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著…古川自剣隆『戦う薩摩武具 その用と美』

 薩摩の脇指や短刀や槍といった武具、刀装具についてまとめた本。


 ⭐️単行本版


 著者は歴史学者や学芸員ではなく、IT関連企業に勤める傍ら、趣味で南九州の郷土史研究をしてきた方です。

 薩摩武具の収集を始めて40年以上経ち、また、常勤職を離れたことを機に、ふるさと薩摩の歴史本を執筆しよう」と思い立って、この本を出版したそう。

 熱意がすごい!

 また、刀剣を除けば、ほとんど著者が自前で写真を撮影し、また、多くの人たちの協力を得てこの本の出版に繋がったとのこと。

 情熱がすごい!

 そのせいか、この本の定価は、なんと7,480円。

 お値段もすごい!

 さて、この本は文章も読み応えがあり、また、質実剛健な薩摩の武具たちから、見た目の華やかさよりも戦での実用性を重んじる薩摩隼人たちの勇猛さが伝わってきます。

 戦での実用性…、それはつまり、敵を討ち取ること。

 特に薩摩の戦の烈しさには目を見張るものがあります。

 たとえば、この本によると、島津家久公は沖田畷の戦いにおいて、このような軍令を出したそうです。

 一人の敵をも殺したる証拠のない者は死罪。その父兄親族も重罪に処す。

(著…古川自剣隆『戦う薩摩武具 その用と美』単行本版P28から引用)


 現代人が読んだら衝撃を覚えると思いますが、このように厳しい覚悟を持ってこそ、数々の戦果を上げることが出来たのでしょう。

 先祖代々鹿児島生まれ鹿児島育ちで、しかも関ヶ原の戦いで有名な中馬大蔵さんを敬愛してやまないわたしでさえ、「穿ち抜き」「釣り野伏」「捨てがまり」といった戦法は、こうして改めて見るとマジどん引き。

 そこに「いのちをだいじに」という作戦は存在しないわけです。

 当時の薩摩隼人たちが脳味噌や骨の髄まで筋肉で出来ていたとしか思えません。

 しかし、もしも彼らと話すことが出来たなら、「俺たちにとっては当たり前のことだ。逆に聞きたいが、そんな覚悟もないのに戦をするような者がいるのか?」と言うかもしれませんね。



 〈こういう方におすすめ〉
 薩摩の歴史に関心がある方。

 〈読書所要時間の目安〉
 7時間くらい。

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