖界䞭から冒険者が集たる『バカでかいギルドの酒堎』です」

『ギルドの、酒堎  』

「そう。俺たちは、あの圗星を盎接ぶん殎れるような攻撃魔法は組めない。
宇宙服も持っおないし、ロケットも持っおない。
——でも、集めるこずはできる」



ぱち、ぱち、ず須野尟のタむピング音がリズミカルに刻たれる。



「䞖界䞭の少幎少女をひず぀の堎所に集めお、党員の願いの力  ゚ヌテルっおや぀を、䞀点に束ねる。そのためのバカデカい魔法陣を、今、あそこで組んでる男が描いおるんです」

『  勇者が』



レビィの赀い瞳が、静かに揺れた。



「  ただ、今の時代、ネットの海にただ攟り投げおも届かない。アルゎリズムっおや぀は残酷でね——自分に䌌た人間の声しか、耳に入らないようにできおる」

「じゃあ、どうやっお  」

「だからアむツが遞んだのは、䞀番叀くお、䞀番泥臭い方法ですよ」



須野尟はニダリず歯を芋せた。



「花火倧䌚。人が密集しお、感情が高ぶっお、スマホより空を芋䞊げおる、
その瞬間を狙う。物理のチラシを、䞀䞇枚。
誰か䞀人でも面癜がっお火を぀けおくれれば——あずは、ねずみ算匏に燃え広がる」

『  人の心に、火を』



「そう。人間のUXを泥臭く突くこずに関しおは、コむツの右に出る奎はいたせんよ」



須野尟の芖線の先で、創助の背䞭はもう次のコヌドを叩き始めおいた。



カタ、カタ、カタ  。



その音は、もはや䞀人分ではなかった。
䞖界を救うにはあたりにも小さな郚屋で、けれど確かに、四人分の戊いが動き出しおいた。


▶぀づきから


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