双子のミステリー
どんな事情があったのか知らない。
弟が生まれると双子だった。
一人が養子に出された。
もう一人はそれを知らずに育った。
二人は苗字は違うが、顔はそっくり。
高校では二人とも僕の後輩だった。
一人はバスケット部、もう一人はラグビー部。
僕は卒業した後で二人のことを知った。
二人は高校で初めて顔を合わせたと思っていた。
ところが中学時代に顔を合わせていた。
東京都練馬区の陸上競技大会。
足の速かった二人は短距離で出場。
前の晩、初めて親から明かされる。
明日の大会に双子のもう一人がでることを。
出場前に自分と同じ顔の少年がいて驚く。
本当に僕らは双子だったのだと。
彼らの兄は僕の中学の先輩だった。
兄と一人の弟はバスケ部だった。
バスケ部だった僕は彼らの家に行ったことがある。
母親が出てきて双子の話をして涙した。
最近、バスケ部の弟と那須の家で会った。
兄の話、双子の弟の話……。
彼は実母と実兄と一緒に育った。
もう一人はそうではなかった。
育った環境が違うのにずっと瓜二つだった。
彼らは大阪で勤めていたことがある。
喫茶店や電車の中で間違えられた。
呼んでるのに何で無視しているのだと。
今春、彼らの実母が老衰で亡くなった。
バスケ部の彼が四十九日の写真を見せてくれた。
双子と彼らの家族が写っていた。
双子は65歳になっても同じ顔である。
似たような眼鏡をかけ白髪交じりで若く見える。
どちらも家族も幸せそうだ。
実母もさぞかし幸せで天国に旅立ったことだろう。
近いうちに彼らの兄にも会いたいと思った。
